ヌーイック静注用250/ヌーイック静注用500/ヌーイック静注用1000/ヌーイック静注用2000/ヌーイック静注用2500/ヌーイック静注用3000/ヌーイック静注用4000

作成又は改訂年月

2022年 6月改訂 ( 第3版 、 保険給付上の注意の項削除 )
2021年 6月改訂

日本標準商品分類番号

876349

薬効分類名

遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤

承認等

ヌーイック静注用250

販売名コード

YJコード

6343457D1029

販売名英語表記

NUWIQ FOR I.V. INJECTION

承認番号等

承認番号

30300AMX00012000

販売開始年月

2021年 8月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

24箇月

規制区分

ヌーイック静注用500

販売名コード

YJコード

6343457D2025

販売名英語表記

NUWIQ FOR I.V. INJECTION

承認番号等

承認番号

30300AMX00006000

販売開始年月

2021年 8月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

24箇月

規制区分

ヌーイック静注用1000

販売名コード

YJコード

6343457D3021

販売名英語表記

NUWIQ FOR I.V. INJECTION

承認番号等

承認番号

30300AMX00007000

販売開始年月

2021年 8月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

24箇月

規制区分

ヌーイック静注用2000

販売名コード

YJコード

6343457D4028

販売名英語表記

NUWIQ FOR I.V. INJECTION

承認番号等

承認番号

30300AMX00008000

販売開始年月

2021年 8月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

24箇月

規制区分

ヌーイック静注用2500

販売名コード

YJコード

6343457D5024

販売名英語表記

NUWIQ FOR I.V. INJECTION

承認番号等

承認番号

30300AMX00009000

販売開始年月

2021年 8月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

24箇月

規制区分

ヌーイック静注用3000

販売名コード

YJコード

6343457D6020

販売名英語表記

NUWIQ FOR I.V. INJECTION

承認番号等

承認番号

30300AMX00010000

販売開始年月

2021年 8月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

24箇月

規制区分

ヌーイック静注用4000

販売名コード

YJコード

6343457D7027

販売名英語表記

NUWIQ FOR I.V. INJECTION

承認番号等

承認番号

30300AMX00011000

販売開始年月

2021年 8月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

24箇月

規制区分

一般的名称

シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)

3. 組成・性状

3.1 組成

本剤は薬剤バイアルと添付溶解液シリンジ(プレフィルドシリンジ「日本薬局方 注射用水2.5mL」)からなる。

ヌーイック静注用250

(1バイアル中)
有効成分シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)  250IU
添加剤精製白糖  13.5mg
塩化ナトリウム  45mg
L-アルギニン塩酸塩  13.5mg
塩化カルシウム水和物  0.75mg
クエン酸ナトリウム水和物  3mg
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール  3mg
水酸化ナトリウム  適量

ヌーイック静注用500

(1バイアル中)
有効成分シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)  500IU
添加剤精製白糖  13.5mg
塩化ナトリウム  45mg
L-アルギニン塩酸塩  13.5mg
塩化カルシウム水和物  0.75mg
クエン酸ナトリウム水和物  3mg
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール  3mg
水酸化ナトリウム  適量

ヌーイック静注用1000

(1バイアル中)
有効成分シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)  1000IU
添加剤精製白糖  13.5mg
塩化ナトリウム  45mg
L-アルギニン塩酸塩  13.5mg
塩化カルシウム水和物  0.75mg
クエン酸ナトリウム水和物  3mg
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール  3mg
水酸化ナトリウム  適量

ヌーイック静注用2000

(1バイアル中)
有効成分シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)  2000IU
添加剤精製白糖  13.5mg
塩化ナトリウム  45mg
L-アルギニン塩酸塩  13.5mg
塩化カルシウム水和物  0.75mg
クエン酸ナトリウム水和物  3mg
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール  3mg
水酸化ナトリウム  適量

ヌーイック静注用2500

(1バイアル中)
有効成分シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)  2500IU
添加剤精製白糖  13.5mg
塩化ナトリウム  45mg
L-アルギニン塩酸塩  13.5mg
塩化カルシウム水和物  0.75mg
クエン酸ナトリウム水和物  3mg
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール  3mg
水酸化ナトリウム  適量

ヌーイック静注用3000

(1バイアル中)
有効成分シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)  3000IU
添加剤精製白糖  13.5mg
塩化ナトリウム  45mg
L-アルギニン塩酸塩  13.5mg
塩化カルシウム水和物  0.75mg
クエン酸ナトリウム水和物  3mg
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール  3mg
水酸化ナトリウム  適量

ヌーイック静注用4000

(1バイアル中)
有効成分シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)  4000IU
添加剤精製白糖  13.5mg
塩化ナトリウム  45mg
L-アルギニン塩酸塩  13.5mg
塩化カルシウム水和物  0.75mg
クエン酸ナトリウム水和物  3mg
ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール  3mg
水酸化ナトリウム  適量

本剤はヒト胎児由来腎細胞株HEK293Fにより製造される。

3.2 製剤の性状

ヌーイック静注用250

pH6.5-7.5
(添付溶解液で溶解したとき)
浸透圧比2.0-2.7
(添付溶解液で溶解したとき)
(生理食塩水に対する比)
色・性状本剤は白色の塊又は白色の粉末である(凍結乾燥製剤)。添付の溶解液を加えるとき、無色の澄明な液となる。
添付溶解液1シリンジ中 日本薬局方 注射用水2.5mL

ヌーイック静注用500

pH6.5-7.5
(添付溶解液で溶解したとき)
浸透圧比2.0-2.7
(添付溶解液で溶解したとき)
(生理食塩水に対する比)
色・性状本剤は白色の塊又は白色の粉末である(凍結乾燥製剤)。添付の溶解液を加えるとき、無色の澄明な液となる。
添付溶解液1シリンジ中 日本薬局方 注射用水2.5mL

ヌーイック静注用1000

pH6.5-7.5
(添付溶解液で溶解したとき)
浸透圧比2.0-2.7
(添付溶解液で溶解したとき)
(生理食塩水に対する比)
色・性状本剤は白色の塊又は白色の粉末である(凍結乾燥製剤)。添付の溶解液を加えるとき、無色の澄明な液となる。
添付溶解液1シリンジ中 日本薬局方 注射用水2.5mL

ヌーイック静注用2000

pH6.5-7.5
(添付溶解液で溶解したとき)
浸透圧比2.0-2.7
(添付溶解液で溶解したとき)
(生理食塩水に対する比)
色・性状本剤は白色の塊又は白色の粉末である(凍結乾燥製剤)。添付の溶解液を加えるとき、無色の澄明な液となる。
添付溶解液1シリンジ中 日本薬局方 注射用水2.5mL

ヌーイック静注用2500

pH6.5-7.5
(添付溶解液で溶解したとき)
浸透圧比2.0-2.7
(添付溶解液で溶解したとき)
(生理食塩水に対する比)
色・性状本剤は白色の塊又は白色の粉末である(凍結乾燥製剤)。添付の溶解液を加えるとき、無色の澄明な液となる。
添付溶解液1シリンジ中 日本薬局方 注射用水2.5mL

ヌーイック静注用3000

pH6.5-7.5
(添付溶解液で溶解したとき)
浸透圧比2.0-2.7
(添付溶解液で溶解したとき)
(生理食塩水に対する比)
色・性状本剤は白色の塊又は白色の粉末である(凍結乾燥製剤)。添付の溶解液を加えるとき、無色の澄明な液となる。
添付溶解液1シリンジ中 日本薬局方 注射用水2.5mL

ヌーイック静注用4000

pH6.5-7.5
(添付溶解液で溶解したとき)
浸透圧比2.0-2.7
(添付溶解液で溶解したとき)
(生理食塩水に対する比)
色・性状本剤は白色の塊又は白色の粉末である(凍結乾燥製剤)。添付の溶解液を加えるとき、無色の澄明な液となる。
添付溶解液1シリンジ中 日本薬局方 注射用水2.5mL

4. 効能又は効果

血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者における出血傾向の抑制

6. 用法及び用量

本剤を添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内投与する。1分間に4mLを超える注射速度は避けること。
通常、1回体重1kg当たり10~30国際単位を投与するが、患者の症状に応じて適宜増減する。
定期的に投与する場合、12歳以上の患者には、通常、1回体重1kg当たり30~40国際単位を週3回又は隔日投与する。患者の状態に応じ、投与量は1回体重1kg当たり65国際単位を超えない範囲で、投与間隔は3~5日の範囲で適宜調節することもできる。12歳未満の患者には、通常、1回体重1kg当たり30~50国際単位を週3回又は隔日投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 体重1kg当たり1国際単位の本剤を投与することにより、血漿中の第Ⅷ因子レベルが2%(2IU/dL)上昇することが見込まれる。必要量は以下の計算式に基づいて算出する。

    必要量(IU)=体重(kg)×血液凝固第Ⅷ因子の目標上昇値(%又はIU/dL)×0.5[(IU/kg)/(IU/dL)]

  2. 7.2 出血時の治療における本剤の投与方法を以下に示す。
    下表に示す血液凝固第Ⅷ因子活性(%又はIU/dL)を下回らないように維持する投与量及び投与間隔を調節すること。

    出血の程度

    必要な血液凝固第Ⅷ因子レベル(%又はIU/dL)

    投与間隔(時間)

    投与期間

    軽度:
    表在筋出血、軟組織出血、口腔内出血

    20-40

    12-24

    少なくとも1日、出血症状が回復するまで

    中等度及び重度:
    筋肉内出血、口腔内出血、関節内出血、既知の外傷

    30-60

    12-24

    出血症状が回復するまで3~4日間又はそれ以上

    生命を脅かす出血:
    頭蓋内出血、腹腔内出血、消化管出血、胸腔内出血、中枢神経系の出血、咽頭後間隙の出血、腸腰筋鞘の出血、眼/網膜の出血、骨折又は頭部外傷

    60-100

    8-24

    出血リスクが消失するまで

  3. 7.3 周術期(手術前後の出血管理)の本剤の投与方法を以下に示す。
    下表に示す血漿中第Ⅷ因子活性(%又はIU/dL)を下回らないように維持する投与量及び投与間隔を調節すること。

    手術の種類

    必要な血液凝固第Ⅷ因子レベル(%又はIU/dL)

    投与間隔(時間)

    投与期間

    小手術:
    抜歯を含む

    30-60(手術前後)

    8-24

    少なくとも1日、治癒まで

    大手術:
    頭蓋内手術、腹腔内手術又は人工関節置換術

    80-100(手術前後)

    8-24

    十分な創傷治癒が得られるまで、引き続き7日間は血液凝固第Ⅷ因子活性を30~60%(IU/dL)に維持できるよう追加投与する。

  4. 7.4 定期的な投与の用法及び用量は患者の薬物動態、患者の状態等を考慮して決定すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の投与は、血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること。
  2. 8.2 患者の血中に血液凝固第Ⅷ因子に対するインヒビターが発生するおそれがある。特に、血液凝固第Ⅷ因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビターが発生しやすいことが知られている。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビターの発生を疑い、回収率やインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと。
  3. 8.3 十分な血液凝固第Ⅷ因子レベルに到達・維持していることを確認するため、必要に応じ血漿中血液凝固第Ⅷ因子レベルをモニタリングすること。
  4. 8.4 本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合のみに適用すること。本剤を処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施した後、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し、本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常が認められた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には、速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。適用後、在宅自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 本剤の成分又は他の血液凝固第Ⅷ因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)

    じん麻疹、悪寒、血管浮腫、呼吸困難、血圧低下、頻脈等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11.2 その他の副作用

1%以上

1%未満

免疫系障害

過敏症

神経系障害

頭痛、浮動性めまい

皮膚および皮下組織障害

発疹

じん麻疹

筋骨格系および結合組織障害

背部痛

一般・全身障害および投与部位の状態

発熱

倦怠感、胸痛、悪寒

血液およびリンパ系障害

インヒビターの発生1)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 調製前に室温に戻しておくこと。
  2. 14.1.2 添付の溶解液以外は使用しないこと。本剤に溶解液全量を加えた後、静かに円を描くように回して溶解すること(激しく振とうしないこと)。
  3. 14.1.3 他の製剤と混合しないこと。
  4. 14.1.4 溶解した液は暗所で常温(15~25℃)にて3時間保存することができる。3時間以内に使用しない場合は、廃棄すること。
  5. 14.1.5 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。

14.2 薬剤投与時の注意

溶解した液は、無色澄明で沈殿を認めない。沈殿の認められるもの又は混濁しているものは使用しないこと。

14.3 薬剤交付時の注意

  1. 14.3.1 本剤を患者が家庭で保存する場合においては、冷蔵庫内で保管することが望ましいが、常温(15~25℃)で保存することもできる。常温で保存した場合は、使用期限を超えない範囲で3カ月以内(250IUバイアルのみ1カ月以内)に使用し、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
  2. 14.3.2 子供による誤用を避けるため、薬剤の保管には十分注意すること。
  3. 14.3.3 光の影響を防ぐために、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で保存すること。
  4. 14.3.4 使用済みの医療機器の処理については、主治医の指示に従うこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

本剤はVon Willebrand因子を含んでいない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 18歳以上の患者

    18歳以上の治療歴のある重症血友病A患者(第Ⅷ因子活性が1%未満)を対象に、本剤60±5IU/kgを単回静脈内投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)

    薬物動態パラメータ

    日本人9例

    外国人38例

    AUCnorm(h・IU/mL/(IU/kg))

    0.33±0.17

    0.30±0.10

    T1/2(h)

    17.3±4.9

    15.3±3.8

    IVR(%/IU/kg)

    1.66±0.54

    1.80±0.39

    CL(mL/h/kg)

    3.75±1.66

    3.89±1.69

    Vss(mL/kg)

    76.1±17.0

    72.1±16.5

    凝固一段法による測定 平均±SD

  2. 16.1.2 小児

    2~12歳の治療歴のある重症血友病A患者(第Ⅷ因子活性が1%未満)を対象に、本剤50IU/kgを単回静脈内投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)

    薬物動態パラメータ

    2~5歳外国人13例

    6~12歳外国人13例

    AUCnorm(h・IU/mL/(IU/kg))

    0.22±0.10

    0.26±0.06

    T1/2(h)

    11.9±5.4

    13.1±2.6

    IVR(%/IU/kg)

    1.57±0.17

    1.64±0.38

    CL(mL/h/kg)

    5.41±2.32

    4.05±0.92

    Vss(mL/kg)

    68.3±10.4

    66.1±16.0

    凝固一段法による測定 平均±SD

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国際共同第Ⅲb相試験(18歳以上の患者)
    1. (1) 定期的な投与に関する有効性

      治療歴のある重症血友病A患者(第Ⅷ因子活性が1%未満)56例(日本人10例)を対象に、第Ⅰ期では本剤30~40IU/kgを隔日又は週3回で投与した。その後、第Ⅱ期では患者個人の薬物動態及び出血状況等を考慮し、本剤65IU/kg以下の用量で、週2回以下の投与間隔に調節可能とした。投与間隔は、患者個人の薬物動態データからFⅧ活性トラフ値が1%(1IU/dL)に維持できる最長の間隔とされ、投与量は、自然出血の頻度及び重症度に応じて約5IU/kgを増量可能とし、増量後も出血する場合は投与間隔を短くした。投与間隔は最長5日まで延長された。評価期間ごとの年換算出血率は以下のとおりであった3)

      評価期間

      投与間隔

      例数

      平均値±標準偏差

      中央値[範囲]

      第Ⅰ期

      隔日又は週3回

      56

      3.85±6.98

      0[0, 24.7]

      第Ⅱ期

      全体

      56

      4.67±6.46

      2.04[0, 26.8]

      週2回超

      27

      4.52±5.97

      2.1[0, 25.9]

      週2回以下、5日間以内

      29

      4.82±6.98

      2.0[0, 26.8]

    2. (2) 周術期の止血効果

      治療歴のある重症血友病A患者(第Ⅷ因子活性が1%未満)6例(日本人1例)で実施された12件の手術(大手術8件、小手術4件)で、手術前後に本剤が投与された。全体の有効性評価は、評価の得られた11件すべてが「著効」又は「有効」と評価された4)

    3. (3) 安全性

      安全性解析対象集団58例(日本人11例)のうち1例(外国人)に3件の副作用(胸痛1件、浮動性めまい2件)が発現した5)

  2. 17.1.2 海外第Ⅲ相試験(小児)
    1. (1) 定期補充療法

      2~12歳の外国人で治療歴のある重症血友病A患者(第Ⅷ因子活性が1%未満)59例を対象に、定期補充療法として本剤を隔日又は週3回、少なくとも6カ月間投与した。年換算出血率の平均値(±SD)は、4.12(±5.22)、中央値は1.90(範囲:0-20.7)であった2)

    2. (2) 出血時の止血効果

      治療歴のある重症血友病A患者(第Ⅷ因子活性が1%未満)59例のうち、32例で発現した108件の出血エピソードが本剤で治療された。止血成功と評価された割合(著効又は有効)は、82.4%であり、81.3%の出血エピソードは、本剤の1~2回の投与で止血した2)

    3. (3) 安全性

      安全性解析対象集団59例のうち2例に2件の副作用(背部痛、頭痛)が発現した2)

  3. 17.1.3 海外第Ⅱ相試験(12~65歳の患者)
    1. (1) 出血時の止血効果

      12~65歳の外国人で治療歴のある重症血友病A患者(第Ⅷ因子活性が1%以下)22例を対象に、本剤の出血時補充療法を評価した。22例で発現した計986件の出血エピソードで本剤が投与された。986件の出血エピソードのうち、642件(65%)が自然出血、341件(35%)は外傷性出血、3件(0.3%)が他の理由による出血であった。出血エピソードの治療時における本剤投与1回当たりの平均投与量は32IU/kgであった。止血成功と評価された割合(著効又は有効)は、94.4%であり、96.8%の出血エピソードは、本剤の1~2回の投与で止血した3)

    2. (2) 安全性

      本剤に関連した副作用は発現しなかった4)

  4. 17.1.4 海外第Ⅲb相試験(18歳以上の患者)
    1. (1) 定期的な投与に関する有効性

      治療歴のある重症血友病A患者(第Ⅷ因子活性が1%未満)66例を対象に、本剤30~40IU/kgを隔日又は週3回で投与した。その後、患者の薬物動態及び出血状況等を考慮し、本剤60~80IU/kgの投与量で、投与間隔の延長が検討され、最長5日間隔まで延長された。年換算出血率の平均値(±SD)及び中央値(範囲)は、投与間隔延長した場合を含む全体(66例)で、3.05±13.43及び0(範囲:0-106.9)であった4)

    2. (2) 安全性

      安全性解析対象集団66例のうち1例に2件の副作用(倦怠感、浮動性めまい)が発現した4)

  5. 17.1.5 海外第Ⅲ相試験(治療歴のない患者)
    1. (1) 免疫原性

      外国人で治療歴のない重症血友病A患者(第Ⅷ因子活性が1%未満)108例(月齢中央値:9.5カ月、範囲:0-146カ月)を対象に、本剤の免疫原性を検討した。本剤の投与方法としては定期補充療法(20~50IU/kg)が推奨されたが、出血時補充療法も可能であり、試験参加期間(曝露日数)は100日と計画された(最大5年間)。本剤投与後にインヒビター検査を実施した105例のうち、28例(26.7%;95% CI:18.5-36.2)でインヒビターが発現した4)

    2. (2) 安全性

      安全性解析対象集団108例のうち45例で計70件の副作用が発現した。最も頻度の高かった副作用はインヒビターの発生25.9%(28例)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

本剤は血液凝固第Ⅷ因子の欠乏を一時的に補正することにより、出血傾向を抑制する。

18.2 止血効果

血友病Aモデルのイヌにおいて、本剤の静脈内投与により止血効果が認められた。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

シモクトコグ アルファ(遺伝子組換え)
Simoctocog Alfa(Genetical Recombination)

本質

シモクトコグ アルファは遺伝子組換えヒト血液凝固第Ⅷ因子類縁体であり、ヒト血液凝固第Ⅷ因子の1~756番目及び1,649~2,332番目のアミノ酸に相当する。シモクトコグ アルファは、756個のアミノ酸残基からなるH鎖及び684個のアミノ酸残基からなるL鎖で構成される糖タンパク質(分子量:約170,000)である。シモクトコグ アルファは、ヒト胎児由来腎細胞により産生される。

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 外箱開封後は遮光して保存すること。
  2. 20.2 本剤は特定生物由来製品ではないが、血液製剤代替医薬品であることから、本剤を投与又は処方した場合は、医薬品名(販売名)、製造番号、投与又は処方した日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間は保存すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

ヌーイック静注用250×1バイアル

ヌーイック静注用500×1バイアル

ヌーイック静注用1000×1バイアル

ヌーイック静注用2000×1バイアル

ヌーイック静注用2500×1バイアル

ヌーイック静注用3000×1バイアル

ヌーイック静注用4000×1バイアル

添付溶解液プレフィルドシリンジ
「日本薬局方 注射用水2.5mL」×1シリンジ付き

24. 文献請求先及び問い合わせ先

藤本製薬株式会社 学術部

〒580-8503 大阪府松原市西大塚1丁目3番40号

TEL:0120-225-591 FAX:0120-116-026

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

藤本製薬株式会社

〒580-8503 大阪府松原市西大塚1丁目3番40号

26.2 提携先

Octapharma AG(スイス)