トスフロキサシントシル酸塩小児用細粒15%「明治」(組成変更前、製造番号00211まで)
作成又は改訂年月
** 2020年9月改訂 (第6版)
* 2019年9月改訂
日本標準商品分類番号
876241
日本標準商品分類番号等
効能又は効果追加承認年月(最新)
2017年6月
薬効分類名
ニューキノロン系経口抗菌製剤
承認等
販売名
トスフロキサシントシル酸塩小児用細粒15%「明治」(組成変更前、製造番号00211まで)
販売名コード
6241010C1059
承認・許可番号
承認番号
22700AMX00411000
欧文商標名
TOSUFLOXACIN TOSILATE Fine granules 15% for Pediatric 「MEIJI」
薬価基準収載年月
2015年6月
販売開始年月
2015年6月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱等に最終年月表示
規制区分
処方箋医薬品
注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること
組成
トスフロキサシントシル酸塩小児用細粒15%「明治」
は、1g中に下記の成分を含有する。
有効成分
日局トスフロキサシントシル酸塩水和物 150mg(トスフロキサシンとして102mg)
添加物
粉末還元麦芽糖水アメ、
D
-マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、アスパルテーム(
L
-フェニルアラニン化合物)、三二酸化鉄、含水二酸化ケイ素
香料
性状
剤形
細粒
色
淡赤色
包装上の識別コード
0.5g分包 MS090
一般的名称
トスフロキサシントシル酸塩水和物細粒
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)]
ただし、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては、炭疽、コレラに限り、治療上の有益性を考慮して投与すること。
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
<適応菌種>
トスフロキサシンに感性の肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
<適応症>
肺炎、コレラ、中耳炎、炭疽
インフルエンザ菌にはβ-ラクタム耐性インフルエンザ菌を含む。
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.
本剤の使用に際しては、他の経口抗菌薬による治療効果が期待できない症例に使用すること。
2.
関節障害が発現するおそれがあるので、本剤の使用に際しては、リスクとベネフィットを考慮すること(「その他の注意」の項参照)。
3.
肺炎球菌(ペニシリンGに対するMIC≧4μg/mL)に対する本剤の使用経験はない(CLSI法)。
4.
**
中耳炎への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」
1)
を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
用法及び用量
通常、小児に対してはトスフロキサシントシル酸塩水和物として1回6mg/kg(トスフロキサシンとして4.1mg/kg)を1日2回経口投与する。
ただし、1回180mg、1日360mg(トスフロキサシンとして1回122.4mg、1日244.8mg)を超えないこととする。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
2.
本剤は、食直前又は食後に投与することが望ましい。
3.
高度の腎障害のある患者
には、投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。
4.
炭疽の発症及び進展抑制には、類薬であるシプロフロキサシンについて米国疾病管理センター(CDC)が、60日間の投与を推奨している。なお、長期投与中は、副作用及び臨床検査値の異常変動等の発現に特に注意すること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある]
2.
高度の腎障害のある患者[高い血中濃度が持続することがある]
3.
重症筋無力症の患者[類薬で症状を悪化させるとの報告
2)
がある]
4.
大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者[海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある]
5.
*高齢者[腱障害があらわれやすいとの報告がある、「高齢者への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
関節障害が発現するおそれがあるので、問診を行うなど患者の状態を十分に観察すること(「その他の注意」の項参照)。
2.
大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子を有する患者では、必要に応じて画像検査の実施も考慮すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
テオフィリン
アミノフィリン水和物
臨床症状・措置方法
健康成人にテオフィリン1日400mgとトスフロキサシントシル酸塩水和物(錠剤)1日450mgを併用したところ、テオフィリンの最高血中濃度は、併用3日目で1.13倍、5日目では1.23倍の上昇を示したとの報告がある。
テオフィリンの中毒症状(消化器障害、頭痛、不整脈、痙攣等)があらわれるおそれがあるため、観察を十分に行い、血中濃度モニタリングを行うなど注意すること。
機序・危険因子
〈機序〉
テオフィリンの肝での代謝を抑制し、血中濃度を上昇させることが報告されている。
〈危険因子〉
高齢者
高度の腎障害患者
薬剤名等
フェニル酢酸系、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤
臨床症状・措置方法
痙攣があらわれることがある。
観察を十分に行い、症状があらわれた場合には両剤の投与を中止し、気道確保と抗痙攣薬の使用など痙攣に対する治療を実施すること。
機序・危険因子
〈機序〉
中枢神経におけるGABA
A
受容体への結合阻害作用が非ステロイド性消炎鎮痛剤により増強されることが主な機序と考えられている。
〈危険因子〉
高齢者
てんかん等痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
高度の腎障害患者
薬剤名等
アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸剤、鉄剤、カルシウム含有製剤
臨床症状・措置方法
本剤の効果が減弱されるおそれがある。
同時投与を避けるなど注意すること。
機序・危険因子
〈機序〉
金属カチオンと難溶性の錯塩を形成し、本剤の消化管からの吸収が低下することが報告されている。
薬剤名等
*副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤)(プレドニゾロン、 ヒドロコルチゾン等)
臨床症状・措置方法
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。
機序・危険因子
機序不明
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
(頻度不明)
1.
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、浮腫、発赤等)
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、浮腫、発赤等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
痙攣、意識障害(意識喪失等)
痙攣、意識障害(意識喪失等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
急性腎障害、間質性腎炎、腎性尿崩症
急性腎障害、間質性腎炎、腎性尿崩症等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5.
肝機能障害、黄疸
肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6.
無顆粒球症、血小板減少
無顆粒球症、血小板減少があらわれることがある。発熱、咽頭痛、皮下・粘膜出血等があらわれた場合には血液検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7.
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
8.
間質性肺炎、好酸球性肺炎
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
9.
横紋筋融解症
急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがある。筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
10.
低血糖
低血糖があらわれることがある(高齢者、腎障害患者、糖尿病患者であらわれやすい)ので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.
大動脈瘤、大動脈解離
大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
12. *
末梢神経障害
末梢神経障害があらわれることがあるので、しびれ、筋力低下、痛み等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
13. *
アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害
アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害があらわれることがあるので、腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
14. *
精神症状
幻覚、せん妄等の精神症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重大な副作用(類薬)
重症筋無力症の悪化
他のニューキノロン系抗菌剤で重症筋無力症の悪化が報告
2)
されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
次のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
過敏症
頻度不明
発熱、発疹、紅斑、光線過敏性反応、潮紅、そう痒症、湿疹、蕁麻疹
腎臓
頻度不明
尿円柱、血中クレアチニン増加、尿中血陽性、尿中赤血球陽性、遺尿、BUN増加、血尿
肝臓
頻度不明
AST(GOT)増加、ALT(GPT)増加、ALP増加、LDH増加、γ-GTP増加、ビリルビン増加
消化器
頻度不明
下痢、嘔吐、食欲不振、腹痛、口渇、便秘、悪心、口唇水疱、腹部膨満、胃・腹部不快感、口内炎、舌炎
血液
頻度不明
好酸球数増加、白血球数減少、血小板数減少、貧血、単球数増加
精神神経系
頻度不明
傾眠、幻覚、せん妄、頭痛、浮動性めまい、しびれ、不眠症、振戦
その他
頻度不明
味覚異常、関節痛、蒼白、血中CK(CPK)増加、血中クロール減少、血中クロール増加、亀頭包皮炎、倦怠感
高齢者への投与
本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあるので、用量並びに投与間隔に留意し、慎重に投与すること。
なお、本剤は小児用製剤である。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
2.
母乳中への移行が報告されている
3)
ので、授乳中の婦人に投与する場合には授乳を中止させること。
なお、本剤は小児用製剤である。
小児等への投与
1.
低出生体重児、新生児及び乳児に対する安全性は確立していない。
2.
臨床試験では関節症状を有する患者への使用経験はない。[「その他の注意」の項参照]
その他の注意
1.
動物実験(幼若イヌ)で50mg/kg、500mg/kgを14日間経口投与した結果、関節異常(上腕骨近位端軟骨に微小水疱あるいはびらん)が認められたとの報告がある。
なお、トスフロキサシントシル酸塩水和物細粒の初回承認時臨床試験において、軽度の関節痛が0.85%(2/235例)に認められている。
2.
類薬の海外小児臨床試験において、キノロン系以外の抗菌剤と比較して筋骨格系障害(関節痛、関節炎等)の発現率が高かったとの報告がある。
薬物動態
生物学的同等性試験
4)
トスフロキサシントシル酸塩小児用細粒15%「明治」と標準製剤を、クロスオーバー法によりそれぞれ0.5g[トスフロキサシントシル酸塩水和物75mg(トスフロキサシンとして51mg)]健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
図 15%細粒投与時の血漿中トスフロキサシン濃度推移
(下表参照)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
表 薬物動態パラメータ
被験者数
判定パラメータ
AUCt
(ng・hr/mL)
判定パラメータ
Cmax
(ng/mL)
参考パラメータ
Tmax
(hr)
参考パラメータ
T
1/2
(hr)
トスフロキサシントシル酸塩小児用細粒15%「明治」
26
2188.60±590.43
385.17±125.43
1.0±0.6
7.0±1.0
標準製剤
(細粒剤、15%)
26
2316.11±510.27
371.79±98.65
1.1±0.6
6.8±0.7
Mean±S.D.
薬効薬理
1.
抗菌作用
5)
トスフロキサシンはグラム陽性菌である肺炎球菌、グラム陰性菌であるインフルエンザ菌に対して抗菌力を示した。
2.
作用機序
6)
DNAジャイレース阻害によるDNA複製阻害であり、作用は殺菌的である。
3.
動物モデルにおける治療効果
5)
ペニシリン耐性肺炎球菌またはインフルエンザ菌によるマウス肺感染モデルに対し、肺内生菌数を有意に減少させ、治療効果が認められた。
有効成分に関する理化学的知見
性 状
トスフロキサシントシル酸塩水和物は白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。
本品は
N,N
-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、水又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
本品のメタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
一般名
トスフロキサシントシル酸塩水和物
Tosufloxacin Tosilate Hydrate
略 号
TFLX
化学名
7-[(3
RS
)-3-Aminopyrrolidin-1-yl]-1-(2,4-difluorophenyl)-6-fluoro-4-oxo-1,4-dihydro-1,8-naphthyridine-3-carboxylic acid mono-4-toluenesulfonate monohydrate
分子式
C
19
H
15
F
3
N
4
O
3
・C
7
H
8
O
3
S・H
2
O
分子量
594.56
構造式
融 点
約254℃(分解)
取扱い上の注意
安定性試験
7)
包装製品を用いた加速試験(40℃、相対湿度75%、6ヵ月)の結果、トスフロキサシントシル酸塩小児用細粒15%「明治」は通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
包装
1g中 トスフロキサシンとして102mg含有
ボトル 50g、100g
分包 0.5g×40包(2連包×20枚)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
**厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2)
Sieb, J. P.:Neurology, 50:804, 1998
3)
中村 孝ほか:Chemotherapy, 36(S-9):710, 1988
4)
トスフロキサシントシル酸塩小児用細粒15%「明治」の生物学的同等性試験に関する資料(社内資料)
5)
高田利彦ほか:医学と薬学, 72(3):437, 2015
6)
第十七改正日本薬局方解説書:C-3380, 2016
7)
トスフロキサシントシル酸塩小児用細粒15%「明治」の安定性に関する資料(社内資料)
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