エクザール注射用10mg


作成又は改訂年月

** 2014年8月改訂 8

* 2011年7月改訂 7

日本標準商品分類番号

87424

日本標準商品分類番号等

再評価結果公表年月(最新)
1982年8月

効能又は効果追加承認年月(最新)
2011年3月

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤

承認等

販売名
エクザール注射用10mg

販売名コード

4240401D2031

承認・許可番号

承認番号
21300AMY00372
商標名
Exal for Inj. 10mg

薬価基準収載年月

1968年3月

販売開始年月

2004年4月

貯法・使用期限等

貯法

遮光、2〜8℃で保存

使用期限

3年(バイアル及び外箱に表示)

基準名

日本薬局方

注射用ビンブラスチン硫酸塩

規制区分

劇薬

処方箋医薬品

※注意-医師等の処方箋により使用すること

組成

エクザール注射用10mgは、1バイアル中に次の成分を含有する。

有効成分・含有量

ビンブラスチン硫酸塩 10mg

性状

エクザール注射用10mgは、白色〜微黄色の凍結乾燥製剤である。

pH

3.5〜5.0

浸透圧比(日局生理食塩液に対する比)

約1(本剤1バイアルを生理食塩液10mLに溶解時)

警告

本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

(次の患者又は部位には投与しないこと)
1. 次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

2. 次の部位には投与しないこと
髄腔内
[「適用上の注意」2.投与経路の項参照]

効能又は効果

効能又は効果/用法及び用量

〈ビンブラスチン硫酸塩通常療法〉
効能・効果
下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
悪性リンパ腫、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、再発又は難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)、ランゲルハンス細胞組織球症

用法及び用量

1.
悪性リンパ腫、絨毛性疾患に対しては、白血球数を指標とし、ビンブラスチン硫酸塩として、初め成人週1回0.1mg/kgを静脈内に注射する。
次いで0.05mg/kgずつ増量して、週1回0.3mg/kgを静脈内に注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

2.
再発又は難治性の胚細胞腫瘍に対しては、確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法を行い、ビンブラスチン硫酸塩として、1日量0.11mg/kgを1日1回2日間静脈内に注射し、19〜26日間休薬する。これを1コースとし、投与を繰り返す。

3.
ランゲルハンス細胞組織球症に対しては、通常、ビンブラスチン硫酸塩として1回6mg/m2(体表面積)を、導入療法においては週1回、維持療法においては2〜3週に1回、静脈内に注射する。
なお、患者の状態により適宜減量する。

〈注射液の調製法〉
ビンブラスチン硫酸塩1mg当たり1mLの割合に注射用水又は生理食塩液を加えて溶解する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

1.
悪性リンパ腫、絨毛性疾患に対して、本剤の投与量の決定にあたっては、白血球数を指標として1週間間隔で以下のように段階的に増量し、至適投与量に到達させる。

〈増量の目安〉

増量段階:投与量
第1回目:0.1mg/kg
第2回目:0.15mg/kg
第3回目:0.2mg/kg
第4回目:0.25mg/kg
第5回目:0.3mg/kg

白血球数が3000/μLまで低下した場合は4000/μL以上に回復するまでは投与を延期すること。多くの患者における1週間当たりの投与量は0.15〜0.2mg/kgになるが、白血球数の減少の程度は一定ではなく、0.1mg/kgの投与で3000/μLまで低下する例もある。維持量としては、約3000/μLの白血球減少を示した投与量より1段階少ない量を1から2週間の間隔で投与する。ただし、白血球数が4000/μL以上に回復するまでは、前回の投与より7日間経過していても次回投与は行ってはならない。1週間1回投与すべき量を分割して少量連日投与しても効果の増強は認められない。
一方、1週間1回の投与量の数倍量を分割して連日長期に投与した場合には痙攣、重篤かつ不可逆的中枢神経障害を起こし、死に至った例が報告されているため、上記投与方法を厳格に守ること。

2.
再発又は難治性の胚細胞腫瘍に対し、確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法(VeIP療法(ビンブラスチン硫酸塩、イホスファミド、シスプラチン併用療法))においては、併用薬剤の添付文書も参照すること。

〈M-VAC療法〉
効能・効果
尿路上皮癌

用法及び用量

メトトレキサート、ドキソルビシン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、ビンブラスチン硫酸塩として、成人1回3mg/m2(体表面積)を静脈内に注射する。
前回の投与によって副作用があらわれた場合は、減量するか又は副作用が消失するまで休薬する。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
標準的な投与量及び投与方法は、メトトレキサート30mg/m2を1日目に投与した後、2日目にビンブラスチン硫酸塩3mg/m2、ドキソルビシン塩酸塩30mg(力価)/m2及びシスプラチン70mg/m2を静脈内に注射する。15日目及び22日目に、メトトレキサート30mg/m2及びビンブラスチン硫酸塩3mg/m2を静脈内に注射する。これを1コースとして4週ごとに繰り返す。

〈注射液の調製法〉
ビンブラスチン硫酸塩1mg当たり1mLの割合に注射用水又は生理食塩液を加えて溶解する。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
肝障害のある患者
[本剤の代謝及び排泄が遅延し副作用が増強する可能性がある。]

2.
腎障害のある患者

3.
骨髄抑制のある患者
[本剤には骨髄抑制作用がある。]

4.
感染症を合併している患者
[本剤には骨髄抑制作用があり、感染症を増悪させることがある。]

5.
神経・筋疾患の既往歴のある患者
[神経障害が強くあらわれることがある。]

6.
虚血性心疾患のある患者
[心筋虚血症状が強くあらわれることがある。]

7.
水痘患者
[致命的な全身障害があらわれることがある。]

8.
高齢者
[「高齢者への投与」の項参照]

重要な基本的注意

1.
骨髄抑制作用に起因する重篤な副作用(致命的な感染症及び出血)、末梢神経障害等が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行うこと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。

2.
高度な骨髄抑制による感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。

3.
小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。

4.
本剤を含む多剤併用化学療法を受けた患者で、性腺障害(精子形成不全(無精子症等)、無月経等)が認められたとの報告があるので、小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

相互作用

本剤の代謝は肝チトクロームP-450 3Aが関与するとされていることから、肝チトクロームP-450 3Aを阻害する薬剤との併用において、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

併用注意

(併用に注意すること)

1. 薬剤名等
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ミコナゾール等)

臨床症状・措置方法
本剤の筋神経系の副作用が増強することがあるので、副作用が発現した場合には、減量、休薬、投与中止等の適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
本剤は肝チトクロームP-450 3Aにより代謝される。アゾール系抗真菌剤は肝チトクロームP-450 3Aを阻害するため、併用により本剤の代謝を抑制することがある。

2. 薬剤名等
マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン)

臨床症状・措置方法
併用により作用が増強したとの報告がある。

機序・危険因子
本剤は肝チトクロームP-450 3Aで代謝される。エリスロマイシンは肝チトクロームP-450 3Aを阻害するため、併用により本剤の代謝を抑制することがある。

3. 薬剤名等
フェニトイン

臨床症状・措置方法
フェニトインと本剤を含む抗悪性腫瘍剤を同時に投与することで、フェニトインの血中濃度が低下し、痙攣が増悪することがあるとの報告があるので、フェニトインの投与量を調節することが望ましい。

機序・危険因子
本剤は併用によりフェニトインの吸収を減少させる、あるいは代謝を亢進させるとの報告がある。

4. 薬剤名等
白金含有の抗悪性腫瘍剤

臨床症状・措置方法
神経系副作用が増強することがある。白金含有の抗悪性腫瘍剤の場合、聴覚障害(難聴)が増強する可能性がある。

機序・危険因子
ともに神経毒性を有する。

5. 薬剤名等
マイトマイシンC

臨床症状・措置方法
マイトマイシンCとの併用時に呼吸困難及び気管支痙攣が発現しやすいことが報告されている。

機序・危険因子
機序不明

6. 薬剤名等
他の抗悪性腫瘍剤

臨床症状・措置方法
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意する。

機序・危険因子
ともに骨髄抑制作用を有する。

7. 薬剤名等
他の抗悪性腫瘍剤

臨床症状・措置方法
ビンカアルカロイド製剤単独で、又は他の抗悪性腫瘍剤との併用により、心筋梗塞、脳梗塞、レイノー現象等が発現したとの報告がある。

機序・危険因子
機序不明

8. 薬剤名等
放射線照射

臨床症状・措置方法
骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意する。

機序・危険因子
ともに骨髄抑制作用を有する。

副作用

副作用等発現状況の概要

〈概要〉注)
再評価申請時に検討した臨床論文39報中、副作用の種類と頻度が明らかな症例は2135例であり、そのうち重要な副作用は白血球減少712例(33.3%)、血小板減少(4.6%)、知覚異常(2.2%)、末梢神経炎(1.1%)、痙攣(0.6%)、イレウス(0.5%)、消化管出血(0.2%)であった。

重大な副作用

1. 骨髄抑制注)
(頻度不明) 
汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血があらわれることがある。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、致命的な感染症(敗血症、肺炎等)や臓器出血等に至った報告がある。

2. 知覚異常、末梢神経炎、痙攣、錯乱、昏睡、昏蒙注)
(頻度不明) 
知覚異常、末梢神経炎、痙攣、錯乱、昏睡、昏蒙があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与量を減量するか投与を中止するなどの処置を行うこと。

3. イレウス、消化管出血注)
(0.1〜5%未満) 
イレウス、消化管出血があらわれることがある。

4. *ショック、アナフィラキシー様症状注)
(頻度不明) 
ショック、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫、血圧低下等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

5. 心筋虚血注)
(頻度不明) 
心筋梗塞、狭心症、心電図上虚血所見が発現したとの報告がある。

6. 脳梗塞注)
(頻度不明) 
ビンカアルカロイド製剤により、脳梗塞が発現したとの報告がある。

7. 難聴注)
(頻度不明) 
一過性又は永続的な難聴があらわれることがある。

8. 呼吸困難及び気管支痙攣注)
(頻度不明) 
呼吸困難及び気管支痙攣が発現したこと、また、これらの症状はマイトマイシンCとの併用時に発現しやすいことが報告されている。このような症状が発現した場合には本剤の投与を中止すること。

9. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)注)
(頻度不明) 
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。

重大な副作用(類薬)

間質性肺炎
類薬のビンデシン硫酸塩で、このような副作用があらわれることがあるので異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用

1. 血液注)
0.1〜5%未満 
貧血

2. 消化器注)
5%以上又は頻度不明 
悪心・嘔吐、口唇炎、消化不良

3. 消化器注)
0.1〜5%未満 
食欲不振、口渇、口内炎、腹痛、便秘

4. 過敏症注)
0.1%未満 
発疹

5. 皮膚注)
0.1〜5%未満 
脱毛、水疱形成

6. 精神神経系注)
5%以上又は頻度不明 
歩行困難、味覚異常、不安、不眠

7. 精神神経系注)
0.1〜5%未満 
深部腱反射の消失、関節痛、筋肉痛、倦怠感、脱力感、頭痛、眩暈、抑うつ、唾液腺痛、排尿障害

8. 生殖器注)
5%以上又は頻度不明 
無精子症、無月経、性腺(睾丸、卵巣)障害等

9. 循環器注)
5%以上又は頻度不明 
高血圧、レイノー現象

10. 循環器注)
0.1〜5%未満 
頻脈

11. 投与部位注)
0.1〜5%未満 
注射局所痛・壊死

12. その他注)
5%以上又は頻度不明 
眼振等の平衡感覚障害

13. その他注)
0.1〜5%未満 
発熱、静脈炎、腫瘤・リンパ節の疼痛

注)発現頻度は再評価結果に基づく。

高齢者への投与

高齢者では、生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすいので、用量並びに投与間隔に留意すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
[動物実験で催奇形作用が報告されている。]

2.
授乳婦に投与する場合には、授乳を中止させること。
[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]

小児等への投与

1.
小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。

2.
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

過量投与

本剤の過量投与により、重篤又は致死的な結果をもたらすとの報告がある。支持療法として次の処置を考慮すること。

(1)
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の予防(水分摂取の制限及びヘンレ係蹄や遠位尿細管に作用する利尿剤の投与)

(2)
抗痙攣剤の投与

(3)
イレウスを予防するための浣腸及び下剤の使用(症例によっては腸管減圧を行う。)

(4)
循環器系機能のモニタリング

(5)
血球検査を毎日行い、必要であれば輸血を行う。

必要に応じ気道確保や人工呼吸器による呼吸管理を行うこと。
血圧、呼吸、体温等のバイタルサイン、血液ガス、血中電解質等を頻回にモニターすること。過量投与に対して透析やコレスチラミン投与が有効であるというデータはない。

適用上の注意

1. 調製方法

(1)
本剤の注射液調製にあたり、注射用水又は生理食塩液以外の溶解液の使用は望ましくない。

(2)
注射液調製後はすみやかに使用すること。
[保存剤を含有していないため。]

(3)
眼には接触させないこと。眼に入った場合は直ちに水で洗うこと。
[眼に入った場合重篤な刺激や角膜潰瘍が起こることがある。]

2. 投与経路

(1)
静脈内注射にのみ使用すること。

(2)
髄腔内には投与しないこと。
[外国でビンカアルカロイド製剤を誤って髄腔内に投与し、死亡したとの報告がある。]
本剤を誤って髄腔内投与した場合は、通常死に至る可能性があるため、死に至る麻痺の進行を阻止するよう直ちに救命措置を実施すること。

3. 投与時

(1)
1回投与量を計算の上、次のいずれか適当な方法により、1分程度をかけて緩徐に投与する。

1)
静脈内に補液中の管の途中から注入する。(点滴容器内で他の薬剤と混合してはならない。)

2)
直接静脈内に注入する。

(2)
静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると注射部位に硬結・壊死・炎症を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないよう慎重に投与すること。
血管外漏出が疑われるときは直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、残量は他の静脈から投与すること。

その他の注意

本剤と他の抗悪性腫瘍剤及び放射線療法を併用した患者に、二次性悪性腫瘍(白血病、骨髄異形成症候群(MDS)等)が発生したとの報告がある。

薬物動態

1. 血中濃度(外国人のデータ)1)
悪性リンパ腫、悪性黒色腫、ザルコイド(類肉腫)の各1例に本剤7.0〜14.0mg(平均10.3mg)を静脈内注射した後、ラジオイムノアッセイ法で測定した場合、血中濃度が投与直後より急速に低下するα期、比較的ゆるやかに低下するβ期、更に非常に緩徐な低下を示すγ期の3相性のパターンで推移した。(悪性黒色腫、ザルコイドは承認外用法である。)(表1参照)

2. 分布(外国人のデータ)1)
悪性リンパ腫、悪性黒色腫、ザルコイド(類肉腫)の各1例に本剤7.0〜14.0mg(平均10.3mg)を静脈内注射した後、ラジオイムノアッセイ法で測定した場合の薬物速度論的パラメータは以下の通りである。(悪性黒色腫、ザルコイドは承認外用法である。)(表2参照)

(参考)
ラットに3H-ビンブラスチン硫酸塩を静脈内注射した場合、各組織における単位重量当たりの放射活性は投与2時間後では、肺、肝、脾、腎、骨髄等に、又、24時間後では、脾、肝、胸腺、腸、骨髄等に高く分布した2)

3. 代謝
主要代謝部位:肝臓
肝チトクロームP-450 3Aが関与するとされている3)
活性代謝物:デスアセチルビンブラスチン(ビンデシン)

4. 排泄(外国人のデータ)4)
転移性副腎腫患者に3H-ビンブラスチン硫酸塩10mgを静脈内投与した後、放射活性を調べた結果、72時間以内に尿中には投与量の約13.6%、糞中には約9.9%が排泄され、代謝を受けることが示唆された。(副腎腫は承認外用法である。)

表1

投与量 T1/2α
(hr) 
T1/2β
(hr) 
T1/2γ
(hr) 
消失速度定数
(hr-1) 
10.3mg i.v. 0.062±0.040 1.64±0.34 24.8±7.5 0.190±0.058 

(平均±標準偏差)


表2

投与量 分布容積
(L/kg) 
血清クリアランス
(L/kg/hr) 
10.3mg i.v. 27.3±14.9 0.740±0.317 

(平均±標準偏差)


臨床成績

1. 悪性リンパ腫及び絨毛性疾患
再評価申請時に、本剤の国内臨床報告16篇及び外国臨床報告36篇に収載された臨床成績を集計すると次の表のとおりであった。(表3参照)

2. ランゲルハンス細胞組織球症
18歳未満のランゲルハンス細胞組織球症患者を対象に海外で実施された4つの臨床試験の報告によると、本剤は6mg/m2を導入療法においては1週に1回、維持療法においては3週に1回、プレドニゾロン及び他の抗悪性腫瘍剤と併用で6〜12ヶ月間投与され、その臨床成績は次の表のとおりであった。(表4参照)

表3

  単独投与例 単独投与例 他剤併用例 他剤併用例 合計 合計 
    有効率(%)   有効率(%)   有効率(%) 
症例数 1062 / 393 / 1455 / 
評価例数 1041 / 374 / 1415 / 
悪性リンパ腫
(有効例数/評価例数) 
665/981 67.8 244/351 69.5 909/1332 68.2 
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
絨毛癌 
12/25 48.0 10/18 55.6 22/43 51.2 
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
破壊胞状奇胎 
6/17 35.3     6/17 35.3 
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
胞状奇胎 
7/14 50.0 3/5 60.0 10/19 52.6 
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
分類不詳 
2/4 50.0     2/4 50.0 
絨毛性疾患
(有効例数/評価例数)
合計 
27/60 45.0 13/23 56.5 40/83 48.2 

表4

試験名 奏効率 再発率 生存率 
DAL-HX 835) 86%
(91/106)注1) 
23%
(21/91)注1) 
90%
(96/106)注2) 
DAL-HX 83・906) 79%
(50/63)注3) 
30%
(15/50)注1) 
81%
(51/63)注4) 
LCH-I7) 57%
(42/74)注3) 
61%注5) 76%注5) 
LCH-II8) 67%
(118/175)注3) 
46%注5) 74〜79%注6) 

注1)評価時期特定不能
注2)観察期間(中央値)6年9ヶ月
注3)導入療法開始6週後での評価
注4)観察期間(中央値)7年6ヶ月
注5)寛解後3年時での評価
注6)5年生存率


薬効薬理

1. 薬理作用

(1) 動物移植性腫瘍に対する抗腫瘍効果9),10)
ビンブラスチン硫酸塩はマウスのP-1534白血病、Ehrlich腹水型腫瘍、Freund腹水型腫瘍、S-180腹水型腫瘍及びB-82A白血病に対して著明な生存日数の延長をもたらし、また、マウスの乳腺腫瘍(DBA腺癌)、ラットのWalker癌及び横紋筋肉腫に対しても、明らかな腫瘍増殖抑制効果を示した。

(2) 細胞学的効果11)
ビンブラスチン硫酸塩1.0mg/kgをマウスの腹腔内へ投与し経時的に腹水腫瘍細胞の分裂像を観察したところ、マウス腫瘍細胞(Ehrlich腹水型腫瘍及びL1210腹水型腫瘍)において、分裂細胞の増加とともに分裂中期細胞の蓄積がみられた。

2. 作用機序12)
ビンブラスチン硫酸塩の作用機序の詳細はまだ明らかにされていないが、紡錘体を形成している微小管のチュブリンに結合することにより、細胞周期を分裂中期で停止させると考えられている。

有効成分に関する理化学的知見

一般名
ビンブラスチン硫酸塩(Vinblastine Sulfate)
(初期にはVincaleukoblastineの名称で記載された。)

略号
VLB、VBL

化学名
Methyl(3aR,4R,5S,5aR,10bR,13aR)-4-acetoxy-3a-ethyl-9-[(5S,7R,9S)-5-ethyl-5-hydroxy-9-methoxycarbonyl-1,4,5,6,7,8,9,10-octahydro-3,7-methano-3-azacycloundecino[5,4-b]indol-9-yl]-5-hydroxy-8-methoxy-6-methyl-3a,4,5,5a,6,11,12,13a-octahydro-1H-indolizino[8,1-cd]carbazole-5-carboxylate monosulfate

分子式
C46H58N4O9・H2SO4

分子量
909.05

構造式

性状
ビンブラスチン硫酸塩は、白色〜微黄色の粉末である。水にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
吸湿性である。

包装

1バイアル

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Nelson R.L.:Med.Pediatr.Oncol.,10,115(1982)

2)
Beer C.T.et al.:Lloydia,27(4),352(1964)

3)
Zhou-Pan X.R.et al.:Cancer Res.,53,5121(1993)

4)
Owellen R.J.:Cancer Res.,37,2597(1977)

5)
Gadner H.et al.:Med Pediatr.Oncol.,23,72(1994)

6)
Minkov M.et al.:Klin Padiatr,212,139(2000)

7)
Gadner H.et al.:J Pediatr.,138,728(2001)

8)
Gadner H.et al.:Blood,111,2556(2008)

9)
Johnson I.S.et al.:Can.Cancer Conf.,4,339(1961)

10)
Johnson I.S.et al.:Cancer Res.,23,1390(1963)

11)
Cutts J.H.:Cancer Res.,21,168(1961)

12)
Cancer 5th edition,468-469(1997),Lippincott-Raven

文献請求先

日本化薬株式会社 医薬事業本部
営業本部 医薬品情報センター

**(住所)〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目1番1号

(TEL)0120-505-282(フリーダイヤル)

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

**製造販売元
日本化薬株式会社

東京都千代田区丸の内二丁目1番1号