2019年 11月改訂 ( 第1版 ) |
処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること糖尿病の食後過血糖の改善(ただし、食事療法・運動療法によっても十分な血糖コントロールが得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下薬若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な血糖コントロールが得られない場合に限る)
アカルボースとして、成人では通常1回100mgを1日3回、食直前に経口投与する。ただし、1回50mgより投与を開始し、忍容性を確認したうえ1回100mgへ増量することもできる。
なお、年齢、症状に応じ適宜増減する。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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低血糖があらわれることがある。併用時には低用量から開始する、又は他の糖尿病用薬の用量を調整するなど慎重に投与すること。 |
左記糖尿病用薬の血糖降下作用に本剤の糖質吸収遅延作用が加わる。 |
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糖尿病用薬の使用上の注意に記載の相互作用に留意するとともに、本剤の糖質吸収遅延作用が加わることによる影響に十分注意すること。 |
左記薬剤により他の糖尿病用薬の血糖降下作用が増強されるところに、本剤の糖質吸収遅延作用が加わる。 |
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糖尿病用薬の使用上の注意に記載の相互作用に留意するとともに、本剤の糖質吸収遅延作用が加わることによる影響に十分注意すること。 |
左記薬剤により他の糖尿病用薬の血糖降下作用が減弱されるところに、本剤の糖質吸収遅延作用が加わる。 |
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ジゴキシン |
ジゴキシンの血中濃度が低下することがある。また、少数例で血中濃度の上昇も認められている。ジゴキシンの血中濃度が変動した場合には、ジゴキシンの投与量を調節するなど適切な処置を行うこと。 |
発現機序の詳細は不明である。 |
ラクツロース ラクチトール水和物 |
消化器系の副作用が増強される可能性がある。 |
左記薬剤が、本剤の作用による未消化の他の二糖類とともに下部消化管へと移行し、腸内細菌によって分解を受けることから、併用により腸内ガス等が更に増加する可能性がある。 |
両剤の薬効に影響を及ぼす可能性がある。 |
本剤はα-アミラーゼ活性の阻害作用を有し、一方、炭水化物消化酵素製剤はα-アミラーゼ活性を有している。 |
他の糖尿病用薬との併用で低血糖(0.1%~5%未満)があらわれることがある。また、他の糖尿病用薬を併用していない場合でも低血糖(0.1%未満)が報告されている。本剤は二糖類の消化・吸収を遅延させるので、低血糖症状が認められた場合にはショ糖ではなくブドウ糖を投与するなど適切な処置を行うこと。,,
腹部膨満・鼓腸、放屁増加等があらわれ、腸内ガス等の増加により、腸閉塞(0.1%未満)があらわれることがあるので、持続する腹痛、嘔吐等の症状があらわれた場合には投与を中止すること。,
AST、ALTの上昇等を伴う重篤な肝機能障害、黄疸(0.1%未満)があらわれることがある。また、劇症肝炎(0.1%未満)の報告がある。
重篤な肝硬変例に投与した場合、便秘等を契機として高アンモニア血症が増悪し、意識障害を伴うとの報告があるので、排便状況等を十分に観察すること。
5%以上 |
5%未満 |
頻度不明 |
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消化器 |
腹部膨満・鼓腸、放屁増加、軟便 |
排便回数増加、下痢、腹痛、便秘、嘔気、嘔吐、食欲不振、食欲亢進、消化不良 |
口渇、腸管のう腫状気腫症 |
過敏症 |
発疹、そう痒 | ||
精神神経系 |
頭痛・頭重感、めまい、しびれ感 | ||
肝臓 |
AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、LDH上昇 | ||
血液 |
白血球減少、血小板減少 |
貧血 |
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その他 |
胸部圧迫感 |
浮腫、ほてり、味覚異常、頻尿 |
本剤服用中に血清1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)低値を示すことがある。1,5-AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならないので注意すること。
健康成人に100mgを単回経口投与した場合、未変化体及び活性代謝物の血中濃度はほとんどの測定時点で検出限界(3ng/mL)以下である1) 。
ラットに経口投与した試験では、腎、副腎、次いで肝で高く、その他の臓器、組織ではいずれも血漿とほぼ同程度又はそれ以下である。なお、授乳ラットに経口投与した試験では、乳汁中に高濃度に移行するのが認められた2) 。
健康成人に経口投与した場合、投与量の一部は腸内細菌により加水分解を受け代謝される。ごく一部吸収されるアカルボースはほとんど代謝されず、尿中には主代謝物として加水分解物由来である4-methylpyrogallolの硫酸及びグルクロン酸抱合体が認められた(外国人データ)。
NIDDM患者を対象として、本剤1回50mg~100mgを1日3回28週間以上投与※した。治療期終了時における食後血糖改善度は中等度改善以上が30/80例(37.5%)であった。投与期間6ヵ月以上では効果の持続が確認され、安定した血糖コントロールが得られていた。副作用は86例中16例(18.6%)に27件認められ、主な副作用は放屁の増加13件、腹部膨満感6件等であった7) 。
インスリン製剤投与中のNIDDM患者及びインスリン依存型糖尿病(IDDM)患者を対象として、本剤1回50mg~100mgを1日3回12週間投与した。12週間後における食後血糖改善度は、中等度改善以上が39/81例(48.1%)であった。副作用は114例中21例(18.4%)に34件認められ、主な副作用は放屁の増加12件、腹部膨満感11件等であった8) 。
インスリン製剤投与中のNIDDM患者及びIDDM患者を対象として、本剤1回50mg~100mgを1日3回28週間以上投与※した。治療期終了時における食後血糖改善度は、中等度改善以上が19/37例(51.4%)であった。投与期間6ヵ月以上では効果の持続が確認され、安定した血糖コントロールが得られていた。副作用は52例中11例(21.2%)に19件認められ、主な副作用は放屁の増加5件、腹部膨満感5件等であった9) 。
※:12週間投与試験の終了時の用法・用量をそのまま継続した。忍容性を考慮して、300mg/日から減量が必要と判断した場合には150mg/日で継続投与した。
NIDDM患者19例に50mg又は100mgを1日3回毎食事とともに2週間経口投与した場合、血糖日内変動曲線は下方移動し、血糖日内変動曲線下面積は用量依存的に低下する15) 。
アカルボース(Acarbose)
O-4,6-Dideoxy-4-[[(1S,4R,5S,6S)-4,5,6-trihydroxy-3-(hydroxymethyl)-2-cyclohexene-1-yl]amino]-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-O-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucopyranose
C25H43NO18
645.60
本品は白色~淡黄色の粉末である。
本品は水に極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくい。
本品は吸湿性である。
1) 東純一他: 医学と薬学. 1989; 22: 365-381
2) Ahr HJ, et al.: Arzneim-Forsch/Drug Res. 1989; 39: 1261-1267
3) 五島雄一郎他: 医学のあゆみ. 1989; 149: 591-618
4) 坂本信夫他: 臨床と研究. 1990; 67: 219-233
5) 河盛隆造: 薬理と治療. 1996; 24: 837-852
6) 豊田隆謙他: 薬理と治療. 1996; 24: 639-657
7) 豊田隆謙他: 薬理と治療. 1996; 24: 1375-1392
8) 河盛隆造: 薬理と治療. 1996; 24: 853-872
9) 河盛隆造: 薬理と治療. 1996; 24: 1109-1129
10) Caspary WF, et al.: Res Exp Med (Berl). 1979; 175: 1-6
11) 末広逸夫他: Clinica Chimica Acta. 1981; 117: 145-152
13) 三村悟郎他: 医学と薬学. 1987; 18: 1891-1898
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