ステリクロンRエタノール液0.5

作成又は改訂年月

2023年 12月改訂 ( 第1版 )

日本標準商品分類番号

872619

薬効分類名

外用殺菌消毒剤

承認等

ステリクロンRエタノール液0.5

販売名コード

YJコード

2619702Q2023

販売名英語表記

STERICLON R Ethanol Solution 0.5

承認番号等

承認番号

20200AMZ00248

販売開始年月

1990年 8月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

2年

一般的名称

クロルヘキシジン製剤

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 クロルヘキシジン製剤に対し過敏症の既往歴のある者
  2. 2.2 脳、脊髄、耳(内耳、中耳、外耳)には使用しないこと[聴神経及び中枢神経に対して直接使用した場合は、難聴、神経障害を来すことがある。]
  3. 2.3 腟、膀胱、口腔等の粘膜面には使用しないこと[クロルヘキシジン製剤の左記部位への使用により、ショック、アナフィラキシーの症状の発現が報告されている。] ,
  4. 2.4 損傷皮膚及び粘膜には使用しないこと[刺激作用を有する。]
  5. 2.5 眼には使用しないこと[角膜障害等の眼障害を来すおそれがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

ステリクロンRエタノール液0.5

有効成分100mL中
日局 クロルヘキシジングルコン酸塩液 2.5mL  
(クロルヘキシジングルコン酸塩として0.5g  )
添加剤エタノール、赤色2号

3.2 製剤の性状

ステリクロンRエタノール液0.5

性状エタノール(日局エタノール83vol%)を含有する赤色の澄明な液で、特異なにおいがある。
比重:約0.86

4. 効能又は効果

手術部位(手術野)の皮膚の消毒、医療機器の消毒

6. 用法及び用量

  • 〈着色を必要とする手術部位(手術野)の皮膚の消毒〉

      本剤をそのまま消毒部位に用いる。

  • 〈医療機器の消毒〉

      本剤をそのまま用いる。

8. 重要な基本的注意

ショック、アナフィラキシー等の反応を予測するため、使用に際してはクロルヘキシジン製剤に対する過敏症の既往歴、薬物過敏体質の有無について十分な問診を行うこと。,,

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある者(クロルヘキシジン製剤に対し過敏症の既往歴のある者を除く)

  2. 9.1.2 喘息等のアレルギー疾患の既往歴、家族歴のある者

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(頻度不明)

    血圧低下、じん麻疹、呼吸困難等があらわれた場合は、直ちに使用を中止し、適切な処置を行うこと。

11.2 その他の副作用

0.1%未満

頻度不明

過敏症

 発疹、じん麻疹

皮 膚

 刺激症状

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用前の注意

  1. 14.1.1 血清・膿汁等の有機性物質は殺菌作用を減弱させるので、これらが付着している場合は十分に洗い落としてから使用すること。
  2. 14.1.2 石鹸類は本剤の殺菌作用を弱めるので、石鹸分を洗い落としてから使用すること。

14.2 薬剤使用時の注意

  1. 14.2.1 本剤は希釈せず、原液のまま使用すること。
  2. 14.2.2 産婦人科用(腟・外陰部の消毒等)、泌尿器科用(膀胱・外性器の消毒等)には使用しないこと。
  3. 14.2.3 眼に入らないように注意すること。眼に入った場合は直ちによく水洗すること。
  4. 14.2.4 溶液の状態で長時間皮膚と接触させた場合に皮膚化学熱傷を起こしたとの報告があるので、注意すること。
  5. 14.2.5 エタノール蒸気に大量に又は繰り返しさらされた場合、粘膜への刺激、頭痛等を起こすことがあるので、広範囲又は長期間使用する場合には、蒸気の吸入に注意すること。
  6. 14.2.6 同一部位に反復使用した場合には、脱脂等による皮膚荒れを起こすことがあるので注意すること。
  7. 14.2.7 合成ゴム製品、合成樹脂製品、光学器具、鏡器具、塗装カテーテル等には、変質するものがあるので、このような器具は長時間浸漬しないこと。
  8. 14.2.8 引火性があり、爆発の危険性もあるため、火気(電気メス使用等も含む)には十分注意すること。
  9. 14.2.9 電気メス等を使用する場合には本剤を乾燥させ、アルコール蒸気の拡散を確認してから使用すること。電気メスによる発火事故が報告されている。

14.3 薬剤使用後の注意

  1. 14.3.1 注射器、カテーテル等の神経や粘膜面に接触する可能性のある器具を本剤で消毒した場合は、滅菌水でよく洗い流した後使用すること。,
  2. 14.3.2 本剤の付着したカテーテルを透析に用いると、透析液の成分により難溶性の塩を生成することがあるので、本剤で消毒したカテーテルは、滅菌水でよく洗い流した後使用すること。
  3. 14.3.3 本剤の付着した白布を次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系漂白剤で漂白すると、褐色のシミができることがある。漂白には過炭酸ナトリウム等の酸素系漂白剤が適当である。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

クロルヘキシジングルコン酸塩製剤の使用によりショック症状を起こした患者のうち数例について、血清中にクロルヘキシジンに特異的なIgE抗体が検出されたとの報告がある1)  。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

低濃度では細菌の細胞膜に障害を与え、細胞質成分の不可逆的漏出や酵素阻害を起こし、抗菌作用(殺菌作用)を示す。高濃度では細胞内のタンパク質や核酸の沈着を起こすことにより、抗菌作用を示す2)  。

18.2 殺菌作用

  1. 18.2.1 広範囲の微生物に作用するが、特にグラム陽性菌には低濃度でも有効である。グラム陰性菌にも比較的低濃度で殺菌作用を示すが、グラム陽性菌に比べて抗菌力に幅がある。グラム陰性菌のうち、AlcaligenesPseudomonasAchromobacterFlavobacterium属などにはまれに抵抗菌株もある。芽胞形成菌の芽胞には無効である。結核菌に対し水溶液では静菌作用、アルコール溶液では迅速な殺菌作用がある。真菌類の多くに対し抗菌力を示すが細菌類より弱い。ウイルスに対する効力は確定していない2)  。
  1. 18.2.2 殺菌効力試験

    ステリクロンRエタノール液0.5の殺菌作用(in vitro3)

    供試菌株

    殺菌時間

    Clean条件

    Dirty条件

    Staphylococcus aureus IFO 12732

    15秒以内

    15秒以内

    Staphylococcus aureus(MRSA-01)

    15秒以内

    15秒以内

    Staphylococcus aureus(MRSA-02)

    15秒以内

    15秒以内

    Staphylococcus aureus(MRSA-03)

    15秒以内

    15秒以内

    Staphylococcus aureus(MRSA-04)

    15秒以内

    15秒以内

    Staphylococcus epidermidis IFO 12993

    15秒以内

    15秒以内

    Escherichia coli IFO 3806

    15秒以内

    15秒以内

    Proteus vulgaris IFO 3988

    15秒以内

    15秒以内

    Serratia marcescens IFO 12648

    15秒以内

    15秒以内

    Pseudomonas aeruginosa IFO 3080

    15秒以内

    15秒以内

    Burkholderia cepacia IFO 14595

    15秒以内

    15秒以内

    Candida albicans IAM 4888

    15秒以内

    15秒以内

18.3 生物学的同等性

ステリクロンRエタノール液0.5 とマスキンR・エタノール液(0.5w/v%)の殺菌効果について、in vitroの最小発育阻止濃度(MIC)法、石炭酸係数法及びKelsey-Sykes法により比較した結果、両剤の生物学的同等性が確認された4)  。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

クロルヘキシジングルコン酸塩(Chlorhexidine Gluconate)

化学名

1,1'-Hexamethylenebis[5-(4-chlorophenyl)biguanide],di-D-gluconate

分子式

C22H30Cl2N10・2C6H12O7

分子量

897.76

性状

通常、水溶液として存在し、その20w/v%液は、無色~微黄色の澄明な液で、においはなく、味は苦い。
水又は酢酸(100)と混和する。20w/v%液1 mLはエタノール(99.5)5mL以下又はアセトン3mL以下と混和するが、溶媒の量を増加するとき白濁する。
光によって徐々に着色する。比重 :1.06~1.07

化学構造式

20. 取扱い上の注意

火気を避けて保存すること。

22. 包装

500mL(ポリエチレン瓶)、5L(ポリエチレン容器)、10L(ポリエチレン容器)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

健栄製薬株式会社 学術情報部

〒541-0044 大阪市中央区伏見町2丁目5番8号

電話番号 (06)6231-5822
FAX番号 (06)6204-0750

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

健栄製薬株式会社

大阪市中央区伏見町2丁目5番8号