リトドリン塩酸塩点滴静注液50mg「日医工」


作成又は改訂年月

**2022年1月改訂(第6版)

*2021年3月改訂

日本標準商品分類番号

87259

薬効分類名

切迫流・早産治療剤

承認等

販売名
リトドリン塩酸塩点滴静注液50mg「日医工」

販売名コード

2590402A1261

承認・許可番号

承認番号
22400AMX00113000
欧文商標名
Ritodrine Hydrochloride

薬価基準収載年月

2012年12月

販売開始年月

2012年12月

貯法・使用期限等

 貯法:

5℃以下,禁凍結保存

 使用期限:

外箱及びアンプルに表示の使用期限内に使用すること。

基準名

日本薬局方

リトドリン塩酸塩注射液

規制区分

 劇薬

 処方箋医薬品

(注意−医師等の処方箋により使用すること)

組成

有効成分

1管中
リトドリン塩酸塩
50mg/5mL

添加物

1管中
氷酢酸 4.5mg,酢酸ナトリウム水和物 40.8mg,等張化剤13.2mg

製剤の性状

剤形・性状

水性の注射剤
無色澄明の液

pH

4.7〜5.5

浸透圧比

0.9〜1.1
(生理食塩液に対する比)

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
強度の子宮出血,子癇,前期破水例のうち子宮内感染を合併する症例,常位胎盤早期剥離,子宮内胎児死亡,その他妊娠の継続が危険と判断される患者[妊娠継続が危険と判断される。]

2.
重篤な甲状腺機能亢進症の患者[症状が増悪するおそれがある。]

3.
重篤な高血圧症の患者[過度の昇圧が起こるおそれがある。]

4.
重篤な心疾患の患者[心拍数増加等により症状が増悪するおそれがある。]

5.
重篤な糖尿病の患者[過度の血糖上昇が起こるおそれがある。また,糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることもある。]

6.
重篤な肺高血圧症の患者[肺水腫が起こるおそれがある。]

7.
妊娠16週未満の妊婦(「重要な基本的注意」の項参照)

8.
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

緊急に治療を必要とする切迫流・早産

用法及び用量

通常,1アンプル(5mL)を5%ブドウ糖注射液または10%マルトース注射液500mLに希釈し,リトドリン塩酸塩として毎分50μgから点滴静注を開始し,子宮収縮抑制状況および母体心拍数などを観察しながら適宜増減する。
子宮収縮の抑制後は症状を観察しながら漸次減量し,毎分50μg以下の速度を維持して収縮の再発が見られないことが確認された場合には投与を中止すること。
通常,有効用量は毎分50〜150μgである。
なお,注入薬量は毎分200μgを越えないようにすること。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
甲状腺機能亢進症の患者(「禁忌」の項参照)

2.
高血圧症の患者(「禁忌」の項参照)

3.
心疾患の患者(「禁忌」の項参照)

4.
糖尿病の患者,糖尿病の家族歴,高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者(「禁忌」,「重要な基本的注意」の項参照)

5.
肺高血圧症の患者(「禁忌」の項参照)

6.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

7.
カリウム減少性利尿剤の投与を受けている患者[過度の血清カリウム低下が起こるおそれがある。]

8.
筋緊張性(強直性)ジストロフィー等の筋疾患又はその既往歴のある患者[横紋筋融解症があらわれることがある。]

重要な基本的注意

1.
本剤投与によって,肺水腫があらわれることがあり,急性心不全の合併に至った例もあるので,呼吸困難,胸部圧迫感,頻脈等に十分注意し,肺水腫があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。また,肺水腫は心疾患,妊娠高血圧症候群の合併,多胎妊娠,副腎皮質ホルモン剤併用時等に発生しやすいとの報告があるので,これらの患者には,水分の過負荷を避け,十分な観察を行うこと。水分の過負荷を避けるには,薬剤濃度を上げて注入液量を減らすことが効果的である。シリンジポンプを使用することにより,薬剤濃度を3mg/mL(全50mL中リトドリン塩酸塩150mg)まで上げることができる。この場合,注入速度1mL/hrで毎分50μgの初期注入薬量が得られ,水分の負荷は通常用法(液量500mL中リトドリン塩酸塩50mg)の1/30となる。

2.
本剤継続投与によって,白血球減少又は無顆粒球症があらわれることがあるので,定期的に血液検査を行うとともに観察を十分に行い,発熱,咽頭痛等の異常があらわれた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
なお,白血球減少及び無顆粒球症はほとんどが2−3週間以上の継続投与例において発現しているので,特に注意すること。

3.
本剤の投与対象は,入院治療など緊急を要する切迫流・早産患者である。子宮収縮,頸管の開大・展退,出血等の程度を総合的に判断して使用を決定すること。緊急状態を離脱した後は安全性を勘案しつつ使用し,不必要な投与は避けること。

4.
本剤は,妊娠35週以下又は推定胎児体重2500g未満の切迫流・早産に使用することが望ましい。

5.
本剤の臨床適用は切迫流・早産であるが,妊娠16週未満の症例に関する安全性及び有効性は確立していないので,投与しないこと(使用経験が少ない)。

6.
頸管の開大が5cm以上の症例に関する安全性及び有効性は確立していない。

7.
子宮収縮の状態及び母体心拍数・血圧,胎児心拍数を含む心血管系への作用の監視を行いながら投与し,投与中に過度の心拍数増加(頻脈),血圧低下があらわれた場合には,注入速度を遅らせ,減量するなど適切な処置を行うこと。

8.
注入薬量毎分200μgを超えて投与する場合,副作用発現の可能性が増大するので注意すること。

9.
本剤投与中,血糖値の急激な上昇や糖尿病の悪化から,糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることがある。糖尿病性ケトアシドーシスに至ると母体と胎児の生命を脅かすことがある。投与前から口渇,多飲,多尿,頻尿等の糖尿病症状の有無や血糖値,尿糖,尿ケトン体等の観察を十分に行うこと。投与開始後に異常が認められた場合には,直ちに本剤の投与を中止し,適切な処置を行うこと。

10.
胎児に心不全,頻脈,不整脈があらわれることがある。また,新生児に腸閉塞,心不全,可逆的な心室中隔壁の肥大,低血糖症,頻脈,腎機能障害があらわれることがある。

11.
本剤投与直後に帝王切開術を行うと,循環動態の大きな変動により心不全があらわれることがある。休薬期間をおくことが望ましいが,やむを得ず投与直後に帝王切開術を行う場合には,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと。

12.
本剤を硫酸マグネシウム水和物の注射剤と併用する場合には,呼吸抑制及び循環器関連の副作用の増強(胸痛,心筋虚血)が報告されており,注意深く監視を行うこと(「相互作用」の項参照)。

13.
*本剤を投与した母体から出生した早産児において,低血糖のリスクが高いことが報告されている1)ので,症状の有無にかかわらず新生児の血糖値のモニタリングを適切に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと(「重大な副作用」の項参照)。

14.
*本剤と硫酸マグネシウム水和物(注射剤)を併用した母体から出生した早産児において,高カリウム血症のリスクが高いことが報告されている1)ので,これらを併用した場合には,症状の有無にかかわらず新生児の心電図又は血清カリウム値のモニタリングを適切に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと(「相互作用」,「重大な副作用」の項参照)。

相互作用

併用注意

(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 
副腎皮質ホルモン剤
 ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム等 
併用により肺水腫を発生することがあるとの報告がある。 体内の水分貯留傾向が促進される。 
β-刺激剤 作用が増強されることがある。 相加的に作用が増強される。 
β-遮断剤 作用が減弱されることがある。 β受容体において競合的に拮抗する。 
硫酸マグネシウム水和物(注射剤) CK(CPK)上昇があらわれることがある。 機序不明 
硫酸マグネシウム水和物(注射剤) 心筋虚血の発生が増加したとの報告がある。 機序不明 
硫酸マグネシウム水和物(注射剤) 呼吸抑制作用の報告がある。 機序不明 
*硫酸マグネシウム水和物(注射剤) 出生した早産児の高カリウム血症のリスクが高いことが報告されている。1) 機序不明 

副作用

副作用等発現状況の概要

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

1.  肺水腫,心不全(頻度不明)
肺水腫があらわれることがあり,急性心不全の合併に至った例もあるので,呼吸困難,胸部圧迫感,咳嗽,頻脈,低酸素血症等に十分注意し,肺水腫があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。また,肺水腫に合併しない心不全があらわれることもあり,帝王切開術後に心不全に至った症例が報告されているので,帝王切開術後も十分観察を行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと。

2.  汎血球減少,無顆粒球症,白血球減少,血小板減少(頻度不明)
汎血球減少,無顆粒球症,白血球減少,血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。

3.  ショック(頻度不明)
ショック(蒼白,チアノーゼ,血圧低下等)があらわれることがあるので観察を十分に行い,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。

4.  不整脈(頻度不明)
心室頻拍等の重篤な不整脈があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。なお,多胎妊娠等の患者では,麻酔薬を投与した直後に重篤な不整脈から心停止に至った症例が報告されているので,本剤使用時あるいは,中止直後に麻酔を行う際には特に注意すること。

5.  肝機能障害,黄疸(頻度不明)
AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等の肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

6.  中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,紅斑,そう痒感,眼充血,口内炎等の症状が認められた場合には,適切な処置を行うこと。

7.  横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような場合には直ちに投薬を中止し,適切な処置を行うこと。

8.  血清カリウム値の低下(頻度不明)
血清カリウム値の低下があらわれることがある。

9.  胸水(頻度不明)
胸水があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10.  高血糖,糖尿病性ケトアシドーシス(頻度不明)
血糖値の急激な上昇や糖尿病の悪化から,糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることがある。糖尿病性ケトアシドーシスに至ると母体と胎児の生命を脅かすことがある。観察を十分に行い,異常が認められた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。

11.  腸閉塞(頻度不明)
新生児及び母体に腸閉塞があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと。

12.  胎児及び新生児における心不全(頻度不明)
胎児及び新生児に心不全があらわれることがあり,特に2週間以上の投与例で心不全を認めた報告がある。胎児期から心拡大等の心不全徴候に留意し,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと。

13.  新生児心室中隔壁の肥大(頻度不明)
可逆的な新生児心室中隔壁の肥大があらわれることがある。

14.  新生児低血糖(頻度不明)
新生児に低血糖があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと。

15. *新生児高カリウム血症(頻度不明)
新生児に高カリウム血症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと。

その他の副作用

   頻度不明 
循環器注1) 動悸,頻脈,上室性頻拍,血圧の変動,顔面潮紅,息苦しさ,胸痛,心電図異常(ST・Tの異常),顔面疼痛 
肝臓注2) 肝機能障害(AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇等) 
血液 血小板減少,貧血 
精神神経系 振戦,しびれ感,頭痛,四肢末梢熱感,脱力感,発汗,眩暈 
**消化器 下痢,嘔気,嘔吐,便秘 
過敏症注3) 多形滲出性紅斑,腫脹,発疹,そう痒 
投与部位 血管痛,静脈炎 
**その他 唾液腺腫脹,高アミラーゼ血症(唾液腺型アミラーゼ増加),一過性の血糖上昇,CK(CPK)上昇,尿糖の変動,倦怠感,こわばり,咳嗽,発熱,冷汗 
*胎児・新生児 胎児不整脈,新生児頻脈,新生児腎機能障害,新生児呼吸障害(多呼吸等),胎児頻脈 

その他の副作用の注意

注1)このような症状があらわれた場合には注入速度を遅らせ,減量するなど適切な処置を行うこと。

注2)異常が認められた場合には減量,休薬等の適切な処置を行うこと。

注3)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

妊婦,産婦,授乳婦等への投与

1.
妊娠16週未満の症例に関する安全性及び有効性は確立していないので,投与しないこと(使用経験が少ない)。

2.
出産直前に本剤を投与した場合には,出産直後の授乳を避けることが望ましい。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]

適用上の注意

1.  調製時

(1)
本剤はワンポイントカットアンプルを使用しているので,アンプル枝部のマークを上にして反対方向に折ること。なお,アンプルカット時の異物混入を避けるため,カット部をエタノール綿等で清拭し,カットすること。

(2)
希釈溶液として5%ブドウ糖注射液,10%マルトース注射液がある。電解質溶液の使用は肺水腫防止のため避けること。

(3)
セフメノキシム塩酸塩,フロセミド,セフォチアム塩酸塩,セファロチンナトリウムとは配合変化を起こすので,混注しないこと。

2.  投与時
薬剤投与中は,患者の心臓への負担軽減を図るため半側臥位又は側臥位とすることが望ましい。

その他の注意

早産児にみられる脳室内・周辺出血の発生頻度が,β-刺激剤を切迫早産に使用した症例において高かったという外国の報告がある。

薬効薬理

リトドリン塩酸塩は選択的アドレナリンβ2受容体作動薬である。β2受容体刺激により多くの平滑筋を弛緩させるが,β1受容体刺激による心臓促進作用は弱い。臨床的には,子宮平滑筋弛緩作用を利用して切迫早産治療薬として用いられる。β受容体に対する選択性は完全ではないので,心臓興奮に由来する副作用(不整脈など)が全く起こらないわけではない。2)

有効成分に関する理化学的知見

 一般名:
リトドリン塩酸塩(Ritodrine Hydrochloride)

 化学名:
(1RS,2SR)-1-(4-Hydroxyphenyl)-2-{[2-(4-hydroxyphenyl)ethyl]amino}propan-1-ol monohydrochloride

 構造式:

 分子式:
C17H21NO3・HCl

 分子量:
323.81

 性状:
白色の結晶性の粉末である。
水,メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすい。
0.01mol/L塩酸試液に溶ける。
水溶液(1→10)は旋光性を示さない。
光により徐々に淡黄色となる。

 融点:
約196℃(分解)

取扱い上の注意

 安定性試験
本品につき加速試験(20℃,6ヵ月)を行った結果,リトドリン塩酸塩点滴静注液50mg「日医工」は規定の条件下において3年間安定であることが推測された。3)

包装

リトドリン塩酸塩点滴静注液50mg「日医工」
  5mL×50管(ガラスアンプル)

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Yada Y, et al.:Scientific Reports.,10(1),7804,2020.

2)
第十七改正日本薬局方解説書 C-5787,廣川書店,東京(2016)

3)
日医工ファーマ株式会社 社内資料:安定性試験

文献請求先

主要文献欄に記載の文献・社内資料は下記にご請求下さい。
日医工株式会社 お客様サポートセンター

〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21

フリーダイアル(0120)517-215

Fax(076)442-8948

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

販売元
日医工株式会社

富山市総曲輪1丁目6番21

製造販売元
日医工ファーマ株式会社

富山市総曲輪1丁目6番21