メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」

作成又は改訂年月

2021年 6月改訂 ( 第1版 )

日本標準商品分類番号

872499

薬効分類名

遺伝子組換え型ヒトレプチン製剤

承認等

メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」

販売名コード

YJコード

2499414D1023

販売名英語表記

METRELEPTIN for subcutaneous Injection 11.25mg「SHIONOGI」

販売名ひらがな

めとれれぷちんひかちゅうよう11.25mg「しおのぎ」

承認番号等

承認番号

22500AMX00885000

販売開始年月

2013年 7月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

3年

一般的名称

注射用メトレレプチン(遺伝子組換え)

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」

1瓶中

有効成分メトレレプチン(遺伝子組換え)  11.25mg
添加剤グリシン  45.0mg
精製白糖  22.5mg
ポリソルベート20  0.225mg
L-グルタミン酸  3.310mg
水酸化ナトリウム  

3.2 製剤の性状

メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」

pH4.05~4.45
本剤1瓶に注射用水2.2mLを加え溶解した場合
浸透圧比約1
本剤1瓶に注射用水2.2mLを加え溶解した場合
〔生理食塩液に対する比〕
性状・剤形白色の軽質の塊である。(注射剤)

4. 効能・効果

脂肪萎縮症

5. 効能・効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤は、インスリン抵抗性を有する脂肪萎縮症と診断された患者にのみ使用すること。
  2. 5.2 本剤の適用はあらかじめ食事療法、運動療法を十分に行った上で考慮すること。
  3. 5.3 糖尿病、高インスリン血症又は高トリグリセライド血症を有しない脂肪萎縮症患者に対する有効性は確立していない。
  4. 5.4 HIVに関連する脂肪萎縮症における有効性は確立していない。

6. 用法・用量

通常、メトレレプチンとして、男性には0.04mg/kg、18歳未満の女性には0.06mg/kg、18歳以上の女性には0.08mg/kgを1日1回皮下注射する。
投与はそれぞれ0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kgから投与開始し、1ヵ月程度をかけ、上記投与量まで増量する。
なお、症状に応じて適宜減量する。

7. 用法・用量に関連する注意

性別及び年齢別の投与量は以下のとおりである。

開始用量

維持用量

男性

0.02mg/kg

0.04mg/kg

女性(18歳未満)

0.03mg/kg

0.06mg/kg

女性(18歳以上)

0.04mg/kg

0.08mg/kg

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 海外臨床試験において、膵炎及び高トリグリセライド血症の既往歴のある患者で、本剤の突然の中止後に急性膵炎が起きたとの報告がある。投与を中止する場合には、持続する重度の腹痛、背部への放散痛等の症状を十分に観察し、徐々に減量するなど慎重に行うこと。また、血中トリグリセライドの推移を観察するとともに、必要に応じて脂質異常症治療薬の投与開始あるいは用量調節を行うこと。
  2. 8.2 本剤の使用にあたっては、患者及びその家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。臨床試験において、インスリン製剤を併用した場合に低血糖が報告されている。,
  3. 8.3 低血糖を起こすおそれがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。
  4. 8.4 脂肪萎縮症の治療に精通した医師のもとで治療を行うこと。
  5. 8.5 在宅自己注射を行う場合は、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。
    1. 8.5.1 自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに自己投与を中止させるなど適切な処置を行うこと。
    2. 8.5.2 使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促すこと。
    3. 8.5.3 すべての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
    4. 8.5.4 在宅自己注射を行う前に、本剤の「在宅自己注射説明書」を必ず読むよう指導すること。
  6. 8.6 海外臨床試験において、重度の血液異常(好中球減少症等)のある後天性脂肪萎縮症患者にT細胞性リンパ腫が報告されている。本剤との因果関係は不明であるが、T細胞性リンパ腫等の発現には注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 重度の血液異常(好中球減少症等)のある患者

  2. 9.1.2 膵炎及び高トリグリセライド血症の既往のある患者

  3. 9.1.3 低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
    • 下垂体機能不全又は副腎機能不全
    • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
    • 激しい筋肉運動
    • 過度のアルコール摂取者

9.2 腎機能障害患者

主に腎で排泄されると考えられるため、高い血中濃度が持続するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。マウスで出生児数の減少、出生児の生存率低下、体重低下、発育遅延が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の乳汁中への移行は不明である。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下している。また、低血糖をおこすおそれがある。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
    • 糖尿病用薬
      • インスリン製剤
      • スルホニルウレア系薬剤
      • 速効型インスリン分泌促進剤
      • ビグアナイド系薬剤
      • α-グルコシダーゼ阻害剤
      • チアゾリジン系薬剤
      • DPP-4阻害剤
      • GLP-1アナログ
      • SGLT2阻害剤 等

    インスリン製剤との併用により低血糖が起こることがあり、その他の糖尿病用薬との併用でも低血糖のおそれがある。併用する場合には、血糖値の推移を観察するとともに、必要に応じてこれらの薬剤を減量すること。

    共に血糖降下作用を有する。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 過敏症(頻度不明)

      蕁麻疹、全身性発疹を含む過敏症があらわれることがある。

    11.2 その他の副作用

    15%以上

    15%未満

    頻度不明

    精神神経系

    頭痛

    注射部位

    腫脹・疼痛・そう痒・発赤等の注射部位反応(53.3%)

    その他

    低血糖、脱毛

    悪心、疲労感、腟出血、体重減少

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 本剤11.25mg(1瓶)に注射用水2.2mLを加えて溶解し、メトレレプチン5mg/mLの濃度とすること。
    2. 14.1.2 溶解後は速やかに使用すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    皮下注射は、腹部、大腿、上腕、臀部等に行うこと。注射部位は毎回変更すること。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    脂肪萎縮症患者を対象とした海外臨床試験において、本剤に対する中和抗体の産生が13.5%(10/74例)の症例で確認されている。また、中和抗体が出現した患者において、治療効果が減弱したとの報告がある。

    15.2 非臨床試験に基づく情報

    イヌの反復皮下投与毒性試験で、臨床試験における血漿中濃度(AUC0-24h)の約10倍で強膜及び膀胱粘膜の出血、1倍以下で歯肉の局所出血がみられ、薬理作用との関連性が示唆されている。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    脂肪萎縮症患者4例にメトレレプチン(0.01~0.08mg/kg)を1日1回反復皮下投与したときの薬物動態パラメータを表16-1に示す。なお、血中レプチン濃度には、内因性レプチンとメトレレプチンが含まれる1)

    表16-1 薬物動態パラメータ

    症例No.

    性別
    年齢

    投与量
    (mg/kg)

    Cmax
    (ng/mL)

    Tmax
    (hr)

    AUC0-τ
    (ng・hr/mL)

    T1/2,z
    (hr)

    CL/F
    (L/hr/kg)

    1


    18歳

    0.02※1
    0.04※2
    0.08※3

    6.5
    12.5
    134

    3.8
    2.8
    6.0

    84.98
    181.8
    1541

    14.7
    7.47
    4.45

    0.235
    0.220
    0.0519

    2


    23歳

    0.02※1
    0.04※2
    0.08※3

    19.8
    133
    241

    1.8
    1.8
    3.9

    193.9
    1029
    3385

    8.07
    5.28
    11.3

    0.103
    0.0389
    0.0236

    3


    11歳

    0.015※1
    0.03※2
    0.06※3

    6.3
    18.4
    70.4

    1.9
    2.0
    2.8

    53.56
    125.2
    546.7

    16.1
    11.5
    8.43

    0.280
    0.240
    0.110

    4


    6歳

    0.01※1
    0.02※2
    0.04※3

    3.2
    14.2
    36.4

    1.1
    2.9
    5.8

    37.23
    204.9
    582.6

    17.9
    17.2
    23.3

    0.269
    0.0976
    0.0687

    ※1:投与開始から4週後までの投与量(投与開始後4週時点での結果)

    ※2:投与4週後から8週後までの投与量(投与量変更後4週時点での結果)

    ※3:投与8週後から20週後までの投与量(投与量変更後12週時点での結果)

    16.5 排泄

    マウスに単回静脈内投与したデータから、本剤は主に腎臓から排泄されることが示唆されている2)

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内第Ⅱ相臨床試験(医師主導治験)

      国内の脂肪萎縮症患者4例を対象に、本剤(0.01~0.08mg/kg)を1日1回5ヵ月間連日皮下投与したときのHbA1c(JDS値)、トリグリセライドの経時変化を表17-1に示す。HbA1cは投与前に比べすべての症例で低下した。トリグリセライドも投与前に比べ、正常値まで低下したが、症例No.4では副腎皮質ステロイド投与により一時的に上昇した。なお、症例No.3は投与前後ともに正常値であった。また、糖尿病治療薬及び(又は)高脂血症治療薬が本剤投与開始前から投与された3例の患者では、投与開始2ヵ月以内にそれら治療薬の投与が中止された1)

      表17-1 国内の医師主導治験でのHbA1c及びトリグリセライドの経時変化

      症例No.

      年齢

      HbA1c(%)(JDS値)

      トリグリセライド(mg/dL)

      投与前

      3ヵ月

      4ヵ月

      5ヵ月

      投与前

      3ヵ月

      4ヵ月

      5ヵ月

      1

      18歳

      8.6

      5.5

      4.8

      4.8

      210

      55

      55

      62

      2

      23歳

      7.7

      5.6

      5.9

      6.4

      246

      51

      144

      204

      3

      11歳

      5.8

      5.1

      5.1

      5.4

      59

      46

      60

      77

      4

      6歳

      5.8

      5.0

      5.1

      5.2

      180

      83

      131

      382

      ※:登録時にはHbA1c = 6.1

      副作用は4例中4例で発現した。主な副作用は、皮膚乾燥、脱毛症及び頭痛が各2例であった。

    2. 17.1.2 国内臨床研究

      国内の脂肪萎縮症患者11例を対象に、本剤(0.01~0.08mg/kg)を1日2回分割1) 12ヵ月間連日皮下投与したときのHbA1c(JDS値、平均値)、トリグリセライド(平均値)の経時変化を表17-2に示す。本剤投与により、HbA1c及びトリグリセライドは、投与前に比べ、投与4、8及び12ヵ月後のすべての時点で有意に低下した3)

      表17-2 国内臨床研究でのHbA1c及びトリグリセライドの経時変化

      項目

      HbA1c(%)(JDS値)

      トリグリセライド(mg/dL)

      投与前

      4ヵ月

      8ヵ月

      12ヵ月

      投与前

      4ヵ月

      8ヵ月

      12ヵ月

      例数

      11

      10

      9

      9

      11

      10

      9

      9

      平均値

      8.74

      6.01

      5.89

      5.83

      395.4

      102.2

      100.4

      88.7

      標準誤差

      0.62

      0.41

      0.24

      0.31

      185.9

      16.4

      21.9

      13.4

      :p<0.05(対応のあるt検定:投与前値との比較)

      副作用発現頻度は54.5%(6/11例)であった。副作用は、注射部位反応54.5%(6/11例)であった。

    3. 17.1.3 海外臨床試験

      米国の脂肪萎縮症患者54例を対象に、本剤(0.01~0.08mg/kg)を1日2回分割1) 、又は1日1回12ヵ月間連日皮下投与したときのHbA1c(NGSP値、平均値)、トリグリセライド(平均値)の経時変化を表17-3に示す。本剤投与により、HbA1c(NGSP値、平均値)及びトリグリセライド(平均値)は投与前値より低下した4)

      表17-3 海外臨床試験でのHbA1c及びトリグリセライドの経時変化

      項目

      HbA1c(%)(NGSP値)

      トリグリセライド(mg/dL)

      投与前

      4ヵ月

      8ヵ月

      12ヵ月

      投与前

      4ヵ月

      8ヵ月

      12ヵ月

      例数

      54

      40

      41

      38

      54

      40

      42

      39

      平均値

      8.49

      7.25

      6.91

      7.03

      1185

      489

      391

      349

      標準誤差

      0.29

      0.28

      0.25

      0.27

      317

      150

      92

      62

      副作用発現頻度は30.9%(17/55例)であった。主な副作用は、低血糖症及び疲労が各10.9%(6/55例)、脱毛症7.3%(4/55例)、体重減少5.5%(3/55例)であった。

       

      1) 本剤の承認された用法は1日1回である。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    糖尿病や高トリグリセライド血症、脂肪肝を特徴とする脂肪萎縮症では、脂肪組織の消失及び血中レプチンの欠乏が認められる5) ,6) 。レプチンは、脂肪組織より分泌されるホルモンであり、マウス及びラットを用いた試験で、摂食抑制、エネルギー消費亢進、インスリン感受性亢進、脂質代謝亢進をもたらし、糖代謝又は脂質代謝において重要な役割を果たしていることが示唆されている7) ,8) 。メトレレプチンはヒトレプチンのN末端にメチオニンが1残基付加された遺伝子組換え型ヒトレプチン製剤である。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    メトレレプチン(遺伝子組換え)
    (Metreleptin(Genetical Recombination))(JAN)

    分子式

    C714H1167N191O221S6

    分子量

    16155.44

    性状

    無色澄明の液である。

    化学構造式

    アミノ酸147個からなるポリペプチドである。

    20. 取扱い上の注意

    外箱開封後は遮光して保存すること。

    21. 承認条件

    国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全投与症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

    22. 包装

    1瓶

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    塩野義製薬株式会社 医薬情報センター

    〒541-0045大阪市中央区道修町3丁目1番8号

    電話0120-956-734

    FAX 06-6202-1541

    https://www.shionogi.co.jp/med/

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    塩野義製薬株式会社

    大阪市中央区道修町3丁目1番8号