エンタイビオ点滴静注用300mg


作成又は改訂年月

**2019年5月改訂(第3版)

*2018年11月改訂

日本標準商品分類番号

872399

日本標準商品分類番号等

効能又は効果追加承認年月 (最新)
**2019年5月

薬効分類名

ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤

承認等

販売名
エンタイビオ点滴静注用300mg

販売名コード

2399405F1020

承認・許可番号

承認番号
23000AMX00483
商標名
Entyvio for I.V. Infusion 300mg.

薬価基準収載年月

*2018年8月

販売開始年月

*2018年11月

貯法・使用期限等

貯法

遮光保存。2〜8℃で保存。

使用期限

外箱に表示の使用期限内に使用すること。
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。)

規制区分

生物由来製品

劇薬

処方箋医薬品注1)

注1)処方箋医薬品:注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

有効成分(1バイアル中)

ベドリズマブ(遺伝子組換え)注2) 331.2mg注3)
注2)本剤は遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。製造工程でトリプシン(ブタ膵臓由来)、カゼイン水解物(ウシ乳由来)を使用している。
注3)注射液吸引時の損失を考慮し、1バイアルから300mg注射するに足る量を確保するために過量充填されており、注射用水4.8mLで溶解した薬液全量のうち、5mLに含まれる量は300mgとなる。

添加物(1バイアル中)

L-ヒスチジン 25.33mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物 23.63mg
L-アルギニン塩酸塩 145.34mg
精製白糖 552mg
ポリソルベート80 3.31mg

性状

性状

白色からほとんど白色の塊又は粉末
(凍結乾燥製剤)

pH

6.3注4)
注4)注射用水4.8mLで溶解後、生理食塩液100mLで希釈したとき。

浸透圧比

約1注4)
(生理食塩液に対する比)
注4)注射用水4.8mLで溶解後、生理食塩液100mLで希釈したとき。

一般的名称

ベドリズマブ(遺伝子組換え)点滴静注用

警告

**<効能共通>
1.
肺炎、敗血症、結核等の重篤な感染症が報告されていること及び本剤は疾病を完治させる薬剤でないことを患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤の投与において、重篤な副作用があらわれることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師の管理指導のもとで使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。

**<潰瘍性大腸炎>
2.
本剤の治療を行う前に、ステロイド又は免疫調節剤等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識と潰瘍性大腸炎治療の経験をもつ医師が使用すること。

**<クローン病>
3.
本剤の治療を行う前に、栄養療法、ステロイド又は免疫調節剤等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識とクローン病治療の経験をもつ医師が使用すること。

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

○中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

**◯中等症から重症の活動期クローン病の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

効能又は効果に関連する使用上の注意

**<潰瘍性大腸炎>

過去の治療において、他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残り、本剤の投与が適切と判断した場合に投与すること。(【臨床成績】の項参照)

**<クローン病>

過去の治療において、栄養療法、他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残り、本剤の投与が適切と判断した場合に投与すること。(【臨床成績】の項参照)

用法及び用量

通常、成人にはベドリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以降8週間隔で点滴静注する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

1.
本剤を3回投与しても治療反応が得られない場合、治療法を再考すること。(【臨床成績】の項参照)

2.
本剤は、凍結乾燥製剤(注射剤)であり、投与前に日局注射用水を用いて溶解した後、日局生理食塩液で希釈する。調製後の希釈液を30分以上かけて点滴静脈内投与すること。(「適用上の注意」の項参照)

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
感染症の患者又は感染症が疑われる患者[本剤は免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫応答に影響を与える可能性があるので、十分に観察すること。](【警告】、「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)

2.
結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)[結核を活動化させるおそれがある。](【警告】、「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)

重要な基本的注意

1.
本剤はα4β7インテグリンに結合しリンパ球の遊走を阻害するため、感染症に対する免疫能に影響を及ぼす可能性がある。結核、敗血症、サイトメガロウイルス感染、リステリア症及び日和見感染等の重度の感染症患者については、感染症がコントロールされるまで本剤の投与を開始しないこと。本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や増悪に注意すること。本剤投与中に重篤な感染症を発現した場合には、速やかに適切な処置を行い、感染症がコントロールできるようになるまでは投与を中止すること。また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに医師に相談するよう指導すること。(【警告】、「慎重投与」及び「重大な副作用」の項参照)

2.
本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与すること。

(1)
胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者

(2)
結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者

(3)
インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者

(4)
結核患者との濃厚接触歴を有する患者

.
また、本剤投与中も、胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに医師に連絡するよう説明すること。なお、結核の活動性が確認された場合には本剤を投与しないこと。

3.
本剤投与中及び本剤投与終了後2時間以内に発現するアナフィラキシーやInfusion reaction(呼吸困難、気管支痙攣、蕁麻疹、潮紅、発疹、血圧変動、心拍数増加等)に十分注意すること。本剤の投与はアナフィラキシーや重度のInfusion reactionの発現に備えて緊急時に十分な対応ができる準備を行ったうえで開始し、投与終了後もバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)、臨床検査値及び自他覚症状等、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、直ちに投与を中断し、適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者を十分に観察すること。また、投与を再開する場合には、必要に応じて投与速度を減じて慎重に投与すること。(【禁忌】及び「重大な副作用」の項参照)

4.
他のインテグリン拮抗薬であるナタリズマブにおいて進行性多巣性白質脳症(PML)の発現が報告されているため、ナタリズマブを過去に投与された患者に本剤を投与する際はPMLの発現に十分注意すること。また、ナタリズマブを投与されている患者では、本剤との併用を避けること。

5.
本剤と他の免疫抑制作用を有する生物製剤の併用について臨床試験は実施していないため、本剤との併用を避けること。

相互作用

併用注意

(併用に注意すること)

薬剤名等
生ワクチン

臨床症状・措置方法
接種した生ワクチンの病原に基づく症状が発現した場合には、適切な処置を行うこと。

機序・危険因子
生ワクチンによる感染症発現の可能性が否定できない。

副作用

副作用等発現状況の概要

**承認時までの国内臨床試験において本剤300mgを投与された437例中109例(24.9%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められており、主な副作用はウイルス性上気道感染9例(2.1%)、発熱8例(1.8%)及び潰瘍性大腸炎、悪心、倦怠感、関節痛、発疹各7例(1.6%)であった。
また、海外臨床試験において本剤300mgを投与された1,922例中642例(33.4%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められており、主な副作用は頭痛89例(4.6%)、悪心66例(3.4%)及び上気道感染44例(2.3%)であった。

重大な副作用

1. **Infusion reaction(3.6%注5)
アナフィラキシーやInfusion reaction(呼吸困難、気管支痙攣、蕁麻疹、潮紅、発疹、血圧変動、心拍数増加等)があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察するとともに、アナフィラキシーや重度のInfusion reactionが認められた場合には、投与を中止し、適切な処置(酸素吸入、昇圧剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤の投与等)を行うこと。(【禁忌】及び「重要な基本的注意」の項参照)

2. **重篤な感染症(1.4%注5)
肺炎、敗血症、結核、リステリア症、サイトメガロウイルス感染、日和見感染等の重篤な感染症があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。(【警告】、「慎重投与」及び「重要な基本的注意」の項参照)

3. **進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
PMLの発現が報告されているので、観察を十分に行い、片麻痺、四肢麻痺、認知機能障害、失語症、視覚障害等のPMLが疑われる症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)

重大な副作用の注意

注5)本剤の国内外臨床試験における頻度

その他の副作用

以下のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

精神神経系
0.1〜5%注5) 
頭痛

消化器
0.1〜5%注5) 
悪心

呼吸器
0.1〜5%注5) 
口腔咽頭痛、咳嗽

皮膚
0.1〜5%注5) 
発疹、そう痒症

筋・骨格系
0.1〜5%注5) 
関節痛、背部痛、四肢痛

**その他
0.1〜5%注5) 
発熱、気管支炎、上気道感染、インフルエンザ、副鼻腔炎、疲労

**その他
0.1%未満注5) 
鼻咽頭炎

その他の副作用の注意

注5)本剤の国内外臨床試験における頻度

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能(免疫機能等)が低下しているので、感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の妊婦に対する有益性が胎児への危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物試験(サル)で妊娠期間中に本剤を投与した母動物の分娩後に乳仔の血清中から本剤が検出された。妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

2.
授乳中の女性には、治療上の母親への有益性と哺乳中の児への潜在的な危険性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。[ヒトで乳汁中への本剤の移行が報告されている。1, 2)本剤の哺乳中の児への影響は不明である。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

適用上の注意

本剤の調製は、無菌的操作で行うこと。

1. 溶解

(1)
バイアルからフリップオフキャップを取り外し、ゴム栓部をアルコール綿で拭き取る。ゴム栓の中心を通してバイアル内に18〜25ゲージ針付きのシリンジを挿入し、気泡が生じないように日局注射用水4.8mLをバイアルの壁面に伝って流れるように注入する。

(2)
バイアルを15秒以上ゆっくりと回転させ、凍結乾燥製剤を溶解する。その際にバイアルを振盪させたり上下に反転させないこと。気泡を消散させるために、バイアルを約20分間静置する。20分後に溶解が不十分であった場合には、更に回転させた後に10分間静置する。

(3)
溶解した薬液は澄明又は乳白光があり、無色から帯褐黄色であることを確認する。変色や粒子が認められた場合には使用しないこと。

(4)
溶解後は速やかに希釈すること。やむを得ず溶解後速やかに希釈しない場合には、2〜8℃で保存し、溶解後8時間以内に希釈すること。

2. 希釈

(1)
溶解した薬液を抜き取る前にバイアルを静かに3回上下反転させ、確実に混合する。溶解した薬液5mLをバイアルから18〜25ゲージ針付きのシリンジで抜き取り、日局生理食塩液100mLで希釈する。バッグを数回上下に反転させ、確実に混合すること。他剤と混和してはならない。

(2)
本剤は保存剤を含有していないため、希釈後は速やかに使用すること。やむを得ず希釈後速やかに投与開始しない場合には、常温保存では凍結乾燥製剤の溶解後12時間以内、又は2〜8℃(凍結させない)での保存では凍結乾燥製剤の溶解後24時間以内に投与すること。未使用分は廃棄すること。

3. 投与時

(1)
本剤は30分以上かけて点滴静脈内投与し、急速投与は行わないこと。

(2)
投与終了時には、ラインを生理食塩液30mLでフラッシュすること。

その他の注意

1.
国内外臨床試験において、患者数は限られているが本剤に対する抗体の産生が報告されている。(【臨床成績】の項参照)

2.
外国人健康成人を対象とした海外臨床試験において、本剤を投与した被験者では、経口不活化コレラ毒素ワクチンに対する適応免疫応答の減弱が報告されている。3)

薬物動態

1. 血中濃度

(1)
日本人潰瘍性大腸炎患者を対象に、本剤300mgを0、2及び6週(1、15及び43日目)に点滴静注した時のベドリズマブの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは下図及び表1のとおりであった。4)

(2)
中等症から重症の日本人潰瘍性大腸炎患者を対象に本剤300mgを0週、2週、6週に点滴静注し、以降8週間隔で点滴静注した時の14、22及び30週のベドリズマブの血清中トラフ濃度を表2に示す。5)

(3)
**中等症から重症の活動期日本人クローン病患者を対象に本剤300mgを0週、2週、6週に点滴静注し、以降8週間隔で点滴静注した時の14、22及び30週のベドリズマブの血清中トラフ濃度を表3に示す。6)

2. 分布7)
外国人の健康成人を対象にベドリズマブ450mgを静脈内点滴投与した時、脳脊髄液中にベドリズマブは検出されなかった。(外国人のデータ)(本剤の承認用量は【用法・用量】の項参照)

3. 排泄
ベドリズマブはヒト化IgG1モノクローナル抗体であることから、内因性の免疫グロブリンの消失経路と同じと推察される。

表1 日本人潰瘍性大腸炎患者における本剤反復投与時のベドリズマブの薬物動態パラメータ

パラメータ 例数 1日目 43日目 
AUC(Day0-14)
(μg・day/mL)注6) 
739(12.4) 1154(22.2) 
AUC(Day0-56)
(μg・day/mL)注7) 
− 2511(33.1) 
Cmax(μg/mL) 97.3(23.5) 124.3(21.1) 
T1/2(day) 9.46(10.5) 17.4(22.1) 
CL(L/day) 0.258(16.2) − 
Vz(L) 3.50(12.2) − 

[幾何平均値(CV%)、T1/2は算術平均値]
注6)投与から14日目までの血中濃度-時間曲線下面積
注7)投与から56日目までの血中濃度-時間曲線下面積


表2

  14週 22週 30週 
例数 30 26 25 
血清中トラフ濃度
(μg/mL) 
17.31±7.19 14.45±6.03 13.77±6.37 

[算術平均値±標準偏差]


表3

  14週 22週 30週 
例数 10 
血清中トラフ濃度
(μg/mL) 
11.20±8.58 9.10±6.18 9.01±6.88 

[算術平均値±標準偏差]


臨床成績

**<潰瘍性大腸炎>

(1) 国内第III相臨床試験5)

1) 導入療法
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な中等症から重症の日本人潰瘍性大腸炎患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。本剤300mg又はプラセボを0週、2週、6週時に点滴静注した。3回投与後、10週時点の改善率は表4のとおりであり、本剤群はプラセボ群に対して統計学的な有意差は認められなかった。

2) 維持療法
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な中等症から重症の日本人潰瘍性大腸炎患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。本剤300mgを3回(0週、2週、6週)点滴静注後に改善が認められた患者に、以降8週間隔で本剤300mg又はプラセボを点滴静注した。60週時点の寛解率は表5のとおりであり、本剤群はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高い寛解率が認められた。

(2) 海外第III相臨床試験8)

1) 導入療法
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な中等症から重症の外国人潰瘍性大腸炎患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。本剤300mg又はプラセボを0週、2週時に点滴静注後、6週時点の改善率は表6のとおりであり、本剤群はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高い改善率が認められた。

2) 維持療法
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な中等症から重症の外国人潰瘍性大腸炎患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。本剤300mgを0週、2週時に点滴静注後に改善が認められた患者に、以降8週間隔で本剤300mg又はプラセボを点滴静注した。52週時点の寛解率は表7のとおりであり、本剤群はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高い寛解率が認められた。

**<クローン病>

(3) **国内第III相臨床試験6)

1) **導入療法
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な中等症から重症の日本人クローン病患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。本剤300mg又はプラセボを0週、2週、6週時に点滴静注した。3回投与後、10週時点の改善率は表8のとおりであり、本剤群はプラセボ群に対して統計学的な有意差は認められなかった。

2) **維持療法
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な中等症から重症の日本人クローン病患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。本剤300mgを3回(0週、2週、6週)点滴静注後にCDAIスコアがベースラインから70ポイント以上の減少が認められた患者に、以降8週間隔で本剤300mg又はプラセボを点滴静注した。60週時点の寛解率は表9のとおりである。

(4) **海外第III相臨床試験9)

1) **導入療法
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な中等症から重症の外国人クローン病患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。本剤300mg又はプラセボを0週、2週時に点滴静注後、6週時点の寛解率及び改善率は表10のとおりである。寛解率において、本剤群はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高い寛解率が認められた。改善率において、本剤群はプラセボ群に対して統計学的な有意差は認められなかった。

2) **維持療法
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な中等症から重症の外国人クローン病患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。本剤300mgを0週、2週時に点滴静注後にCDAIスコアがベースラインから70ポイント以上の減少が認められた患者に以降8週間隔で本剤300mg又はプラセボを点滴静注した。52週時点の寛解率は表11のとおりであり、本剤群はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高い寛解率が認められた。

**<効能共通>

(5) **本剤に対する抗体産生

中等症から重症の日本人潰瘍性大腸炎患者を対象とした国内第III相臨床試験又は中等症から重症の日本人クローン病患者を対象とした国内第III相臨床試験で、本剤300mgを継続的に投与された患者のうち、いずれかの時点で抗体産生が認められた患者の割合は3.0%(8例/269例中)であった。中等症から重症の外国人潰瘍性大腸炎患者を対象とした海外第III相臨床試験又は中等症から重症の外国人クローン病患者を対象とした海外第III相臨床試験で、本剤300mgを継続的に投与された患者のうち、いずれかの時点で抗体産生が認められた患者の割合は6.0%(86例/1427例中)であった。

表4 二重盲検比較試験 10週時点成績

    改善率注8)
本剤 
改善率注8)
プラセボ 
p値注9) 
全体   39.6%
(65/164例) 
32.9%
(27/82例) 
0.2722 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴無 
53.2%
(42/79例) 
36.6%
(15/41例) 
− 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴有 
27.1%
(23/85例) 
29.3%
(12/41例) 
− 

注8)改善:以下の条件をともに満たした場合
−完全Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上減少かつ30%以上減少
−血便サブスコアがベースラインから1ポイント以上減少又は血便サブスコアが1以下
注9)抗TNFα製剤前治療歴の有無を層別因子としたCochran-Mantel-Haenszel検定


表5 二重盲検比較試験 60週時点成績

    寛解率注10)
本剤 
寛解率注10)
プラセボ 
p値注11) 
全体   56.1%
(23/41例) 
31.0%
(13/42例) 
0.0210 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴無 
54.2%
(13/24例) 
35.7%
(10/28例) 
− 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴有 
58.8%
(10/17例) 
21.4%
(3/14例) 
− 

注10)寛解:完全Mayoスコアが2以下かつ全てのサブスコアが1以下
注11)抗TNFα製剤前治療歴の有無を層別因子としたCochran-Mantel-Haenszel検定


表6 二重盲検比較試験 6週時点成績

    改善率注12)
本剤 
改善率注12)
プラセボ 
p値注13) 
全体   47.1%
(106/225例) 
25.5%
(38/149例) 
<0.0001 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴無 
53.1%
(69/130例) 
26.3%
(20/76例) 
− 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴有 
38.9%
(37/95例) 
24.7%
(18/73例) 
− 

注12)改善:以下の条件をともに満たした場合
−完全Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上減少かつ30%以上減少
−血便サブスコアがベースラインから1ポイント以上減少又は血便サブスコアが1以下
注13)無作為化の層別因子によるCochran-Mantel-Haenszel検定


表7 二重盲検比較試験 52週時点成績

    寛解率注14)
本剤 
寛解率注14)
プラセボ 
p値注15) 
全体   41.8%
(51/122例) 
15.9%
(20/126例) 
<0.0001 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴無 
45.8%
(33/72例) 
19.0%
(15/79例) 
− 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴有 
36.0%
(18/50例) 
10.6%
(5/47例) 
− 

注14)寛解:完全Mayoスコアが2以下かつ全てのサブスコアが1以下
注15)無作為化の層別因子によるCochran-Mantel-Haenszel検定


表8 二重盲検比較試験 10週時点成績

    改善率注16)
本剤 
改善率注16)
プラセボ 
p値注17) 
全体   26.6%
(21/79例) 
16.7%
(13/78例) 
0.1448 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴無 
50.0%
(9/18例) 
25.0%
(4/16例) 
− 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴有 
19.7%
(12/61例) 
14.5%
(9/62例) 
− 

注16)改善:CDAIスコアがベースラインから100ポイント以上減少
注17)抗TNFα製剤前治療歴の有無を層別因子としたCochran-Mantel-Haenszel検定、有意水準:10%


表9 二重盲検比較試験 60週時点成績

    寛解率注18)
本剤 
寛解率注18)
プラセボ 
全体   41.7%
(5/12例) 
16.7%
(2/12例) 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴無 
50.0%
(2/4例) 
40.0%
(2/5例) 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴有 
37.5%
(3/8例) 
0.0%
(0/7例) 

注18)寛解:CDAIスコアが150以下


表10 二重盲検比較試験 6週時点成績

    寛解率注19)
本剤 
寛解率注19)
プラセボ 
p値注21) 
全体   14.5%
(32/220例) 
6.8%
(10/148例) 
0.0206 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴無 
17.4%
(19/109例) 
9.2%
(7/76例) 
− 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴有 
11.7%
(13/111例) 
4.2%
(3/72例) 
− 
          
    改善率注20)
本剤 
改善率注20)
プラセボ 
p値注21) 
全体   31.4%
(69/220例) 
25.7%
(38/148例) 
0.2322 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴無 
42.2%
(46/109例) 
30.3%
(23/76例) 
− 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴有 
20.7%
(23/111例) 
20.8%
(15/72例) 
− 

注19)寛解:CDAIスコアが150以下
注20)改善:CDAIスコアがベースラインから100ポイント以上減少
注21)無作為化の層別因子によるCochran-Mantel-Haenszel検定、Hochberg法により検定の多重性を調整


表11 二重盲検比較試験 52週時点成績

    寛解率注22)
本剤 
寛解率注22)
プラセボ 
p値注23) 
全体   39.0%
(60/154例) 
21.6%
(33/153例) 
0.0007 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴無 
51.5%
(34/66例) 
26.8%
(19/71例) 
− 
部分
集団 
抗TNFα
治療歴有 
29.5%
(26/88例) 
17.1%
(14/82例) 
− 

注22)寛解:CDAIスコアが150以下
注23)無作為化の層別因子によるCochran-Mantel-Haenszel検定


薬効薬理

1. 作用機序
α4β7インテグリンはメモリーTリンパ球表面に発現する。α4β7インテグリンは、消化管粘膜の血管内皮細胞表面に発現する粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)に接着することによって消化管粘膜及び腸管関連リンパ系組織へのリンパ球浸潤を媒介する。ベドリズマブはα4β7インテグリンに特異的に結合し、α4β7インテグリンと主に消化管に発現するMAdCAM-1との結合を阻害する一方で、中枢神経、皮膚等多くの臓器に発現する血管細胞接着分子-1(VCAM-1)との結合は阻害しなかった(in vitro)。10)

2. 薬理作用

(1)
**ベドリズマブのマウス相同抗体であるAct-1はワタボウシタマリン(慢性大腸炎を自然発症するタマリン類のサル)において消化管粘膜へのリンパ球浸潤を阻害し、潰瘍性大腸炎及びクローン病で見られる消化管粘膜の炎症を低減させた。11)

(2)
ベドリズマブはカニクイザルにおいて消化管へのリンパ球浸潤を選択的に抑制した。12)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
ベドリズマブ(遺伝子組換え)
(Vedolizumab[Genetical Recombination])〔JAN〕

本質
ベドリズマブは、遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体であり、マウス抗ヒトα4β7インテグリン抗体の相補性決定部、並びにヒトIgG1のフレームワーク及び定常部からなり、H鎖の239及び241番目のアミノ酸残基がAlaに置換されている。ベドリズマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。ベドリズマブは、451個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び219個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約150,000)である。

承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

点滴静注用300mg:1バイアル

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Lahat A, et al.:J Crohns Colitis., 12(1):120, 2018.

2)
Julsgaard M, et al.:Gastroenterology, 154(3):752, 2018.

3)
ベドリズマブの薬力学試験成績(社内資料)

4)
ベドリズマブの薬物動態試験成績(1)(社内資料)

5)
**ベドリズマブの潰瘍性大腸炎患者を対象とした国内第III相臨床試験成績(社内資料)

6)
**ベドリズマブのクローン病患者を対象とした国内第III相臨床試験成績(社内資料)

7)
ベドリズマブの薬物動態試験成績(2)(社内資料)

8)
**ベドリズマブの潰瘍性大腸炎患者を対象とした海外第III相臨床試験成績(社内資料)

9)
**ベドリズマブのクローン病患者を対象とした海外第III相臨床試験成績(社内資料)

10)
Soler D, et al.:J Pharmacol Exp Ther., 330(3):864, 2009.

11)
Hesterberg PE, et al.:Gastroenterology, 111(5):1373, 1996.

12)
Fedyk ER, et al.:Inflamm Bowel Dis., 18(11):2107, 2012.

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