* | 2021年 6月改訂 ( 第2版 ) |
2020年 9月改訂 ( 第1版 ) |
日本薬局方
ロサルタンカリウム錠
処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること日本薬局方
ロサルタンカリウム錠
処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること日本薬局方
ロサルタンカリウム錠
処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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血清カリウム上昇、高カリウム血症を起こすおそれがある。 |
カリウム貯留作用が増強するおそれがある。腎機能障害のある患者には特に注意すること。 |
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一過性の血圧低下を起こすおそれがある。本剤の投与を低用量から開始し、増量する場合は徐々に行うこと。 |
利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、本剤が奏効しやすい。 |
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アリスキレン |
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンとの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 |
レニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 |
急性腎障害、高カリウム血症のリスクが増加するとの報告がある。また、低血圧を起こすおそれがある。 |
レニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
降圧作用が減弱されるおそれがある。 |
プロスタグランジンの合成阻害作用により、本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。 |
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腎機能が悪化している患者では、さらに腎機能が悪化するおそれがある。 |
プロスタグランジンの合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
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リチウム中毒が報告されている。血中リチウム濃度に注意すること。 |
本剤のナトリウム排泄作用により、リチウムの蓄積が起こると考えられている。 |
不快感、口内異常感、発汗、蕁麻疹、呼吸困難、全身潮紅、浮腫等があらわれることがある。
顔面、口唇、咽頭、舌等の腫脹があらわれることがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
心室性期外収縮、心房細動等の不整脈があらわれることがある。
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。
倦怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐、痙攣、意識障害等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがある。
0.1~5%未満 |
頻度不明 |
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精神神経系 |
頭痛、めまい、不眠、浮遊感 |
耳鳴、眠気 |
循環器系 |
低血圧、起立性低血圧、胸痛 |
調律障害(頻脈等)、動悸 |
消化器 |
口角炎、嘔吐・嘔気、胃不快感、胃潰瘍 |
口内炎、下痢、口渇 |
肝臓 |
肝機能障害(AST上昇、ALT上昇、LDH上昇等) |
黄疸 |
腎臓 |
BUN上昇、クレアチニン上昇 | |
皮膚 |
発疹、そう痒 |
蕁麻疹、多形紅斑、光線過敏、紅皮症、紅斑 |
血液 |
赤血球減少、ヘマトクリット低下、好酸球増多 |
貧血 |
その他 |
ほてり、倦怠感、無力症/疲労、浮腫、筋肉痛、総コレステロール上昇、CK上昇、血中尿酸値上昇 |
咳嗽、発熱、味覚障害、しびれ感、眼症状(かすみ、異和感等)、関節痛、筋痙攣、女性化乳房、勃起不全 |
健康成人にロサルタンカリウム100mgを食後及び空腹時に1回経口投与した場合、吸収速度は食後投与で低下したが、吸収量の減少は僅かであった3) 。
健康成人にロサルタンカリウム25、50、100又は200mg注)を1回経口投与した場合、速やかに吸収され、主に肝臓において主代謝物であるカルボン酸体(イミダゾール環の5-ヒドロキシメチル基の酸化物)に変換される3) 。
健康成人にロサルタンカリウム25、50、100又は200mg注)を1回経口投与した場合、投与後30時間までのロサルタン及びカルボン酸体の尿中排泄率は各投与量のそれぞれ3.2~4.1%及び6.1~7.9%であった3)
。
健康成人に14C標識ロサルタンカリウムを1回経口投与したとき、放射能の尿中及び糞中総排泄率はそれぞれ約35及び58%であった(外国人データ)。
腎障害を伴う高血圧症患者に、ロサルタンカリウム50mgを食後1回経口投与した場合、血清クレアチニン値の高い群ほどロサルタン並びにカルボン酸体の最高血漿中濃度(Cmax)及びAUCは大きな値を示した。血清クレアチニン値3.0mg/dL以上の群では1.5mg/dL未満の群に比較してロサルタンのCmax及びAUCは2.4及び2.2倍に、カルボン酸体では1.6及び2.0倍の値を示した5) 。
高血圧症を伴う透析患者に、ロサルタンカリウム50mgを空腹時に1回経口投与した場合、ロサルタンのCmax及びAUCはいずれも増加し、健康成人男子及び高血圧症患者と比較してロサルタンのCmax及びAUCはそれぞれ約2及び3~4倍の値を示した6)
。
透析患者にロサルタンを投与したとき、ロサルタン及びカルボン酸体は透析により血漿中から除去されないことが報告されている(外国人データ)。
健康高齢者及び健康非高齢者に、ロサルタンカリウム50mgを空腹時に1回経口投与した場合、ロサルタンの吸収速度及び血漿中からの消失に差はみられなかったが、高齢者ではロサルタンのCmax及びAUCは非高齢者の約2倍を示した。一方、高齢者におけるカルボン酸体の平均Cmax及びAUCは、非高齢者に比べてそれぞれ約25及び27%の軽度な増加であった。
注)本剤の承認された1回用量は25~100mgである。
国内で実施された二重盲検比較試験を含む臨床試験において、降圧効果判定採用576例の臨床効果の概要は次のとおりである。
疾患名 |
例数 |
下降以上の例数(有効率) |
軽・中等症本態性高血圧症 |
509 |
355(69.7%) |
重症高血圧症 |
34 |
21(61.8%) |
腎障害を伴う高血圧症 |
26 |
17(65.4%) |
その他 |
7 |
6(85.7%) |
計 |
576 |
399(69.3%) |
なお、65歳以上の高齢者における降圧効果については、高齢者の有効率が69.6%(125例中87例)であり、非高齢者群(451例中312例、69.2%)と同様であった。
また、軽・中等症本態性高血圧症患者を対象とした二重盲検比較試験において、降圧効果に関するエナラプリルマレイン酸塩との同等性が検証され、本剤の有用性が認められている。咳の発現率は、エナラプリルマレイン酸塩の13.5%(19件)に対し、本剤では解析対象例に咳の発現は認められなかった7)
。
第Ⅱ相後期試験で下降と判定され、1年以上の長期投与を行った61例中51例(83.6%)で降圧効果が維持された。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤による咳の既往を有する患者を対象とした二重盲検比較試験で、リシノプリル投与群の咳の再発現率(71.7%)は、ヒドロクロロチアジド投与群(34.1%)及びロサルタン投与群(29.2%)より有意に高く、ロサルタン投与群はヒドロクロロチアジド投与群と同程度であった8) 。
国際共同試験として実施された二重盲検比較試験(RENAAL試験)において1,513例(日本人96例を含む)が評価された。本試験の主要エンドポイントは、血清クレアチニン値倍増、末期腎不全(透析あるいは腎移植の必要性)及び死亡の複合エンドポイントであった。本剤(327例)は、プラセボ(359例)に比べて、主複合エンドポイントに到達するリスクを16.1%軽減(p=0.022)させた。さらに、本剤治療群において、血清クレアチニン値倍増で25.3%(p=0.006)、末期腎不全で28.6%(p=0.002)、末期腎不全又は死亡で19.9%(p=0.009)、血清クレアチニン値倍増又は末期腎不全で21.0%(p=0.010)のリスク軽減が認められた。エンドポイント構成要素である全原因による死亡率については、両治療群間で有意な差はみられなかった。本試験の二次エンドポイントは、尿蛋白の変化量、腎症の悪化率、心血管系疾患の罹病率及び死亡率の複合(心不全による入院、心筋梗塞、血行再建術、脳卒中、不安定狭心症による入院又は心血管系疾患による死亡)であった。本剤を平均3.4年以上投与された群において、尿蛋白量が平均で34.3%低下(p<0.001)した。また、本剤は、血清クレアチニン値の逆数の傾きにより評価される腎機能低下率を13.9%(p=0.003)低下させた(低下率の中央値18.5%、p=0.01)。一方、心血管系疾患の罹病率及び死亡率の複合エンドポイントでは、本剤治療群(247例)とプラセボ群(268例)との間に有意な差はみられなかったが、これは本試験がこのような効果に対する検出力を持ち合わせていなかったためである。なお、本試験における本剤の忍容性は良好であり、副作用による中止例の割合はプラセボ群と同等であった9)
。
副作用は751例(日本人44例を含む)中129例(17.2%)に認められた。主な副作用は、めまい34例(4.5%)、高カリウム血症28例(3.7%)、低血圧19例(2.5%)、無力症/疲労12例(1.6%)であった。また、臨床検査値の異常変動は、111例(14.8%)に認められた。主な臨床検査値の異常変動は、血清カリウム上昇89例(11.9%)、クレアチニン上昇30例(4.0%)、BUN上昇10例(1.3%)であった。
ロサルタンカリウム(Losartan Potassium)
Monopotassium 5-{[4'-(2-butyl-4-chloro-5-hydroxymethyl-1H-imidazol-1-yl)methyl]biphenyl-2-yl}-1H-tetrazol-1-ide
C22H22ClKN6O
461.00
白色の結晶性の粉末である。
水に極めて溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすい。
開封後は湿気を避けて保存すること。
1) Spence SG, et al. Teratology. 1995;51:383-97.
2) Spence SG, et al. Teratology. 1995;51:367-82.
3) 中島光好、他. 臨床薬理. 1995;26:671-84.
4) 中島光好、他. 臨床薬理. 1995;26:685-96.
5) 猿田享男、他. 臨床医薬. 1994;10:157-71.
6) 多川斉、他. 臨牀透析. 1995;11:247-64.
7) 吉永馨、他. 医学のあゆみ. 1995;172:785-823.
8) Lacourcière Y, et al. J Hypertens. 1994;12:1387-93.
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11) Wong PC, et al. J Pharmacol Exp Ther. 1990;255:211-7.
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14) 岡田恵、他. 基礎と臨床. 1994;28:4063-73.
15) Wong PC, et al. Hypertension. 1990;15:459-68.
16) Wong PC, et al. J Pharmacol Exp Ther. 1990;252:726-32.
17) Bovee KC, et al. Am J Hypertens. 1991;4:327S-33S.
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