2022年 1月改訂 ( 第1版 ) |
日本薬局方
フロセミド注射液
処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること高血圧症(本態性、腎性等)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、脳浮腫、尿路結石排出促進
通常、成人にはフロセミドとして1日1回20mgを静脈注射又は筋肉内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。腎機能不全等の場合にはさらに大量に用いることもある。ただし、悪性高血圧に用いる場合には、通常、他の降圧剤と併用すること。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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昇圧アミンの作用を減弱するおそれがあるので、手術前の患者に使用する場合には、本剤の一時休薬等の処置を行うこと。 |
併用により血管壁の反応性が低下するためと考えられている。 |
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麻痺作用を増強することがあるので、手術前の患者に使用する場合には、本剤の一時休薬等の処置を行うこと。 |
利尿剤による血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用が増強されると考えられている。 |
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降圧作用を増強するおそれがあるので、降圧剤の用量調節等に注意すること。 |
作用機序の異なる降圧剤との併用により、降圧作用が増強される。 |
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本剤投与中にACE阻害剤又はA-II受容体拮抗剤を初めて投与もしくは増量した際に、高度の血圧低下や、腎不全を含む腎機能の悪化を起こすことがある。 |
本剤投与中は血漿レニン活性が上昇しており、これらの薬剤を投与することによりレニン‐アンジオテンシン系をブロックする結果、急激な血圧低下を起こすと考えられる。 |
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第8脳神経障害(聴覚障害)を増強するおそれがある。 |
アミノグリコシド系抗生物質の内耳外有毛細胞内濃度が上昇し、最終的には外有毛細胞の壊死を引き起こし、永続的な難聴が起こる場合もある。 |
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聴覚障害が増強するおそれがある。 |
シスプラチンの内耳外有毛細胞内濃度が上昇し、最終的には外有毛細胞の壊死を引き起こし、永続的な難聴が起こる場合もある。 |
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腎毒性を増強するおそれがある。 |
近位尿細管でのナトリウム再吸収の増加に伴い、抗生物質の再吸収も増加することにより、組織内濃度が上昇し腎毒性が増強する。 |
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ジギタリスの心臓に対する作用を増強するおそれがあるので、血清カリウム値及び血中ジギタリス濃度に注意すること。 |
利尿剤による血清カリウム値の低下により、多量のジギタリスが心筋Na+-K+ ATPaseに結合し、心収縮力増強と不整脈が起こる。 |
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過剰のカリウム放出により、低カリウム血症が発現するおそれがある。 |
共にカリウム排泄作用を有する。 |
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糖尿病用剤の作用を著しく減弱するおそれがある。 |
細胞内外のカリウム喪失がインスリン分泌の抑制、末梢でのインスリン感受性の低下をもたらす。 |
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利尿作用が増強されるおそれがあるので、血圧、脈拍数、尿量、血清ナトリウム濃度等を確認し、脱水症状の発現に注意すること。必要に応じ本剤の用量を調整するなど注意すること。 |
利尿作用が増強されるおそれがある。 |
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リチウム毒性を増強するおそれがあるので、血中リチウム濃度等に注意する。 |
リチウムの腎での再吸収を促進し、リチウムの血中濃度が上昇する。 |
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サリチル酸誘導体毒性が発現するおそれがある。 |
腎の排泄部位において両剤の競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅れサリチル酸中毒が起こる。 |
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本剤の利尿作用を減弱するおそれがある。 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤が腎でのプロスタグランジン合成を阻害し、水、塩類の体内貯留を引き起こし利尿剤の作用と拮抗する。 |
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尿酸排泄促進剤の尿酸排泄作用を減弱するおそれがある。 |
尿酸再吸収の間接的増大により、尿酸排泄促進剤の作用が抑制される。 |
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症候性低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 |
ナトリウム排泄作用が増強され、低ナトリウム血症が起こる。 |
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心室性期外収縮等の不整脈の発現を助長させるおそれがある。 |
本剤により電解質失調が引き起こされ、併用により不整脈が発現する可能性がある。 |
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痛風性関節炎を起こすおそれがある。 |
フロセミドによって引き起こされる高尿酸血症とシクロスポリンによる尿酸塩排泄阻害により、副作用が悪化する。 |
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利尿作用が増強するおそれがある。血圧、脈拍数、尿量、血清ナトリウム濃度等を頻回にチェックし、脱水症状の発現に注意すること。 |
利尿作用を増強させる。 |
低カリウム血症を伴う心室性不整脈があらわれることがある。
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
頻度不明 |
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血液 |
貧血、白血球減少、好酸球増加、溶血性貧血 |
代謝異常 |
低ナトリウム血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、代謝性アルカローシス、高尿酸血症、高血糖症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、偽性バーター症候群 |
皮膚 |
発疹、蕁麻疹、発赤、光線過敏症、そう痒症、水疱性皮膚炎、紫斑、苔癬様皮疹 |
消化器 |
食欲不振、下痢、悪心・嘔吐、口渇、膵炎 注1) (血清アミラーゼ値上昇) |
肝臓 |
黄疸、肝機能異常、胆汁うっ滞 |
腎臓 |
BUN上昇、クレアチニン上昇 |
精神神経系 |
めまい、頭痛、知覚異常、聴覚障害 |
その他 |
脱力感、倦怠感、起立性低血圧、筋痙攣、味覚異常、血管炎、発熱 |
フロセミド(Furosemide)
4-Chloro-2-[(furan-2-ylmethyl)amino]-5-sulfamoylbenzoic acid
C12H11ClN2O5S
330.74
本品は白色の結晶又は結晶性の粉末である。
本品は、N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、アセトニトリル又は酢酸(100)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
本品は希水酸化ナトリウム試液に溶ける。
本品は光によって徐々に着色する。
約205℃(分解)
2mL×50アンプル
1) Rupp, W.:Scot. Med. J.,1974;19(Suppl.1):5-13
2) Cutler, R. E., et al.:Clin. Pharmacokinet.,1979;4(4):279-296
3) Hammarlund-Udenaes, M., et al.:J. Pharmacokin. Biopharm.,1989;17(1):1-46
4) Suzuki, F., et al.:Klin. Wschr.,1964;42(12):569-571
5) Rupp, W., et al.:Symposion in Schloß Reinhartshausen am Rhein,1969;12 Mai
6) Vorburger, C.:J. Urol. Nephrol.,1966;72(9):581-590
7) Heidland, A., et al.:Deutsch med. Wschr.,1969;94(31):1568-1574
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9) Heimsoth, V. H.:Münch. med. Wschr.,1975;117(28):1199-1204
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