2023年 8月改訂 ( 第1版 ) |
日本薬局方
プロプラノロール塩酸塩錠
劇薬
処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること小児等に、期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防を目的に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること。基礎心疾患のある場合は、有益性がリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること。
本剤は、片頭痛発作の急性期治療のみでは日常生活に支障をきたしている患者にのみ投与すること。
ファロー四徴症等を原疾患とする右心室流出路狭窄による低酸素発作を起こす患者に投与すること。
通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日30~60mgより投与をはじめ、効果不十分な場合は120mgまで漸増し、1日3回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日30mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mg、90mgと漸増し、1日3回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日30mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mg、90mgと漸増し、1日3回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、小児にはプロプラノロール塩酸塩として1日0.5~2mg/kgを、低用量から開始し、1日3~4回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。効果不十分な場合には1日4mg/kgまで増量することができるが、1日投与量として90mgを超えないこと。
通常、成人にはプロプラノロール塩酸塩として1日20~30mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mgまで漸増し、1日2回あるいは3回に分割経口投与する。
通常、乳幼児にはプロプラノロール塩酸塩として1日0.5~2mg/kgを、低用量から開始し、1日3~4回に分割経口投与する。なお、症状により適宜増減する。効果不十分な場合には1日4mg/kgまで増量することができる。
ジギタリス剤を併用するなど、慎重に投与すること。心機能を抑制し、うっ血性心不全が発現するおそれがある。
中毒症状をマスクするおそれがある。
血糖値に注意すること。低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクしやすい。
症状が悪化するおそれがある。
徐脈が悪化するおそれがある。
房室伝導時間が延長し、症状が悪化するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、緊急やむを得ない場合以外は投与しないことが望ましい。
妊娠中の投与により新生児の発育遅延、血糖値低下、呼吸抑制が認められたとの報告があり、また、動物実験で胎仔に対して、母体より長時間β遮断作用を示すことが報告されている。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
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交感神経系の過剰の抑制(徐脈、心不全等)をきたすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 |
相互に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。 |
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血糖降下作用が増強されることがある。また、低血糖症状(頻脈等)をマスクすることがあるので血糖値に注意すること。 |
血糖値が低下するとカテコールアミンが副腎から分泌され、肝でのグリコーゲンの分解を促し、血糖値を上昇させる。 |
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ベラパミル、ジルチアゼム等では、低血圧、徐脈、房室ブロック等の伝導障害、心不全が発現するおそれがあるので減量するなど注意すること。また、ジヒドロピリジン系薬剤でも、低血圧、心不全が発現するおそれがあるので注意すること。 |
相互に作用(心収縮力や刺激伝導系の抑制作用、降圧作用等)を増強させる。 |
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クロニジン |
クロニジンの投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇、頭痛、嘔気等)を増強する可能性がある。クロニジンを中止する場合には、本剤を先に中止し、その後数日間観察した後、クロニジンを中止すること。また、クロニジンから本剤へ投与を変更する場合にはクロニジンを中止した数日後から本剤を投与すること。 |
クロニジンを投与されている患者でクロニジンを中止すると、血中カテコールアミンが上昇し、血圧上昇をきたす。β遮断剤が投与されていると、カテコールアミンによるα刺激作用が優位になり、血管収縮がさらに増強される。 |
過度の心機能抑制(徐脈、心停止等)があらわれることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 |
抗不整脈剤は陰性変力作用及び陰性変時作用を有する。β遮断剤もカテコールアミンの作用を遮断することにより心機能を抑制するため、併用により心機能が過度に抑制される。 |
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相互の薬剤の効果が減弱する。また、血管収縮、血圧上昇をきたすことがあるので注意すること。 |
非選択性のβ遮断剤により末梢血管のβ受容体が遮断された状態でアドレナリンなどの交感神経作動薬が投与されると、α受容体を介する血管収縮作用のみがあらわれる。 |
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反射性頻脈が弱まり、低血圧のリスクが増加することがある。 |
麻酔剤により低血圧が起こると反射性の頻脈が起こる。β遮断剤が併用されていると、反射性の頻脈を弱め、低血圧が強められる可能性がある。 |
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リドカイン |
リドカインの代謝を遅延させ、血中濃度を上昇させることがあるので併用は避けること。 |
本剤が肝血流量を減らし、また肝の薬物代謝酵素を阻害するために、リドカインの代謝が遅れると考えられている。 |
ジギタリス製剤 |
房室伝導時間が延長し、徐脈、房室ブロック等が発現することがあるので注意すること。 |
ジギタリス、β遮断剤はともに房室結節伝導時間を延長させる。ジギタリス中毒時には特に注意を要する。 |
シメチジン |
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 |
シメチジンが肝血流量を低下させ、また、肝の薬物代謝酵素を阻害することにより、肝での本剤の分解が低下し、血中濃度が上昇すると考えられている。 |
クロルプロマジン |
本剤とクロルプロマジンの作用がそれぞれに増強することがある。 |
本剤とクロルプロマジンが薬物代謝酵素を競合するために、本剤、クロルプロマジンともに血中濃度が上昇すると考えられている。 |
ヒドララジン |
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 |
ヒドララジンが肝血流量を増加させるためと考えられている。 |
下肢の疼痛、冷感、チアノーゼ等が発現することがあるので注意すること。 |
麦角アルカロイドとβ遮断剤が相乗的に末梢灌流を低下させると考えられている。 |
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本剤の降圧作用が減弱することがある。 |
非ステロイド性抗炎症剤は血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成を阻害する。 |
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アルコール |
本剤の血中濃度の変動により、作用が減弱または増強する可能性があるので注意すること。 |
アルコールにより本剤の吸収、代謝が変動するためと考えられている。 |
リファンピシン |
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱する可能性があるので注意すること。 |
リファンピシンが肝酵素を誘導し、本剤の代謝・消失を促進すると考えられている。 |
キニジン、プロパフェノン |
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 |
本剤はチトクロームP450によって代謝をうける。このため、チトクロームP450によって代謝をうける薬剤との間で、血中濃度が影響をうける可能性がある。 |
ワルファリン |
ワルファリンの血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。 |
相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がワルファリンの肝代謝を阻害することが考えられている。 |
フィンゴリモド |
フィンゴリモドの投与開始時に本剤を併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある。 |
共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。 |
0.1~5%未満 |
頻度不明 |
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過敏症 |
発疹等 | |
循環器 |
労作時息切れ |
低血圧、胸内苦悶、胸部不快・不安感 |
精神神経系 |
頭痛、めまい、不眠、しびれ等 |
ふらふら感、眠気、幻覚、悪夢、錯乱、抑うつ、気分の変化、精神変調 |
眼注) |
視力異常、霧視、涙液分泌減少 |
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消化器 |
口渇、食欲不振、下痢等 |
悪心、嘔吐、上腹部不快感、腹部痙攣、便秘 |
肝臓 |
肝機能異常(AST、ALT、Al-Pの上昇等) |
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その他 |
脱力感、疲労感 |
筋肉痛、可逆的脱毛、LDH上昇、血中尿素上昇、血糖値低下、乾癬様皮疹、乾癬悪化、抗核抗体陽性化、重症筋無力様症状、重症筋無力症悪化 |
心血管系:徐脈、低血圧、及び心原性ショックが発現することがある。QRS延長、1度から3度のAVブロック、心停止が発現することがある。
中枢神経系:眠気、発作、重症の場合は昏睡が生じることがある。
その他:気管支痙攣、高カリウム血症、及び中枢神経系を介した呼吸抑制が生じるおそれがある。
過度の徐脈をきたした場合には、まずアトロピン硫酸塩水和物(1~2mg)を静注し、更に必要に応じてβ1刺激剤であるドブタミン(毎分2.5~10μg/kgを静注)を投与する。グルカゴン(10mgを静注)が有効であったとの報告もある。
気管支痙攣は高用量のβ2作動薬(静注及び吸入-患者の反応に応じて投与量を増減)により消失させることができる。アミノフィリン水和物(静注)、イプラトロピウム(吸入)も考慮すること。
グルカゴン(1~2mgを静注)が気管支拡張を促すという報告がある。
重度である場合には、酸素又は人工換気が必要である。
プロプラノロール塩酸塩錠10mg「トーワ」とインデラル錠10mgをクロスオーバー法によりそれぞれ15錠(プロプラノロール塩酸塩として150mg)家兎(n=10)に絶食単回経口投与し、血漿中未変化体濃度について比較検討した結果、両製剤間の生物学的利用率には有意差は認められなかった。1)
プロプラノロール塩酸塩(Propranolol Hydrochloride)
(2RS)-1-(1-Methylethyl)amino-3-(naphthalen-1-
yloxy)propan-2-ol monohydrochloride
C16H21NO2・HCl
295.80
白色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、水又は酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。メタノール溶液(1→40)は旋光性を示さない。光によって徐々に帯黄白色~淡褐色になる。
163~166℃
アルミニウム袋を開封又は瓶を開栓後はしゃ光して保存すること。
100錠[10錠×10:PTP]
1000錠[10錠×100:PTP]
1000錠[バラ、乾燥剤入り]
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