ブロナンセリン錠2mg「サワイ」/ブロナンセリン錠4mg「サワイ」/ブロナンセリン錠8mg「サワイ」


作成又は改訂年月

**2023年2月改訂(第7版)

*2021年12月改訂

日本標準商品分類番号

871179

薬効分類名

抗精神病剤

承認等

販売名
ブロナンセリン錠2mg「サワイ」

販売名コード

1179048F1086

承認・許可番号

承認番号
23100AMX00215000
商標名
BLONANSERIN

薬価基準収載年月

2019年6月

販売開始年月

2019年6月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

外箱に表示

規制区分

劇薬

処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成及び性状の表

・組成

有効成分
[1錠中] 
添加剤 
ブロナンセリン 2mg 結晶セルロース、ステアリン酸Mg、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース 

・製剤の性状

外形 剤形 性状 直径(mm) 厚さ(mm) 重量(mg) 本体表示 
 素錠 白色 5.8 2.4 約60 ブロナンセリン 2 サワイ 

販売名
ブロナンセリン錠4mg「サワイ」

販売名コード

1179048F2082

承認・許可番号

承認番号
23100AMX00216000
商標名
BLONANSERIN

薬価基準収載年月

2019年6月

販売開始年月

2019年6月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

外箱に表示

規制区分

劇薬

処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成及び性状の表

・組成

有効成分
[1錠中] 
添加剤 
ブロナンセリン 4mg 結晶セルロース、ステアリン酸Mg、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース 

・製剤の性状

外形 剤形 性状 直径(mm) 厚さ(mm) 重量(mg) 本体表示 
 割線入り素錠 白色 7.5 2.3 約120 ブロナンセリン 4 サワイ 

販売名
ブロナンセリン錠8mg「サワイ」

販売名コード

1179048F3089

承認・許可番号

承認番号
23100AMX00217000
商標名
BLONANSERIN

薬価基準収載年月

2019年6月

販売開始年月

2019年6月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

外箱に表示

規制区分

劇薬

処方箋医薬品

注意−医師等の処方箋により使用すること

組成及び性状の表

・組成

有効成分
[1錠中] 
添加剤 
ブロナンセリン 8mg 結晶セルロース、ステアリン酸Mg、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース 

・製剤の性状

外形 剤形 性状 直径(mm) 厚さ(mm) 重量(mg) 本体表示 
 割線入り素錠 白色 9.0 3.2 約240 ブロナンセリン 8 サワイ 

一般的名称

ブロナンセリン錠

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
昏睡状態の患者〔昏睡状態が悪化するおそれがある。〕

2.
バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者〔中枢神経抑制作用が増強される。〕

3.
アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)(「相互作用」の項参照)

4.
**,*イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ポサコナゾール、リトナビルを含む製剤、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、エンシトレルビル、コビシスタットを含む製剤を投与中の患者(「相互作用」の項参照)

5.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能又は効果

統合失調症

用法及び用量

通常、成人にはブロナンセリンとして1回4mg、1日2回食後経口投与より開始し、徐々に増量する。維持量として1日8〜16mgを2回に分けて食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は24mgを超えないこと。

用法及び用量に関連する使用上の注意

1.
本剤の吸収は食事の影響を受けやすく、有効性及び安全性は食後投与により確認されているため、食後に服用するよう指導すること。〔空腹時に投与すると、食後投与と比較して吸収が低下し、作用が減弱するおそれがある。また空腹時で投与を開始し、食後投与に切り替えた場合には血中濃度が大幅に上昇するおそれがある。〕

2.
本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。

3.
ブロナンセリン経皮吸収型製剤から本剤へ切り替える場合には、本剤の用法・用量に従って、1回4mg、1日2回食後経口投与より開始し、徐々に増量すること。本剤からブロナンセリン経皮吸収型製剤へ切り替える場合には、次の投与予定時刻に切り替え可能であるが、患者の状態を十分観察すること。切り替えに際しては、ブロナンセリン経皮吸収型製剤の「臨床成績」の項を参考に用量を選択すること。なお、本剤とブロナンセリン経皮吸収型製剤を同時期に投与することにより過量投与にならないよう注意すること。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
心・血管系疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者〔一過性の血圧降下があらわれることがある。〕

2.
パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者〔錐体外路症状が悪化するおそれがある。〕

3.
てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させるおそれがある。〕

4.
自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者〔症状を悪化させるおそれがある。〕

5.
肝障害のある患者〔血中濃度が上昇するおそれがある。〕

6.
糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者〔血糖値が上昇することがある。〕

7.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)

8.
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児(「小児等への投与」の項参照)

9.
薬物過敏症の患者

10.
脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者〔悪性症候群が起こりやすい。〕

重要な基本的注意

1.
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

2.
興奮、誇大性、敵意等の陽性症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。

3.
本剤は肝酵素により代謝を受けやすく、血中濃度が大幅に上昇するおそれがあるため、CYP3A4を強く阻害する薬剤(アゾール系抗真菌剤、HIVプロテアーゼ阻害剤)を投与中の患者に本剤を投与しないこと(「相互作用」の項参照)。また、それ以外でも肝障害のある患者(「慎重投与」の項参照)、高齢者(「高齢者への投与」の項参照)、CYP3A4阻害作用を有する薬剤を併用している患者では、血中濃度が高くなる可能性があるので、観察を十分に行い慎重に投与すること。

4.
本剤の投与により高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。(「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照)

5.
本剤の投与に際し、あらかじめ上記4.の副作用が発現するおそれがあることを、患者及びその家族に十分説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、医師の診察を受けるよう、指導すること。(「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照)

6.
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意すること。(「重大な副作用」の項参照)

相互作用

本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される。

併用禁忌

(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 
アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)
(ボスミン) 
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用により、β受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。 
**,*CYP3A4を強く阻害する薬剤
イトラコナゾール
(イトリゾール)
ボリコナゾール
(ブイフェンド)
ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)
(フロリード、オラビ)
フルコナゾール
(ジフルカン)
ホスフルコナゾール
(プロジフ)
ポサコナゾール
(ノクサフィル)
リトナビルを含む製剤
(ノービア、カレトラ、パキロビッド)
ダルナビル
(プリジスタ)
アタザナビル
(レイアタッツ)
ホスアンプレナビル
(レクシヴァ)
エンシトレルビル
(ゾコーバ)

コビシスタットを含む製剤
(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ) 
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。 本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。外国において、ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)との併用により本剤のAUCが17倍、Cmaxが13倍に増加したとの報告がある。 

併用注意

(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 
中枢神経抑制剤
アルコール 
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 本剤及びこれらの薬剤等の中枢神経抑制作用による。 
ドパミン作動薬
レボドパ製剤
ブロモクリプチン
等 
相互に作用が減弱することがある。 本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。 
降圧薬 降圧作用が増強することがある。 本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。 
エリスロマイシン 本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること。 本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。エリスロマイシンとの併用により本剤のAUCが2.7倍、Cmaxが2.4倍に増加したとの報告がある。 
グレープフルーツジュース 本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること。 本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。グレープフルーツジュースとの併用により本剤のAUC、Cmaxが1.8倍に増加したとの報告がある。 
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
クラリスロマイシン
シクロスポリン
ジルチアゼム
等 
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがあるので、観察を十分に行い、必要に応じて減量するなど慎重に投与すること。 本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、経口クリアランスが減少する可能性がある。 
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
フェニトイン
カルバマゼピン
バルビツール酸誘導体
リファンピシン
等 
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。 本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を誘導するため、経口クリアランスが増加する可能性がある。 

副作用

副作用等発現状況の概要

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。

重大な副作用

(頻度不明) 

1.
悪性症候群:無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。

2.
遅発性ジスキネジア:長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。

3.
麻痺性イレウス:腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用が認められたため、悪心・嘔吐を不顕性化する可能性があるので注意すること。

4.
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがある。このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。

5.
横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。

6.
無顆粒球症、白血球減少:無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

7.
肺塞栓症、深部静脈血栓症:抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)

8.
肝機能障害:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

9.
高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡:高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがある。口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照)

その他の副作用

 頻度不明 
過敏症注1) 発疹、湿疹、そう痒 
循環器注2) 血圧低下、起立性低血圧、血圧上昇、心電図異常(QT間隔の延長、T波の変化等)、頻脈、徐脈、不整脈、心室性期外収縮、上室性期外収縮、動悸、心拍数増加、心拍数減少 
錐体外路症状注3) パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎過多、寡動、運動緩慢、歩行障害、仮面様顔貌等)、アカシジア(静坐不能)、ジスキネジア(構音障害、嚥下障害、口周部・四肢等の不随意運動等)、ジストニア(痙攣性斜頚、顔面・喉頭・頚部の攣縮、眼球上転発作、後弓反張等) 
肝臓 脂肪肝、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、LDH、Al-P、ビリルビンの上昇、肝機能異常 
 羞明、眼の乾燥、調節障害、霧視 
消化器 便秘、食欲不振、悪心、胃炎、胃腸炎、嘔吐、食欲亢進、下痢、上腹部痛、腹痛、胃不快感、腹部膨満感、口唇炎 
内分泌 プロラクチン上昇、月経異常、乳汁分泌、射精障害、女性化乳房、勃起不全 
泌尿器 排尿困難、尿閉、尿失禁、頻尿 
精神神経系 不眠、不安・焦燥感・易刺激性、眠気、めまい・ふらつき、頭重・頭痛、興奮、しびれ感、自殺企図、統合失調症の悪化、攻撃性、悪夢、過鎮静、脱抑制、抑うつ、幻覚・幻聴、妄想、被害妄想、睡眠障害、行動異常、多動、脳波異常、躁状態、意識障害、異常感、会話障害、多弁、緊張、痙攣 
血液 白血球増加、好中球増加、白血球減少、リンパ球減少、赤血球増加、貧血、赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、血小板増加、血小板減少、異型リンパ球出現 
その他 倦怠感、口渇、脱力感、浮腫、水中毒、脱毛、糖尿病、血糖低下、上気道感染、鼻出血、鼻咽頭炎、四肢痛、発汗、発熱、体重増加、体重減少、胸痛、咳嗽、多飲、顔面浮腫、嚥下性肺炎、低体温、CK(CPK)上昇、トリグリセリド上昇、血中コレステロール上昇、血中インスリン上昇、血中リン脂質増加、血糖上昇、BUN上昇、BUN減少、血中総蛋白減少、血中カリウム上昇、血中カリウム減少、血中ナトリウム減少、尿中蛋白陽性、尿中ウロビリン陽性、尿糖陽性、過換気、鼻漏、尿潜血陽性 

上記のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。

注1)異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

注2)観察を十分に行い、慎重に投与すること。

注3)症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は抗パーキンソン薬の投与等、適切な処置を行うこと。

高齢者への投与

高齢者では錐体外路症状等の副作用があらわれやすく、また、一般に生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。〕

2.
授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。〕

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。

適用上の注意

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)

その他の注意

1.
本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。

2.
外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6〜1.7倍高かったとの報告がある。なお、本剤との関連性については検討されておらず、明確ではない。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。

3.
動物実験(イヌ)で制吐作用が認められたため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化する可能性がある。

4.
げっ歯類(マウス、ラット)に104週間経口投与したがん原性試験において、マウス(1mg/kg/日以上)で乳腺腫瘍、下垂体腫瘍、ラット(1mg/kg/日)で乳腺腫瘍の発生頻度の上昇が認められた。これらの所見は、プロラクチンに関連した変化として、げっ歯類ではよく知られている。

薬物動態

生物学的同等性試験
○ブロナンセリン錠2mg「サワイ」
ブロナンセリン錠2mg「サワイ」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成24年2月29日付 薬食審査発0229第10号)」に基づき、ブロナンセリン錠4mg「サワイ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた。1)

○ブロナンセリン錠4mg「サワイ」
ブロナンセリン錠4mg「サワイ」と標準製剤を健康成人男子にそれぞれ1錠(ブロナンセリンとして4mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中ブロナンセリン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、AUCは対数値の平均値の差の90%信頼区間がlog(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、また、Cmaxは対数値の平均値の差がlog(0.90)〜log(1.11)の範囲内であり、かつ、溶出試験で溶出挙動が類似していることから、両剤の生物学的同等性が確認された。2)

血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

○ブロナンセリン錠8mg「サワイ」
ブロナンセリン錠8mg「サワイ」と標準製剤を健康成人男子にそれぞれ1錠(ブロナンセリンとして8mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中ブロナンセリン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。2)

血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

4mg錠各1錠投与時の薬物動態パラメータ

  Cmax(pg/mL) Tmax(hr) T1/2(hr) AUC0-48hr(pg・hr/mL) 
ブロナンセリン錠4mg「サワイ」 238±120 1.8±0.7 16.8±2.9 1531±720 
標準製剤(錠剤、4mg) 222±137 1.7±0.8 17.3±3.1 1532±969 

(Mean±S.D.)


8mg錠各1錠投与時の薬物動態パラメータ

  Cmax(pg/mL) Tmax(hr) T1/2(hr) AUC0-48hr(pg・hr/mL) 
ブロナンセリン錠8mg「サワイ」 653±626 1.5±0.6 16.0±2.2 4495±5747 
標準製剤(錠剤、8mg) 747±707 1.5±0.8 15.8±1.9 4896±5599 

(Mean±S.D.)


薬効薬理

ブロナンセリンは、5-HT2A受容体拮抗作用とD2受容体拮抗作用を併せもつ非定型抗精神病薬である。なお、5-HT2A受容体拮抗作用よりD2受容体拮抗作用がやや強い。3)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
ブロナンセリン(Blonanserin)

化学名
2-(4-Ethyl-1-piperazinyl)-4-(4-fluorophenyl)-5,6,7,8,9,10-hexahydrocycloocta[b]pyridine

分子式
C23H30FN3

分子量
367.50

融点
123〜126℃

構造式

性状
白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。

取扱い上の注意

・安定性試験
PTP包装又はバラ包装したものを用いた加速試験(40℃75%RH、6ヶ月)の結果、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。4)、5)、6)

包装

ブロナンセリン錠2mg「サワイ」:
PTP:100錠(10錠×10)

ブロナンセリン錠4mg「サワイ」:
PTP:100錠(10錠×10)
バラ:500錠

ブロナンセリン錠8mg「サワイ」:
PTP:100錠(10錠×10)
バラ:500錠

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
沢井製薬(株)社内資料[生物学的同等性試験]

2)
田中孝典他,診療と新薬,56(4),282(2019).

3)
田中千賀子他編,NEW薬理学,改訂第7版,南江堂,2017,p.284.

4)
沢井製薬(株)社内資料[安定性試験]

5)
沢井製薬(株)社内資料[安定性試験]

6)
沢井製薬(株)社内資料[安定性試験]

**文献請求先

〔主要文献(社内資料を含む)は下記にご請求下さい〕

沢井製薬株式会社 医薬品情報センター

〒532-0003 大阪市淀川区宮原5丁目2-30

TEL:0120-381-999

FAX:06-7708-8966

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
沢井製薬株式会社

大阪市淀川区宮原5丁目2-30