エスクレ坐剤「250」/エスクレ坐剤「500」
作成又は改訂年月
**2017年3月改訂(第7版)
*2013年2月改訂
日本標準商品分類番号
871123
承認等
販売名
エスクレ坐剤「250」
販売名コード
1123700J1020
承認・許可番号
承認番号
15400AMY00096000
欧文商標名
ESCRE SUPPOSITORIES
薬価基準収載年月
1980年2月
販売開始年月
1980年2月
貯法・使用期限等
貯法
湿気をさけ、冷暗所保存
使用期限
外箱に記載の期限内に使用すること。
規制区分
習慣性医薬品
注1)
注1)注意−習慣性あり
処方箋医薬品
注2)
注2)注意−医師等の処方箋により使用すること
組成
有効成分
抱水クロラール
含量(1個中)
250mg
添加物
グリセリン、香料(エチルバニリン)、ゼラチン、D-ソルビトール、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、マクロゴール400
性状
剤形・性状
微淡黄色透明のレクタルカプセル坐剤
識別コード
HP5250Z(PTPに記載)
販売名
エスクレ坐剤「500」
販売名コード
1123700J2027
承認・許可番号
承認番号
15400AMY00097000
欧文商標名
ESCRE SUPPOSITORIES
薬価基準収載年月
1980年2月
販売開始年月
1980年2月
貯法・使用期限等
貯法
湿気をさけ、冷暗所保存
使用期限
外箱に記載の期限内に使用すること。
規制区分
習慣性医薬品
注1)
注1)注意−習慣性あり
処方箋医薬品
注2)
注2)注意−医師等の処方箋により使用すること
組成
有効成分
抱水クロラール
含量(1個中)
500mg
添加物
グリセリン、香料(エチルバニリン)、ゼラチン、D-ソルビトール、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、マクロゴール400
性状
剤形・性状
微淡黄色透明のレクタルカプセル坐剤
識別コード
HP5500Z(PTPに記載)
一般的名称
抱水クロラール坐剤
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分(ゼラチン等)に対して過敏症の既往歴のある患者
[本剤のカプセルの主成分はゼラチンである。ワクチン類に安定剤として含まれるゼラチンに対し過敏症の患者に、本剤を投与したところ過敏症が発現したとの報告がある。また、本剤投与によりショック様症状を起こした患者の血中にゼラチン特異抗体を検出したとの報告がある。]
2.
トリクロホスナトリウムに対して過敏症の既往歴のある患者
[本剤は、生体内でトリクロロエタノールとなる。]
3.
急性間けつ性ポルフィリン症の患者
[ポルフィリン症の症状を悪化させる。]
効能又は効果
理学検査時における鎮静・催眠
静脈注射が困難なけいれん重積状態
用法及び用量
抱水クロラールとして、通常小児では30〜50mg/kgを標準とし、直腸内に挿入する。
なお、年齢・症状・目的に応じ適宜増減する。
総量1.5gを越えないようにする。
<坐剤の挿入について>
○直腸内への挿入は、図のように矢印の方向に挿入すること。
○使用に際して、カプセル表面または肛門部にゼリー様の油性物質を塗ると挿入が容易になる。あるいは肛門部を水でぬらしてから挿入する(カプセルに水をつけると膨潤・変形して挿入困難になることがある)。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
肝障害、腎障害のある患者
[本剤は肝臓において加水分解され、トリクロロエタノールとなり、また腎臓より排泄されるため、これらの患者では血中濃度の持続・上昇により副作用を増強するおそれがある。]
2.
虚弱者
[呼吸抑制を起こすおそれがある。]
3.
呼吸機能の低下している患者
[呼吸抑制を起こすおそれがある。]
4.
重篤な心疾患又は不整脈のある患者
[心機能抑制により症状を悪化させるおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
呼吸抑制等が起こることがあるので患者の状態を十分観察すること。特に小児では呼吸数、心拍数、経皮的動脈血酸素飽和度等をモニタリングするなど、十分に注意すること。(「慎重投与」、「重大な副作用」、「小児等への投与」の項参照)
2.
トリクロホスナトリウムは、本剤と同様に生体内で活性代謝物であるトリクロロエタノールとなるため、併用により過量投与になるおそれがあるので注意すること。(「過量投与」の項参照)
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1.
中枢神経抑制剤:フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等
モノアミン酸化酵素阻害剤
これらの作用を増強することがあるので、やむを得ず投与する場合には減量するなど慎重に投与すること。
相加的に中枢抑制作用が増強するものと考えられる。
2.
アルコール
これらの作用を増強することがあるので、やむを得ず投与する場合には減量するなど慎重に投与すること。
アルコール脱水素酵素を競合的に阻害し、アルコールの血中濃度を上昇させる。
3.
クマリン系抗凝血剤:ワルファリン等
これらの作用を増強することがあるので併用する場合には、通常より頻回にプロトロンビン値の測定を行うなど慎重に投与すること。
主代謝物であるトリクロル酢酸がワルファリンと蛋白結合部位で置換し、遊離のワルファリンを増加させる。
副作用
副作用等発現状況の概要
1499例中副作用が報告されたのは6例(0.40%)で、その症状は、下痢5件(0.33%)、食欲不振1件(0.07%)、徐脈・呼吸緩徐1件(0.07%)であった。
(承認時及び承認時以降の副作用調査時)
重大な副作用
1. **
無呼吸、呼吸抑制
(頻度不明)
無呼吸、呼吸抑制が起こることがあり、心肺停止に至った症例も報告されているので、呼吸状態の観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
2. **
ショック
(頻度不明)
ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、チアノーゼ、血圧低下、浮腫、全身発赤等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. **
依存性
(頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがあるので観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。
また、連用中の投与量の急激な減少ないし投与の中止により、まれに痙れん発作、せん妄、振戦、不安等の
離脱
症状があらわれることがあるので投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
その他の副作用
1. 過敏症
注)
頻度不明
発疹、紅斑、
そう
痒感
2. 血液
注)
頻度不明
好酸球増多、白血球減少
3. 消化器
0.1〜5%未満
下痢
4. 消化器
0.1%未満
食欲不振
5. 精神神経系
頻度不明
頭痛、めまい、ふらつき、運動失調、興奮、抑うつ、構音障害
6. 循環器
0.1%未満
徐脈
注)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
無呼吸、呼吸抑制が起こり、心肺停止に至った症例も報告されているので、特に慎重に投与及び観察をすること。(「重要な基本的注意」の項参照)
過量投与
徴候、症状
呼吸抑制、徐脈、血圧低下が認められることがある。(「重要な基本的注意」の項参照)
処置
呼吸、脈拍、血圧、経皮的動脈血酸素飽和度の監視を行うとともに、気道の確保等の適切な処置を行うこと。血液透析、血液灌流が有効であったとの報告もある。
適用上の注意
投与時
(1)
本剤は直腸内投与にのみ使用し、経口投与はしないこと。
(2)
本剤挿入後10分以内に排泄され、再投与を行う場合には、その形状が保たれていても、一部吸収されていることが考えられるので、慎重に行うこと。
なお、形状に変化が認められる場合には、再投与を差し控えること。
臨床成績
一般臨床試験としてのべ13施設640例、脳波測定時の催眠を対象とする二重盲検試験として4施設28例の総計668例について臨床試験を実施し、本剤の有用性が認められている。
1)
使用目的別の有効率は、理学検査時の催眠89.5%(510/570)、抗けいれん85.9%(55/64)であった。
薬効薬理
*抱水クロラールは中枢神経系(大脳皮質)に作用し、中枢抑制・催眠作用ならびに抗けいれん作用をあらわす。抱水クロラールは、生体内でトリクロロエタノールに変化し、これが活性物質として中枢抑制作用を示すが、抱水クロラール自身にも中枢抑制作用があり、投与直後の作用は抱水クロラールによるもので、その後の作用はトリクロロエタノールによるものとされている。しかしながら、本剤の薬物動態検討結果及び薬効強度比の文献値(抱水クロラール:トリクロロエタノール=1:1.18)
2)
より、本剤の薬効発現本体はトリクロロエタノールと考えられた。
(1)
イヌに抱水クロラール500mg/kgを直腸投与し、脳波を測定したところ、投与後20〜200分にわたり、麻酔第1〜3期の麻酔深度を示す自発脳波の変化がみられた。
3)
(2)
ウサギに抱水クロラール200〜250mg/kgまたは500〜600mg/kg直腸投与により、I〜IV度(坂本の方法による麻酔深度)の麻酔効果が認められた。
4)
(3)
マウスまたはラットを用い、抱水クロラール500mg/kgを直腸投与し、一般症状を観察したところ、数分以内に運動量の減少、眼瞼下垂、歩行失調及び正向反射の消失がみられた。
3)
(4)
マウスまたはラットに抱水クロラールを直腸内前投与することにより、各種の実験的けいれん発現(電気ショック、ペンテトラゾール、ストリキニーネ、ニコチン)に対する抑制効果が認められた。
3)
有効成分に関する理化学的知見
1.
一般名
抱水クロラール(Chloral hydrate)
2.
化学名
2,2,2-trichloroethane-1,1-diol
3.
分子式
C
2
H
3
Cl
3
O
2
(分子量:165.40)
4.
構造式
5.
性状
無色の結晶で、刺激性のにおいがあり、味は刺激性でやや苦い。
水に極めて溶けやすく、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けやすい。
空気中で徐々に揮散する。
包装
エスクレ坐剤「250」 250mg:30個
エスクレ坐剤「500」 500mg:30個
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
星野道雄他:小児科臨床 30(5)888(1977)
2)
*Cabana, B.E. et al : J.Pharmacol.Exp.Ther.174(2)260(1970)
3)
西川殷維他:薬理と治療 5(1)33(1977)
4)
中嶋敏勝他:奈良医学雑誌 27(2)124(1976)
文献請求先
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