2016年4月(第1版)
承認・届出等
販売名
Aln Vena Cava フィルター(フィルターセット)
添付文書管理コード
22800BZI00007000_A_01
承認番号
22800BZI00007000
承認・認証年月等
平成28年2月
一般的名称
一般的名称
警告
使用方法1.
フィルターの移動または不適切な位置への留置により、三尖弁の機能障害や心拍動障害等を起こしていると思われる場合は、フィルターを専用の回収器具(販売名:Aln Vena Cava フィルター、承認番号:22800BZI 00007000)または外科的処置にて回収すること。
2.
フィルター留置後は、フィルターの回収に伴う操作以外で、フィルターに他の医療機器を通過させることは避けること。[フィルターの移動または破損を引き起こすおそれがある。]
3.
フィルター留置後、必ず経過観察を行い、必要に応じて適切な追加治療を実施すること。
4.
本品は必ず高解像度のX線透視下で使用し、ガイドワイヤー、シース、ダイレーター、フィルター等の操作及び状態を常時確認しながら手技を行うこと。[確認を怠ると、血管損傷につながるおそれがある。]
5.
フィルターの挿入は、必ず本品構成品のシース及びプッシャーを用いて行うこと。[他のシース及びプッシャーを使用した場合、フィルターをシース内に挿入できない、またはシースからのリリース不良等の不具合が生じるおそれがある。]
6.
プッシャーを使用してフィルターを前進させる際に少しでも抵抗を感じた場合は、前進操作を止めること。シースを抜去した後、新しいフィルターを使用して別のアプローチ法に切り替えること。[フィルター脚部がシースを貫通し、血管壁に損傷を与えるおそれがある。]
7.
頸静脈アプローチの際に使用するシース及びダイレーターは、頸静脈アクセスセット内のものを使用すること。同様に、大腿静脈アプローチまたは上腕静脈アプローチの際にも、それぞれ専用のシース及びダイレーターを使用すること。[本品を適切に扱わなかったり、本添付文書を順守しない場合は、フィルターの不適切な留置やシース内の残存、または血管壁損傷のおそれがある。]
8.
一旦フィルター脚部が血管壁に固定された後には、フィルターの抜去または位置修正を試みないこと。[鋭利な脚部により、血管壁または組織の損傷を引き起こすおそれがある。]
9.
本品の長期留置に伴う破損や移動、閉塞等の有害事象が報告されていることから、留置後は定期的にフィルターの状況を確認すること。なお、フィルターの折損等が認められた場合は、その状況に応じて追加処置等の必要性を検討すること。(主要文献1参照)
10.
患者の状態等により、本品を引き続き留置することが医学的に必要とされず、かつ抜去が安全に行えると判断される場合には、抜去することが望ましい。(主要文献1参照)
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禁忌・禁止
1.
再使用禁止
2.
再滅菌禁止
適用対象(患者)次の患者には使用しないこと
1.
フィルター脚部の掛かる下大静脈径が短軸16mm未満または長軸28mmを超える患者(例:うっ血性心不全の患者)[フィルターが固定できないおそれがある。] 2.
敗血性(細菌性)塞栓症の危険性がある患者 3.
下大静脈の完全閉塞を発症している、または下大静脈にアクセスできない患者 4.
フィルターに使用されている金属材料に対して、アレルギー反応を起こす患者[アレルギー反応を起こすおそれがある。必ず問診を行い、本品による治療の妥当性について検討を行うこと。] 5.
右心房(頸静脈アプローチまたは上腕静脈アプローチの場合)、静脈穿刺部、腸骨静脈内、下大静脈内に血栓が存在する患者[本品操作中に血栓遊離または血栓塞栓を生じるおそれがある。血栓の有無の確認は、静脈造影またはドップラー等で行うこと。] 6.
血液凝固異常を有する患者で、経皮挿入をする場合[組織が損傷して出血した際に、止血できないおそれがある。] 7.
妊娠、腹部腫瘍等で下大静脈が極度に変形するおそれがある場合 8.
小児または若年の患者で、生存期待期間が有意にフィルターの臨床使用経験よりも長い場合[臨床データ等での長期的な安全性が確立されていない。]
併用医療機器1.
本品の回収においては、専用の回収器具以外は使用しないこと。[本品が破断するおそれがある。]
2.
有機溶剤を含んだ薬剤及び油性造影剤の使用、併用はしないこと。[本品が破損する可能性がある。(相互作用の項参照)]
使用方法1.
本品は腎静脈分岐部にかけて留置しないこと。[本品が折損する可能性がある。]
2.
フィルターを腎静脈分岐部より上の下大静脈に留置しないこと。
3.
下大静脈内の所定部位にフィルター留置を行う時以外は、フィルターのリリース操作を行わないこと。[一旦血管内にリリースされたフィルターは、シース内に再収納することができない。]
4.
留置後11日以上経過したフィルターの回収は行わないこと。[フィルター脚部が下大静脈壁に癒着するため、回収を試みるとフィルターや血管壁を損傷するおそれがある。]
5.
消毒用アルコール、グルコン酸クロルヘキシジン水溶液等、有機溶剤を含む薬剤への浸漬、または薬剤による拭き取りをしないこと。[本品の破損、破断が生じる可能性がある。(相互作用の項参照)]
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形状・構造及び原理等
形状
本品には、大腿静脈アクセスセット、頸静脈アクセスセット、及び上腕静脈アクセスセットがあり、それぞれ以下の構成品を含む。
1.
フィルター挿入器具(フィルターがセットされている)
フィルター材質:ステンレススチール
2.
穿刺針
3.
ガイドワイヤー
長さ:150cm (大腿静脈及び頸静脈アクセスセット)、180cm (上腕静脈アクセスセット)、外径:0.89mm (0.035インチ
4.
シース/ダイレーター
シース長:60cm (大腿静脈及び頸静脈アクセスセット)、120cm (上腕静脈アクセスセット)、シース内径:2.3mm (7Fr.)
5.
プッシャー
原理
経皮的な手技で下大静脈内に挿入留置し、血栓を捕獲し、肺塞栓を防止する。
使用目的又は効果
本品は、肺塞栓を予防する目的で末梢静脈からの血栓を捕獲する「下大静脈フィルターセット」と、フィルタを回収するための「回収キット」である。本品の「下大静脈フィルターセット」は、以下の要件を満たす患者を対象にしているが、肺塞栓のリスクが消失した場合は、留置後10日以内に限り「回収キット」を用いて体内から回収することができる。
・血管径が28mm以下であること 及び
・抗凝固剤が禁忌である肺血栓塞栓症 または
・抗凝固療法が無効な血栓塞栓症 または
・肺塞栓症に対する通常の治療により望ましい結果が得られない、緊急治療を要する肺塞栓症 または
・抗凝固療法が無効又は禁忌である慢性あるいは再発性肺塞栓症
使用方法等
患者の準備
1.
通常、全身ヘパリン化法は手技前に中止しておく。
2.
フィルターの挿入に先立ち、下大静脈造影を行い、下大静脈の開存度及び径、血栓の有無、先天性異常の有無、腎静脈の位置、血管走行、側副血管等の確認を行う。腎静脈の位置は、X線不透過定規やマーカーにより皮膚上に印を付けておく必要がある。
麻酔及び穿刺
1.
ガイドワイヤーホルダーの端部に付いているフラッシュポートからヘパリン加生理食塩液または適切な等張液を注入し、ホルダー内全体を満たす。
2.
穿刺針を通して、ガイドワイヤーを先端の柔軟な側から挿入する。X線透視下で、ガイドワイヤーに折れやループが生じていないことを確認する。
3.
ガイドワイヤー先端が腎静脈を超えるよう、すなわち留置予定部位の上方まで(頸静脈アプローチまたは上腕静脈アプローチの場合は留置予定部位の下方まで)挿入する。
4.
ガイドワイヤーの位置を保持したまま、穿刺針を抜去する。
5.
ガイドワイヤーに沿って3〜4mmの皮膚切開を行い、シース/ダイレーターの挿入をし易くする。
シース/ダイレーターの挿入
1.
シース及びダイレーターをヘパリン加生理食塩液または適切な等張液でフラッシュし、空気を除去する。
2.
シース/ダイレーターを一体にして、ガイドワイヤーに沿わせて挿入する。シースの先端が、腎静脈直下(頸静脈アプローチまたは上腕静脈アプローチの場合は総腸骨静脈分岐部の近傍)に到達するまで進める。
3.
ガイドワイヤーを抜去する。
4.
ダイレーターのハブを反時計方向に回した後、ダイレーターを抜去する。
5.
シースを更に数cm慎重に進める。X線透視下で腎静脈を視認し、適切な留置予定部位を確認する。
フィルターの挿入
1.
ヘパリン加生理食塩液または適切な等張液でシースをフラッシュする。
2.
フィルター挿入器具のキャップを外した後、シースのハブに真っ直ぐに差し込み、時計方向に1/4回転させてハブに固定する。
3.
フィルター挿入器具内にセットされているフィルターを、シース内にゆっくりと慎重に押し込み、完全に挿入する。
4.
空になったフィルター挿入器具を反時計方向に1/4回転させた後、シースから取り外す。
5.
空になったフィルター挿入器具を反時計方向に1/4回転させた後、シースから取り外す。
6.
プッシャー上の黒色マーカーがシースのハブの位置に到達するまで、フィルターを前進させる。
フィルターの留置
1.
フィルターの留置予定部位を最終確認する。シースのマーカーが低位腎静脈直下(頸静脈アプローチまたは上腕静脈アプローチの場合は低位腎静脈から6cm下方)に位置するよう調整する。
2.
プッシャーを保持したまま、シースをゆっくりと慎重に手元側へ約5.5cm引き戻して、フィルターをリリースする。
3.
プッシャーを抜去した後、大静脈造影を行い、フィルターの留置位置を確認する。
4.
シースを抜去した後、穿刺部位を圧迫止血する。
5.
フィルター留置から24時間後にX線検査を実施する。
留置後の回収方法
1.
留置後、肺塞栓発症リスクが消失した場合、または医師が回収の必要があると判断した場合は、10日以内であれば、フィルターを回収することができる。
2.
具体的な回収の手順は、専用の回収器具(販売名:Aln Vena Cava フィルター、承認番号:22800BZI000070 00)の添付文書を参照すること。
使用方法に関連する使用上の注意
1.
適正な留置位置を決定するために、大静脈造影(前後像及び側面像)を必ず行うこと。造影の結果、下大静脈の形状またはサイズに関して何らかの疑いがある場合は、撮像角度を変える等してより詳細な検査を実施すること。
2.
上腕静脈アプローチでフィルターを挿入する場合、血管径に問題が無ければ、尺側皮静脈からの挿入が望ましい。[橈側皮静脈より血管の屈曲が少ないため。]
3.
シース内をフラッシュする時、空気が入らないようにすること。フラッシュが不十分な場合、フィルターの内部に血栓が形成され、フィルター脚部が絡まり、フィルターをリリースした際に、完全に開かないことがある。
4.
フィルターを留置する場合は、留置後の固定が困難となるおそれ及び回収できなくなるおそれがあるので、以下の点に注意すること。
4.
・下大静脈の強い屈曲蛇行
・フィルター留置時の傾斜
・フィルター上部の下大静脈壁への接触(2方向からX線透視を行いながら留置すること)
5.
フィルター留置中に開腹手術を行う際、フィルターが留置されている下大静脈に直接触れないこと。[下大静脈に触れることでフィルター脚部が外れ、フィルターが移動したり、捕獲した血栓が遊離して肺塞栓につながるおそれがある。]
6.
フィルターをリリースする際は、フィルターが不用意にシースから飛び出さないように細心の注意を払い、プッシャーの位置を動かさないよう保持したまま、シースをスムーズに手前へ引き戻すこと。[途中でリリース動作を中止すると、シース内に留まっているフィルターに血栓が付着し、フィルターがリリースできない、またはフィルター脚部が十分展開できない可能性がある。また、フィルターが大きく傾斜して留置された場合(傾斜角度15?以上)、血栓捕捉効果が減少するため、2個目のフィルター留置等を慎重に検討する必要がある。]
7.
フィルターの留置後、12時間はベッドで安静の状態にしておくこと。
使用上の注意
重要な基本的注意
1.
本品は、体の右側から挿入すること。また、シースの挿入は、患者の解剖学的見地や病態等から適切な挿入経路を選択すること。[本品は体の右側からの挿入用に設計されている。特に、左大腿静脈は屈曲が大きいため、シースが折れ曲がり、挿入困難が生じるおそれがある。]
2.
ガイドワイヤーは、フィルター留置予定部位を確実に超えた位置まで進め、このガイドワイヤーに被せてシース/ダイレーターを挿入すること。また、シース/ダイレーターを所定位置へ留置後、ガイドワイヤー及びダイレーターを抜去すること。[ダイレーターとガイドワイヤーが入った状態では、フィルターをシース内へ挿入することはできない。]
3.
ダイレーターがセットされていない状態でシースを操作する場合は、必ずシースのハブ部分を把持して操作すること。[シースのシャフト部分を把持すると内腔が扁平し、フィルターの挿入やプッシャーでの押し込みができない可能性がある。]
4.
フィルター挿入器具をシースに接続する際は、斜めに固定せず、最後まで固定すること。また、フィルターをシース内に挿入する時は、フィルター挿入器具のピストンを最後まで十分に押し込むこと。[フィルターをシース内へ挿入できない可能性がある。]
5.
フィルターをフィルター挿入器具からシース内に挿入する場合、及びプッシャーを用いて前進させる場合は、必ずシースの手元部分を真っ直ぐな状態にし、ハブ部分を把持した状態で行うこと。[シースが曲がっている等、内腔が扁平または潰れた状態では、フィルターを挿入できず、シースがキンクして、フィルターがシースを穿通する可能性がある。]
6.
留置部位の血栓付着や側副血管への誤留置等が原因と考えられるフィルター脚部の不完全開放について報告がある。万一、フィルター脚部が不完全開放となった場合には、患者の容体を観察考察し、留置したフィルターの回収や追加のフィルター留置を慎重に検討すること。
7.
同梱する患者カードに医師が必要事項をもれなく記入し、患者に常時携帯させること
8.
急性・慢性肺塞栓症のリスクを有する患者、あるいは肺塞栓症のリスクの高い患者(深部静脈血栓症(DVT))に対して、適切な追加治療(薬物治療・カテーテル治療・外科的治療等)を検討すること。[フィルターが一時的(短期的)に血栓等を捕捉していても、リスクとして肺塞栓症を再発することが報告されている。]
9.
フィルター内に血栓を捕捉している場合は、フィルターの回収を行わないこと。[捕捉した血栓が回収時にフィルターから押し出されて遊離し、肺塞栓につながるおそれがある。]
10.
フィルターの穿孔部からの出血または血腫の際には、線溶抗凝固薬剤の投与を調整すること。[大量の出血及び血腫増大のおそれがある。]
11.
フィルター挿入器具内のフィルターをシースに挿入する前に、フィルター挿入器具からフィルターを取り出さないこと。また、一旦フィルター挿入器具から出たフィルターを、フィルター挿入器具内に戻さないこと。[フィルターの形状及び機能が損なわれるおそれがある。]
12.
以下の場合には、フィルターの移動を引き起こすリスクが高くなるため注意すること。
12.
・胸・腹部等の大手術
・血行動態変化を伴う可能性のある手技
13.
大静脈造影を行う際には、必ずガイドワイヤー及びダイレーターを抜去すること。[下大静脈の損傷につながるおそれがある。]
14.
MRI適合性
ASTM F2503に準拠した非臨床試験により、本品はMR Conditional (条件付きでMR装置に対する適合性がある)であることが証明されている。次の条件下においては、安全にスキャンを実施することができる。
・静磁場:3.0テスラ以下
・空間勾配磁場:720ガウス/cm以下
・通常操作モード
・最大全身平均比吸収率(SAR):15分間のスキャニングで3.0W/kg
<発熱性>
3.0T MRシステム(Excite, Software G3.0-052B, General Electric Healthcare)を使用した試験での15分間のMR画像化において、最大全身平均比吸収率(SAR) 3.0W/kgでは最大温度上昇0.7?Cが生じた
<アーチファクト>
関心領域が留置されたフィルターと同じまたは近傍にある場合、MR画像に影響を及ぼす可能性がある。このため、留置されたフィルターに対してMR画像パラメータの最適化が必要となる場合がある。
<磁場相互作用>
静磁場環境において3.0T MRシステム(Excite, General Electric Healthcare)
本品を取り付けた試験装置を静磁場からトルク影響が最大となるMRシステム中心部へ配置した時、本品が磁場環境から影響を受ける傾きが22?であった。
相互作用(他の医薬品・医療機器等との併用に関すること)
併用禁忌(併用しないこと)
不具合
本品の使用に伴い、以下のような不具合が発生する場合がある。
・フィルターの移動
・フィルターの不正確なリリースまたは誤留置
・フィルターの不完全開放
・フィルターの破損、損傷
・ガイドワイヤーまたはシースの破損
・シースの抜去困難
有害事象
本品の使用に伴い、以下のような有害事象が発生する場合がある。
・血栓の心臓や肺への移動による死亡
・本品操作中の血栓遊離による肺塞栓症
・再発性肺塞栓症
・フィルターに形成された血栓による大静脈血流の完全遮断
・大静脈、隣接血管または臓器の穿孔
・血管損傷
・フィルターの傾斜留置による血栓捕捉効果の減少
・穿刺部位での血腫または出血
・穿刺部位での血栓
・深部静脈血栓症
・フィルター挿入中の空気塞栓
・感染
・アレルギー反応
・造影剤による腎障害
妊婦、産婦、授乳婦への適用
1.
妊婦及び妊娠の可能性がある患者については、X線被爆が胎児に影響を与える可能性があるため、フィルター留置は行わないこと。[本品はX線透視下で留置を行うため。]
保管方法及び有効期間等
保管方法
・水濡れに注意し、日光・蛍光灯・紫外線殺菌装置等の光、高温及び多湿を避けて室温で保管すること。
耐用期間・使用期間
・被包に記載。
主要文献及び文献請求先
主要文献
1.
平成22年12月3日付け薬食安発1203第2号/薬食機発1203第1号「下大静脈フィルターに係る添付文書の改訂指示等について」
文献請求先
問い合わせ先
株式会社メディコスヒラタ
電話番号
06-6443-2288
製造販売業者及び製造業者の氏名又は名称等
氏名又は名称(製造販売業の種別)
株式会社メディコスヒラタ
第一種医療機器製造販売業
住所等
電話番号
06-6443-2288