(1→3)-ベータ-D-グルカンキット

β−グルカンテストマルハ


作成・改訂年月

2008年4月作成(第1版)

薬効分類名

<体外診断用医薬品>

一般的注意事項

この添付文書をよく読んでから使用してください。

承認・届出等

販売名

β−グルカンテストマルハ

添付文書管理コード

21300AMZ00415000_A_01

製造販売承認番号

21300AMZ00415000

承認・認証年月等

平成13年5月

一般的名称

一般的名称
43226000
(1→3)-ベータ-D-グルカンキット

警告

(記載なし)

重要な基本的注意

(記載なし)

全般的な注意

(1)本製品は、体外診断用でありそれ以外の目的に使用しないで下さい。

(2)測定結果に基づく診断は、臨床症状や他の検査結果等と合わせて担当医師が 

総合的に判断して下さい。

(3)この添付文書に記載された使用方法に従って使用して下さい。記載された使

用方法及び使用目的以外での使用については、測定値の信頼性を保証致しかねます。

(4)測定機器は取扱説明書に従い、適切な条件下で使用して下さい。

形状・構造等(キットの構成)

反応試薬セット
反応試薬(3.2mL用)

 カブトガニ血球抽出物   1バイアル中 1.5mL

 Boc-Thr-Gly-Arg-11D(正式名;t-ブチルオキシカルボニルスレオニルグリ 

 シルアルギニン-p-(N-エチル,N-β-ヒドロキシエチル)アミノ

 アニリド)    1バイアル中 1.9mg

反応試薬溶解液(4.0mL)

  緩衝剤他を含有

発色液セット
発色液1(40mL)

  N,N-ジエチルアニリン   1バイアル中 37.1mg

  界面活性剤を含有

発色液2(4.0mL)

  酸化剤を含有

使用目的

血漿または血清中の(1→3)-β-D-グルカン濃度の測定

測定原理

 反応試薬に含まれる(1→3)-β-D-グルカン感受因子(G因子)に(1→3)-β-D-グルカンが作用することにより、(1→3)-β-D-グルカン依存性のカブトガニ血液凝固反応カスケード系が活性化されます。この反応により生じる活性型凝固酵素によりBoc-Thr-Gly-Arg-11DからN-エチル-N-β-ヒドロキシエチル-p-アミノアニリン(11D)が遊離します。発色液の添加により遊離した11DとN,N-ジエチルアニリンを酸化縮合します。この酸化縮合生成物を比色定量することで検体中の(1→3)-β-D-グルカン濃度を測定します。

操作上の注意

1.検体
(1)血漿を検体として用いる場合は、抗凝固剤としてヘパリン(日本薬局方ヘパ

リンナトリウム注射液)を使用して下さい。

(2)検体採血時、血漿あるいは血清分離時の(1→3)-β-D-グルカンによる汚染

に注意して下さい。

2.妨害物質等
(1)測定中の環境あるいは使用する器具に由来する(1→3)-β-D-グルカンによ

る汚染により、測定値に影響を受ける場合があります。発色液添加前までの操作に関しては(1→3)-β-D-グルカンによる汚染に十分注意してください。使用する器具は(1→3)-β-D-グルカンによる汚染のないものを使用して下さい。

(2)(1→3)-β-D-グルカンを主成分とする薬剤(レンチナン,シゾフィラン)

の投与、及びセルロース系透析膜による血液透析は測定値に影響を与えます。

(3)ST合剤の投与は測定値に影響を与えません。

(4)20mg/dLを超えるビリルビンはわずかに負誤差を与えます。

用法・用量(操作方法)

1.試液の調製方法
(1)反応試薬溶液

ゴム栓の内側に手をふれないように注意して、バイアル瓶を開栓します。反応試薬の1瓶に反応試薬溶解液3.2mLを加えて緩やかに撹拌し溶解します。使用直前に調製して下さい。

(2)発色液

発色液1の1瓶に発色液2の1瓶の内容物全量を加えて混合します。調製後は2〜10℃保存で7日間使用できます。

2.必要な器具・器材
・マイクロプレートインキュベーター(37℃及び75℃での加温が可能なもの)

・マイクロプレートリーダー(730nm及び650nmの二波長で吸光度測定が可

 能なもの)

・マイクロプレート((1→3)-β-D-グルカンによる汚染のないもの)

・ピペット((1→3)-β-D-グルカンによる汚染のないもの)

・チップ((1→3)-β-D-グルカンによる汚染のないもの)

・ボルテックスミキサー

・マイクロプレートミキサー

3.標準品
標準品はβ-グルカンテストマルハ用標準品セット(別売品)を使用してください。

(1)標準品セットの内容

標準品       2.0mL用×5

 レンチナンを含有、含量はロットごとに異なります。

(1→3)-β-D-グルカン含量の表示値を瓶ラベルに表示しています。

 レンチナン1ngは表示値0.8pgに相当します。

標準品溶解液    5.0mL×5

(2)標準液の調製方法

ゴム栓の内側に手をふれないように注意して、バイアル瓶を開栓します。標準品の1瓶に標準品溶解液2.0mLを正確に加え、ボルテックスミキサー等を用いて約1分間撹拌溶解します。調製後保存する際はゴム栓をし2〜10℃で保存し、7日間以内に使用して下さい。調製後保存したものを使用する際は、使用前に約1分間激しく撹拌してから使用してください。

4.測定操作法
(1)前処理液の調製

前処理液はβ-グルカンテストマルハ用前処理液セット(別売品)を使用してください。

ゴム栓の内側に手をふれないように注意して、バイアル瓶を開栓します。前処理液2の1瓶に前処理液1の1瓶の内容物全量を加えて混合します。調製後保存する際はゴム栓を2〜10℃で保存し、7日間以内に使用して下さい。

(2)検体前処理

マイクロプレートのウェルに血漿又は血清5μLを分注し、前処理液45μLを加え撹拌後75℃で15分間加温します。加温後室温に約10分間以上静置し放冷します。これを前処理検体(試料)とします。

(3)標準操作法

標準品溶解液(試薬盲検)あるいは標準液50μLを試料の入っていないウェルに分注します。試料、試薬盲検及び標準液に反応試薬溶液50μLを加え撹拌後37℃で30分間反応します。反応時間経過後直ちに発色液100μLを加えます。発色液は界面活性剤を含んでおり泡立ちやすいので、泡立たないよう注意して添加して下さい。十分に撹拌した後、主波長730nm、副波長650nmで吸光度を測定します。吸光度測定の際にはマイクロプレートの蓋をはずして下さい。

(4)結果の算出方法

次式により検体中の(1→3)-β-D-グルカン濃度を算出します。

  CSpl:検体中の(1→3)-β-D-グルカン濃度

  CStd:標準液の(1→3)-β-D-グルカン濃度         

    (標準品の瓶ラベルに記載)

  ASpl:試料の吸光度(A730 - A650

  ABl:試薬盲検の吸光度(A730 -A650)

  AStd:標準液の吸光度(A730 - A650)

  ※ :検体前処理の段階で10倍に希釈されていますので、検

    量線から求めた値を10倍にします。

測定結果の判定法

参考カットオフ値 11pg/mL ((1→3)-β-D-グルカンとして)

性能

1.感度
(1)(1→3)-β-D-グルカン 0pg/mLの標準液を試料として操作した場合の吸

光度は0.07以下です。

(2)既知濃度の標準液を試料として検量線を作成するとき、(1→3)-β-D-グル

カン8.0pg/mLに対する吸光度は0.4〜1.6の範囲内です。

2.正確性
既知濃度の管理用血漿を測定するとき、既知濃度の±20%以内にあります。

3.同時再現性
同一検体を4回同時に測定するとき、測定値のCV値は7%以下です。

4. 測定範囲
(1→3)-β-D-グルカン濃度の測定範囲は0.12〜12pg/mLです。検体中の(1→3)-β-D-グルカン濃度は、検体の前処理によって10倍に希釈されますので、1.2〜120pg/mLです。

【相関性】

検体 血漿 血清 
相関係数 r=0.954(n=138) r=0.956(n=59) 
回帰式 y=0.944x+1.5 y=0.966x+0.2 
本品(pg/mL) 本品(pg/mL) 
A社製品
(比濁時間分析法、pg/mL) 
A社製品
(比濁時間分析法、pg/mL) 

使用上又は取扱い上の注意

取扱い上(危険防止)の注意

(1)試薬が誤って目や口に入った場合には、直ちに大量の水で十分に洗い流す等

の応急処置を行い、必要があれば医師の手当等を受けて下さい。

(2)真菌、細菌、ウィルス等の感染を避けるため、血液検体の取扱いには十分注

意して下さい。

(3)ピペット使用の際は必ず安全ピペッター等を使用し、直接口で吸わないよう 

にして下さい。

(4)バイアル瓶の開栓時にアルミキャップによる怪我をしないよう慎重に行って

下さい。

使用上の注意

(1)試薬は指定された条件で保管し、使用期限を過ぎたものは使用しないで下さ

い。

(2)試薬の調製後はなるべく早く使用し、保存する場合は蓋を閉めて[用法・容

量(操作法)]欄に記載の貯蔵方法で保存して下さい。

(3)反応試薬溶液は使用直前に調製して下さい。溶解後の保存については品質を

保証致しかねます。

(4)発色液1は3%ドデシル硫酸ナトリウムを含んでいますので冷蔵保存により

凝固する場合がありますが、品質には影響ありません。室内温度に静置し内容物が完全に溶解しているのを確認しそのまま使用して下さい。

(5)指定された反応温度、反応時間以外での使用は避けて下さい。

(6)検量線作成は必ず別売品のβ-グルカンテストマルハ用標準品セットを使用

して下さい。

(7)検体の前処理液は必ず別売品のβ-グルカンテストマルハ用前処理液セット

を使用して下さい。

(8)120pg/mLを超える検体については、前処理した検体を標準品溶解液で希釈

して測定して下さい。得られた値に希釈倍数を乗じたものが測定値となります。

(9)測定操作時には(1→3)-β-D-グルカンによる汚染に注意して下さい。

(10)市販の真空採血管、チップ、ピペット、マイクロプレートは(1→3)-β-D-

グルカンの汚染がないことを確認してから使用して下さい。

(11)試薬盲検の吸光度が0.07を超える場合は使用器具あるいは操作上の汚染

の可能性があります。汚染に対する対策を行ってから、再度測定を行って下さい。

(12)測定ごとに試薬盲検と標準液の測定を行い検量線を作成して下さい。

廃棄上の注意

(1)廃棄に関しては、廃棄物あるいは廃水それぞれの基準に基づいて適切に処理

して下さい。

(2)検体と接触した器具類などの感染性廃棄物については、廃棄物に関する規定

に従い適切に処理して下さい。

貯蔵方法、有効期間

貯蔵方法

 2〜10℃保存

有効期間

 3箇年間  *外箱及びバイアル瓶に記載してあります

包装単位

Code No.       品  名          包装

473-03431 β-グルカンテストマルハ反応試薬セット 3.2mL用×5

470-03441 β-グルカンテストマルハ 発色液セット  44mL用×5

主要文献

主要文献

(1)Mori, T. and Matsumura, M., Clinical evaluation of diagnostic

methods using plasma and/or serum for three mycoses :aspergillosis, candidosis, and pneumocystosis, 日本医真菌学会雑誌,40,223-230(1999)

(2)山口英世,他,「病原真菌学」,79-91,南山堂,(1987)

(3)Morita, T. Tanaka S., Nakamura, T. and Iwanaga, S., A new(1

→3)-β-D-glucan coagulation pathway found in Limulus amebocyte, FEBS Lett., 129, 318-321,(1981)

(4)Muta, T., Seki, N., Takaki, Y., Y., Hashimoto, R., Oda, T.,

Iwanaga, A., Tokunaga, F., and Iwanaga, S., Purified horseshoe crab factor G, J. Biol. Chem., 270, 892-897,(1995)

(5)Kitagawa, T., Tsuboi, S., Kimura, S. and Sasamoto, Y.,

Rapid method for preparing β-glucan-specific sensitive fraction from Limulus(Tachypleus tridentatus)amebocyte lysate, J. Chromato. Biomed. Appli., 567, 267-273,(1991)

製造販売業者の氏名又は名称及び住所

氏名又は名称(製造販売業の種別)

株式会社マルハニチロ食品

第二種医薬品製造販売業

住所等

東京都千代田区大手町一丁目1番2号

電話番号

03-3216-1440

問い合わせ先

氏名又は名称
株式会社マルハニチロ食品化成食品事業部

住所等
茨城県つくば市和台16−2

電話番号
029-864-3665