クラスII汎用検査用シリーズ

エームス尿検査試験紙

シリーズ品

作成・改訂年月

**2013年4月改訂(第3版)

*2008年10月改訂(第2版)

薬効分類名

体外診断用医薬品

一般的注意事項

この添付文書をよく読んでから使用ください

承認・届出等

販売名

エームス尿検査試験紙

識別記号
アトラス試薬カートリッジ 10

添付文書管理コード

16100AMZ03365000_A_01

製造販売承認番号

16100AMZ03365000

製造販売承認年月

昭和61年5月

一般的名称

一般的名称
80001002
クラスII汎用検査用シリーズ

全般的な注意

・本品は体外診断用ですので、それ以外の目的に使用しないでください。

・診断は他の関連する検査結果や臨床症状等に基づいて総合的に判断ください。

・添付文書以外の使用法については保証しません。

・ヒト由来成分を含む試薬は、感染性のあるものとして使用ください。

・機器の取扱説明書をよく読んでから使用ください。

・適切な手袋及び目/顔防御マスクを使用し測定ください。

**形状・構造等(キットの構成)

アトラス 試薬カートリッジ10には、白血球、亜硝酸塩、ウロビリノーゲン、ケトン体、潜血、pH、たん白質、ビリルビン、ブドウ糖の9項目の試験部分と色調検査用の濾紙が貼付されています。本試験紙カートリッジは試薬ロールとして巻かれており、プラスチック製容器にアルミフォイルでシール包装されています。
エームス尿検査試験紙による検査結果からは糖代謝(糖尿病等)、腎機能、肝機能、酸塩基平衡、尿路感染等に関する有用な情報が得られます1〜3
診断は他の関連する検査結果や臨床症状等に基き、必要に応じて、尿沈渣顕微鏡検査を実施し、総合的に判断ください。1,4
クリニテック アトラス システムは、反射分光分析の原理と試薬を利用し、定性、半定量的に測定結果を得ることができます。機器は尿検体の色調、混濁、比重を計算し報告します。得られる結果の詳細は機器の取扱説明書を参照ください。
本品を機器に装填する前に、機器の取扱説明書と校正キットの取扱説明書を熟読ください。正しい結果を得るために添付文書及び取扱説明書の記載に従って正しい操作を行ってください。

本試薬の各試験部分は下記の成分を含有しています。

使用目的

尿中の白血球、亜硝酸塩、ウロビリノーゲン、ケトン体、潜血、pH、たん白質、ビリルビン、ブドウ糖の検査

測定原理

**操作上の注意

本品はクリニテック アトラス/クリニテック アトラスXL(クリニテック アトラス シリーズ)の専用試薬です。

1.
測定試料の性質、採取法

・尿は必ず清浄な容器に採取し、採尿後できる限り速やかに検査ください。早朝第一尿が望ましいですが、随時尿でも測定できます。ビリルビンやウロビリノーゲン検査では、室温ならびに光に極めて不安定なため、採尿後2時間以内に検査を行ってください。採尿後2時間以内に検査できない場合は、直ちに冷蔵し、検査前に室温に戻してください。検査実施場所や採尿容器保管場所は洗剤類や他の汚染物質がないようにしてください5

・検体は測定前によく攪拌ください。尿検体は遠心分離をしないでください。適切にラベルを添付したユーリン・テック等の試験管に最低2mLの検体を入れて、サンプルトレイもしくはサンプルラックにおいてください。6時間以内に検査できる場合は更なる攪拌は必要ありません。機器の取扱操作説明書の記載に従って測定を行ってください。

・亜硝酸塩検査は早朝第一尿あるいは膀胱内に4時間以上貯留した検体を使用すれば信頼しうる結果が得られます。色素の沈殿物は亜硝酸塩試験部分に偽陽性をもたらす可能性があります。

・室温に長く放置された尿は細菌の繁殖によってpH値が変化します。このような尿のpHはアルカリ性側に偏り、たん白質試験部分の偽陽性の原因となります。

・肉眼的に粘液状もしくは血尿の尿検体は使用しないでください。検体の上部に大量の気泡がある場合も分注のエラーや検査結果に影響を及ぼす可能性があります。


2.
妨害物質・妨害薬剤

・試験結果に影響が出る可能性があるため、全ての尿防腐剤は推奨できません。クロルヘキシジンを含む殺菌消毒剤が尿中に混入すると、たん白質(ビリルビン試験部分も若干影響されます)の検査結果に影響を及ぼすことがあります。クロルヘキシジンを含む物質が採尿容器に含まれていると、潜血や亜硝酸塩検査にも影響を及ぼすことがあります。

・肉眼的血尿、ビリルビン尿や色素系薬物(例:ピリジウム、アゾガントリシン、アゾガンタノール)、ニトロフラントイン(マクロダンティン、フラダンティン)やリボフラビンのような着色尿の原因となる物質は、尿検査試験紙の測定に影響を及ぼす可能性があります。正常尿中に認められるアスコルビン酸の濃度は本測定を妨害しません。

・ウロビリノーゲン、白血球試験部分は、温度による反応性が亢進します。機器の取扱操作説明書に従い、適切な環境温度で測定ください。

・ブドウ糖を含有する尿では、細菌がブドウ糖を酸化するためにpHが低下することがあります。細菌が繁殖すると細菌のペルオキシダーゼの作用により、潜血の検査結果が偽陽性を呈することがあります。

・普通採尿による婦人尿では、膣分泌物など尿路以外より混入した白血球により陽性反応を呈することがあります。


3.
特異性
特異性は臨床分析試験に基づき、いくつかの因子(判定方法、尿色調、比重、pH、照度など)によって決まります。

**用法・用量(操作方法)

操作法の詳細は機器の取扱説明書を参照ください。

1.
試薬の調製法
試薬ロールを機器にセットする場合には、ディスプレイのプロンプトの指示に従ってください。取扱操作説明書と機器のドア内部に貼付されている装填図を参照ください。

(1)
メインメニューで“4.試薬の装填と取り外し(Load Reagent)”を選択ください。

(2)
“送り(ADVANCE)”と表示されているソフトキーを押して、古い試薬ロールのテープを機器のリードヘッドの下から外してください。テープが試薬巻取部に巻き取られたことを確認した後、“次へ(CONTINUE)”と表示されているソフトキーを押してください。

(3)
新しい試薬ロールのロット番号を入力ください。

(4)
機器のドアを開け、使用済みの試薬ロールを取り外し、検査室の廃棄基準に従って廃棄ください。装填図中の“F.試薬ガイドロッド”を清掃ください。プラットホームを外しリードヘッドを清掃後プラットホームを戻してください。試薬収納部を開け、使用済みの乾燥剤を取り除いてください。ハンドルを反時計回りに回して“B”を確実に押し下げてください。

(5)
試薬カートリッジの容器から新しい試薬ロールを取り出します。容器を開ける際には指などを傷つけることがないよう、容器の枠に沿って、十分に注意してアルミフォイルを切り取ってください。その際ロール中央部にセットされている乾燥剤が移動しないように注意ください。

(6)
透明なプラスチック製のテープリーダーが反時計回りで送り出される方向で試薬ロールの一部分を試薬収納部に挿入します。
注:テープリーダーの先端が“A”の下の位置にあることを確認ください。(装填図を参照ください)

(7)
この時片手でロールを支えながらロール固定用のテープをテープリーダーから取り外してから完全に試薬ロールを試薬収納部の奥まで押し込んでください。

(8)
試薬ロール装填図を参照しながら、試薬ロールを機器に装填ください。

1)
プラスチック製のテープリーダーを“A”の下、“C”の下、“D”の中、“E”の上、“F”の下を通してください。

2)
“G”のスロットにテープリーダーの先端を挿入ください。スロット中にテープリーダーがかみ合っていることを確認しながら、テープリーダーの穴が“C”のピンにかみ合わさるまで反時計方向に“G”を回してください。

3)
“B”を確実に上げ、固定されるまでハンドルを時計方向に回してください。試薬テープが送り始めるまで“次へ(CONTINUE)”を押してください。

4)
試薬テープ送りが停止した時、テープリーダーの穴が“E”のピンとかみ合っていることを確認ください。最初の試験紙が現れるまで“次へ(CONTINUE)”を再度押してください。最初の試験紙が検知されると機器は自動的に停止します。

5)
試薬収納部のドアを確実に閉めてください。


(9)
廃液ボトルを空にし、洗浄ボトルに洗浄液を満たして機器にセットし、機器のドアを閉めてください。

(10)
ディスプレイの指示に従って、校正を実施ください。

(11)
ディスプレイの指示に従って検体を測定ください。


2.
必要な器具・器材・試料等

・クリニテック アトラス シリーズ

・アトラス校正キット

・アトラス ポジティブコントロール

・アトラス ネガティブコントロール

・ユーリン・テック試験管セット

・メンテナンスクリーナー

・精製水


3.
精度管理
(精度管理の頻度に関しては行政当局の規制や許可条件に従ってください。)
正しい検査結果を得るために、定期的に既知濃度の陰性及び陽性検体あるいはコントロール尿を用いたチェックを実施ください。検査者に知らせずに日常の検体中にコントロール尿を組み入れることもできます。陰性検体のコントロールとして水は使用しないでください。検査室ごとに検査成績の管理限界を設定し、その管理幅を外れた場合は、試験紙の取扱いあるいは使用方法に問題があったか否かを検討ください。機器の校正と精度管理の詳細は機器の取扱説明書を参照ください。

4.
測定方法

注1:クリニテック アトラス シリーズにおける表示の詳細は取扱操作説明書を参照ください。
注2:表示感度はコントロール尿における感度です。多様性に富む臨床検体では表示感度より劣ることもあ
   ります。その多様性により分析物濃度増加と同様に試験部分の色調が変化すると陽性率を上昇させる
   場合があります。
※ :潜血1+はヘモグロビン0.06mg/dLに相当し、赤血球に換算すると約20個/μLになります。

**測定結果の判定法


※測定結果の判定は「操作上の注意 2.妨害物質・妨害薬剤」の項も併せて参照ください。

本品はスクリーニングの試薬です。診断の確定や治療方法の決定を行う場合には、他の検査と同様に、複数の検査結果又は検査法から判断ください1,4

性 能

1.
感 度 試 験:試験紙に対する標準液を調製し、用法及び用量欄の記載内容にしたがい試験を行うと
       き、その濃度に対応する濃度段階が明確に識別できます。

2.
正確性試験 :感度試験と同様に操作し試験を行うとき、その対応する濃度段階と一致します。

3.
同時再現性試験:感度試験と同様に操作する試験を3回以上行うとき、同一の成績を示します。

**使用上又は取扱い上の注意

取扱い上(危険防止)の注意

・試薬や検体が目や皮膚に付着したり、口に入ったりしないように注意ください。誤って目や皮膚に付着したり、口に入ったりした場合は、直ちに水で十分に洗浄するなどの救急処置を行い、必要に応じて医師の手当てを受けてください。

・全ての検体は感染性の可能性があるものとして取扱いください。

・検体を取扱うときは感染の危険を考慮して使い捨ての保護手袋を着用し、必要に応じて保護衣や保護眼鏡を使用ください。保護手袋を取り外した後は手をよく洗浄し、保護手袋は医療廃棄物として廃棄ください。

・試験紙や検体を取り扱う場所での飲食、喫煙、化粧はしないでください。

使用上の注意

試験紙の活性が劣化しないように、湿気、直射日光、熱を避けて保存ください。包装が破損している場合は使用しないでください。試験部分が変色していたり黒ずんでいた場合は劣化が考えられます。このような現象が明らかな場合や検査結果に疑問がある場合、もしくは予期しない結果が得られた場合は下記のステップで検討することをお勧めします。

・容器に表示されている使用期限内であること、及び試薬ロールを機器に装填してから14日以内であることを確認ください。

・適切な陽性及び陰性のコントロール尿を使用してパフォーマンスチェックを行ってください。

・新しい試薬ロールを使用して再測定ください。適切な結果が得られない場合は当社までご連絡ください。

・使用しない試薬ロールは密封された容器のまま保存ください。使用直前に開封し、15分以内に機器の試薬収納部に装填ください。15分以上経過した場合には劣化する恐れがあります。

・試薬ロールは機器に装填後、14日以内に使用ください。

・試薬部分に手を触れないでください。

・試薬ロールの軸内にセットされている乾燥剤を取り出さないでください。

・装填時に試薬部分が欠落した試薬カートリッジを見つけた場合には当社にご連絡ください。

・本品はOSHA in 29 CFR 1910.1200(d)のガイドラインに従い、ハザードがないことを確認しています。

廃棄上の注意

・検体に接触した試験紙、器具、採尿容器等は、感染の危険性がある医療廃棄物として国や地域と検査室の基準に従って適切に廃棄ください。

・検体などが飛散した場合には、拭き取りと消毒を行ってください。

貯蔵方法・有効期間

1.
貯蔵方法
室温保存(アトラス 試薬カートリッジ10はアルミフォイルで密封された容器の状態で、30℃以下に保存ください。冷蔵庫内での保存は不適当です。)

2.
有効期間
18ヶ月

包装単位

アトラス試薬カートリッジ 10
 475×4   品目コード:5012(10332148)
 475×16  品目コード:50125(10338343)

主要文献

1.
Henry, J.B. (ed.): Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods, 19th ed. Philadelphia: Saunders; 1996; pp. 411-456.

2.
Burtis, C.A. and Ashwood, E.R. (eds): Tietz Textbook of Clinical Chemistry, 2nd ed. Philadelphia: Saunders; 1994; pp. 717-719, 968, 988-989, 2176-2211.

3.
Free, A.H. and Free H.M.: Urinalysis in Clinical Laboratory Practice. Cleveland: CRC Press, Inc.; 1976; pp. 39-56.

4.
Fowles, G.A., Waters, J., and Williams, G.: The Cost Effectiveness of Combined Rapid Tests (Multistix) in Screening for Urinary Tract Infections. J. Royal Soc. Med. 87: 681-682; 1994.

5.
NCCLS: “Urinalysis and Collection, Transportation, and Preservation of Urine Specimens; Approved Guideline.” NCCLS document GP 16-A (ISBN 1-56238-282-9). NCCLS, 940 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, PA 19087, USA; 1995.

6.
Pesce, A.J. and First, M.R.: “Proteinuria: an integrated review” in: Cameron, J.S., et al. (eds.): Kidney Disease, Vol. 1, 1st ed. New York: Marcel Dekker; 1979; pp. 54-79, 144-157.

7.
Pugia, M.J., et al.: Screening School Children for Albuminuria, Proteinuria and Occult Blood with Dipsticks. Clin. Chem. Lab. Med. 37 (2): 149-157; 1999.

8.
Pugia, M.J., et al.: High-Sensitivity Dye Binding Assay for Albumin in Urine. J. Clin. Lab. Anal. 13: 180-187; 1999.

9.
Newall, R.G. and Howell R.: Clinical Urinalysis, The Principles and Practice of Urine Testing in the Hospital and Community. Buckinghamshire, UK: Bayer Corporation; 1990; pp. 25-30.

**製造販売元

シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社

第二種医薬品製造販売業

東京都品川区大崎1-11-1 ゲートシティ大崎ウエストタワー

**問合わせ先

シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社
カスタマーケアセンター

電話:03-3493-8400

その他の安全性情報

備考

本品は日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards:JCCLS)、尿検査標準化委員会の提案指針に基づき、ブドウ糖試験部分の表示を下記のように変更しました。また、潜血試験部分については、本添付文書に1+はヘモグロビン0.06mg/dLに相当し、赤血球に換算すると約20個/μLになることを記載しました。

一般的名称
 44611000 白血球キット
 33300000 亜硝酸塩キット
 31355000 ウロビリノーゲンキット
 33256002 ケトン体キット
 33257002 潜血キット
 31369000 pHキット
 30181002 総蛋白キット
 30157002 ビリルビンキット
 30167002 グルコースキット