血液検査用ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンキット

フレックスカートリッジ ヒト絨毛性ゴナドトロピン HCG


作成・改訂年月

**2013年4月改訂(第3版)

*2009年3月改訂(第2版)

薬効分類名

体外診断用医薬品

一般的注意事項

この添付文書をよく読んでから使用ください。

承認・届出等

販売名

フレックスカートリッジ ヒト絨毛性ゴナドトロピン HCG

商品コード(JAN)(品番)
4987177704794

識別記号
RF430

添付文書管理コード

13A2X10031001042_A_01

自己認証番号

13A2X10031001042

自己認証年月

平成20年10月

一般的名称

一般的名称
30332001
血液検査用ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンキット

全般的な注意

・本品は体外診断用医薬品ですので、それ以外の目的に使用しないでください。

・本品の測定結果は、患者の治療歴、臨床症状その他関連する他の検査結果等を考慮して総合的に判断ください。

・添付文書に記載されている以外の使用方法については保証しません。

・使用する機器の添付文書及び取扱説明書をよく読んでから使用ください。

形状・構造等(キットの構成)


a. 試薬封入部をウェルと呼び、カートリッジの幅の広い方より1から順番に番号付けしています。
b. 試薬には賦形剤、安定化剤及び緩衝剤が含まれています。
**c. 抗体価と共役活性はロットごとに異なります。

使用目的

血清又は血漿中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)の測定

測定原理

本法は、サンドイッチ法を利用した2ステップ酵素免疫測定法を原理としています。検体中のhCGは、hCGのαサブユニットに特異的な抗hCGマウスモノクローナル抗体でコーティングされた二酸化クロム粒子(CrO2)と反応します。磁性分離により過剰な粒子が除去されます。2ステップ目として、hCGのβサブユニットに特異的なβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)標識抗hCGマウスモノクローナル抗体と反応し複合体を形成します。結合しなかったβ-gal標識抗hCGマウスモノクローナル抗体は磁性分離、洗浄で除去されます。
続いて、サンドイッチ様に結合したCrO2/hCG/抱合体はクロロフェノールレッド-β-ガラクトピラノシド(CPRG)を加水分解し、クロロフェノールレッド(CPR)を生成します。検体中のhCG濃度(mIU/mL)は、CPRの生成による577及び700nmでの吸光度変化量に比例します。

操作上の注意

**1.
測定試料の性質、採取法

・血清及び血漿は、静脈穿刺による推奨方法で採血ください1

・検体採取に用いる器具の使用及び操作については、使用説明書に従ってください2

・遠心分離を行う前に完全に凝固させてください3

・EDTA、ヘパリンリチウム、ヘパリンナトリウムは本法を妨害しません。

・検体採取時、シュウ酸は磁性粒子を固まらせることがありますので使用しないでください。

・検体から浮遊物を取り除いてください。血清中にフィブリンが現れないようにするには、遠心分離前に完全に凝固させなければなりません。血栓溶解療法や抗凝固療法により、凝固時間の延長が考えられる場合、血漿検体を使用することにより検体処理時間が短縮され、浮遊物のリスクが低減します。

・血球分離した検体は、室温で24時間、2〜8℃で48時間安定です4。また、凍結(−20℃)で2ヶ月間長期保存が可能です4。融解後は攪拌を完全に行い、繰り返し凍結融解することは避けてください。抗凝固剤が不充分であった凍結血漿検体は磁性粒子を固まらせることがありますので使用しないでください。

・保存検体は室温に戻してから使用ください。


2.
妨害物質・妨害薬剤

・黄疸検体(ビリルビン60mg/dL)、溶血検体(ヘモグロビン1000mg/dL)、乳び検体(トリグリセライド3000mg/dL)は本法を妨害しません。

・以下の物質は記載の濃度までは本法を妨害しません。hCGを25mIU/mL含むプール血清における、これらの物質による系統誤差は10%未満です。

・以下の物質は、hCG濃度 0mIU/mL 及び 2mIU/mLにおいて記載の濃度まで本法を妨害しません。


3.
その他
本品はディメンション シリーズの専用試薬です。

用法・用量

1.
試薬の調製法
試薬の溶解、希釈及び混合はディメンション シリーズによって自動的に行われます。

**2.
必要な器具・器材・試料等

・ディスクリート方式臨床化学自動分析装置 ディメンション シリーズ

・HCG標準液(品目コード:RC430)

・ウォッシュバッファー(品目コード:RD701)

・試薬プローブ洗浄液(品目コード:RD702)

・サンプルプローブ洗浄液(品目コード:RD703)

・IMTプローブ洗浄液(品目コード:RD704)

・検体希釈液


その他の必要な器具・器材等についてはディメンション・オペレーターマニュアルを参照ください。

3.
操作方法

(1)
本品をディメンション シリーズの所定位置に装填します。

(2)
患者ID及び検査項目を入力します。検体(血清、血漿及び標準液)を指定された位置に装填し、操作ボタンを押します。下記の手順で自動的に分析が行われます。

(*3)
検体(40μL)及び第二試薬と第五試薬の混合液(40μL)が反応ベッセルに分注混和され、42.0℃**で3.5分間インキュベーションされます。

(4)
インキュベーション後、反応しなかった試薬及び検体が磁性分離と洗浄により除去されます。

(5)
続いて第一試薬(110μL)が反応ベッセルに分注混和され、3.7分間インキュベーションされます。

(6)
インキュベーション後、反応しなかった試薬が磁性分離と洗浄により除去されます(洗浄2回/4.1分間)。

(7)
(6)の反応液(50μL)が反応キュベットに移され、第三試薬と第四試薬の混合液(175μL)及び精製水(165μL)が分注混和され、1.5分間反応が行われます。

(8)
反応液の吸光度が2波長(577及び700nm)でレート測定され、検体中のhCG濃度(mIU/mL)に変換されます。

(9)
測定結果がプリントアウトされます。

**ディメンション EXL LMを使用した場合の反応温度は37℃です。


**4.
較正(キャリブレーション)
一般的な較正手順はディメンション・オペレーターマニュアルに記載されています。

本法の較正を行う場合、以下を考慮の上実施ください。
較正物質     :HCG標準液を使用ください。
較正物質濃度   :0、25、150、500、1000(mIU/mL)
          注意)当社標準液を使用の際は、該当製品の添付文書に記載さ
             れている数値を使用ください。
測定回数     :レベル1   :3重測定
          レベル2,3,4 :2重測定
          レベル5   :3重測定
較正頻度     :試薬カートリッジのロット変更時或いは同一ロットにおいても
          60日ごとに必ず較正を行ってください。
*較正が必要な場合 :・試薬カートリッジのロットを変更する場合
          ・点検又は修理後の精度管理の結果により必要と思われる場合
          ・各施設における精度管理方法に基づき必要とされる場合
          ・行政により求められた場合
指定係数     :C0:−6900 C1:17500 C2:−0.6
         :C3:5000  C4:0.5


5.
精度管理
濃度既知の精度管理物質を少なくとも1日1回、2濃度測定ください。測定結果が許容範囲外の場合は、各施設の手順に従い対処ください。5重測定の再現性の結果が以下のようであれば、何らかの異常の可能性があります。

測定結果の判定法

1.
基準範囲

基準範囲は、ノンパラメトリック法(95パーセンタイル)により算出されました。各施設でディメンション シリーズによる基準範囲を設定ください。
hCG濃度は妊娠第1週目に急速に増加し、およそ2日ごと倍増していきます。hCG濃度が25mIU/mLを超えると、妊娠初期を示しますが、最終月経、骨盤内診察、及び他の臨床検査の日付で臨床的症状を判断ください5。測定結果が正常値との境界にある場合は48時間後に再度検体採取をしてください6,7
hCG濃度は妊娠早期に急速に増加し、10〜12週間で最高値5,000〜200,000mIU/mLまで達し、妊娠第3期までに1,000〜50,000mIU/mLまで減少します8,9,10,11。hCG濃度の減少もしくは低下は、異常妊娠を示している可能性があるため、さらに追跡検査や臨床評価を行ってください。妊娠期間全体の中、hCG濃度は妊娠期間の違いで変化します。以下の表に示します。
hCG濃度と妊娠期間11

2.
判定上の注意

*・患者検体はヒト異好性抗体を含んでいる可能性があるので、それとの免疫反応により結果が偽陽性、偽陰性になることがあります。本法は、ヒト異好性抗体の影響を最小限にしています12。しかし、すべての患者検体からこの影響を除去できるわけではありませんので、測定結果が臨床所見や患者の治療歴と矛盾する場合には、注意して診断ください12

・血栓性疾病や腫瘍血栓とも関連してhCGが上昇することがあります。これらの疾病の可能性は妊娠の診断がなされる前に考慮されなければなりません9,13。この試験は、癌患者治療のモニタリングのマーカーとしては使用できません。

・本法は2ステップEIA法により抱合試薬を添加する前に過剰の粒子を取り除きますので、フック現象の影響を最小限にします14。本法は、1,000,000mIU/mLまでフック現象は見られません。


*3.
測定限界

・結  果 :200,000mIU/mLを超えた場合には、検体を希釈ください。

・希釈方法 :検体希釈液を用いて検体を1:2に希釈します。検体属性入力時に希釈
       係数を“2”と入力ください。希釈した検体は、装置により自動的に1:
       200に希釈されます。最終的な結果は装置により算出されます。
       (例:測定値×2×200=最終結果)

・自動希釈法:自動希釈測定範囲は200,000mIU/mLです。自動希釈検体量は2μL
       です。

・結果が1mIU/mL未満の場合、数値ではなく“1mIU/mL未満”と報告されます。


4.
エラーメッセージ
エラーメッセージが表示された場合は、メッセージの内容が解決されるまでプリントアウトされた報告書を破棄しないでください。メッセージの解決方法の詳細はディメンション・オペレーターマニュアルを参照ください。

臨床的意義

ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は子宮壁に受精卵が着床した直後から胎盤によって形成されるシアロ糖蛋白ホルモンです8,9,15。妊娠直後よりhCGは血清中に現れ、濃度が上昇しますので、妊娠の診断とモニタリングに有用なマーカーです。生理学的にhCGには黄体を維持し、また子宮内膜を保護します。血清中hCG濃度は、妊娠第1期に最高値に達し、以後妊娠後期には減少し一定値を保ちます。妊娠していない正常女性のhCGは血清中でインタクトなhCGとして存在します。本法は検体中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を定量測定し、妊娠初期の診断に有用です。

性能

1.
性能

(1)
感 度   hCG濃度0mIU/mLと1000mIU/mLの標準液を測定したときの吸
      光度変化量の差は600mAU以上です。

(2)
正確性   異なる3濃度の管理用検体を測定するとき、その測定値は表示値の
      80〜120%です。

(3)
同時再現性 異なる2濃度の検体を各々3回同時に測定するとき、その変動係数
      (CV)は10%以下です。

(4)
測定範囲  1〜1000mIU/mL
      これは、検体を直接測定した時の濃度範囲です。希釈や通常操作にな
      い前処理はしていません。


2.
精密性d,e,f

d. すべての性能試験は、通常の機器精度管理チェックの実施後に行いました。(ディメンション・オペレーターマニュアルを参照ください。)
e. 精密性試験は、NCCLS Approved Guideline for Evaluation of Precision Performance of Clinical Chemistry Devices(EP5-A, Feb 1992)に従って実施しました。
f. 各レベルの検体は1日1回20日間2重測定をしました。同時再現性と全体の標準偏差(SD)は分散分析により算出しました。

3.
相関性d,g

g. 回帰統計のためのモデル方程式
 [ディメンションの結果]=傾き×[比較法の結果]+切片
h. 相関性試験におけるhCG濃度の範囲は、1〜982mIU/mLです。

4.
分析感度
本法は0mIU/mLと有意差の認められる最小濃度は1mIU/mLです。感度は、HCG標準液0mIU/mLの平均値(n=20)+2SDより求めました。

5.
回収率
既知濃度hCGをhCG濃度0mIU/mL(ベースライン値)のヒト血清及び血漿に添加したときの回収率は99.5〜102.7%です。その平均回収率は101.6%です。

6.
較正用の基準物質(標準物質)
WHO 3rd IS 75/354

使用上又は取扱い上の注意

取扱い上(危険防止)の注意

・試料(検体)はHIV、HBV、HCV等の感染の恐れがあるものとして取り扱ってください。検査実施にあたっては感染の危険を避けるため使い捨て手袋を着用し、また口によるピペッティングを行わないでください。

・サンプルカップ及び使用済みキュベットは体液成分が含まれているため、直接触れたり口に含んだりしないように十分に注意ください。

*・試薬には5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンと2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンが3:1の割合で含まれていますので、皮膚に触れると刺激を与えます。皮膚に触れないようにして、適切な手袋などを着用ください。

**使用上の注意

・本品は凍結を避け、貯蔵方法に従い保存ください。

・使用期限を過ぎた試薬は使用しないでください。

・未開封の各試薬カートリッジの使用期限は容器に記載されています。装置に試薬カートリッジを装填しシールが未開封の状態では30日間安定です。一度開封された状態では、第一試薬は5日間、第三試薬は3日間、第二試薬、第四試薬及び第五試薬は10日間安定です。

・試薬の注ぎ足しは行わないでください。

・廃棄上の注意:− 試料(検体)中にはHIV、HBV、HCV等の感染性のものが存在す
          る場合がありますので、廃液、使用済み器具などは適当な消毒処
          理あるいは滅菌処理を行ってください。
        − 残った試薬や検体を廃棄する場合には、医療廃棄物に関する規定
          に従って、医療廃棄物又は産業廃棄物等区別して処理ください。
        − 試薬類や廃液などが飛散した場合には、拭き取りと消毒を行って
          ください。

貯蔵方法・有効期間

貯蔵方法 2〜8℃
有効期間 12ヶ月(使用期限は外箱に表示)

包装単位

120テスト(30テスト/カートリッジ×4)

主要文献

*1.
Clinical and Laboratory Standards Institute/NCCLS. Procedures for the Collection of Diagnostic Blood Specimens by Venipuncture; Approved Standard - Fifth Edition. CLSI/NCCLS document H3-A5 [ISBN 1-56238-515-1]. CLSI, 940 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, PA 19087-1898 USA, 2003.

*2.
Clinical and Laboratory Standards Institute/NCCLS. Tubes and Additives for Venous Blood Specimen Collection; Approved Standard - Fifth Edition. CLSI/NCCLS document H1-A5 [ISBN 1-56238-519-4]. CLSI/NCCLS, 940 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, PA 19087-1898 USA, 2003.

*3.
Clinical and Laboratory Standards Institute/NCCLS. Procedures for the Handling and Processing of Blood Specimens; Approved Guideline - Third Edition. CLSI/NCCLS document H18-A3 [ISBN 1-56238-555-0]. CLSI, 940 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, PA 19087-1898 USA, 2004.

*4.
Young DS. Effects of Preanalytical Variables on Clinical Laboratory Tests, 3rd ed. Washington, DC: AACC Press, 2007: p262.

5.
Bock JL, el al Choriogonadotropin Testing: Nomenclature Reference Preparations, Assay Performance and Clinical Applications: Approved Guidelines, CLSI/NCCLS 1996, Vol. 16, No. 14, 7-8.

6.
Lenton EA, Neal LM, Sulaiman R. Plasma concentration of human chorionic gonadotropin from the time implantation until the second weeks of pregnancy. Fertil Steril 1982: 37-773

7.
Faix JD, Sokolove PJ. Agreement of intact and beta chain-specific HCG assays in abnormal pregnancy. J. Clin Immunoassay 1991; 14-196.

8.
Braunstein GD, Rasor J, Adler D, Danzer H and Wade ME. Serum human chorionic gonadotropin levels throughout normal pregnancy. Am J Obstet Gynecol 1976;126:678.

9.
Brody S, Carlstrom G. Immunoassay of human chorionic gonadotropin in normal and pathologic pregnancy. J Clin Endocrinol Metab 1962;22:564.

10.
Kaplan LA, Pesce AJ. Clinical Chemistry Theory, Analysis and Correlation, Philadelphia, PA Mosby 3rd ed. 1996 (specimen collection) pp 817, (gestational ranges) pp 816-817.

11.
Lagrew DC, Wilson EA, Jawad MJ. Determination of gestational age by serum concentration of human chorionic gonadotropin, Obster Gynecol 1983;62.

12.
Vaidya HC, Beatty BG. Eliminating interference from heterophilic antibodies in a two-site immunoassay for creatine kinase MB by using F(ab´)2 conjugate and polyclonal mouse IgG. Clin Chem 1992;38:1737-1742.

13.
Braunstein GD, Grodin JM, Vaitukaitis J, Ross GT. Secretory rates of human chorionic gonadotropin by normal trophoblast. Obstet Gynecol 1973; 115:447-450.

14.
Ryall RG, Story CJ, Turner DR. Reappraisal of the causes of the “hook effect” in two-site immunoradiometric assays. Anal Biochem 1982;127:308.

15.
Krieg AF. Pregnancy Tests and Evaluation of Placental Function in: Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods, 16th edition, Henry, JB (ed), WB Saunders Co., Philadelphia, PA; 1979:680.

製造販売元

シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社

第二種医薬品製造販売業

**東京都品川区大崎1-11-1
ゲートシティ大崎ウエストタワー

**問い合わせ先

シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社
カスタマーケアセンター

TEL:03-3493-8400