*血液・尿検査用尿素窒素キット

シンクロンシステム BUN試薬


作成・改訂年月

*2011年9月改訂(第2版)

2010年12月作成(第1版)

薬効分類名

体外診断用医薬品

一般的注意事項

ご使用に際しては、本添付文書をよくお読みください。

承認・届出等

販売名

シンクロンシステム BUN試薬

添付文書管理コード

13A2X00150000044_A_01

製造販売届出番号

13A2X00150000044

承認・認証年月等

平成22年12月

一般的名称

一般的名称
30158012
*血液・尿検査用尿素窒素キット

警告

(記載なし)

重要な基本的注意

(記載なし)

全般的な注意

1.
本品は体外診断用であり、それ以外の目的に使用しないでください。

2.
診断は他の関連する検査結果や臨床症状等に基づいて総合的に判断してください。

3.
添付文書等に記載した内容以外の方法で使用した場合は、保証の対象とはなりません。

4.
本品は、シンクロン(Synchron)CX、Synchron LX 20、Synchron LX i 725、システムとユニセル(UniCel)DxCシステム用の試薬です。ご使用にあたっては、システム取扱説明書をよく読んでから使用してください。

5.
本品には、保存剤としてアジ化ナトリウムが含まれております。誤って目や口に入ったり、皮膚に付着した場合には水で十分に洗い流すなどの応急処置を行い、必要であれば医師の手当てを受けてください。また、アジ化ナトリウムは鉛管、銅管と反応して爆発性の高い金属アジドを生成することがあるので、廃棄の際は大量の水と共に洗い流してください。

形状・構造等(キットの構成)

1.
構成試薬
酵素溶液

成分
ウレアーゼ

グルタミン酸デヒドロゲナーゼ

α-ケトグルタル酸


2.
構成試薬
補酵素溶液

成分
NADH

使用目的

*血清、血漿または尿中の尿素窒素(BUN)の測定

測定原理

*尿素窒素試薬は、酵素レート法により尿素窒素の測定に使用します。1,2検体中の尿素はウレアーゼによりアンモニアと二酸化炭素に加水分解されます。生成したアンモニアはグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLDH)の作用によりα-ケトグルタル酸と反応してグルタミン酸を生成します。この際、還元型β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)がβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)に変換されます。

検体中の尿素量はこのNADHの減少量と比例するため340nmの吸光度を測定してNADHの減少量を求めることで尿素量を算出することができます。

*システムは、検体と試薬を正確な容量比で自動的にキュベットに分注します。血清検体または血漿検体と試薬の容量比は、1:100です。尿検体の場合も、希釈した検体と試薬の容量比は1:100です。システムは340nmにおける吸光度の変化がモニタされます。この吸光度の変化は検体中のBUNの濃度に比例します。システムではこの変化量から、BUNの濃度を計算し表示します。

操作上の注意

1.
*検体は、通常の検査で採取する方法で行ってください。3 採取直後の血清、血漿または適切な方法で採取した尿(随時尿/蓄尿)を検体として使用してください。全血は検体として使用できません。

2.
採血管は常時密封して立てて保存します。血清または血漿は採血後2時間以内に血球成分から分離します。4

3.
分離した血清または血漿は、室温で8時間以上放置しないでください。測定が8時間以内に完了しない場合には、2〜8℃で保存します。測定が48時間以内に完了しない場合、または分離した検体を48時間以上保存する場合は、-20〜-15℃で凍結します。凍結検体の融解は1回限りです。凍結融解を繰り返すと検体中の分析物が劣化するおそれがあります。4

4.
*尿検体は採取後 2時間以内に測定することをお勧めします。蓄尿検体の場合は、蓄尿期間中、採尿容器を冷蔵庫か氷上で冷却します。保存剤は必要ありません。5

5.
0.5mLのサンプルカップを使用する際の検体の最適量は0.3mLです。採血管検体の必要最小量については、採血管チャートテンプレートを参照してください。

6.
抗凝固剤の試験結果 使用可能な抗凝固剤
血漿検体を用いて健常人の検体を試験した結果、本法では以下の抗凝固剤が使用できます。

*表1 抗凝固剤の種類と濃度

抗凝固剤 抗凝固剤の試験濃度 偏り(mg/dL) 
ヘパリンアンモニウム 29単位/mL NSI 
へパリンリチウム 29単位/mL NSI 
シュウ酸カリウム/フッ化ナトリウム 4.0/5.0mg/mL NSI 
ヘパリンナトリウム 29単位/mL NSI 

NSI=有意な干渉作用なし(±4.0mg/dLまたは6%以内)


抗凝固剤に関しては取扱説明書(ケミストリーインフォメーションマニュアル)を参照してください。

7.
干渉物質の影響

表2 干渉物質

物質 由来 試験濃度 干渉作用 
ビリルビン
(非抱合型) 
ウシ 30mg/dL NSI 
ヘモグロビン 赤血球溶血物 500mg/dL NSI 
高脂血症 Intralipid 500mg/dL NSI 

NSI=有意な干渉作用なし(±4.0mg/dLまたは6%以内)


8.
フッ素化物はウレアーゼ活性の阻害物質として知られており、本測定項目の反応速度を低下させます。

9.
抗凝固剤中にアンモニアイオンがあると、実際よりも高い測定値が出ることがあります。

10.
薬物、疾病、及び分析前の変動によるその他の干渉作用については、主要文献(11,12,13)を参照してください。

用法・用量(操作方法)

【試薬】

(1)
試薬の調製法
調製は不要です。

(2)
試薬の貯法及び安定性
本試薬は、未開封のまま2〜8℃で保存した場合、カートリッジのラベルに記載された有効期限まで安定です。開封後2〜8℃で保存した場合、有効期限内であれば30日間安定です。


【キャリブレ−ション】

(1)
測定に使用するキャリブレータ
製品番号 442600: シンクロンマルチキャリブレータ

(2)
キャリブレータの調製
調製は不要です。

(3)
キャリブレータの貯法及び安定性
未開封の場合、キャリブレータはラベルに記載された有効期限まで-20〜-15℃で保存します。開封後はキャリブレータを密閉して2〜8℃で保存した場合、有効期限内であれば20日間安定です。

(4)
キャリブレーションについて

1)
コントロールまたは患者検体を測定する前に、システムのメモリに有効なキャリブレーションが記憶されている必要があります。

2)
通常の操作条件で本試薬カートリッジは24時間ごと、及びシステム取扱説明書に記載されているような特定の部品交換やメンテナンスを行った際にもキャリブレーションが必要です。本測定では、30日間隔でwithin-lotキャリブレーションを行います。この機能については、システム取扱説明書を参照してください。


*【その他尿の測定に必要なもの】
製品番号 467826:DIL1 107mL×2本
未開封のDIL1は室温で保存すればカートリッジのラベルに記載された有効期限まで安定しています。開封後は、有効期限内であればシステム上で60日間安定しています。

【操作方法】
1.
システム取扱説明書に記載されているように試薬をシステムにロードします。

2.
試薬をロードした後、キャリブレーションを行います。キャリブレーション手順の詳細に関しては、システム取扱説明書を参照してください。

3.
システム取扱説明書に記載されているように検体及びコントロールをプログラムします。

【測定条件】

表3 ユニセルDxCシステム パラメータ

項目コード BUN 
測定方法 酵素法 
測定原理 レート1 
サンプル量 血清/血漿:3μL
*希釈尿:3μL(尿10μL希釈液180μL) 
試薬容量
(検査1回あたり) 
カートリッジA:285μL
カートリッジB:15μL 
測定時間 反応開始:32秒
反応停止:64秒 

測定結果の判定法

*参考基準範囲:
血清または血漿 8〜26mg/dL7
尿(蓄尿) 12〜20g/24時間

各検査室では母集団に基づき独自の基準値を設定してください。
検査室ごとの基準値の設定については主要文献(8,9,10)を参照してください。

臨床的意義

尿素窒素または尿素の測定は、特定の腎疾患や代謝性疾患の診断及び治療に用います。

性能

【感 度】
*信頼度95%で、ゼロと区別できる最小検出可能濃度が、5mg/dLです。

【正確性】
正常値範囲の既知濃度の管理用試料を測定するとき、表示値は既知濃度の±15%以内です。

【同時再現性】
*血清、血漿の同一検体を4回同時に測定するとき、再現性は標準偏差(SD)が2.0mg/dL以内、あるいはCV値3.0%以内のいずれかです。
尿の同一検体を4回同時に測定するとき、再現性は標準偏差(SD)が3.0mg/dL以内、あるいはCV値3.0%以内のいずれかです。

【測定範囲】

表4 測定範囲

検体の種類 範 囲(尿素窒素) 
血清/血漿 5〜100mg/dL 
*尿 *50〜1,000mg/dL 


測定範囲の上限を超える濃度の検体については、生理食塩水で希釈し、再測定してください。測定値を計算して報告値を求めてください。

【相関性試験】
患者検体を用いて、一般に受け入れられている臨床検査法と本法の相関性を検討しました。

血清または血漿(5〜100mg/dLの範囲内):
Y(シンクロンLXシステム)=0.996X - 0.49 N= 72
相関係数(r)= 0.999

*尿(53〜1,000 mg/dLの範囲内):
Y(シンクロン LXシステム)=0.974X - 1.14 N = 55
相関係数(r)=0.9981


相関性試験の実施に関するガイドラインについては主要文献(14)を参照してください。

【標準物質】
NIST 912

使用上又は取扱い上の注意

使用上の注意

1.
システムでのご使用にあたっては、システムの取扱説明書をよくお読みください。

2.
本品は凍結させないでください。凍結された試薬は使用できません。また、試薬同士を混ぜないでください。

3.
検体、キャリブレータ、コントロールはHIV、HBV、HCV等の感染のおそれがあるものとして取り扱ってください。検査にあたっては感染の危険を避けるため、使い捨て手袋やゴーグルを着用し、また口によるピペッティングを行わないでください。6

4.
有効期限を過ぎた試薬は使用しないでください。

5.
試薬及び器具等を廃棄する場合には、廃棄物の規定に従って処理してください。

6.
精度管理のため、少なくとも2濃度以上のコントローを1日1回測定してください。

貯蔵方法、有効期間

貯 法

2〜8℃

有効期間

製造後18ヶ月(使用期限:外装に記載してあります)

包装単位

BUN試薬(300テスト) 2カートリッジ

主要文献

主要文献

1.
Talke, H., Schubert, G. E., Klin. Wchnschr., 43:174 (1965).

2.
Tiffany, T. O., et al., Clin. Chem., 18:829 (1972).

3.
Tietz, N. W., "Specimen Collection and Processing; Sources of Biological Variation", Textbook of Clinical Chemistry, 2nd Edition, W. B. Saunders, Philadelphia, PA(1994).

4.
National Committee for Clinical Laboratory Standards, Procedures for the Handling and Processing of Blood Specimens, Approved Guideline, NCCLS publication H18-A, Villanova, PA (1990).

5.
National Committee for Clinical Laboratory Standards, Routine Urinalysis and Collection, Transportation and Preservation of Urine Specimens, Tentative Guideline, NCCLS publication GP16-T, Villanova, PA (1992).

6.
CDC-NIH manual, Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratories, U.S. Government Printing Office, Washington, D.C.(1984).

7.
Tietz, N. W., Clinical Guide to Laboratory Tests, 3rd Edition, W. B. Saunders, Philadelphia, PA (1995).

8.
National Committee for Clinical Laboratory Standards, How to Define, Determine, and Utilize Reference Intervals in the Clinical Laboratory, Approved Guideline, NCCLS publication C28-A, Villanova, PA(1995).

9.
Tietz, N. W., ed., Fundamentals of Clinical Chemistry, 3rd Edition, W. B. Saunders, Philadelphia, PA(1987).

10.
Henry, J. B., Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods, 18th Edition, W. B. Saunders Company, Philadelphia, PA(1991).

11.
Young, D. S., Effects of Drugs on Clinical Laboratory Tests, 4th Edition, AACC Press, Washington, D. C. (1995).

12.
Friedman, R. B., Young, D. S.,Effects of Disease on Clinical Laboratory Tests, 3rd Edition, AACC Press, Washington, D.C.(1997).

13.
Young, D. S., Effects of Preanalytical Variables on Clinical Laboratory Tests, 2nd Edition, AACC Press, Washington, D. C. (1997).

14.
National Committee for Clinical Laboratory Standards, Method Comparison and Bias Estimation Using Patient Samples, Approved Guideline, NCCLS publication EP9-A, Villanova, PA (1995).

製造販売業者の氏名又は名称及び住所

氏名又は名称(製造販売業の種別)

ベックマン・コールター株式会社

第二種医薬品製造販売業

住所等

〒135-0063 東京都江東区有明三丁目5番7号 TOC有明ウエストタワー

電話番号

03-5530-8500

問い合わせ先

氏名又は名称
ベックマン・コールター株式会社

住所等
〒135-0063 東京都江東区有明三丁目5番7号 TOC有明ウエストタワー

電話番号
0120-566-730