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医療機器の不具合評価体制の構築のための試行調査

 医薬品医療機器総合機構では、中期計画に定める「医療機器の特性から一定の割合で発生する構造上の欠陥とは言えない不具合の発生率を把握し、不具合について科学的な評価を実施する体制を構築する」ため、平成16年度に「医療機器の不具合評価体制に関する検討会」を設置しました。ここでの検討により、試行調査の対象品目として「埋め込み型中心静脈ポートシステム」(※)と「冠動脈ステント」の2品目が選定されました。

 「埋め込み型中心静脈ポートシステムの不具合に関する調査研究」について
 中間解析結果の概要(平成19年8月31日現在)

 「冠動脈ステントに関する調査研究」について

※埋め込み型中心静脈ポートシステムとは
ポートとは、薬剤を体外から頻回に注入するための経路として、あらかじめ皮下に埋め込んでおく医療機器(消しゴム程度の大きさ)。ポートに続くカテーテルは血管内に留置される。埋め込む場所としては、前胸部(鎖骨下静脈からカテーテルを入れた場合)や、前腕部(肘から入れた場合)等がある。

「埋め込み型中心静脈ポートシステムの不具合に関する調査研究」について

背景

埋め込み型中心静脈ポートシステムの利用の広がり
 埋め込み型中心静脈ポートシステムは、薬剤投与ルート確保の容易さ、薬剤の長時間投与における利便性、患者さんの日常生活への影響の少なさなどの理由により、外来にて化学療法を反復する患者さんに対し広く用いられています。特に、進行再発結腸直腸がん症例に対する塩酸イリノテカン(CPT-11)やオキサリプラチン(L-OHP)との併用による5-フルオロウラシル(5-FU)の46時間投与(FOLFIRI、FOLFOX)が標準的治療として導入されて以降、著しく普及してきています。
留置過程・使用過程における様々な不具合
 患者の病態に由来するもの、システム自体に由来するもの、取り扱いに由来するものなど構造上の欠陥とは言えない不具合も発生しており、その実態についてはあまり把握されていないのが実情です。このような不具合の発生に関する実態把握と、適切かつ迅速に対応できる体制の構築が求められています。

本調査研究は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と日本IVR腫瘍研究グループ(JIVROSG)の連携のもと実施しています。

目的

 本調査研究は、

  • 埋め込み型中心静脈ポートシステムの不具合発生率の推定
  • 不具合の内容の分類・集計
  • 不具合評価体制構築に必要な条件の把握
を目的としています。
さらに、この調査研究の実施経験をふまえて、医療機器の不具合評価体制の構築に必要な条件を検討します。

調査方法

(1) 担当医は、適格症例を症例登録センター(大学病院医療情報ネットワーク;UMIN)にオンライン登録する。(匿名化)
(2) 登録後、症例登録センターから事務局(調査分析課)に、症例登録番号・登録施設がE-mailにより通知される。
(3) 事務局は、登録通知のE-mailを受信後、調査票を発行し登録施設へ郵送する。
(4) 担当医は登録時、留置時および留置後1年間(4週毎に13回)、以下の項目について調査し、事務局にFAXにて報告する。
   登 録 時: 患者性別・年齢、身長、体重、診断名、合併症 等
   留 置 時: 留置手技実施日・所要時間、使用器具、合併症、術者の経験症例数 等
   留置後(13回):ポートシステムに関連する不具合・投与薬剤・管理(穿刺回数等)、患者の転帰 等

調査デザイン

本調査研究は多施設共同前向きの観察研究です。観察・検査についても日常診療の範囲内で行っています。

調査対象者

化学療法における抗癌剤の定期的静脈内投与を目的に埋め込み型中心静脈ポートシステム留置を必要とする患者

調査実施期間

登録期間:平成18年11月〜平成19年3月 (登録例数:113例)
調査期間:平成20年4月まで

調査方法

調査実施施設

旭川厚生病院 放射線科
北海道大学病院 放射線科
岩手医科大学 放射線科
新潟県立がんセンター新潟病院 放射線科
国立がんセンター東病院 放射線部
国立がんセンター中央病院 放射線診断部
癌研有明病院 画像診断部
東京慈恵会医科大学 放射線科
静岡県立静岡がんセンター 画像診断科
愛知県がんセンター中央病院 放射線診断・IVR部
たかやすクリニック
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター 放射線療法科






「冠動脈ステントに関する調査研究」について

背景

冠動脈ステントを取りまく医療環境と安全性
 冠動脈ステントについては、平成16年に国内初の薬剤溶出ステント(Drug Eluting Stent:DES)が承認され、従来のベアメタルステント(Bare Metal Stent:BMS)のみが使用されていた時に比べ、冠動脈インターベンション術(Percutaneous Coronary Intervention:PCI)を取りまく医療環境が大きく変化しています。
 冠動脈ステント留置に伴う不具合として比較的早期(留置後30日以内)に発生する亜急性血栓症の頻度や、抗血小板療法の投与期間などのデータ収集は、安全対策に有用であると考えています。
 近年、DESにおいては、海外の長期成績で、遅発性ステント血栓症の頻度や、死亡や心筋梗塞のリスクがBMSに比べ増加する懸念があることなどが報告され、日本人における遅発性ステント血栓症の頻度や、BMSとの位置づけを明らかにすることが求められています。また、PCIの安全性評価という観点から、冠動脈バイパス手術(Coronary Artery Bypass Graft:CABG)との比較も重要と考え、PCIとCABGを調査対象としたレジストリ構築を計画しました。
市販後の実態把握
 承認前の臨床試験などでは比較的リスクの低い症例群などに対象が限定されていますが、本調査では高齢者や多枝病変などの高リスク群や、禁忌・禁止および適応外症例などのオフラベルユースを含めた実際の臨床における実態把握が可能と考えています。

本調査研究は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から委託を受けた(財)生産開発科学研究所が、調査の実施支援業務を行います。

目的

 本調査研究は、

  • 国内初のDESの承認・製造販売後の平成17年1月〜平成19年12月の3年間に、初回のPCIあるいはCABGが施行された症例の治療実態の把握
  • 治療成績の評価および治療成績に影響を与える因子の探索 (主要評価項目:ステント血栓症、死亡、心筋梗塞、脳血管障害、PCI /CABGの再施行、出血イベント、心不全悪化による入院など)
を、目的としています。
さらに、この調査研究の実施経験をふまえて、医療機器の不具合評価体制の構築に必要な条件を検討します。

調査方法

(1)施設登録
 各施設は、施設の倫理審査委員会またはそれに準ずる機関の承認を受け、承認日を中央事務局に報告し、参加施設として登録します。
(2)症例登録およびデータ入力
 各施設において、本調査の適格症例を選択し、本調査用のオンライン入力システムを用いて、患者背景・治療に関する調査項目を入力します。データ入力は、カルテおよび各種原資料に基づき、各施設の責任医師・担当医師、あるいはその監督下に研究協力者が行います。
(3)追跡調査
 各施設において、オンライン入力システムから登録患者を選択し、追跡情報を入力します。データ入力は各施設の責任医師・担当医師、あるいはその監督下に研究協力者が行います。調査方法は、1)診療録の確認、2)患者への連絡、3)紹介医への連絡などにより行います。

ベースライン調査: 施設・担当医情報(経験年数、症例数等)、患者背景(性別、年齢、身長、体重、合併症・既往症、薬物療法等)、血液検査、心機能に関する検査、手術に関する項目(手術日、部位、使用機器等) 等
追 跡 調 査 : イベント(死亡、ステント血栓症、出血、心筋梗塞等)、血液検査、抗血小板療法の状況、心機能に関する検査 等

調査デザイン

本調査研究は多施設共同前向きの観察研究です。観察・検査についても日常診療の範囲内で行っています。

調査対象者

平成17年1月〜平成19年12月の3年間に、初回のPCIあるいはCABGを施行された全症例です。ただし、急性心筋梗塞例についてはPCIあるいはCABGの既往のある患者も登録します。

調査期間

各症例、登録後少なくとも3年間の追跡調査を実施する予定です。

調査実施施設

参加施設一覧(26施設)

【参考】中期計画(抜粋)

医療機器の特性から一定の割合で発生する構造上の欠陥とは言えない不具合の発生率を把握し、中期目標期間終了時までに不具合について科学的な評価を実施する体制を構築する。

連絡先

医薬品医療機器総合機構 安全部 調査分析課
TEL:03-3506-9484
FAX:03-3506-9441