事例報告内容
【記述項目】
一般的名称 長期的使用注入用植込みポート
販売名 Power Port
製造販売業者名 株式会社メディコン
購入年
事例の具体的な内容 1年5か月前より腫瘍内科 前医より引き継ぎ、ポートより化学療法を継続。1年3か月前にPowerPort使用時に痛みがあるが、生食フラッシュで問題なし。1年前にも痛みはあったそうだが、同月のCTでは異常なし。8か月前の造影CTでポートの閉塞が出現。しかし読影では異常の指摘はなかった。7か月前 本人とポートの抜去について相談。ただしコロナ感染の拡大を考慮し、コロナが落ち着いた時期に行う方針となる。4か月前 CTの読影にはコメントなし。当月 CTの読影でカテーテルの断裂を指摘。あらためてみると8か月前の時点で異常あり。放射線科医師に相談。明らかな血栓等の続発した問題なく、4日後に放射線科の受診予約とした。4日後、放射線科を受診。カテーテルによるカテーテル抜去の説明をされ、さらに17日後の入院予約をされた。カテーテルの断裂を見落とされていたことに不満を示された。
事例が発生した背景・要因 ・主治医は胸痛の原因をカテーテル断裂であるとは疑わず、発見が遅れた。稀な合併症であるため積極的に疑うことを怠った。・1年前から数回CT検査を施行しているが、検査目的はいずれも疾患に対するものであり、CVポートについての記載はなかった。・留置状態によって、カテーテルを鎖骨と第一肋骨の間に挟み込んでしまったために生じるカテーテルの閉塞及び損傷。カテーテルの破損機転は、必ずしもカテーテル・ピンチオフによるものばかりではないが一因となりうる。
実施した、若しくは考えられる改善策 ・CVポート留置中の断裂事例を周知する。・CVポート使用中の疼痛や、滴下不良時のトラブルシューティングのマニュアル作成を検討する。

事例検討結果
事例検討結果 当該事例については、これまで同様事象が集積されていることから、平成23年5月25日付薬食安発0525第1号・薬食機発0525第1号連名通知「皮下用ポート及びカテーテルに係る添付文書の改訂指示等について」が発出されており、当該製品の添付文書においてもカテーテルの断裂について注意する旨を記載し、医療機関へ情報提供を行うよう指示されている。また、これまで同様の事例が集積されており、PMDA医療安全情報No.57「皮下用ポート及びカテーテルの取扱い時の注意について」を作成・配信し、注意喚起も実施している。なお、当該事例におけるCVポートカテーテルの留置期間は約1年5ヶ月であった。