本文別添1別添2|別添3|別添4


ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例  (第9回事故)


発生段階 事故の程度 事例概要

【薬剤間違い】

1

指示段階

障害残存
(低い)

ニューロタン(ロサルタンカリウム)25mg をニューレプチル(精神神経用剤)25mg と間違てオーダリング画面から入力し処方した。意識障害が発生し、経過観察を要した。

2

指示段階

不明

前医で処方されていた常用薬21種類のうち8剤がなくなったため、主治医(研修医)が処方を行った。この際、スロービッド(テオフィリン)を処方すべきところをスローケー塩化カリウム)をオーダリング画面から処方した。

3

準備段階

障害残存
(低い)

手術後、術前に行ったホルモン負荷検査の再検査を行った。生理食塩水20mL +TRH(プロラクキン分泌視床下部ホルモン)1mL を静脈注射したところ患者はプレショック態となった。その夜、看護師がTRHが未使用であることに気付いた。患者へ投与したのはTRHではなく数日前に処方されたが使用されず薬局へ返品していなかったピトレシン注射液(脳下垂体後葉ホルモン剤)であった。

4

準備段階

障害残存
(低い)

救急外来で内科当直医師はプリンペラン1A(消化器機能異常治療剤)静脈注射の口頭指示を出した。当事者の医師は救急外来看護師に指示を伝達し、アンプルを受取った後、薬剤名を確認せずそのまま静脈注射した。内科当直医師がプリンペランではなくラシックス(利尿降圧剤)20mg であったことに気付いた。

5

準備段階

障害残存
(低い)

中心静脈注射を組成する際に、50%ブドウ糖を加えるべきところを10%ブドウ糖を加えて作成した。定期検査で患児に低血糖が認められ糖濃度を増やし、対応した。

6

準備段階

障害の可能性
(低い)

看護師はへパリンロックシリンジによるIVH(中心静脈栄養)ルートのフラッシュを行う際、引き出しの中から手前に見えた薬剤のパッケージを確認せず、ヘパリンロックシリンジ(血液凝固阻止剤)だと思い込み、キシロカイン注シリンジ10mL を取り出した。薬剤名を確認せずキシロカイン注シリンジ(局所麻酔剤)10mL を注入した。プレフィルドシリンジ(薬剤があらかじめ充填されている注射器)の薬剤を同じ引き出しで保管していた。

7

実施段階

不明

尿流出がないためラシックス(利尿降圧剤)1A静脈注射の指示が出た。時間も遅れ焦っていたため、茶色のアンプルと思い、ホリゾン(マイナートランキライザー)1A(10mg)を手に取り、ラシックスと思い込み静脈注射した。さらに4時間後、再度尿流出がないため、ラシックスと思い込んでホリゾンを静脈注射した。2時間半後、薬剤科からラシックスを受領し、カートに戻そうとしたところラシックスでなくホリゾンを2回注射したことに気付いた。

【薬剤量間違い】

8

指示段階

障害残存
(低い)

12歳の患児にウロミテキサン(解毒剤)165mg 処方する予定を間違えてウロミテキサン1650mg +生理食塩水50mL で開始したが、30 分後、医師が量が多かったことに気付いた。医師はオーダリングシステムに不慣れであった。

9

実施段階

障害残存
(低い)

他病棟から移ってきた患者Aの内服薬ジゴシンエレキシル(ジキタリス酸糖体製剤)30mL の水薬瓶に表面に「1回2.5mL」、裏面には「17.5mL」と記載があった。リーダー看護師は病棟薬剤師に内服方法を確認すると「水に薄めずそのまま必要量を吸って普通に飲ます」といわれた。リーダー看護師はポストイットに「1回に2.5mL ごくっと飲む」と書いて貼った。夜勤のB看護師は「ごくっと飲ます」を「一気(全量)に飲ます」と思った。水薬瓶に「ジゴシンエレキシル2.5mL」と記載されているのは確認したが、瓶に入っている量を確認せず、患者に7回分全部投薬した。

10

実施段階

障害残存
(低い)

ツベルクリン接種の際、通常0.1mL 皮内注射のところ正確な量は不明であるが10人用の約半分(0.5mL 以上)投与した。患者のツベルクリン反応の判定の際に前腕部全体の熱感と2cm ×3cm の硬結、一部水泡したため、過剰投与がわかった。

11

実施段階

障害残存
(低い)

妊娠高血圧症候群で帝王切開術後4日目、突然意識消失し転倒したため右鎖骨を骨折となった。発生原因としてアダラート(高血圧狭心症治療剤)の過剰内服(20mg 内服指示のところ40mg 内服)していたことに気が付いた。血圧低下が見られていたが医師への報告はされていなかった。

【対象者間違い】

12

準備段階

不明

患者Aがシリンジポンプで注入しているフェンタネスト(麻酔用ピペリジン系鎮痛剤)0.4mg +生理食塩水40mL と患者Bに施行予定のガスター(H2受容体括抗剤)1A+生理食塩水20mL を準備し、それぞれトレイに入れて同じワゴンに載せた。患者Bのガスター投与時間に他の処置で遅れたため、注射器に貼ったシール(患者名等が記載)をはがした。患者Bの部屋に入る時、誤って患者Aの注射器を手に取りそのまま実施した。

【その他】

13

実施後の観察
及び管理段階

障害残存
(低い)

DIC(播種性血管内凝固)の治療としてレミナロン(ガベキサートメシル酸塩)を単独で末梢静脈ラインで行った。添付文書に基づき投与濃度は0.2%とし、投与速度も2.5mL/kg/h 以下、総36mg/kg以下で行った。定期的に観察していたが左足の腫脹に気付き、固定ガーゼを外したところ点滴刺入部が白く変色していた。


ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例  (第9回 ヒヤリ・ハット事例 「調剤」)


具体的内容 背景・要因 改善策

【薬剤間違い・取り違え】

1

アマリール(スルホニルウレア系血糖降下剤)3mg 1錠 1×朝食前とアクトス(インスリン抵抗性改善剤)15mg 2錠 1×朝食後 の薬袋を入れ間違えた。患者が自宅で気付いた。

業務手順・ルールの問題:色、形とも類似はない。手順1.処方箋が来ると同時に処方箋に応じた薬袋の準備(氏名、用法の表示)をし、処方箋と一緒に籠に入れ調剤係に回す。手順2.調剤係は、処方箋に応じた薬の種類を指示数通り薬袋と処方箋が入っている籠に入れ(この時薬袋にはいれずバラバラで)監査係に籠ごとまわす。手順3.監査係は、処方箋と薬を確認しながら、その薬に応じた薬袋を籠の中から選び出し薬を入れていく。薬剤師により3の段階は多少順番が変わることもある。※薬袋を並べてその上に薬を乗せておき、処方箋と確認して1袋(1種類)づつ入れていく場合もある。薬袋は見やすいような表示であり、区別されている。

  • 薬袋を並べてその上に薬を乗せておき、処方箋と確認して1袋(1種類)づつ入れていく方法が袋の上に薬を置くとき、入れる時と2回の確認が出来るので安全。
  • 患者に薬を渡す時に、中身を見せて患者にも確認してもらい薬剤師も確認する。

2

他院の院外処方で、保険薬局が誤って経口血糖降下剤を調剤したため、患者は服用し低血糖で救急外来を受診した。救急外来からの医薬品識別依頼があり、コンピューターで識別を行った。被疑薬グリベンクラミド(血糖降下剤)の識別コードがn648であったため、648で検索した。該当薬品が4種類表示され、その中からn0648(抗菌薬)を識別結果に記入した。医師から再度確認があり、他の薬剤師が識別を行ったところ記録が誤っていることに気付いた。

  • 同時に表示されるアルファベットのマーク(n)が一致したためそれを被疑薬と思い込んでしまった。
  • 休日であったため、何度も電話や外来の処方で中断したため注意が散漫になった。

  • 検索キーを増やして検索するよう心がける。
  • 識別結果と持参薬の外観を最終確認するようにする。

3

カルブロック(持続性Ca拮抗剤)8mg が処方されたがブロプレス(持続性アンジオテンシンII受容体拮抗剤)8mg を処方した。薬剤助手はカルブロック8mg が処方された処方箋を目で確認したが手にした薬はブロプレスで1包化のため分包器に充填した。その後、薬剤師は確認したが識別コードが確認できていず間違ったまま病棟へ届けられた。薬は退院処方で、今までの処方と変更されてなかった。看護師は患者へ手渡す時「いつもと変わりないか見て下さい」と言葉をそえた。患者から「いつもと数は一緒だが色が違うようだ」と申し出あり。薬剤科へ差し戻し間違いに気付いた。

薬剤名を目で確認してるが頭へは違う薬品名がインプットされている(思いこみ)。検薬時、薬剤師が識別コードのチェックができていない。

  • 処方箋と薬を確認するときの声だし確認の徹底。
  • 検薬時、薬剤師が識別コードのチェックを実施。

4

アマリール(スルホニルウレア系血糖降下剤)1錠、分2、70日の処方で、半錠分包された予製品(予め計量混合しておいた製剤)を140包(14包×10束)払いだすところを、ラスチノン(血糖降下剤)半錠を42包(14包×3)に混入し、鑑査も通り抜けた。別の薬剤師がラスチノン分包の棚を見てアマリール分包が入っているのに気付き、その時点で処方のあった患者に電話確認し、取替えた。

血糖降下剤は患者名と払出し数を用紙に控え、ダブルチェックしている。また半錠処方は患者の希望により、分割分包するかそのまま錠剤で出すか、特記事項に示してあるので、それに従う。今回まず最初の薬剤師が特記事項に半錠分包とあるのを見逃し、錠剤で70錠出したところで確認を求めた。当事者が確認に行き、特記事項に気付き半錠で出し直した。その際、在庫のタッパーから7束と棚から3束取った。最初の薬剤師を呼び、出し直したものを見てもらったが、1束は束を開いて錠剤を見たものの、すべてを見なかった。おそらく棚から取る時誤ってラスチノンの棚に戻したと思われる。以前にも取り違えたインシデントはあったが、外見は分包されているため似ているが、錠剤の色や大きさは全く違うため、鑑査で発見できると考えていた。

  • 分包紙に区別の為色付けをすることとした。
  • 棚の場所を離れた所に移動した。

5

ヒルドイド軟膏(血行促進・皮膚保湿剤)処方のところ、調剤者がボルタレンゲル(消炎・鎮痛・解熱剤)を調剤した。監査でも見逃した。

一度退院処方が出たあと退院が取り消しになり、同じ処方を何度も監査したため、外用剤の数は確認したが、薬品そのものをしっかり確認しなかった。

  • 容器などのイメージが似ているが、思い込みをしないで処方箋をよく確認して調剤する必要がある

6

当直時に血液科医師より抗がん剤交付依頼があった。医師が抗がん剤指示確認票を持参し、抗がん剤指示確認票に沿ってプロトコール(治療計画)鑑査を行った。プロトコールに問題が無かったため、事前に調剤、鑑査が済んでいた薬を確認せずに交付した。日勤時に医師より処方内容と違ったものが交付されているとの連絡があり、誤りが判明した。投与準備中だったため患者への影響はなかった。

昼に医師が1度処方した後、薬剤部では調剤、鑑査が済み、抗がん剤指示確認票待ちの状態であった。その後夕方に処方が変更されていたが薬剤部では変更に気付かず、変更前の処方で調剤、鑑査を済ませた薬をそのまま交付した。変更後の処方箋は当直帯なので調剤せず別にしていた。抗がん剤指示確認票と注射箋が同じであるかを確認せず、患者名と使用日しか確認しなかった。当直帯に翌日の抗がん剤を取りに来た。抗がん剤指示確認票の変更があったことに気付かなかった。処方変更の連絡が無かった。

  • 抗がん剤指示確認票と注射箋が同じであることを確認する。
  • 抗がん剤は日勤帯に調剤、鑑査、交付する事を徹底する。
  • 一度処方した後に処方(プロトコール)の変更があったときは薬剤部に連絡してもらうよう医局に申し入れる。

7

医師がオーダーリングシステムにて「補正用NaCl(塩化ナトリウム)」を処方しようとして「補正用KCL(塩化カリウム)」を3A処方してしまった。処方を受けた薬剤師の疑義紹介にて発見、未然に防がれた。

オーダーリングにて処方は3文字入力になっている。医師が「補正用」と入力したときに「NaCl」と「KCL」両方とも表示されるため、誤っ「KCL」の方を反転させてしまい、選択してしまった。KCL製剤は安全のため薬局管理になっており、薬剤師が発見し未然に防がれた。

  • オーダーリング上、「KCL」は「補正用」から入力できないようにマスターを設定しなおした。

8

注射処方箋にアルブミン「化血研」(血漿分画製剤)が処方されていたが、アルブミン−Wf(血漿分画製剤)をアルブミン「化血研」と思い込み、取りに来た主治医に払い出してしまった。病棟にて看護師が患者に投与後、特定生物製剤であるため、ロット番号を入力するために、製剤ラベルを認証しようとしたところ、エラーが発生した。特定生物製剤の認証ができなかったため、後日薬剤部に問い合わせがあり、インシデントが発覚した。

特定生物製剤のロット番号認証時、エラーが発生したにもかかわらず、薬剤の確認を怠り、そのまま患者に投与してしまった。

  • 薬剤部において調剤する時に、薬品名を確認する。
  • 処方箋に3規格以上あるものについては、赤で商品名又は規格に下線をつける。
  • 薬剤の受払い時、商品名を確認する。
  • 病棟において、製剤認証を行なってから患者に投与する。

9

インスリン専用針付注射器ロードーズU - 100、 1/2mL が処方のところにプラスチパック1mLを調剤し、監査を通り患者へ渡った。患者の家族が注射器が異なることに気付き、来院。交換となった。来院までは自宅に持っていたロードーズを使用していた。インスリン用注射器の製剤名が異なることを患者家族が気付き、来院した。

ロードーズU - 100には1/2mL と1/3mL の2規格があり、規格を間違わないよう注意することに気をとられ、製剤名の確認を怠った。ロードーズとプラスチパックが隣接して配置してあった。

  • 処方箋と製剤名・規格の指差し、呼称確認を徹底する。
  • インスリン用注射器はまとめて1箇所に配置されているため、間隔をあける、もしくは製剤名を大きく記載するなど識別しやすい環境にする。
  • 手にとった時の最終確認のチェックの徹底と、今回の事例は環境が整っていなかったことが大きな要因と考える。
  • 名称の表示、配置場所の変更を行う。

【薬剤間違い・間違った薬剤の混入】

10

薬剤師が自動分包機でモービック(非ステロイド性消炎・鎮痛剤)を分包した、その中にタケプロン(プロトンポンプ・インヒビター)が入っていた。それに気付かずに病棟に上げてしまった。コンベアで入れる薬(モービック)だったが、それ以前にばら撒かれていたらしい薬(タケプロンOD)が混入していた。業務に入ってからはタケプロンを使用してないのでそれ以前に入っていたものと思われる。確認して袋に入れたつもりだったが見落としていた。準夜帯で腰痛のためモービックが上がってきたため配薬カートにセットしようと思ったら、一包目に別の薬が一錠入っているのに気付き薬剤部に問い合わせた。

調剤時の確認不足。監査時の確認不足。タケプロンを調剤した人が不明になった薬について追求しなかった。不明の事実をメンバーに情報提供しなかった。夜間の調剤で一人しかいなかったためダブルチェックできなかった。

  • 調剤・監査時の確認の徹底。
  • 調剤時不明な薬があれば原因を追求する。
  • 他のメンバーに情報提供し注意を促す。

11

漢方クリニック医師より、外来処方でカネボウNo.34百虎加人参湯のところにカネボウNo.20防已黄耆湯が2包だけ混ざっており、患者は既に服用したらしいと連絡あり。患者が薬剤部窓口にカネボウNo.20防已黄耆湯の空包を持参、確認後謝罪した。

カネボウNo.34百虎加人参湯とカネボウNo.20防已黄耆湯は棚番が上下にあり、外観が類似しており2包だけ混入していた。今回は全ての包装を確認せず調剤したため過誤が起きた。

  • 各散剤担当者は充填時・返却時に薬品名・棚番を十分確認し、棚番変更を検討する。
  • 調剤時に一部薬品の包装のみでなく全薬品名・番号を確認し調剤するよう徹底する。

12

カバサール(ドパミン作動薬)1.0mg 1日1回、2錠、3日分の調剤に0.25mg が調剤してあり、監査で見落とした。調剤時にも規格に印が無かった。与薬前に病棟看護師が気付き交換。患者には影響は無かった。

調剤薬剤師、監査薬剤師とも部署配属5ヶ月以内であり、複数規格に対する認識が低かった。

  • 複数規格品の薬剤リストに調剤従事者は定期的に目をとおす。
  • 既に複数の「規格」がある薬剤リストは薬剤部全員に配布済みであったが、インシデントが発生した。
  • 日当直業務中で不慣れがゆえに再発が起きないよう、再度各フロアーの朝礼で複数の規格が存在する薬剤には注意の喚起を促した。

13

入院患者の持参薬パキシル(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)20mg 錠を10mg 錠と記載した。病棟担当薬剤師が間違いに気付き指摘を受けた。既に鑑別用紙をみて主治医が10mg 錠で処方していたが、服用される前に入院前20mgだったことを連絡する。

月曜日で持参薬鑑別件数が多く(週末入院患者分が含まれるため)病棟に送るのが遅れて急いでいた。持参薬鑑別業務は監査無しで送るため間違いのチェックが出来なかった。錠剤が粉砕されていて薬剤情報をもとに鑑別した。当院採用薬が10mg だけのためパキシル=10mgという思い込みがあった。

  • 鑑別件数が増えつつあるので遅れないように勤務時間を組む必要がある。
  • 時間的問題があるが監査を検討する必要がある。
  • 粉砕薬、当院未採用ある規格のある薬剤は特に注意する必要がある。

14

術後、抗生剤点滴指示が1日2回で薬剤は生理食塩水100mL とセフメタゾン(セファマイシン系抗生物質)0.5g の指示であった。薬剤から払い出され準備されていた薬剤は生食キット100mL にセフメタゾン1g であった。当事者は指示書、注射箋を確認して準備し実施した。翌日も実施した。一日2回の2回目の点滴を他の看護師が施行しようと準備し確認したところ指示点滴薬である生理食塩水でなく生食キット(抗生剤のバイアルを接続する針が付いている)であった。抗生剤セフメタゾン1g を溶解して0.5g を点滴内に注入することが出来ないために、どのように点滴したか当事者に確認して間違いに気付いた。患者への影響はなかった。

指示薬剤が間違っていることに気付かなかった。生理食塩水100mLと生食キットの違いを確認していなかった。薬剤師は注射箋通り払い出さなかった。患者は小児であったが、1日2g を使用することは可能と判断し医師への疑義照会をしないで生食キットに変更し払い出した。指示書にセフメタゾン0.5g 使用と記載してあった。注射箋は薬剤払出伝票であるので1回使用内容は記載してなかった。

  • 注射箋記載時には使用内容も記載することを再度依頼した。
  • 注射箋記載手順(当院の手順)を配布した。
  • 薬剤師は医師に疑義照会し確認をする。医師に疑義照会することで医師が注射箋記載不備を把握できる。
  • 看護師は指示内容をしっかり確認する。指示書と薬剤確認、準備時の注射箋と確認、患児へ行うときの確認。施行後指示書記載確認をしっかり行う。

15

イントラファット( 脂肪乳剤)100mL の指示が伝票に記載されていたが、250mL の容器を病棟にあげてしまった。別の薬剤師が監査するが見落とされた。

規格が2種類あるが、250mL は棚に並べられていたが、100mLは段ボールの中に入っており、規格が1つしかないと思い棚に並べてあった250mL を払い出した。指示伝票の量を確認しなかった。規格が追加されたものが、薬剤師全員に周知されていなかった。

  • 薬品棚の整理。
  • 見やすく表示する。
  • 規格が複数ある場合は棚に規格複数ありの表示をする。
  • 新規採用になった薬剤は薬剤師に周知するよう、議事録を読む。
  • 薬品棚へも表示する。

16

処方番号A1・A2の「ツインパル1000mL 1袋 点滴静注」をどちらも500mL で調剤し、鑑査も気付かず病棟搬送された。担当看護師が投与準備中に気付き、病棟在庫のツインパル1000mL を用いて投与した。薬剤部では連絡を受けた者が事実確認し謝罪した。

ツインパルはアミノフリードの後発品で、アミノフリードは500mL のみの採用だったが、ツインパルは500mL・1000mL の2規格が採用されている。2規格とも外観が余り変わらず、1000mLの処方頻度も少ない事から調剤時に非常に間違いを起こし易い。

  • 処方鑑査はツインパル1000mL は処方量が少ないため、処方箋の薬品名にマーカーでラインを入れる等して調剤者・鑑査者へ注意喚起する。
  • 修正処方出力時のシステム改修は修正処方調剤時はピッキングシートを用いず調剤するため計数間違いが多く問題になっている。防止のため鑑査過程を1度増やしているが、更に送付票の表示形式変更を検討したい。現在、修正処方の送付票は調剤総量で記載されているが、これを仮締め時の送付票との差で表記する事で薬剤の抜き忘れ・加え忘れも防げると考える。

【薬剤量間違い・計量・計数】

17

ウロカルン(尿路結石治療剤)12錠を薬袋に入れるべきところ、3剤しか入ってなかったと患者から電話で指摘された。薬袋の記載は正しく、それぞれの薬袋の中に入っていた薬剤も正しかった。別件について、患者から救急外来へ問い合わせの電話があった際に指摘された。

当日は慎重に注意深く調剤をしたつもりだった。計算間違いをしたという記憶が残っておらず、患者からの電話で気付いた。緊急の輸血オーダーの対応に追われていたせいかもしれない。

  • 患者へ服薬説明するだけでなく、実際に薬剤を薬袋から取り出して相互に確認し合うのがよい。完全な実施は難しいものの、できるだけそういう方法に改めたい。
  • 救急薬局の事例である。1人で行っているため、自己監査はしっかり、いつもに増して行う。
  • 患者に薬を渡す時、薬剤情報を見せながら説明をしているが、今後は薬自体を見せて本人とも確認しながら説明し、薬を渡す。

18

外来処方でワーファリン散(ワルファリンカリウム)21包のところ16包しか入っていなかったと患者家族から電話あった。患者は服用後だった。散剤分包時は分包者が包数入力後、助手が薬剤を薬袋に入れる際に包数確認し、更に包数をノートに記録するようになっていた。今回も記録が残っており包数21包、その後分包の検薬をし、合わせて3人が包数を確認している。患者にその旨説明し不足分5包のみ速達郵送した。

紛失・服用間違い・分包数間違いの可能性がある。

  • 散薬分包は分包者が処方箋・薬袋確認後に分包器の包数を入力し、分包後、助手が包数再確認しノートへ記録、更にその後分包監査しており、何重ものチェック機能を設けている。今後も前記の確認を徹底する。

19

抗がん剤の前投薬に用いるアイソボリン(活性型葉酸製剤)を2人分同時に用意していた。一方の患者は7バイアルであったのに対して今事例患者は6バイアルで指示が出ていた。調剤者はそれに気付かず2人とも7バイアルづつ調剤し監査者もそれに気付かずに病棟へ払い出した。病棟にて看護師が発見し患者のは投与には至らなかった。

2人分を同時に用意するという設定、判断が間違いであった。調剤者、監査者の責務が実施されず病棟へ払い出されてしまった。

  • 調剤の方法を流れ作業的に行う習慣がその職場にある。一行為が完了してから次の行為に移るように周知、徹底指導した。
  • 似た処方が続く時の思いこみ調剤の防止対策。
  • 監査者は油断しない。監査者に限らず声だし、指さし確認を行っていく。

【薬剤量間違い・日数】

20

入院患者に化学療法のCCR(放射線・化学同時併用療法)プロトコル(治療計画)が処方されたが、休薬期間4週間のところ主治医が思い違いで休薬期間3週間で入力し、薬剤部も気付かず調製し患者に投与された。病棟担当薬剤師が薬歴作成時に休薬期間が短い事に気付き病棟に連絡したが投与終了後だった。

処方医も鑑査薬剤師も3週間休薬後4週目には投与可能と勘違いした。本院の抗癌剤レジメン(プロトコルを簡潔に示したもの)は休薬期間の表現が3投1休、4週間、4週間1クール等様々で誤解を生じ易い。CCRプロトコルは同一処方を4週毎3回投与して1コースのため登録をday0- 7・day28-35・day56- 63(投薬日数毎)の3フォルダに分けてあるが、同一内容フォルダが複数あるプロトコルの場合、初回投与フォルダがその後も使われる例が多い。今回もday28- 35フォルダを選択すれば医師も薬剤師も4週間休薬が必要と気付く事ができた。休薬期間より数日だけ短い場合、照会をためらう事がある。特に添付文書等に記載の一般的休薬期間を満たしている場合その傾向が強い。休薬期間のチェックは化学療法鑑査シートを用い前回投与日から計算しているが、処方箋出力時にチェックするのみで、その後の監査でチェックするシステムがない。

  • 本院の抗癌剤レジメンは表現方法を統一する必要がある。
  • 同一内容でも該当投与日フォルダを使用した処方を徹底する。
  • プロトコルに決められた休薬期間を満たしていない場合、必ず照合する。
  • 処方入力画面と処方箋上で休薬期間を確認できるようにし、各段階の監査で休薬期間を確認できるようにし、複数薬剤師でチェックする。

【薬剤量間違い・分包】

21

経管栄養用処方のリピトール(HMG−CoA還元酵素阻害剤)とバイアスピリン(抗血小板剤)を散剤で調剤するところ錠剤のまま一包化して調剤し、監査者の確認を通り病棟搬送された。病棟より連絡受け、直ちに入院調剤室で再調剤し病棟で確認、謝罪し交換した。

調剤者は希望剤形の確認を怠った。監査者は薬剤名・用法・用量・処方日数に気を取られ、希望剤形が経管栄養用と気付かなかった。散剤秤量者・散剤監査者は調剤すべき処方を見落とした。

  • 調剤者・監査者は処方箋上の薬剤名・用量・用法・処方日数の確認に加え、希望剤形の確認を徹底する。
  • 散剤秤量者は調剤すべき薬剤を見落とさない。

【患者間違い】

22

経験年数約5ヶ月の薬剤師が内服薬を一包化する際、分包器に他の患者の名前を入力した。薬袋に入れる際に監査者(経験年数6年の薬局事務)も誤りに気付かず病棟に払い出した。病棟看護師が、確認中に間違いに気付いた。

確認不足。責任不足。新人教育がきちんと行なわれていない。危機管理意識の低下。

  • 新人教育の見直し。
  • 新人が調剤を行なったときは、上司が監査をする。
  • 入力時の名前確認の徹底を図る。
  • 誤認ミスに対し、安全ニュースにて取り上げる。

【交付もれ】

23

外来へタキソール(腫瘍用薬)の個別セットを払い出す際、冷所に保存してあるデカドロン(合成副腎皮質ホルモン剤)4mg 3Aを入れ忘れた。外来師長から連絡があり、すぐ外来に届けた。看護師が気付いたため、患者には通常通り投与されたので、患者に説明はしなかった。

やり慣れた業務であったため、少なくとも3回くらいは見直したと思うが気のゆるみがあったかもしれない。外来に払い出す際に通常は看護師とダブルチェックを行うが、たまたま担当の看護師がいなかった。報告者の薬剤師は退院する患者の指導に行かなければならなかったため、外来で担当の看護師を待っていられなかった。

  • 担当の看護師がいない場合、他の外来看護師に見てもらっては(ダブルチェック)どうか、第三者と読み合わせをするだけでもミスに気付く確率が高くなると思われる。

【薬袋・ラベル違い】

24

レベトールカプセル(抗ウイルス剤) 3カプセル、1日3回食後朝1昼0夕2、14日分の処方に対する薬袋が自動薬袋発行システムで作製された際、薬袋の用法指示が朝1カプセル、昼2カプセルと誤って記載された。用法指示が誤っていることに薬剤部で気付かず病棟へ送付した。本来指示のない昼食後に2カプセルが服薬された。

処方オーダー上の用法指示が当ケースのように「朝1昼0夕2」と入力されていると、薬剤部の自動薬袋発行システムでは「0」が認識されずデータが前方に詰まる現象が発生する。その結果、今回は「朝1昼2」と薬袋に記載されてしまった。また、誤って用法が記載されていることに調剤者、監査者共に気付かず病棟へ送付した。

  • 処方オーダ上で用法指示に「0」を含む特殊な処方においては、自動作製された薬袋の記載内容についても間違いが起こりえることを認識し、十分に確認するよう注意喚起を行った。
  • システムの改善を検討した。

25

一包調剤のある処方を調剤した。長期投薬で一包調剤以外の薬が先に取り揃えられ、錠剤分包機が一包調剤を完了するのを待っている状況であったため、次の処方を調剤した。一包調剤が出来たため薬袋に薬を入れた。その時、薬袋のサイズにあわせて2つに分けて束ねた中の1つしか入れなかった。患者は薬の一部を受け取っているため、服用に支障はなかった。

薬の一部が残っていることが見つかったため、薬渡し窓口で薬を患者に交付済みであるか調べた。その結果、既に患者に交付済みであることが判ったため、患者に薬が一部薬剤部に残ってしまったことを連絡し、謝罪の上患者の希望で薬剤を送付した。

  • 一包調剤は錠剤分包機で自動的に調剤されるため、包数の確認は薬袋に入れる時に行なうこととなっている。
  • 手順を遵守し、監査時も包数の多いものは、手順に従い読み間違えに注意する。

26

注射薬の輸液セットを取り揃えるために非実装薬品集計表を発行する際、プリンタートラブルがあった。そのため、払出実績表を発行し、薬品を取り揃えた。しかし、払出実績表では正しく取り揃えできないことに気付き、非実装薬品集計表を再度発行した。しかし、払出実績表で既に誤って払い出されていたヴィーンF(酢酸リンゲル液)がそのまま病棟に上がってしまった。該当患者がなかったため患者の実害はなかった。

病棟から実施予定のない輸液が上がっていると連絡があり、非実装薬品表を調べた結果、薬品表にない薬品を注射セットで搬送していたことが判った。

  • 非実装薬品を確認する時は集計表で確認した後、表に載っていない薬品が混ざっていないか確認する手順として薬品の品目数を実際に取り揃えられた薬品をみて確認することで再発を防止する。
  • 集計表の内容について理解し、トラブル時には必要な表をすぐに出せるようにする。

【分包器の故障・不具合】

27

リルテック(筋萎縮性側索硬化症用剤)を28錠粉砕し、内規に従い乳糖を加えて全自動分割粉包機に入れた。薬剤の落ちる速度が遅く、フィーダー(散薬を投入し少しずつ円盤に撒く部分)に薬剤が残っていたが、分包機は薬剤が落ちきったと判断してしまい、送り出されてしまった。調剤者がフィーダーに薬剤が残っていることに気づかず、監査者へ渡した。監査者が重量の少なさを指摘し、調剤者が分包機を確認したところ、フィーダーに薬剤が残っていた。

分包ミス(分包機誤差)の問題。観察不十分の問題。

  • フィーダーに薬物が残っていないか必ず確認する。
  • 全自動分割粉包機を過信しない。

【その他】

28

病棟薬局から上がってきた点滴を処理する際、病棟の取り決めに準じて伝票の処理を行い、投与時間・投与法・配合禁の有無・医師の個別の指示の有無を確認して伝票を処理したが、冷所での保存の確認を怠ったため24時間常温に置いたままとなり薬剤を破棄する結果となった。

処方箋が一括になっており、誰かがすでに確認していると思った。処方箋に処理者の捺印がなかったため、おかしいなと思ったが、処方箋と薬剤の照合をせずに(薬剤保管方法については重要視していなかった)自分で印鑑を押した。今まで、点滴伝票の処理を途中で交代しても自分の印鑑を押しており、安易に確認印を押していた。

  • 処方箋の薬剤確認時、保管方法についても確認をする。
  • 薬剤処理は(処方箋と薬剤確認)最初から最期まで責任を持って行い、責任をもって捺印する。
  • 処方箋に捺印することの意味づけを本人はもとより、朝礼で再指導を行った。
  • 詰め所会で薬剤コストを提示し自覚を持たせる予定。

29

入院してすぐ5FU(腫瘍用薬)の指示がでた。薬歴確認するとTS -1(腫瘍用薬)を投与中(中止されていない)であった。医師に確認すると患者には飲まないように指示したとのことであったが、病棟担当薬剤師が直接患者に確認すると服用続行していた。また残りの薬も持参していた。入院日を決めてからTSー1の処方が14日分(多めに)処方されていた。

化学療法に入院決定したらTS - 1の処方も日数計算して処方すべきところ、多めに処方された。また患者への指導もあいまいであった(医師のみの指導であった)。医師の禁忌薬剤の認識が甘かった。

  • 混注前に薬歴簿の確認。禁忌薬剤も確認し医師に疑義照会する。
  • 禁忌薬剤については、外来も必要時薬剤師に指導を依頼する。
  • 禁忌薬剤投与時は患者が理解されて守られているかどうか確認して、次の治療を行なう。

30

薬剤部製剤係において調製されたリン酸水素2ナトリウム注(院内製剤)に浮遊物が混入していた。

リン酸水素2ナトリウム注は薬剤部製剤係において、クリーンルーム内にて調製した製剤だが、製造工程で何らかの繊維が混入してしまった可能性が高いと思われる。

  • 薬液の調製、アンプルの熔封を行う場所の変更
  • 浮遊異物試験の実施者の制限
  • 調製後アンプルの保管


ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例  (第9回 ヒヤリ・ハット 「持参薬」)


具体的内容 背景・要因 改善策

【薬剤間違い】

1

産後精神障害が悪化し、救急入院となった。当直医は紹介元の医院に断乳剤を依頼し、家族が紹介状とともに持参した。引き継いだ当直医は、一旦休薬とした。月曜日に主治医が決定し、パーロデル(持続性ドパミン作動剤)開始と指示をしたが、精神状態が不安定であるため、翌日中止の指示を出したが、続行して与薬されていた。主治医は断乳剤をパーロデルと指示していたが、実際は後発品のテルロンであったため、中止の指示を受けた看護師は与薬内容にパーロデルがないため、処方切れで中止になったと判断した。主治医は、紹介状も薬剤も確認しないまま指示を出していた。断乳剤はパーロデルしかないと思い込んでいた。発見した看護師は、紹介状と薬剤を見ており、間違いに気付いた。

深夜帯の入院であり、薬剤科が当直していないため断乳剤を紹介元に依頼した。医師が紹介状と持参薬を見ていなかった。現在は後発品を採用しているため、思い込みは厳禁であり確認する必要があった。

  • 医師、看護師、薬剤師それぞれが入院持参薬の取り決めの遵守を徹底する。
  • 入院した場合は、当院で処方する。

2

抗がん剤TC439を他院より処方され内服されていた。内服の内容がTSー1に変更となり、TC439は内服中止となった。本人へ説明し、持参していた薬を預かり、新しく変更となった内服薬のみ看護師管理とし、ほかの血圧の薬などは本人管理としていた。本日朝内服状況を確認したところ、TC439も内服していた。本人に確認すると、「新しく持ってきてもらって飲んでいた」とのことであった。

患者の内服に対する理解の程度を十分に把握出来ていなかった。また、患者自身の管理であったため、配薬した薬以外の確認を十分に行えていなかった。

  • 現在内服されている薬について再度説明を行っていく。
  • 1日の薬を配薬できる箱があるので、必ず確認をおこなっていく。

3

入院時に持参したイトリゾール(抗真菌剤)を、入院後も継続して本人管理で内服していた。その後、イトリゾールを中止し、クラリス(マクロライド系抗生物質)へ処方変更することとなった為、本人に説明し、残っていたイトリゾールを預かった。数日後、薬剤師が服薬指導をしていると、本人が準備した薬の中に、イトリゾールがあることに気が付いた。確認すると、中止の指示後も内服していたことが判明した。

処方変更があった時点で持参薬を預かったが、全部ではなかった。持参薬の残数確認をしていなかった。患者に説明をしていたが、理解されていなかった。

  • 持参薬を中止する場合は、残数を確認し、本人に説明して全て引き上げる
  • 早めに服薬指導してもらうよう、薬剤師に連絡する。

4

入院時、整形外来からの申し送りで9日前からバイアスピリン(抗血小板剤)の内服中止とあった。薬剤師に持参薬の鑑別入力依頼し確認してもらうとバイアスピリンを内服していた事が判明した。主治医報告し医師、薬剤師とともに確認した。本人は外来での内服中止の説明時、別の抗凝固剤(ビーチロン錠)の方と思い中止していた。

入院時担当看護師が口頭で本人に確認したが自己管理であったため実際の薬を確認しなかった。

  • 外来で内服薬確認や中止をする際は、文書にする等実際の薬を示すなどの方法をとるべきであった。

5

他の病院で、禁忌薬剤であるカルバマゼピン(向精神作用性てんかん・躁状態治療剤)が誤って処方された患者が、薬疹と意識レベル低下で当院へ救急搬入された。当院にてステロイドによる治療を行い、退院に至った。退院当日、退院処方がないため看護師が医師へ問い合わせをした際、口頭指示にて「持参薬を持たせるように」と指示があった。看護師は、禁忌薬剤が入っているため薬剤師に持参薬から「テグレトール(向精神作用性てんかん・躁状態治療剤)を除いてほしい」というべきところ「ドグマチール(精神・情動安定剤)を除いて欲しい」と伝えた(本人はテグレトールと言ったつもり)。薬剤師は持参薬に「ドグマチール」が入っていないため、処方した調剤薬局へ問い合わせ、入っていないことを確認し看護師へ「ドグマチールは入っていない」と持参薬を渡した。看護師は患者家族へ他の病院からの持参薬を渡した。退院後、自宅で2回テグレトールを内服し、翌日入院時と同様の症状が発症し再入院となった。

持参薬は全て薬剤師の管理になっている病棟もあるが、一般病棟である当該病棟では基本的には持参薬を使用しないことになっている。しかし、他の病院にて30日分など処方されるので家族としてはその薬を利用して欲しいというニーズがある。このケースは、持参薬に関して入院中薬剤師の関与がなかったこと、担当の薬剤師が病棟のカンファレンスに多忙にて参加できなかったこと、カルテ上に退院に処方に関しての医師の記録がなかったこと、看護師の思い込み、など複数の要因が重なった。持参薬は会計に反映されないように内容を薬剤師がコメントとして処方内容に入力している。しかし、口頭指示であり、看護師がカルテ画面を確認しなかったこと(カルテには禁忌薬剤名が記入されていた)、薬剤師もカルテを確認していなかったこと、医師がカルテに退院時処方に関する指示を出していなかったことが問題である。看護師は「口頭指示受けメモ」にも記載をしていなかった。持参薬に関してのマニュアルは包括病棟での運用のみであった。一般病棟では患者の希望に応じて使用したり、使用しなかったりと様々であった。

  • 薬剤師のところで持参薬に関する一般病棟のマニュアルの作成をしている。

【薬剤量間違い 過少・過量】

6

他院にて処方された薬を「持ち込み薬処方」で入力する際、メデット(血糖降下剤)2錠分1朝食後服用を誤って1錠で入力した。その後継続処方時に、持ち込み薬を入力した錠数のとおり処方され、患者より「朝の薬が1錠少ない」との言われたため、照合し誤った入力に気付いた。

日勤帯で入力する予定の持ち込み薬が、日勤帯を過ぎても入力できていなかったため焦りがあった。薬包の錠数を数えた際に、入力したものと行を間違えた。最終確認が不十分であった。

  • 入力時は落ち着いて、確実に入力するよう心がける。
  • 薬情・薬袋・薬包間に間違いがないか確認し、疑義があれば照会する。

7

持参の麻薬を患者に確認した時は、オキシコンチン10mg 分2で内服していた。入院後、指示簿に「10mg 分2」と指示が入力されていたため、そのまま投与した。翌日、医師の記録を確認していると、「20mg 分2」と入力されていたため確認すると、増量の指示を出したかったことが判明した。持参薬麻薬確認指示書には、看護師が確認した時のまま「5mg(1錠)1日2回」と記載されていた。

医師は指示変更した旨を、看護師に伝えなかった。電子カルテシステム上の機能がないため、持参麻薬は紙運用にしており、指示はその紙の指示書に医師が手書きすることになっているが、行われていなかった。医師は、指示簿の入力量を間違えた。

  • 医師は、指示を変更する際、必ず看護師にその旨を伝えることを遵守する。
  • 持参麻薬の運用について、再度周知、徹底する。

8

持参薬の鑑別時に医療情報提供用紙がなく薬袋の情報でデパケンシロップ(抗てんかん,躁病・躁状態治療剤)40mL 分2で報告した。持参薬が切れた時点で医師が薬剤課の報告のまま40mL 分2で処方した。薬剤課も1年目薬剤師と非常勤薬剤師で監査したが用量が多いことに気付かなかった。3回服用したところで意識レベル低下、歩行困難となった。朝から傾眠、覚醒状態不良、食事が入らない状態で徐々に意識レベル低下、CT所見異常なくデパケン血中濃度上昇でデパケンシロップ用量が多かったことが判明した。看護師は医療情報用紙で12mL 分2の記載を見ていたので混乱していたが医師に報告・相談しないまま服用させていた。

デパケンシロップなど用量チェックがかかる仕組みがなかった。看護師、新人薬剤師に要注意薬の理解・教育。医師と薬剤課、看護師間のコミュニケーション・情報伝達不足。持参薬の鑑別時に医療情報提供用紙を持参するルールの逸脱。病院間の情報伝達不足(希釈して使用の情報なし)。

  • デパケンシロップに常用量をmLで表示。
  • リスク高い薬剤はパソコン入力時、上限値チェックがかかるシステムに改善。
  • 持参薬鑑別時には医療情報提供用紙を必ず持参することを再徹底。
  • 他病院へ地域連携室から情報提供について申し入れをする。

9

服薬中毒にて入院の患者。レンドルミン(睡眠導入剤)、ルボックス(精神神経用剤)内服確認後、付き添いの人がいたため、床頭台に薬を入れてしまった。付き添いの母親がいないうちに、残っていた薬を全部(レンドルミン7錠、ルボックス16錠)飲んでしまった。

精神状態が悪く、多量内服してしまった患者の近くに薬を置いてしまった。本人は何もかもいやになり死にたいと思っていた。薬の残量を確認した後、母親がいるので大丈夫と思い、床頭台に残薬をしまってしまった(付き添いの人に残薬をしまった事は伝えた)。 

  • 薬は看護師管理とする。
  • 家人に渡して管理してもらう。
  • 患者の状態に応じた対応が必要。

10

ラシックス(利尿降圧剤)20mgの1/ 2錠服用の指示がでた。持参薬の入った薬袋の中に薬包紙に包まれた薬があった。その中には1/ 2錠になった錠剤があり、表にラシックス20mg と書かれていた。錠剤を見た看護師は、20mgの1/ 2錠か40mg の1/ 2錠かは、わからなかった。しかし、患者が「ラシックス20mg の半分です」と言ったので、内服してもらった。他看護師の指摘で、錠剤は、40mgの1/ 2錠だったことが分った。

薬包紙の表にラシックス20mg と書かれた1/ 2錠になった錠剤が入っていた。1/ 2錠になった錠剤が40mg を1/ 2錠にしたので20mg と表示したのか、20mgを1/ 2錠にしたのか判らなかった。看護師は、錠剤を見ても20mg か4 0mg かの判断が付かなかったが、それ以上の追求はしなかった。長期間内服している患者の言葉を信じて、内服してもらった。持参薬の確認を薬剤師が行うシステムを活用していない。

  • 持参薬の確認は、薬剤師が行うことの再確認。
  • 疑問は、紹介状や処方箋で確認する。

  • 11

    持参薬を患者が持って来なかったので医師に処方してもらった。ダイアート60mg(持続型ループ利尿剤)1錠1日1回内服していた。処方はダイアート30mg 2錠1日1回内服であった(当院はダイアート60mg は採用されていないために30mg を2錠とする指示を出した)。看護師は患者にダイアート30mg 2錠渡そうとすると患者に「いつも1錠である」と言われて患者の言葉に従い30mg 1錠のみ内服してもらった。夕方医師から指摘されて間違いに気付いた。

    内服確認する時点できちんと確認しているが、患者の言葉に対して医師指示書・処方指示を確認せずに患者の言葉をそのまま鵜呑みにしたこと。内服した後の指示確認を実施していない。

    • 患者に渡すときには必ず処方箋を持参し、確認して渡す。
    • 患者の言葉で確認するときは必ずカルテに戻り、確認をする。
    • 持参薬は事前に入院時に持ってきて頂くように説明をしておく。

    12

    入院時当院の他科外来受診時の薬を続行するように指示が出た。看護師がその都度配薬をしていた。昼に配薬しようとしたら他の薬と一緒にホッチキスで留めて「○日昼」と記載していた薬があった。全部が昼の分と思い、数を数えずに全部渡した。夕方の看護師が薬がない事で、昼に患者に渡した中に夕の分も含まれていた事に気付いた。

    与薬時には持参薬の内容を印刷したものと確認し、与薬するようになっている。数が多いものについては個数を確認するようにしているが、確認せずに渡している。院内外来での持参薬については、入院時薬剤師の関与はない。

    • 薬の内容を確認してから服薬する必要性を再度教育する。
    • 入院時の持参薬確認時、わかりやすく整理を行う。

    13

    入院時、前立腺肥大のため持参薬にセルニルトン(前立腺疾患治療剤)6錠×3があったが、入院後中止になっていた。再開となり、看護師管理で与薬していた。指示内容はセルニルトン6錠×3と記載していた。しかし、薬品名のみ確認したために2錠与薬のところを1錠与薬した。夜勤の看護師が夕方の与薬準備時に1錠残薬が多い事を指摘されて、過少投与に気が付いた。

    通常の入院時の与薬システムでは、与薬の実施入力に薬品名と1回用量まで出るが、持参薬の場合は看護師が「持参薬」の予定を入力しないと持参薬があることを表示されない。入院途中から開始になっているので予定入力ができていない。また、用量までは表示されない。

    • 指示受けしたリーダー看護師は指示受け時に作業が終了してから、指示受けサインをする。
    • 与薬業務は持参薬であっても薬袋には、用量・服用方法・服用時間が明示されているので、与薬の原則の添って確認後に与薬することを個人指導する。

    【薬剤量間違い・重複】

    14

    入院時、患者が自分で持ち込んだ薬剤と当院で処方された薬は同じものであり、同じ薬を2回内服していたことがわかった。内服薬は今後看護師管理とすることを、患者に説明し謝罪した。

    患者が理解できるよう説明してなかった。指示簿にも記載はなく確認出来ていなかった。

    • 患者が納得されるまできちんと説明し、理解されたかどうか確認する。
    • 指示簿にも、薬について看護師管理か患者管理かをはっきり記載する

    15

    持参薬の薬袋が見当たらなかったため医師に報告しプレドニン(合成副腎皮質ホルモン剤)4錠が処方された。配薬時、持参薬と当院処方の薬袋があり調べると、3日間他院で処方されたプレドニゾロン(合成副腎皮質ホルモン剤)4錠と当院処方のプレドニン4錠が重複与薬していたことがわかった。医師の指示で持参薬は中止となった。

    配薬時は処方箋と照合し行なっているが、同じ薬効で重複していることに気付かなかった。入院時持参薬がある場合は、薬効についてDI(医薬品情報)レポートで確認したり、医薬品集で調べたりするが、DIレポートは依頼しても返事が遅くなることが多くあまり利用されていない。入院時に関わった看護師だけわかって他の看護師にそれを共有していない。配薬時に毎回調べることはなく処方箋と照合するのみで薬効がわからないまま配薬していることがある。

    • 薬剤部と検討し、DIレポートはできるだけ早く返してもらうということでDIレポートを利用しそれを薬袋と一緒に置き配薬時に確認できるようにする。

    16

    配薬時、院外処方の持参薬アムロジン(血管拡張剤)と当院処方のアムロジンが重複処方されていて1日重複して内服したことに気付いた。患者は特に変わりなかった。医師に報告し当院のアムロジンが中止になったため、看護師が一包化の中から取り除く作業を行なったが、しおりに記載されているアムロジンの写真が採用変更前のものだったためにそれに似た外形の他の薬を取り除いていた事に気付いた。

    当院処方薬については、変更があって薬を取り除いたり別包するときは薬剤部が処理をするようになっているが、看護師がその作業を行なったために間違いが生じた。アムロジンが採用変更になっており外形が変わっていたがしおりは古い外形のままだった。今まで院外処方の持参薬は薬剤部は取り扱わないことになっており、処理を看護師がすることがあった。

    • 薬剤を取り除いたり別に分包する時は必ず薬剤部が関わる。
    • 院外処方薬についても相談すればみてもらえるようにする。
    • 採用変更があった場合はしおりを更新する。

    17

    退院当日、看護師から薬剤師に患者家族へ薬を渡すよう依頼された。その際、持参薬と当院処方の残薬の日数合わせの依頼があり、看護師より受け取った薬を日数合わせして家族へ渡した。その後退院先の施設より、薬の重複があるとの問い合わせの電話が入り、間違いが発見された。日数合わせをしたのは寝る前の薬のみで、他の薬は患者が持っていた。(寝る前の薬のみ看護師が管理していた)。日数合わせをした際、渡された薬に朝・夕の薬が入っていたため朝の薬が重複した。

    情報の伝達、連携と情報共有のあり方の問題点。内服薬が本人管理か看護師管理かが明確でなかった。業務、労働体制上の問題点。CAG(心臓カテーテル検査)を施行する患者の送り迎えで、スタッフ不在の時間が長かった。(CAG件数の多い日だった)

    • 内服薬が本人管理であるのか、看護師管理であるのか、全部であるのか、一部なのか必ず確認する。
    • 日数合わせ(定期薬合わせ)をする際には、すべての薬を受け取る。
    • 他に薬がないか必ず確認する。

    【投薬忘れ・内服忘れ】

    18

    主治医は、入院時に持参薬続行との口頭指示を出したが、看護師には伝達できておらず、指示簿にも持参薬続行との記載がなかったため、投薬されてなかった。主治医は患者から内服していないとの報告を受け、持参薬を内服していないことを発見した。内服しないことによって、心不全増強の可能性、糖尿病薬は、血糖値コントロール不良の危険性があった。

    口頭指示が本当にあったか、今となってはわからない。病態に対する知識がない。

    口頭指示受け票の作成をした。

    19

    持参薬のプロマック(亜鉛含有胃潰瘍治療剤)、タケプロン(プロトンポンプ・インヒビター)、ガスモチン(消化管運動促進剤)の継続内服と院内処方で他の薬剤が処方され、投与するよう指示がでていた。入院4日目、胃部不快があり外科受診してタケプロンが処方された。指示を受けた看護師が不信に思い再度これまでの処方を確認すると、持参薬確認表が患者ファイルの中にしまわれていた。そこで、入院時より投与していなかったことが判明した。

    入院後、院内処方も出されたため、持参薬分は返納と思ってしまった。入院時、指示を受けた看護師は、院内処方と持参薬の内容の確認をしていなかった。電子カルテ上は、持参薬に対しても実施入力がされており、投与忘れに気が付かなかった(一括入力していた)。電子カルテのシステム上、紙ベースで確認していかなければならないものもあり、運用が煩雑になっている。

    • 院内処方が出た場合は、持参薬との重複がないか等、薬剤名の確認を怠らない。
    • 実施入力は、内服を確認してから入力することを徹底する。
    • 与薬に関する電子カルテシステムに対する問題点を出し、業者に改善要求していく。

    20

    面会に来ていた家族より、「糖尿病の薬(グリミクロン・メルビン・ベイスン)を入院してきてから本人が飲んでないと言っているんですが、飲まなくて良いでしょうか」と申し出があった。15年前から糖尿病があり、入院前は飲んでいたとのこと。入院時の指示として持参薬の中止の指示は特になかった。本人に聞くと「入院時には内服するようにということは聞いていないから、内服しないでよいと思ったとのことであり糖尿病薬は内服されていなかった。

    入院時に持参薬の継続か新規処方かを看護師が医師に確認した際に、後で継続か中止の指示を出すと言ったが、その後指示していなかった。看護師は医師が検討後に指示を出すことと確認を申し送ったが、次の勤務者が医師に再度確認していなかった。

    • 入院時に持参薬を確認した際に継続か中止の指示をもらう。
    • 内服確認のフローシートを設け、内服確認を行う(特に食前薬)。
    • 入院時医師指示簿に入院時持参薬の項目を設けた。

    21

    PDT(光線力学的療法)で入院している患者。持参の内服薬(降圧剤)を自己管理していた。退院日の朝、内服状況を確認すると、入院以来2日間内服をしていなかった事がわかった。

    患者はPDTの治療を受けている入院中は、今まで飲んでいた薬を併用してはいけないと思い込んでいた。入院時、看護師は説明をしたが、自己判断で中止してしまっていた。自己管理の患者だったため、各勤務帯の看護師の内服確認があいまいだった。

    • 毎回、口頭確認をすることで内服を促す。
    • PDT入院で持参薬を飲んではいけないと思う人がいる事を周知し、入院時の内服に関するオリエンテーションを確実に行なう。
    • 空き袋や残薬を確認する。

    22

    手術目的にて入院した患者。入院時、看護師が持参薬の数量・種類を確認し、用紙に記入後、自己管理となっていた。内服薬が無くなる術後2日目、新しく処方された薬と入れ替えようとした際、持参薬は自宅に持ち帰り全く内服されていない事が判明した。患者の状態に異常は無かった。

    患者の自己管理であるが内服薬の自己管理のアセスメント不足。患者に対する服薬指導と説明不足。内服されているかの確認不足。

    • 患者に応じて、看護師管理にするか自己管理にするかを検討しているが、どちらか迷った時は、先ず看護師管理として、自己管理に移行すべきかを検討していく。

    23

    持参薬が定時からセットされていないことを見過ごしていた。患者と朝の薬の錠数を確認して内服したがその時は看護師も患者も気付かず、患者自身から「皮膚科の薬飲んだかしら」と指摘を受け、持参薬がセットされていないことに気付いた。その時点で内服してもらった。

    ワークシートと処方箋を照らし合わせて、その後、薬剤を与薬庫から取り出し処方箋と照らし合わせた。その時に薬包を先に確認したため、精神科薬だけなんだという思い込みが強く処方箋を一枚目しか見ていなかった。定時薬セット時の確認も不足していた。

    • もう一度基礎に戻って日々の業務を行なう。
    • 自分が与薬カートに出した薬剤に関してはワークシートの印鑑の欄にチェックを入れることを徹底していく。
    • 定時薬チェック時の持参薬がもれないように、対策を検討する。

    24

    継続で服用していた他院からの持参薬が内容変更になったため患者の家族が新たに持参した。その処方内容で服用開始するよう、主治医より指示が出たため、看護師より薬剤師に新たな薬のセットを依頼された。セットをするにあたり、日数調整を考慮して、それまで服用していた持参薬を全て廃棄し入れ替えてセットすることとなった。病棟で既にセットされたもの(それまで服用していた持参薬と当院処方の定期薬をホチキス止めしたもの)は看護師が病棟にて廃棄となった。廃棄する際にその定期処方も同時に廃棄となることを見落として廃棄し、当院処方の利尿剤が2日間、投与されなかった。次回定期処方の配薬の準備をしている時に配薬漏れに気付き、病棟看護師・主治医に報告。発見当日は時間がずれたものの夕方に服用してもらうこととなった

    薬剤の廃棄を看護師にまかせてしまった。廃棄される持参の薬剤に当院の定期処方も一緒になっており、そのことに対する説明が足りなかったことと、持参の薬剤だけが廃棄されるだろうという思い込みがあった。

    • 薬剤に関することはすべて薬剤師が行なう。
    • 薬剤の変更、中止、廃棄など、電話確認で済ませず、病棟または調剤室で薬剤師自身が行なう。

    25

    入院時、屯用内服のオプソ内服液(癌疼痛治療剤)を持参され、入院期間中使用されないまま、病棟金庫にて保管していた。退院時、オプソ内服液を本人に返却し忘れた。後日、他のスタッフが気付き本人へ連絡した。

    入院期間中に使用歴がなかったため、麻薬使用患者という認識がなかった。また、指示簿の持参薬に記載されていたが、確認を忘れた。

    • 退院の準備時は、薬剤が保管されているところは全て確認する必要があった。

    26

    退院時、持参薬が2袋に分かれて保管してあることに気付かず1袋だけ返却して退院させてしまった(持参薬預かりチェックシートには2つありと記載されていた)。

    退院指導内容を考えながら退院の準備をしていたため、作業に集中していなかった。持参薬置き場から1袋見つけ出し、2袋になっているとは思っていなかったために持参薬置き場のほかの袋は軽く目を通しただけだった。持参薬チェックシートにサインをすることを忘れていた(チェックシートには2袋ありと記載されていた)。持参薬を渡す際、薬の内容など患者と確認したが預かったものが全てかは話をしなかった。

    • マニュアルどおりに持参薬を返却するときにはチェックシートにサインをする。
    • 持参薬を別々に預かり複数の袋になるときは、なるべく一袋にしておく。
    • ひとつの作業をするときは集中して行う。
    • 患者に持参薬を返却する際は預かったもの全てであるか確認する。

    【用法間違い】

    27

    週1回の服薬日にリウマトレックス(抗リウマチ剤)を与薬するのを忘れてしまった。リウマトレックスは持参薬であった。医師の指示表には「1回/ 週」とのみ記載されていたが、投与日の指示はなかった。患者からの情報で月曜日内服とわかった。

    与薬時は処方箋控えと薬品を照合して与薬しているが、持参薬は処方箋控えがない。医師が、処方指示表に続行する処方内容を記載することになっている。投与日まで記載がない。診療科が異なると薬品の知識が不足している。指示表を確認が不十分であった。

    • 持参薬の処方指示を正しく記載し、処方控えに変わりに指示表のコピーと照合し与薬する。

    28

    持参薬をセットする際、食後薬を医師が画面上「食前」と間違えて入力していた。しかし、それに気付かず医師への確認を怠り他の看護師がセットした薬のダブルチェックを行った。実際には食後に内服する薬であったため患者への影響はなかった。

    薬をセットする際、隔日投与ということに気をとられハードコピーした処方箋の「食前」という部分を確認せずにダブルチェックを行った。医師がワークシートに記載した指示には「メルカゾール(抗甲状腺剤)(5)1錠・1×朝 隔日内服」と記載されており、食後薬か食前薬かの記載がなかった。

    • 薬のダブルチェックする際は(セットの際も同様に)マニュアルに従い、投与する時間についても確認を行う。
    • 医師の指示を受ける際は食前・食後についての確認を行い記載してもらう。

    29

    持参したチラージン(甲状腺ホルモン剤)は朝1回、隔日投与の指示であったが、入院翌日より2日間連日投与してしまった。患者の状態に変化はなかった。

    電子カルテシステムのオーダーは、隔日投与の指示ができず、コメント対応となる。経過表のタイトルでは、コメントが見れず、実施画面でも見落としてしまった。入院当日の朝、内服してきていたかどうかの確認もしていなかった。患者は高齢であり、自己管理能力が乏しかったため、看護師管理にしていた。よって、患者自身も用法の違いに気付かなかった。

    • 入院当日には、その日の朝(午後入院の場合は朝昼等)に、内服済みかどうかも確認する。
    • 特殊用法は、電子カルテ上、付箋で注意喚起する。

    【その他】

    30

    服毒自殺による薬物中毒疑いでの入院時に患者家族が定期服用薬を持参した。当該薬剤師は持参薬(精神科薬)の内容を確認し薬剤師記録に記録した。持参薬確認済みの旨を病棟看護師に伝えたが、担当医に伝えなかった。担当医が服用薬を知ったのは翌週の火曜日であった。担当医から患者家族への説明時に、定期服用薬は既に届けられていることを知った。

    医師は、薬剤師が持参薬を確認した際に、「薬剤師記録」にその内容を記載していることを知らなかった。持参薬を確認後に、入院後の持参薬をどうするか(継続または中止)確認しているが、マニュアルには記載されていない。

    • その日のうちに、持参薬情報を直接医師に伝える。

    31

    入院時に持参する薬剤の確認をした。当院で処方された重症筋無力症の治療剤であるメスチノン(重症筋無力症治療剤)とデパス(精神安定剤)を持参していた。重症筋無力症の患者にデパスは禁忌であることを見落とし、看護師から禁忌ではないかと問い合せがあり、発覚した。

    知識不足。

    • 持参薬の調査を行う際に、添付文書で禁忌の情報を確認する。
    • コンピュータ上に持参薬を入力することでシステム上で警告が出せるシステムを構築する。

    32

    患者が他院から持参した内服薬フルジサール(抗精神病薬)25mgを継続しようと、研修医がフルジと入力するとエリスパン(精神安定剤)0.25と変換された。規格が違うためおかしいと思って薬品集を調べたが、フルジサールの項目にエリスパンは載っておらず薬剤師に確認した。そこでフルジサールは当院ではグラマリールであることが分かった。

    持参薬はマニュアルで薬剤科で確認することになっており、知っていたが手間を省こうとしてそのマニュアルを守らなかった。事前に違う薬を入力したところ旧薬剤が新規採用薬剤として変換されたため、違う名前が出たときに新規採用薬かなと思ったが単位が違うので確認した。

    • 持参薬の確認を薬剤科に依頼するマニュアルを守る。

    33

    持参薬でポリフル(過敏性腸症候群治療剤)3.6g ×3(3.6g は1日量)で内服していた患者。当院採用がなくコロネル顆粒が代替薬であることがわかった。そのため医師にコロネル顆粒(0.6g /包)3包×3で処方してもらい内服してもらった。その後他看護師より、ポリフル(1.2g /包)とコロネルの用量が違うがそれが正しいのかと指摘があった。薬剤師に確認したところ処方されているコロネルは6包3×で内服すべきであったことが発覚した。

    代替薬と言われた時点で、コロネルを処方してもらえばいいと思い、用量を確認しなかった。医師にはポリフルが3.6g 3×と書いた持参薬情報用紙を渡し処方依頼したが、医師がコロネル0.6g 3包3×で処方した。医師に早く処方してもらわなければならない、と焦ってしまった。

    • 薬の量の確認を確実にする。


    ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例  (第9回 ヒヤリ・ハット 「薬剤」)


    具体的内容 背景・要因 改善策

    【薬剤間違い】

    1

    患者は抗がん剤治療を受けており、制吐剤が処方された。医師の指示では制吐剤が届き次第内服、とのことであった。朝、医師指示欄に制吐剤の処方が出ている事は知っていたが制吐剤の指示が出ている事をその日のリーダー看護師に報告していなかった。その為、いつ制吐剤が病棟に届いたのか分からず、新人看護師も制吐剤のことを忘れてしまっていたので、気が付いた時には午後になってしまっていた。主治医に報告し、すぐに内服してもらうよう指示を受けた。

    抗がん剤治療後で制吐剤の内服処方がでたが、緊急と判断できず内服が遅れた。患者は嘔気がなかった為、患者の状態から制吐剤へ考えが結びつかなかった事、リーダー看護師へ報告しなかった事が要因と考える。

    • 新人看護師は患者のアセスメントから、至急のものとそうでないものの判断が難しい。事例を通しての教育や、現場でリーダー看護師に報告するという職場のルールを守ることが必要である。

    2

    主治医よりアルブミナー25%(血漿分画製剤)50ml 2本の指示であったが25%献血アルブミン(血漿分画製剤)50ml 2本が薬局から払い出された。クリティカルパス用紙には「アルブミナー50mL ×2」と記入されていたがアルブミナーという血液製剤を今まで使用したことがなくパス用紙の文字もアルブミンと読める記載であったためアルブミンであると思い込んだ。伝票には「アルブミナー25%50mL 2V DIV」と記入されていたがアルブミンと思い込んでいたため間違いに気付かずに投与してしまった。払い出しミスに気付いた薬局からICU(集中治療室)に連絡が入り初めて違う薬剤を投与したことに気付いた。その日患者は病棟に転出され間違いに気付いた時には既にアルブミンは終了しており主治医へ報告した。

    注射薬品名の確認不足とアルブミナーの指示簿の医師の字がアルブミンとも見える書き方だった事が要因である。

    • 似たような薬品名でも、自分で判断せずに他の看護師に相談したり医師に確認すること。
    • 指示簿の記載は、出す方は解りやすく、受ける方は確認し双方のコミュニュケーションが必要である。

    3

    準夜勤務で出勤した看護師Aは情報を得ないまま、A・B両チームの夕の注射の準備にかかった。患者Aのカートに翌日分の注射薬も入っていたため、翌日の分はまたカートに戻した。ミキシングをした時、薬剤の内容は確認したが日時の確認はあいまいだった。確認はダブルチェックとなっているが1人で行った。看護師B出勤後、注射準備は済んでいたので内服の準備を行い、その後情報収集を行った。患者Aの注射があったので、夕の点滴があると思い込み、注射控え伝票で確認して施行した。しかし、日時は確認しなかった。3時間後注射実施入力で患者スケジュールを開くが項目なく、確認したところ翌日分の注射を実施した事に気付いた。

    情報収集前に注射の準備をした。他のチームを手伝う等馴れ合いで業務をする風土がある。注射実施直前に最新の情報をチェックしていない。実施入力が2時間後になっている。薬剤師は、2台のオーダリングカートを活用しないで1台でまわしている。(狭いところの操作がしにくい)。土曜日でカートに翌日(日・月)のも混在して準備をした。ダブルチェックをしなかった。思い込みがあった。薬剤内容ばかりに気をとられていた。

    • オーダリングカートは2台を使用、1カートには当日分のみ準備する。
    • 業務開始は情報収集から行う。
    • 馴れ合い関係、お手伝い的感覚は持たない(風土の改善)。
    • 電子カルテの利点(最新の情報をいち早く、どこでも)を活用
    • 旧態を引っ張らない。
    • ノートパソコンは業務に持参する。

    4

    後日、PBSCH(末梢血幹細胞採取)予定の患者。夕よりグラン(G−CSF製剤)300μg 開始予定(翌日からは朝・夕で×2の指示)であった。処方箋で確認したが、「グラン300μg s.c」と指示記入されており、朝に施行すると思い込み、処方箋へサインした。本人より、「夕方じゃないの?」と問われたが、再度処方箋を用いて確認はしなかった。巡視を終え、詰め所に戻り、再度処方箋で確認すると、翌日からは「グラン300μg s.c ×2」となっており、PBSCHのためのグランであったことを思い出した。すぐに医師へ報告しし、朝・夕で開始することとなった。

    PBSCH予定の患者であることを忘れ、1回/1日ずつの投与であると思い込んでいた。患者から指摘された時、再び処方箋で確認する作業を怠った。当日、他チームの受け持ちだったが、本人より指摘された時点で、患者チームのリーダー、または主治医に確認しなかった。処方箋の当日の欄しか見なかった。「グラン300μg s.c 夕」等と時間指定されていなかった。

    • 施行直前に薬品と処方箋を照らし合わせる。
    • 当日だけでなく、前後の指示内容もチェックする。
    • 患者から間違いを指摘されたら一旦詰め所へ戻り、主治医またはリーダーへ確認する。
    • 処方指示を受けた看護師が時間指定を主治医へ聞き(主治医自らでもよいが)、指示の横に「グラン300μg s.c 夕」と記入する。
    • 治療についての学習を深める。

    5

    手術中から使用していたシグマート(狭心症治療剤)について、医師に転記を依頼したとき、医師はニトロール(虚血性心疾患治療剤)が使用されていると思い「ニトロール」とワークシートに記載した。その事を確認しないままにした。その後、血圧の低下があり報告したところ、(術前から使用し、術中も継続して使用していた)フランドルテープ(経皮吸収型・虚血性心疾患治療剤)を除去するよう指示を受けた。その後の確認で、医師は、ニトロールが継続されていると思っていたために、フランドルテープを除去するように指示した事が発覚した。

    医師に転記を依頼する時に、麻酔科指示の書かれたワークシートを元に依頼をせず、「術中からの継続のものもワークシートに転記してください。」とのみ伝えた。医師が転記した後にも、麻酔科指示との照らし合わせなどの確認を行わなかった。

    • 医師の指示を受けたときには、すぐにワークシートを元に医師とダブルチェックでの確認を行うようにする。
    • 転記の指示については、その指示との照合を行い、薬剤名や流量などがあっているかをすぐに確認するようにする。
    • 患者の病態を考え、使用されている薬剤が何であり、その作用・効果を考えて指示を受ける。

    6

    点滴を準備する際、ソルデム3A(維持液)1000mL +強力ネオミノファーゲンシー(肝臓疾患・アレルギー用剤)10mL +10%Nacl(塩化ナトリウム)40mL の指示のところ、強力ネオミノファーゲンシー20mL を注入してしまった。患者に投与された後、受け持ちの看護師が、強力ネオミノファーゲンシーが指示より多く注入されていたことに気付いた。

    注射薬を注入したのが、受け持ち看護師が部屋を回りはじめる頃であり、また、その後にも抗がん剤をつめなければならなかったこと、検査伝票を出さなければならなかったことなどがあり、気持ちに焦りがあった。注射薬を準備する際に、指示薬と量を確認し、必要量をシリンジに吸ったつもりでいたが、その後指示の確認をしなかったため、患者に投与する前に気付くことができなかった。

    • 午後から時間通りに実施しなければならないことや、抗がん剤など実施直前に薬剤をつめなければならないものがあること、緊急で用意しなければならない注射薬の指示が出る可能性などを考慮し、自分の力量に合った時間配分をした上で、時間と気持ちに余裕を持って準備する。
    • どうしても自分で行えない場合は、受け持ち看護師に声をかけ、注射を詰めてもらえるよう依頼する。
    • 注射の基本どおり、注射薬を準備するとき、注射薬を吸い上げるとき、吸い上げた直後、混注前、混注中、混注後、空アンプルを破棄する時の確認を怠らないようにする。

    7

    カバサール(ドパミン作動薬)は溶けにくいため、従来より他の薬とは別の注射器に詰めることになっていた。夕食後の内服薬注入時にカバサールのみを注入するのを忘れてしまい、深夜帯で内服忘れを発見した。

    初回巡視時に全ての内服薬を注射器に詰め、1つのトレーの中に準備した。ワークシートは確認したが、カバサールが別の注射器に詰めたことを忘れ、カバサール以外の内服を注入してしまった。

    • 配合変化や溶解しにくいという理由で、別の注射器で投与しなければならない場合が多いので、与薬時には十分確認をする。
    • ワークシートを確認しながら与薬する。

    8

    臨時処方箋でオクソラレンローション(尋常性白斑治療剤)0.3%60mL が処方された。1%オクソラレンローションを希釈して0.3%を調剤しなければならないところを、調剤者が0.3%に気付かず1%オクソラレンローション(30mL)を2本薬袋に入れた。監査者も気付かずにそのまま病棟へ上がった。患者への投与はされていなかった。

    オクソラレンローションを希釈する処方の頻度が少ない事もあり、調剤者が0.3%オクソラレンローションの調剤経験がなかったこと、規格のチェックを怠った事があげられる。

    • これまでの処方箋及び薬袋に1%オクソラレンローション、オクソラレンローション0.3%と、それぞれ表記されていたが、処方箋及び薬袋に希釈しなければならないことが分かるようにオクソラレンローション0.3%の後に「(病院製剤)」と表記するように変更した。
    • オクソラレンローションの棚に濃度を確認するように注意を喚起するラベルを貼った。

    9

    採血結果にてカルシウムが高値であり、生食100mL +アレディア(骨吸収抑制剤)1/2を4時間で投与の指示が出たが、アレビアチン(抗てんかん剤)とアレディアを同一薬剤と勘違いし、生食100mL +アレビアチン1/2を投与してしまった。指示がでた際謝ってアレビアチンを準備し、他の看護師2人にも臨時薬剤伝票と準備した使用薬剤と照らし合わせ確認してもらったが、薬剤が違うことは発見されず、ルート確保し4時間でアレビアチンを投与した。その間3回程病室訪室するも患者に異常はなかった。深夜がカルテ整理を行っている際に指示伝票と2号用紙の薬剤名が異なることを発見し、誤薬が発覚した。

    アレビアチンとアレディアの薬剤名が似ていることから同じ薬剤と勘違いしてしまった。知識不足、確認を十分行わなかったことからのミスが起きてしまった。カルシウム高値の場合にもアレビアチンを使用するんだと疑問に思いながらもそういう効果もあるんだと思いこんでしまった。アレディアはアレビアチンの略語だと勘違いしてしまった。

    • 薬剤を投与する際は薬剤の作用をきちんと辞書を調べてから投与する。
    • 投与薬剤を確認する際は慎重に指示伝票と、薬剤を確認する。
    • 指示伝票の薬剤名と準備した使用薬剤をそれぞれ別の人が声を出して言うことで確認する。
    • 使用薬剤の溶解量・使用時間がいつもと異なる指示と疑問に感じたときは医師に確認する。

    【薬剤量間違い】

    10

    持参薬を中止し、同等の薬を当院から処方となった。この時、持参薬ではシンメトレル(精神活動改善・パーキンソン症候群治療・抗A型インフルエンザウイルス剤)50mg3錠×3を服用していたが,処方となったのは100mg 3錠3×だった。(当院では100mg のみあり。)服薬指導を行ない、カルテ(看護記録入院時服薬状況)より持参薬をチェックしたが用法のみで用量の確認を行なわなかった。看護師より夜間不穏状態、振戦出現したという情報から副作用ではないかと疑われた。カルテを再確認しシンメトレル倍量投与である事が分かった。

    薬剤師が薬を見て鑑別でき、その情報を医師・看護師に伝達できていない。持参薬の鑑別システムの機能が不十分。医師は当院処方に切り替える際に、用量の確認をしていない。看護師は処方を整理する段階で、規格違いまで発見できなかった。

    • 持参薬の流れを明確化し、持参薬はすべて薬品鑑別依頼とする。
    • 薬品鑑別書を発行し、服薬指導を早期に行なう。
    • 医師は、当院処方に切り替え時に他院の処方内容を紹介状で確認してから処方する。

    11

    口頭指示でソセゴン15mg の指示を受け電子カルテで確認をしたがはっきり覚えていないため量を見落としあやふやなまま15mg を実施後でカルテを見ると0.5A(7.5mg)の指示であり投与量の間違いに気付いた。

    口頭指示の内容をメモにする事や復唱することをせず、あやふやなまま実施してしまった。口頭指示遵守違反の問題。情報伝達連携、情報共有のあり方の問題。業務手順ルールチェックの仕組みの問題。

    • 口頭指示マニュアルに従って行う。
    • 口頭指示を受けたら必ず復唱復命し指示が聞き間違っていないか確認しメモにとる。
    • 医師は、出した指示が正しく伝わっているか確認する。

    12

    タキソテール(腫瘍用薬)による化学療法当日、夕からクリニカルパスではデカドロン(合成副腎皮質ホルモン剤)×朝・夕で開始であったが、処方は8錠2×であった。クリニカルパスと処方のチェックができておらず処方された用法・用量のまま患者の自己管理とした。与薬後の内服確認をオーダリング上のみで行っていたため用量の間違いに気付かなかった。内服が開始になって3日目の夕方に他のスタッフが間違いに気付き主治医に報告した。本来なら3日目の朝で内服終了であったが、8錠2×のまま4日目の朝まで内服との指示があった。患者者には副作用等の出現はみられていない。

    クリニカルパスの指示と、実際のオーダリング処方では、量が明らかに違っていたが、指示受け時に気付いていない事。また、各勤務帯の看護師もオーダリング処方のみでチェックを行いパスを見ていないことが要因の一つである。また、タキソールによる治療について知識が不足したことも要因と考える。

    • 新人であり、タキソールなどの化学療法の知識を習得することが大切である。
    • クリニカルパスと処方内容の違いに医師はもちろん、指示受けした看護師も気が付くべきであり、両者で確認が必要である。

    13

    患者は尿崩症があり、1日1回のデスモプレッシン(中枢性尿崩症用剤)を点鼻していた。原液0.2mLと生食0.1mL 混合のうち0.05mL 投与予定であったが実際は目盛りを間違え0.025mL 準備した。当日患者の父親が面会に来ており、看護師は点鼻薬を父親に依頼した。翌日尿量が多く脱水状態になり点滴を行った。その経過を聞いた両親が当日の点鼻薬の量が少なかったことに気付き発見した。

    看護師は点鼻チューブの0.025mL の目盛りを0.05mL の目盛りだと思い込んでいた。患者は小児であり、生食で希釈して投与していた。在宅療養に向けて、点鼻量を調節中であり、指示変更が度々あった。父親は点鼻薬の量が少ないことに気付いていたが、主治医との話で今後原液での投与予定であることを聞いていたため、看護師に確認しなかった。ダブルチェックをせずに投与していた。

    • 点鼻薬も時間・量などを点滴と同じようにダブルチェックを行う。
    • 薬袋にサイン欄をもうけ、点鼻したかどうかを確認する。
    • 看護記録には点鼻した量も記入する。

    14

    プレドニン(合成副腎皮質ホルモン剤)の内服が朝から減量する予定だったが、以前嘔吐したため、プレドニンの残数がずれていた。足りない分だけを処方してもらうと量が微量となるため、必要以上の数が処方されていた。前回の処方も昼分から始まっており、必要以上に処方されている事に気付かず、すべてをセットしてしまい昼分からの減量とし与薬してしまった。主治医がリーダーに朝から減量になっているかを確認した際、昼からでセットされている事に気付き、間違いが発覚した。指示簿には、減量の記載があったが、朝からとは書かれていなかった。

    プレドニンは与薬した際、サインするチェック表があるが、嘔吐して再与薬した分の欄を消していたため、再処方されたが、本来内服する数がずれてしまっていた。前回の処方も昼分から始まっており、何も疑問に思わず、そのままセットしてしまった。

  • 主治医にいつから減量になるのかを日付だけでなく、時間帯(朝からなど)も指示簿に記載してもらう。
  • 再与薬した時は欄を消さずに、再処方をしてもらい、早めに数を合わせる。
  • 減量になるときは、いつから始まっていたのかを、必ず確認し、セットする。
  • 15

    抗癌剤イレッサ内服が隔日投与であった。深夜でダブルチェックの際に残薬を数えると1錠不足していることに気付き、前日の深夜勤が間違えて内服させたと考え、この日の深夜は、内服させなかった。翌日の深夜勤務者が、薬ワゴン内にイレッサ1錠が落ちているのを発見し、無投薬であったことが判明する。

    間違いのあった2日前の準夜勤が、翌朝の内服薬を準備する際に、間違えて29日分のイレッサ1錠を薬箱に入れてしまった。前日の深夜勤務者がダブルチェックで間違いに気付き、薬袋に戻すが、薬袋に入らず外側に落ちてしまい、1錠不足となり、29日深夜勤は前日の深夜勤務者で与薬したと思い込み、内服しなかった。前日の勤務者に与薬したかどうかの確認を怠った。

    • 前勤務者が薬を出し、内服させる勤務者が2回目の確認をするという詰所管理の内服のダブルチェックを再度徹底する。
    • 前勤務者がセットする際も抗癌剤・副腎皮質ホルモン剤は、残薬数をチェックする。

    16

    癌性リンパ管炎による胸水のある患者に対しラシックス(利尿降圧剤)5mg 静脈注射の指示が出ていた。準備時にワークシートと処方箋を照らし合わせ5mg であることは確認し、ラシックスを1A吸って準備をしてしまった。投与時に医師がおかしいと気付いたが投与後であり、アンプルは1A=20mg(2mL)であり指示量の4倍入っていた。

    ワークシートと処方箋、アンプルの薬剤名を照らし合わせ、確認したつもりになっており薬剤の容量まで確認できていなかった。処置用ワゴンの上に置く前の確認をしていなかった。ラシックス1Aの1/4の投与量であることがしっかりと意識付けられていなかった。

    • 1Vや1Aでない量の指示を出されている薬剤はワークシートに再度自分で分かるように印をつけて、あとで確認する際にしっかりと印を見る。
    • 薬剤を準備後はもう一度最初から患者氏名、番号、日付、時間、薬剤名、投与量をワークシート、処方箋、薬剤を照らし合わせて確認しなおす。
    • 静脈注射準備後は処置用ワゴンに置く際に再度確認する。

    17

    経口血糖降下剤アマリール1錠分1、30日分で30錠を調剤するべきところ、調剤者が薬袋に誤って90錠を調剤した。これを監査する際に間違いに気付かずに90錠を数えてそのまま払い出した。

    処方監査の多い日で漫然と監査をしたと思われる。調剤した薬剤師は処方箋の30日分と30錠の数字に惑わされて、90という数字が生まれたと思われる。それに同調するように監査も疑問を持たずに同様にして間違いに気付かなかった。

    • 経口糖尿降下剤は、間違って服用した場合大変危険な薬剤である。
    • 処方内容にこの種類の薬剤が見られたときは特に注意をして調剤、または監査を行うように日ごろから心がけるべきである。(薬剤の名称の前には‘経口糖尿降下剤‘と印字されている)

    18

    手術後2日後の患者。腹部の動きが悪かったため、パントール(パンテノール製剤)が主管のボトルに追加になった。医師から、ソルデム3Aにパントール2A100mg を追加するよう指示を受けた。注射ワークシートでmg まで確認しなかったため、病棟の定数のパントール500mg を2A混注してしまった。日勤者が定数チェックの際に気付き、判明した。

    基本的な確認の欠除。指示書を確認する時の冷静さ。経験からパントールは、500mg の指示が多いという印象が強かったため、病棟の定数のアンプルでいいだろうという、思い込みがあった。

    • 確認を必ず行う(患者氏名、薬品名、用量、方法、単位)。
    • 指示書の薬剤のmg まで、きちんと確認をする。
    • 薬液の確認(取り出す時、つめる時、詰め終わった時、つなぐ時)をする。
    • 思い込みをやめるよう意識をする。
    • 薬剤の間違いが、命に直結することを再認識する。
    • 冷静に感情を保つよう努力する。

    19

    5歳10ヶ月の児に対し、プログラフ(免疫抑制剤)0.15mg を24時間持続投与する予定であった。平日は薬剤師が調製したものを日勤帯で交換していたが、この日は前日が日曜日であったため、当該病棟の看護師が夜勤帯で調製したものを日勤帯で投与した。毎日血中濃度を測定していたが、この日の血中濃度が前日の3倍に跳ね上がり、再検査でも同様の結果であったため、投与されていた薬液中の濃度を測定したところ、予定の10倍量が投与されたことが発見された。

    平日は薬剤師によって調製されているが、土日祭日のみ病棟の看護師によって調製されていた。これまでは、2段階で希釈し調製されていたが、1段階スキップされ、10倍濃度で投与された。調製の際、ダブルチェックも行われていたが、計算の誤りに気付くことができなかった。

    • 2段階希釈が必要となるような微量の指示ではなく、調製の際に薬剤原液の使用量が0.05mL 以上となるような希釈法の指示とする。
    • 薬剤量の指示をmg の単位で行う場合は、その量が原液何mL に相当するかを記載する。
    • 指示は、薬剤調製の作業工程を考慮し、分かりやすい記載とする。
    • 体重あたりの使用量や使用の時期など、指示内容が正しいことを指導医も確認する。
    • 指示されている「単位」を常に意識する。
    • わかりにくい指示の場合は、受持ち医に連絡し、わかりやすい記載にするよう依頼する。
    • 抗癌剤

    【方法間違い】

    20

    手術麻酔を導入し、術中管理を研修医と行った。CV(中心静脈栄養)ルートを挿入し、CVルートよりイノバン(急性循環不全改善剤)を術中から投与した。抜管退室は別の指導医及びその研修医が行った。その2人により退室時にCVルートからイノバンが投与されている事が確認されていた。ICU(集中治療室)に帰室後、10分程経過したところで看護師が動脈ラインよりイノバンが投与されているのを発見した。動脈にカテコラミンが投与されれば末梢の壊死が危惧されるが1.2mL/h という流量と死腔の体積(約140cm)を考えると動脈から投与された確立は低い。

    ベット間(術台→ベット)の移動があること、手術室からICUの移動があること。CVルート、末梢ルート、動脈ラインと、挿入されているラインが多いため、整理に難渋すること、移動に複数の人間がたずさわっていること、またこれらの作業に皆が一勢にとりかかること、上記要因が互いに影響して今回の事例が発生したと考えられる。

    • 各ラインに色テープで確実に識別すること。
    • 自分が声を出し、今何をしているかをお互いに認識すること。
    • 明瞭にラインを整理する。

    21

    敗血症、循環動態不安定の為、CCU(冠動脈疾患集中治療室)管理している患者。CV(中心静脈栄養)ダブルルーメンの青ラインからカテコラミン(血管拡張薬)を点滴していた。腹痛があり指示にてペンタジン(鎮痛剤)+生食100mL の点滴を施行した。10分後、確認のため訪室するが状態に変化はなかった。30分経過し他のスタッフがモニター上脈拍120台、PAC(心房期外収縮)、PVC(心室期外収縮)散発、血圧60mmHg 台まで低下しているのを発見し訪室(意識レベルはクリア)したところ、ペンタジンがカテコラミンルートに接続されているのを発見した。

    ルートの確認が不十分であった。カテコラミン製剤の使用上の注意点、何故別のルートを使用するのか熟知していなかった。カテコラミン製剤のルート側に使用薬品名を貼っていなかった(貼り忘れた)。

    • カテコラミン製剤使用時の注意点について勉強し熟知する。
    • 確認を細部に渡り確実に行なう(ルートの確認・接続・使用薬品名の貼布など)。
    • 全員で取り扱いを徹底する。

    22

    シプロキサン(広範囲抗菌剤)の指示があり、当日の指示欄には「指示番号а×2」と記入されていたので、朝・夕実施と思い込み、指示簿で薬品名を確認したあと伝票を確認せずに18時15分に実施した。しかしシプロキサンは9時と21時に実施するよう指示簿の書き出し日(日曜欄)と注射伝票には記入されていたが、何度も受け持ちをしていたので夕方に実施するものと思い込み、確認していなかった。夜勤看護師への申し送りの時に指摘されて気が付き、主治医に報告した。

    注射伝票に時間が記入されていたが、何度も受け持ちをしていたので×2(1日2回)で朝・夕実施するものと思い込み、確認していなかった。指示簿の週が変わって新しいページになって書き出し日(日曜欄)に時間が書かれていなかった。

    • 注射フローチャートに沿って基本通りの確認を行うこと。
    • 通常と時間指示がある場合は医師も、看護師も注意して情報伝達する必要がある。

    【速度間違い】

    23

    絶食となった患者に対し持続点滴開始の指示が出た際、臨時処方箋と点滴内容をリーダー以外の看護師とダブルチェックした。しかし、処方箋に流量が印字されていなかったため、リーダーに口頭で確認し、持続点滴を開始した。その際、指示書に書かれていた流量は60mL/hであったが、伝達ミスにより80mL/h で開始した。準夜勤務の際、点滴の流量を確認した時も、点滴に記載してある目盛りと流量が80mL/h で合っていたため、そのままの流量で投与した。点滴交換の際にも、伝票に80mL/h と流量が記載してあったため、流量の間違いに気付かなかった。深夜の勤務の際、指示を受けたリーダーが医師の指示が60mL/h であることに気付き、過剰投与を発見した。

    流量の確認をする際に、流量を口頭で確認しただけで、指示書の確認を行わなかった。カーデックスには60mL/h と記載されていたが、この日に開始したばかりであるため流量の変更等はないと思い込み、カーデックスから流量をひろい記載しておくなどの照合を行わなかった。持続点滴にもかかわらず医師が伝票入力する際に流量を入力していなかった。

    • 緊急時以外は、口頭での指示伝達はしない。また、やむを得ず口頭で指示を受けた際は、必ず事後に指示書で確認を行う。
    • カーデックスは転記したものではあるが、リーダーが指示を受け申し送りに使用する最新の情報や指示が記載されているため、伝票、患者に実際投与している流量とカーデックスの記入内容が違わないかを照合確認する。
    • 今回のように点滴開始直後であっても、上記の照合方法を遵守する。
    • 診療科に、緊急時でない限り点滴入力時には流量も入力するよう申し入れる。

    24

    前日よりパルス療法(ステロイドを経静脈的に短期間に多量に投与する治療)開始となった。ソルコーテフ(副腎皮質ホルモン剤)1g 生食100mL を36mL/h で3時間で施行する指示がでており、注射箋と指示簿には3時間かけて施行するよう指示の記載はされていた。3時間かけて施行しなければならない所を100mL/h 開始し50mL 注入した所で間違いに気付いた。

    点滴作成時と点滴実施時に話しかけられ、確認作業が中断された事により確認したと思い込んだ事例である。また、開始後注射伝票との最終確認ができていないことも発生要因だと考えられる。

    • 確認作業時には待ってもらい、確認作業を完結させる事が重要である。特に声だし、指差し確認をする事で、周りの人にも確認作業中であることを知らせる事とになり協力が得られると思われる。
    • 開始後伝票との最終確認を実施する事も必要である。

    【対象者間違い】

    25

    経管栄養注入中の患者。眠前の薬でデパス(精神安定剤)、コントミン(精神神経安定剤)、ダントリウム(痙性麻痺緩解・悪性症候群治療剤)、アローゼン(緩下剤)を注入後、白湯を入れようとして同室患者のセレネース(抗精神病剤)1g を注入した。注入後にシリンジに別の患者の名前が書かれていることに気付いた。

    1患者1トレイで薬を準備する手順となっているが、実際には4名分を1トレイに入れて持ち運んでいた。注入用シリンジが薬用、白湯用とも同じ色(黄色)サイズのものでった。薬用には患者氏名がシールされており、白湯用は何も記載されていなかった。

    • 手順通りに実施されているか、作業を観察し、1患者1トレイを守るように指導する。
    • 注入用シリンジのサイズを変えて持って分かりやすくした。

    26

    1つのトレイに1名の患者の経管栄養注入用のシリンジを入れ、複数名分をワゴンに乗せて病室に行った。患者の氏名と薬剤を確認していた際、同室の患者が動いて危険な状態となったため対応した。その際、確認したトレイをワゴンに乗せた。薬を注入しに戻ったときにその患者の薬はワゴンのその位置に置いたトレイだと思い、再度氏名を確認せずに注入した。注入後、別の患者の薬がなく、注入したはずの患者の薬が残っていて、患者誤認し、謝って別の患者の薬を注入したことに気付いた。

    注入する時に患者の氏名を確認していない。注入中にも患者氏名を確認しておらず、注入後に他の患者との関連で誤薬に気付いている。作業中断した場合は必ず最初から確認するという手順になっているが、手順通りに実施されていない。ナースステーションで処方箋と照合した後、薬を溶解して病室で注入している。

    • 経管栄養チューブから薬を注入するときの確認の手順をデモンストレーションしてもらい、確認方法ができているかを観察する。
    • 作業中断後の再確認の徹底を周知するよう速報で知らせる。

    27

    手術当日、違う患者の外来カルテの入った搬送用袋を持参してしまった。手術室へ申し送り時、自分が準備した抗生剤より1袋多く搬送用の袋に入っている事に気付いた。一度病棟へ戻ったが、おかしいと思い再度手術室へ戻り確認をした。カルテと抗生剤が別の患者のものであることが判明した。

    手術室搬送用袋が病棟内に複数あり、持参前に確認をしないで思い込みで持参をした。手術室で病棟カルテ以外の持参品をダブルチェックしなかった。以前所属していた部署であり気の緩みがでた。

    • 搬送用の袋には患者の氏名シールを貼り、識別できるようにする。
    • 出棟前には中身をもう一度確認をする。
    • 手術室入室時の申し送りでは持参物品すべてを手術室看護師と確認をする。

    28

    経管栄養中の患者に薬を注入しようと同室者3名分のトレイ(1患者1トレイに準備)を取った。その時氏名を見て取ったが、それぞれの患者のテーブルに置くときに名前を確認しなかった。違う患者のトレイを置いたことに気付かず薬(塩化ナトリウムと整腸剤)を注入した。注入後、チューブからシリンジを外すときに氏名を見て間違いに気付いた。

    1患者1トレイの原則は守っていた。トレイに入れるとき患者の氏名が見えるようにおくことは決まっていなかった。トレイを患者のテーブルに置いた時にその患者のものと思っていて、患者に注入する直前に患者氏名と薬の氏名を照合していない。ワゴンは病室の外に置いておき、そこからシリンジの入ったトレイだけを取ってベッドサイドに持って行っている。経管栄養患者35名(神経難病50床)で、経管栄養のセットと与薬は機能別となっており1人の看護師が全て行っている。集中力が欠如する原因ともなりうる。ワゴンは経管栄養つり下げタイプで、両面で20名分しかかからないが、経管栄養患者25名分の薬がワゴンに重ねて乗せられている。ワゴンに乗り切らない薬の数である。

    • トレイにシリンジを入れる際、氏名が見えるように置く。ワゴンを工夫(購入)し、トレイが重ならないように準備できるようにする。
    • 最後に氏名確認の原則を教育する。
    • 現在は看護室で薬を溶解して患者の所に持っていっているが、ベッドサイドで溶解するような業務改善を病棟で検討している。

    【その他】

    29

    患者に38.8℃の発熱があると担当看護師(1年目)から報告を受け、カルテで発熱時の指示を確認したが術後数日限定の指示であった。当直医に電話連絡したところ、口頭でメチロン(解熱剤)1A筋肉注射の指示を受け担当看護師に指示し、実施された。2時間後にアレルギー記載表を見てピリン系薬剤にアレルギーがあったことがわかった。

    当事者である看護師は指示受け時にアレルギー記載表の確認をしなかった。口頭指示になった状況は不明だが、医師はアレルギーの有無を確認することなくメチロンの指示を出した。

    • 指示医は、指示時にアレルギーの有無を確認する。
    • 看護師は、実施時に使用薬剤のアレルギーの有無を確認する。

    30

    両側の腕の採血しており、右前腕に点滴確保した。ドセタキセル(タキソイド系抗悪性腫瘍剤)開始後、刺入部と右肘関節の採血部は15分ごとに確認していたが問題なく経過していた。65分後パラプラチン(腫瘍用薬)に更新しようと刺入部と逆血を確認し、採血部分を確認すると採血穿刺部分を中心に直径3cm の腫脹、発赤がみられた。患者からは腫脹部分の疼痛や違和感、熱感の訴えはなかった。

    点滴を中止し、当番医に報告し点滴チューブ内に逆血させた。疼痛、右手指先の痺れなし、橈骨動脈の触知良好、点滴チューブを留置し、冷却しながら皮膚科受診する。受診後抜針し、軟膏塗布し2日後再診となる。

    • 採血の部分に、上着がかかって観察が行いにくい部分であったため、点滴の刺入部より上流で採血をしている場合は、肘関節まで観察できるように、患者に説明し袖を上げさせてもらう。
    • 化学療法のある日の採血は、点滴を行う予定の上肢では点滴を行わないように、患者に説明し、中央検査部にも説明し協力を求める。

    31

    ポート(薬剤を頻回に注入するための経路として、あらかじめ皮下に埋め込んでおく医療材料。ポートに続くカテーテルは血管内に留置されている「リザーバー」ともいう。)穿刺後、穿刺部より抗癌剤投与開始した。約1時間後本人よりコールがあり、訪室するとポートより薬液の漏れ出しと、ポート周囲の痛み出現したと報告があった。皮下の腫脹と衣服が濡れる位の漏れ出しがあった。

    昼の休憩時間中であり、他患の処置で訪室間隔が空いてしまった。3回目の投与であり、また、今回の投与前にも異常の際のナースコール指導を行っていたため、患者からすぐにコールをしてくれると思っていた。

    • 抗癌剤を投与していることを再認識し、観察を強化する(訪室時間を短くする)。
    • 患者にも副作用や異常な症状について繰り返し説明し、理解度を把握する。

    32

    結核患者で入院時抗結核薬の内服治療を開始した。約5ヵ月後、担当医師は深部静脈血栓症の治療のためにワーファリン(ワルファリンカリウム)の内服治療を開始した。血液の凝固能の検査で投薬量を調整したが、有効な凝固能の値が得られず、徐々に投薬量は増量され、ワーファリンは7錠となった。ワーファリン内服開始から38日後、グラケー(骨粗鬆症治療用ビタミンK2剤)も処方されていることに気付き、病棟担当薬剤師が担当医師へ問い合わせた。グラケーとワーファリンは拮抗作用があり、同時には投与しない薬のため担当医師の指示でグラケーが中止となった。血液の凝固能は急激に低下して有効な数値となり、ワーファリンは2錠となった。

    医師・看護師はワーファリンとグラケーが併用禁忌であることを知らなかった。病棟担当薬剤師は、病棟の薬剤管理に関わっていたが、まったく気付かなかった。結核患者は一般病棟の患者よりも入院期間が長い。抗結核薬の開始時と退院に向けた服薬指導は行っていたが、それ以外には服薬指導をしておらず、一般病棟とは異なっていた。グラケーが処方された後に、担当医師が交替となっていた。

    • 学習会を行った。
    • 結核患者の内服薬管理と服薬指導についての体制を見直した。薬剤師による服薬指導の回数を増やし、漏れをなくすことにした。
    • 新規に薬が処方されたときには、薬剤師に積極的に確認してもらう。

    33

    塩酸モルヒネ(麻薬系鎮静剤)1A+生食46mL を更新するため、ダブルチェックにて薬剤混入を行った後に空アンプルをハザードボックス(バイオハザードマーク付きの感染症廃棄物専用容器)に破棄し、麻薬処方箋への記載を忘れていた。翌日、同職種者より昨日使用した塩酸モルヒネの空アンプルをどうしたか聞かれ、麻薬の取り扱いができていなかったことに気付いた。

    当該病棟が塩酸モルヒネ注の使用が殆どなく、経験がないことも原因し空アンプルを廃棄した。要因としては知識不足である。

    • 経験の浅い看護師であり、麻薬の取り扱いについて知識を持つこと、
    • 院内ルールを把握することが必要である。

    34

    化学療法(FOLFOX)開始予定の患者のクリニカルパスを作成したが、入力のミスで最新でない体重で薬剤が準備されてしまった。薬剤師が気付き、患者への投与には至らなかった。

    最新の体重が反映されていないことを把握しておらず、その時の担当ではなかったがパスを作成してしまった。担当のスタッフと先生とのやりとり(体重が最新でないこと)を確認していなかった。(勤務メンバー間でのコミュニケーション不足。)

    • 画面に入力してある体重がいつのものなのか確認し、温度板を利用する等最新のデータが反映されるよう確実に確認していく。
    • 担当以外の物を準備した時は、担当に最終的に確認を入れる。

    35

    リスパダール水液(抗精神病剤)を定時内服中であり、他の定時薬の薬袋とホチキスで留めてあったが、薬液の入っている部分をホチキスの針が貫通しており薬液が漏れていた。他の日の内服も同様であり、中にはホチキスが外れており、定時薬の薬袋が留まっていないものもあった。

    水液の薬袋を見れば、薬液の入っている部位の判断はつくため、ホチキスでとめる時の確認不足。また、他の薬袋もきちんと留まっていなかった事も、ホチキスで留める部位と留めた後の確認不足。

    • 薬袋を留める際は、薬剤の入っている部分を確認し、薬剤が漏れ出さないよう考慮してホチキスで留める。
    • 薬袋が重なりホチキスで留まらない場合は、そのまま無理に留めるのではなく、改善策を相談する。
    • 補佐へも協力を依頼し、注意事項を詳細に伝える。

    36

    リルテック錠(筋萎縮性側索硬化症用剤)を処方せん上の医師の指示に従い粉砕したが、安定性に問題があるため、粉砕してよい薬剤ではなかった。

    リルテック錠の粉砕に関する情報の認識が誤っていた(粉砕および錠剤を溶かす方法の両方が可能と思っていたが、粉砕は直前のみで調剤時には不可であった。)。「錠剤を溶かして使用」という指示に変更する医師への確認および錠剤での調剤が必要であった。

    • 「 錠剤を溶かす」という調剤の対象となる薬剤のリストを調剤に配置してあり、そのことを薬剤部内で再度伝達し、今後の再発防止を徹底する。

    37

    患者自己管理の朝のみ内服の利尿剤が前の日の朝でなくなっていたが、続きの処方が本人に渡されておらず、そのことに当日の日勤者が気付いた。そのため、患者は当日の朝は内服していなかった。患者自身ももう内服しなくて良いと理解していた為、そのことを看護師に報告しなかった。

    受持ちが内服したか声掛けして確認することになっていたが、朝、夕の内服のみであったこともあり、日勤で薬袋を確認できていなかったため、薬が終了していることに気付かなかった。マニュアルでは内服薬の続きは開始日の前日の日勤者が渡すことになっている。

    • 情報収集時、内服薬処方箋の内服開始日の確認することを徹底する。
    • 各勤務帯で内服薬日付確認箱に内服開始の薬袋が残っていないか確認する。
    • 患者に対し、内服薬の残りが少なくなったら、看護師に報告することを説明する。

    38

    不眠の訴えのある患者に、ロヒプノール(不眠症治療剤)2mg +生食100mL を使用した際、ロヒプノールの空アンプルを保存せず、誤って感染ゴミ箱に廃棄してしまった。空アンプルは他の勤務帯で発見された。

    サイレースの空アンプルを保存しておくことは知っていたが、ロヒプノールの空アンプルを保存しておくという認識がなかった。サイレースがロヒプノールに変わったということは詰所内の連絡ノートで知っていたが、認識が薄かった。アンプル使用時に保存するのか廃棄するのか、他メンバーに確認することを怠った。ロヒプノールが保管してある金庫の表示が、「サイレース・ソセゴンは空アンプル必要」となっており、表示が薬剤変更に伴い修正されていなかった。

    • サイレースがロヒプノールに変更になったこと、ロヒプノールの空アンプルの保存が必要という認識を徹底する。
    • サイレースに関する表示をロヒプノールに改める。
    • 金庫内の薬剤使用時には、他メンバーへ取り扱いを確認することを徹底する。

    39

    点滴刺入部の軽度腫脹、発赤を初回の巡視時に発見した。刺入部からの点滴漏れ、刺入部痛の有無を確認、滴下不良も生じていなかったため、テープ再固定のみ行いそのまま経過をみていくよう判断した。しかし最終ラウンドまでその後の経過観察を怠り、リーダーにより末梢の腫脹とテープ固定部の発赤が発見された。

    日勤帯で当患者を含め、2人の患者を担当。しかし他患者のケアに集中してしまい、その後、最終のラウンドまで観察を怠ってしまった。CV(中心静脈栄養)はシングルラインで、外液の側管からボルトロール、CVP(中心静脈圧)用ルートがつながっており、やむなく末梢ルートからアミノフリード(糖・電解質・アミノ酸液)とカコージン(急性循環不全改善剤)が行っていたが、両者の点滴とも、末梢ルートから行くことのリスクを考えられていなかった。

    • 初回の巡視時に観察を必要と判断した部分は、必ず巡視時に観察・確認をしていくことを自分の中でとりきめる。
    • 他の患者の対応に追われている場合でも、一つ一つの観察、それに対する対応・処置を怠らず患者に与えるリスク・苦痛を考えて処置を確実に行っていく。また、それが不可能と判断した場合は、他スタッフにも協力を得られるよう自分から働きかける。

    40

    末梢ルートにて今朝から抗がん剤投与を行っていた。タキソテール・アクプラ(腫瘍用薬)を投与し、終了時に患者よりナースコールがあったため訪室する。更衣を希望されたため寝衣を脱いだ際、点滴刺入部周囲に腫張・疼痛を認めた。

    滴下時間のずれがあったため、滴下状況の確認は行っていたが、刺入部の状態までは同時に観察できていなかった。末梢ルートからの抗癌剤投与であったので、患者本人には刺入側の腕はあまり動かさないよう説明していたし異常を感じる時は申し出て欲しいことを説明していたが、看護師側の確認不足が原因であった。

    • 抗がん剤投与の際には滴下状況だけでなく、刺入部の観察も行うことが基本原則であり、再度基本に戻った観察を行うよう当事者本人も自覚するとともに、スタッフ全員にも注意喚起を行う。
    • 点滴開始から時間を決めて観察するよう徹底する。
    • 患者自身にも異常を感じた場合には早めに報告してもらうよう、開始前よりオリエンテーションを行う。

    41

    入院中、造影剤投与により発赤・掻痒感出現があった。当日もCT造影剤使用の検査が予定されていたが、検査前にソル・コーテフ(副腎皮質ホルモン剤)点滴施行指示があった。本人にも点滴があることを説明し、前回も発赤あったことを覚えており、理解してもらった。骨シンチ後にCT検査を施行したところ顔面紅潮、発疹出現した。気分不快・呼吸苦なし。帰室後、医師診察し、ソル・コーテフ点滴開始となった。

    朝の申し送り時も、ソル・コーテフの点滴があることが伝えられ、検査予定表と電話に点滴があることのメモを貼っていた。自分以外のスタッフがわかるようにしていたが、CT時間の早まりと自分が病棟に不在であったこと、スタッフが点滴の有無に気付かなかったことが考えられる。

    • 必ず、検査予定表をチェックし、検査内容を確認すること徹底する。
    • CT伝票に、アレルギー出現の可能性ある患者は、備考欄に前処置があることを記載する。(CT室にも前処置があることを知ってもらうため。)


    ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例 (第10回 事故)


    発生段階 事故の程度 事例概要

    【薬剤間違い】

    1

    指示段階

    障害の可能性
    (低い)

    担当医が診療録に休日分の注射指示内容であるヒルトニン(遷延性意識障害・脊髄小脳変性症治療剤)2A皮下注射の記載をしておいた。休日に、研修医が診療記載の薬剤を入力を上級医の確認の元でコンピューター入力する際、ヒルトニン2Aを入力すべきところ、ヒルナミン(精神神経用剤)2Aを入力した。注射指示を受けた看護師は、薬剤部に請求し指示通りに皮下注射をした。

    2

    準備段階

    障害の可能性
    (低い)

    20代の患者にブロー耳浴を行うため、看護師がブロー点耳薬(8%酢酸アルミニウム溶液)と同様の薬瓶である80%トリクロロ酢酸溶液(試薬)を誤って準備し、医師が患者に点耳した。

    3

    準備段階

    障害の可能性
    (低い)

    60代の患者にブロー耳浴を行うため、看護師がブロー点耳薬と同様の薬瓶である80%トリクロロ酢酸溶液を誤って準備し、医師が患者に点耳した。

    4

    準備段階

    不明

    点滴を準備する際、プログラフ(免疫抑制剤)とザンタック(H2受容体拮抗剤)を取り違えて患者に投与した。アンプルの外観が、透明で白いラベル、赤い文字、カタカナ5文字である点が類似していたため誤った可能性がある。

    5

    実施段階

    障害の可能性
    (高い)

    陥入爪手術の際に行った伝達ブロックで、キシロカイン注射液1%(局所麻酔剤)を注射するところを無水エタノールを誤って注射した。準備台に用意していた無水エタノールが入った注射器をキシロカイン注射液1%の入った注射器だと思い込み注射した。注射器には薬品の名前が書いてあったが確認できていなかった。

    6

    実施段階

    障害の可能性
    (低い)

    内視鏡的粘膜切除の際、ヨード染色を行って病変を確認し、生理食塩水を腫瘍近傍の粘膜下に投与して、腫瘍を挙上するところ、誤ってチオ硫酸ナトリウムを穿刺針に接続し、粘膜下に4mL 投与してしまった。使用する生理食塩水と散布用のチオ硫酸ナトリウムは共に無色透明であり同色の注射器に用意されていた。注射器には薬剤名が記載されていたが確認が不十分であった。

    7

    実施段階

    障害の可能性
    (低い)

    皮膚生検術の際に局所麻酔剤キシロカイン注射液1%を施行するところ、誤って0.05%マスキン水(殺菌消毒剤)を投与した。

    【薬剤量間違い】

    8

    指示段階

    障害の可能性
    (低い)

    生後2ヶ月の患者に対し、フルマリン(オキサセフエム系抗生物質製剤)を指示する際、1回量250mg 使用と入力し、薬剤部ではフルマリン0.5g のバイアルが払い出された。医師は、それを生食2mL で溶解し、1mL 投与した。予定量25mg/kg を投与するところ10倍量の250mg/kg を投与した。

    9

    指示段階

    障害の可能性
    (低い)

    医師が退院処方としてインクレミンシロップ(鉄欠乏性貧血治療剤)15mL 7日分を処方した。本来ならば「1.5mL」とオーダリング入力されるところ、小数点が入力されなかった。患者の母親が退院時の内服薬の説明と違うことに気付き問い合わせをしたが、処方通りの説明がされ過量投与となった。オーダリングシステムの適量処方のワーニング機能を使用していなかった。

    10

    指示段階

    障害の可能性
    (低い)

    ワコビタール坐薬(催眠・鎮静・抗けいれん剤)30mg 半量挿入のところ誤って1個使用した。カルテには記載があったが処方箋コメント欄の記載が無く実施してしまった。オーダリング導入とともに医師の異動が多く、処方箋記載ルールが徹底されていなかった。

    11

    指示段階

    障害の可能性
    (高い)

    化学療法のレジメンにはAとBがあり、Aの場合は「シスプラチン(腫瘍用薬)1日70mg ワンショット投与で3週間休薬」、Bの場合は、「シスプラチン70mg を分割して5日間連続投与」する指示であった。しかし、誤って記載されたBの指示を見て、Aのワンショットだと思い込み、1日70mg で3日間投与された。

    12

    指示段階

    不明

    医師はテラルビシン注(腫瘍用薬)を「1日1回,2日投与」する処方をした。別の医師が「1日2回,2日投与」と解釈して,追加処方をオーダーし処方し、指示書に記載された「×2」は2日間の意味であったが、1日2回と解釈してしまった。

    13

    指示段階

    障害の可能性
    (低い)

    医師が指示を出す際、ノボリンR注の単位を計算するときに、「1mL」を「10単位」と思い込み、オーダリングに0.1V と入力した。医師は、看護師に注射器を渡し注射を依頼した。看護師は希釈されているものと思い、注射を実施した。その後、再度指示を確認したところ、10倍量を投与した事に気付き、医師へ連絡した。

    14

    準備段階

    障害の可能性
    (低い)

    内科で硫酸アトロピン末(抗コリン剤)1.5mg 分3の処方をした。
    院外処方薬局では、硫酸アトロピン末(mg/g)のところ、硫酸アトロピン原末(g/g)を1.5g で調剤したため、患者は予定の1000倍量を内服した。

    15

    準備段階

    不明

    看護師Aが他院から転入した患者の本日昼分の薬を持参薬から準備し、引き継いだ看護師Bは患者に昼の薬を与薬した。看護師Aが休憩から戻り持参薬の残数を確認したところ、数が合わず、本日の昼分を重複投与していたことが判った。

    16

    実施段階

    障害の可能性
    (低い)

    担当看護師は、夕食前のペンフィル30R6単位を注射するため訪室し、注射指示用紙を確認し、指示の6単位に注射器をセットした。患者のベッドサイドまで行ったが業務中断が2回発生した。再度、患者の元で確認していると注射器は5単位と6単位の中間に目盛りがあり、目盛りを「0」に戻した。指示用紙を見ると、朝食前12単位の指示に目がいき、12単位注射した。実施サインを行う際に、朝の指示量である12単位の部分を見て実施していたことに気付いた。

    【対象者間違い】

    17

    実施段階

    不明

    患者Aを患者Bだと思い込み、内服薬を誤薬させた。

    18

    実施段階

    不明

    朝の食事介助時、患者Aの食膳と内服を確認し、「Aさん」と言いながら隣の患者Bのベッドに行ってしまい誤薬させてしまった。

    19

    実施段階

    不明

    患者Aの与薬実施伝票と内服薬を病室廊下まで持参した。直前の確認をせず、同室の患者Bに患者Aの薬を内服させた。

    【その他】

    20

    指示段階

    不明

    外来で化学療法中の患者が、白血球が低下したため一時化学療法は中止し、グラン(G−CSF製剤)の皮下注射を行う予定であった。化学療法の指示用紙には監査サインをせず、コンピューター画面で当日の注射指示を削除し、看護師に皮下注射の指示を伝えた。看護師はグランの皮下注射を実施し、患者に「点滴はあるのか?」と質問をされたためカルテを見ると化学療法の注射指示箋がはいっており、「中止」の記載がないため治療センターへ案内した。治療センターでは注射指示箋に医師の監査サインがなかったが、これまでも注射実施医が代筆するなどの現状があったため実施した。患者の当日分の化学療法オーダーが削除されているのに偶然気付き、間違いがわかった。

    21

    準備段階

    障害の可能性
    (低い)

    酸化マグネシウム(制酸・緩下剤)、ラックビー微粒(整腸剤)を調剤し、分包した。調剤した散薬の中に直前に分包した薬剤のハイペン(非ステロイド性鎮痛・抗炎症剤)とアモバン(睡眠障害改善剤)が混入していた。

    22

    準備段階

    不明

    角膜潰瘍で入院中の患者に対し、治療のため点眼薬が処方されていた。薬剤を準備する際に溶解せずに使用した。

    23

    その他

    障害の可能性
    (低い)

    患者は、MSコンチン(持続性癌疼痛治療剤)40mg を1日2回に分けて内服していた。内服するMSコンチンを準備しようと、夜勤者が2名で金庫を開けた所、MSコンチンの残薬数が1回分不足している事に気付いた。MSコンチンを使用する際は、チームの夜勤者がサインをしていた。残薬が何錠あるか確認することはしておらず、いつの時点で紛失したのか不明である。

    24

    その他

    不明

    患者はワーファリン(ワルファリンカリウム)を服用していた。歯科医師の診察により、抜歯の必要が生じた。歯科医師は患者の半年前のトロンボテストの結果が33%あるのを受け抜歯を行った。止血状態が悪いため縫合止血したが、その後も出血が止まらず、同日2回再縫合を実施した。その後、止血はしたが、翌日の採血結果で、MAP(血液製剤)やアルブミン(血漿分画製剤)投与を必要とした。


    ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例  (第10回 ヒヤリ・ハット 「薬剤」)

    r>

    具体的内容 背景・要因 改善策

    【薬剤間違い】

    1

    心不全で血圧が低下した患者に、医師が塩酸ドブタミン(急性循環不全改善剤)を看護師に電話で指示しようとしたが、実際には塩酸ドパミン(急性循環不全改善剤)の指示を出した。看護師は電話口で薬剤名を復唱し「塩酸ドパミン」である事を確認したが、医師も同意したため塩酸ドパミンを点滴開始した。1 時間後にやってきた医師が自分が指示を出したかった薬剤と違う事に気付いた。

    1 年目の看護師であり、心不全の患者の血圧低下時にドブタミン・ドパミンのどちらを選択するかの知識がなかった。先発薬品からジェネリック薬品への切り替えが行われて間もなくのことであり、医師がジェネリックの商品名を把握していなかった。

    • 一般名・商品名が似通っている薬剤の採用を中止する。
    • 塩酸ドブタミンはドブトレックスへ、塩酸ドパミンは塩酸ドパミン注キットへ採用薬品を変えた。

    2

    プロトコールにしたがって化学療法を施行中であった。準夜1回目の巡回時、輸液ボトルを確認すると、生食480mL +イソビスト2.5g(非イオン性脳槽・脊髄・関節造影剤)と記載されていた。指示ではイフォマイド(腫瘍用薬)2.5g+生食480mL の持続点滴であった。注射カート内の薬剤を確認すると、前日分のイフォマイドがなくなっていた為、輸液ボトルの記載間違いと判断したが調剤した主治医に確認しないまま輸液を続行した。

    主治医の記載間違いであった。

    • 指示と違う内容の薬剤が記載されている場合は、必ず調剤した者と前勤務者に確認を行なう。
    • 内容が不明の薬剤は当直医にも確認し、作成し直し等を検討する。

    3

    生食20mL とフェリコン(鉄剤)注を処方する予定であった。11月より導入された電子カルテで生理食塩の検索をかけようと「セイ」と入力したところ列記された上下段に「生理食塩液20mL」「大塚食塩注10%20mL」が並んでおり、生理食塩水を選択するところ、誤って10%食塩液を選択し、オーダー発行した。薬局内でも監査をすり抜け、現場看護師も薬剤を収納する際に別段疑問に思わず通常使用している薬剤という気持ちで収納した。実施した看護師は、処方箋と薬剤を確認したが、処方箋に印字されているため間違っているという認識はなく、準備し実施した。継続指示だったので、翌日分を薬剤師が監査している時高濃度液での溶解が処方されていることに気付き病棟に連絡し、医師に確認し誤っていたことに気付いた。

    電子カルテオーダリングの設定誤り。10%食塩液と生理食塩液が「セイ」で検索できていた薬剤に対する知識が不足していた。同薬剤の薬名の明記は大きくされていたが、ポリアンプタイプでサイズも同じで間違えやすかった。

    • オーダリング設定を変更した(「セイ」で10%食塩液が検索できない設定に修正した)。
    • 高濃度食塩液での事故事例を紹介し、危険性を学習した。

    4

    ロイケリン散(白血病治療剤) 1回65mg 1回分処方のところを、10%ロイケリン散 1回65mg1回分で調剤し払い出した。倍散調剤であったために、1/10量の調剤となった。

    調剤者が、処方内容は力価処方であることを正しく確認することを怠った。

    • 処方内容は力価処方であり、正しく処方内容を確認する。

    5

    気切後の止血術を施行している時に、主治医から最初レペタン(鎮痛剤)の指示が出たが、「ソセゴン(鎮痛剤)」に変更になった。ソセゴンを取ったつもりが「レペタン」を出し、主治医に手渡し、カクテルし投与された。翌日レペタンの数が合わず、間違いに気付いた。

    最初レペタンの指示が出ており、思い込んでしまった。また、ダブルチェックをせずに投与をしてしまった。

    • 必ず、看護師と医師でダブルチェックをした上で投与する。
    • カクテルする時は指示された薬剤とアンプルが正しいか確認する。

    6

    弱ペチロルファン1mL(鎮痛・鎮痙剤)を静脈注射するところを誤ってナロキソン1mL(麻薬拮抗剤)を静脈注射してしまった。弱ペチロルファンとナロキソンは同じトレイに準備してあり、誤ってナロキソンを静注した。

    トレイに1mL のアンプルを準備するが、いろいろな薬品が並べられる。シリンジに吸い上げの際は物を確認しダブルチェックを実施する。今回はトレイの薬品はダブルチェックをしてありシリンジに吸い上げる時は、1人で実施している。

    • トレイの中は弱ペチロルファンのみ準備をし、他のアンプルは指示が出るごとに金庫から出すこととした。

    7

    アナペイン(長時間作用性局所麻酔剤)が入ったシリンジとノルアドレナリン(血圧上昇剤)が入ったシリンジを準備した。アナペインを患者の硬膜外に投与しようとしたところ,誤ってノルアドレナリンを投与してしまった。

    同じ種類の容器に同じ色のマジックで薬剤名を記入していた。外見が似ており、投与前に薬剤名をきちんと確認していなかった。

    • 硬膜外投与薬と静注薬はシリンジにテープを巻くなどの区別をし、投与前に必ずよく確認する。

    8

    ヒューマログ(抗糖尿病剤)からヒューマログミックス50(抗糖尿病剤)朝20単位・夕12単位の皮下注の指示変更があった。しかし、ヒューマログミックス50ではなくヒューマログミックス25を使用していた。翌日の夕方単位数の変更指示を受けたときに気付いた。

    ヒューマログミックス50を臨時注射箋(指示した医師が手書きで記入)で薬局より受領した。臨時注射箋では「ミックス」の「ス」の字が「2」に見え、「0」が「u」に見えたため薬局はヒューマログミックス25を手渡した。使用前に単位数は指示簿を確認しダブルチェックをし患者に伝えたが受領薬品と指示簿の薬品は確認しなかった。

    • 指示簿と薬品を看護師間でダブルチェクする。
    • 読みにくい字があれば各部所で確認を怠らない。
    • ヒューマログミックスに複数の規格が異なる製剤があることを把握する。

    【薬剤量間違い】

    9

    数時間痙攣が続けていた患者で、発生時の前日準夜帯よりバイタルサインの変動があり、休日に主治医来棟診察依頼していた。ロヒプノール1A(不眠症治療剤)+生食10mL を3mL ずつ静脈注射の指示あり、施行すると痙攣が短時間消失したため、医師より口頭指示にてロヒプノールを持続で行くように指示があった。この時受け持ち看護師の他に看護師が一緒に指示を聞いていた。他の看護師が(受け持ち以外の)5%ブドウ糖250mL +ロヒプノール48mg を用意し、医師に点滴を見せた後接続した。翌日深夜帯で更新するとき点滴指示票を確認した際、5%ブドウ糖500mL+ロヒプノール48mg 指示であった。

    口頭指示であり不確実な指示であり確認、指示伝達があいまいになっていた。点滴を接続したのち再度点滴指示票を確認していなかった。

    • 緊急時以外の時口頭指示は避け点滴指示票と確認し点滴を用意する。
    • 口頭指示の場合、必ず指示内容を復唱し医師より同意を得る。又記録に残す。
    • ダブルチェックを怠らない。
    • 接続する前だけでなく、医師が点滴指示票に記載した後も内容が合っているかを確認する。

    10

    心不全で入院の患者。入院時は内服自己管理であった。ラシックス20mg(利尿降圧剤)から40mg に増量になったが自己管理が上手く行かず2日後より詰所管理となった。追加で処方した頓用の20mgを深夜の配薬で40mg に合わせると思い込み60mg を内服させた。

    薬袋が3つ有り、元々処方されている内服の内容を確認せずに配薬した。

    • 配薬の際、薬袋の患者名、薬剤名、量、与薬日、時間を声を出しながら行なう。
    • 薬袋が重複している場合は誰が見ても分かるよう1 つにまとめる。

    11

    ジプレキサ(抗精神病剤)10mg1錠1×寝る前の処方に対して入力者はシステム表示上で、10mgも選択できるようになっていたため、10mg を選択して入力した。処方鑑査者は当院非採用薬ジプレキサ10mg 1錠1×鑑査した。調剤者は採用薬ジプレキサ5mg 1錠1×で調剤を行った。最終鑑査者は採用薬ジプレキサ5mg 1錠1×で鑑査した。患者は1回分服用した。翌日薬局内において同様の処方箋により発覚した。

    当院非採用薬がシステム上で表示されることを認知していなかった。調剤者は採用品のジプレキサの規格が1つしかないので、規格を確認しないで調剤してしまった。最終鑑査者はジプレキサが2規格あることを知らなかった。当院での採用が1規格だったため、1規格しか存在しないと思い込んでしまった。

    • 入力前に採用薬、非採用薬のどちらで表示されているかを確認してから入力作業に入るようにする。
    • 調剤する前に規格や処方箋をよく確認する。
    • 規格を確認することを怠らない。

    12

    疼痛コントロールのためにオキシコンチン(持続性癌疼痛治療剤)10mg /2×で内服中であったが20mg /2×で処方されていた。指示を受け、内服薬のダブルチェックでは、間違いを発見できなかった。準夜勤務者がそのまま与薬していた。深夜帯で内服薬を確認している時に、量が違うことに気付き、指示を確認したところ増量の記載はなく、与薬時間前に医師に確認した。医師来棟後に再処方し、与薬時間より遅れて与薬してもらうこととなった。患者にはその旨を説明し了承を得た。患者の疼痛はコントロール良好であり、疼痛の増強はなかった。

    医師の処方箋の記載間違い。また、指示受け時、内服薬のダブルチェック時、配薬準備時の確認が不十分であった。

    • 指示受け時に量を確認してから処方箋を薬剤部へ送る。
    • ダブルチェック時も今までのものと一緒に量、内服時間に間違いや変更事項がないか確認をする。
    • 情報収集時に1回量を把握し配薬準備時に確認する。

    13

    カルベニン0.25g(カルバペネム系抗生物質)投与すべきところ0.5g 投与した。0.5g のバイアルが薬剤部からピッキングして病棟に届けられ、看護師はダブルチェックしたが規格違いに気付かなかった。同僚が注射指示シートと薬剤を点検中に気付いた。

    薬剤部は薬液をトリプルチェックして病棟に払いだすが、今回は規格違いに気付かなかった。当事者の看護師は、複数規格あることは知っていたが、1バイアルという思い込みがあった。スタッフが1人欠員であり、従来よりも業務が多かった。

    • 薬剤部は、複数の規格が採用されている薬剤を見直していく。
    • 注射指示シートと薬剤の確認時は、薬剤名、規格、投与量を声に出し確認する。

    14

    インスリン5単位注射するべきところを、4単位しか施行しなかった。

    4単位であったインスリンが5単位に変更になっていたが、確認を怠り4単位しかしなかった。

    • 血糖測定、インスリン施注時はインスリン簿を持って行き、患者氏名、日時、薬品名、量を確認しながら実施する。
    • 点滴や注射実施時は自己チェックカードを必ず見ながら行う様にする。

    15

    ノイロトロピン(下行性疼痛抑制系賦活型疼痛治療剤)4T 2×朝夕の指示をノイロトロピン2T 2×朝夕で準備して配薬時にも気が付かず少なく投与した。発見されるまで2回過少投与された。

    手術日まで自己管理している患者に対して、A 看護師は持参薬分と当院処方分を与薬ファイルに1 週間分準備した。持参薬は薬剤師や他の看護師に関与してもらった。当院処方はわかると思い1人で準備した。このとき、1回2T を2T 2×と思い込み、準備した。B 看護師とC 看護師は配薬時指示箋が同じファイルにおいて確認するマニュアルであったが確認せず、準備された薬をそのまま投与した。

    • 指差し呼称をする。
    • マニュアルを厳守する。
    • 持参薬と院内処方が混在するときは薬剤師に介入を依頼する。

    16

    朝7時にアーチスト7.5mg(慢性心不全治療剤)3包を投与するところ2.5mg 1包のみしか投与されていないことに、次の日薬剤を準備する際、気付いた。

    深夜と準夜で薬を確認する際、内服薬には指示量が変更されたことは記載されていたが、処方箋には変更されたことは記載されていなかった。両方をみて確認したが、指示量の変更に気付かなかった。

    • 指示量が変わった際は、新しい処方箋をだしてもらう事を徹底する。
    • 指示量が変更になった際は、指示箋と内服薬の袋に記載する。

    17

    パキシル(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)2T/回分1 夕食後の指示で内服開始になっていた。本人管理とし、声掛けで内服確認は行っていた。しかし2日間、朝、昼、夕2Tずつ内服していた事が会話より判明した。

    自己管理能力のある患者で「誤薬は無い」と思い込み、配薬時に服用法方の説明が不十分であった。薬剤部から薬を持ってきた人、整理した者の捺印が無く、詰所で決めたルールが守られていない。

    • 自己管理能力のある患者あっても、詰所で決めた誤薬防止策のルールを守り、患者が確実に服用できる様に、詰所全体で誤薬防止の意識を向上させる。

    【方法間違い】

    18

    深夜でファンギゾン含嗽水(ポリエンマクロライド系抗真菌性抗生物質)を作成した。吸入薬複写指示簿に、「ファンギゾン含嗽1日分作成、シリンジにすって、1日3回食前1回2mL」と看護師の手書きで記載されていた。ファンギゾン2mL +水200mL(通常のファンギゾン含嗽水濃度)の中から1日量の6mL を準備した。翌日の深夜で、他の看護師がファンギゾン原液を6mL 準備しているのに気付き、濃度が間違っていた事がわかった。

    不明。

    • ファンギゾンの作成方法(原液なのか水溶液なのか)を詳しく記載する。

    19

    病棟で鑑別入力書を見ながら分包したが、ラシックス(利尿降圧剤)40mg 0.5錠(火・木・土・日)与薬するところを、毎朝食後で1週間分に分包したため、3日間余分に服用してしまった。

    分包時、ダブルチェックで確認していたが、2人とも用法まできちんと確認できていなかった。

    • ダブルチェック時は、処方箋・コメントの確認をきちんと確認する。

    20

    リウマトレックス(抗リウマチ剤)2mg 2Cap1日2回 朝夕食後 毎週水曜日 内服中であった。1年目の研修医が定期処方時に連日投与不可の薬剤であることは知っていたが、1日分と入力するところ7日分と入力した。指導医のチェックはなかった。薬剤部での監査でも発見されなかった。服薬指導の薬剤師によって発見され、患者に投薬することはなかった。

    研修医が処方を行った場合、指導医か上席医のチェックを受けることになっているが、受けていなかった。研修医は、水曜日1日/週=1週間分=7日分と考えた。

    • 指導医か上席医のチェックを必ず受ける。
    • 毎日服用しない医薬品の処方例を再学習、日にちは投与実日数であることを周知する。
    • 薬剤部での監査を確実に行う。

    21

    入院臨時処方で(ラシックス散(利尿降圧剤)・アルダクトンA散(抗アルドステロン性利尿・降圧剤))「隔日7日分」の「隔日」を見逃し7日分で調剤、病棟看護師が投薬前に発見した。

    処方箋の日数(7 日分)に目が行き「隔日」を見過ごした。

    • 調剤中は処方箋をよく確認し、処方箋上に表示される秤量の数値と実際の秤量を確認する事、薬袋の日数(4日分)も確認する事で、「隔日」を意識して調剤するよう徹底した。

    【速度間違い】

    22

    患者は、末梢からソルラクト(乳酸リンゲル液)100mL/h で投与されていた。ドブックス(心筋収縮力増強カテコールアミン)開始の指示が出て、スワンガンツカテーテルのルートより投与する指示が出た。医師にメインルートの指示を確認し、「メインは末梢のソルラクトを100mL/h のままでいいんですか?」と聞いたところ「100mL/h でいいよ。」と返答あった。ドブックス開始直後より心拍数急上昇あり、医師よりメインの流量が100mL/h ではなく10mL/h であると指摘を受けた。すぐにメインの流量を10mL/h に変更した。

    口頭指示でのみ確認しており、忙しくてカルテ上での確認をしていなかった。カルテ上ではメインの流量は10mL/h となっていた。カテコラミンの後押しが100mL/h となることで、どのような副作用が出現するか理解出来ておらず、医師に再確認できていなかった。

    • 忙しい場合でも口頭指示のみではなく、カルテ上の確認をした上で実施する。
    • カテコラミンについての正しい知識を持ち、医師の指示に疑問を感じたら、医師に再度確認する。

    23

    前日の日勤帯で栄養が増量となり、点滴が3 0mL から2 5mL へと減量となった患者を深夜帯で受け持った。日勤帯で点滴減量がなされておらず、ワークシートも減量前のものが経過板に挟まっていた。深夜帯の6時頃に点滴更新し、新しいワークシートを出したが、25mLになっていることに気付かず、思い込みのまま30mL で施行した。感染区域を2人のスタッフが担当しており、清潔区域が1人のため、更新後ダブルチェックをしてもらうことを怠り、次勤務で設定確認の際に間違いを指摘された。

    新しいワークシートを出したが、流量の部分の確認不足と、今までのワークシートが30mL/h となっていたことから、変わっているわけが無いという思い込みがあった。また、同勤務帯のスタッフにダブルチェックを依頼しなかったことも早期発見につながらなかった。

    • 原則に従って、更新時にはオーダー画面で薬剤名から流量までしっかり確認していくことを怠らない。
    • ベビー室ではなくても、病棟のベビー室経験者などに依頼して、点滴更新時にはダブルチェックを確実にしていく。

    24

    患者はK N 補液1 A( 維持液)500mL を1本/日で持続点滴していた。10時更新で滴下数を調節したが、6時間で120mL 投与するところを400mL 投与してしまった。

    滴下数を調節する時、患者の腕の向きや体位を観察しなかった。残量と時間を見ずに滴下数だけ見ていた。滴下調整を実施する際、1分間測ではなく10秒間で測定したため誤差が出た。

    • 必ず1分間で測定し、刺入部、体位、腕の向き等を観察する。
    • 滴下が不安定な時は30分〜1時間おきに観察する。
    • 残量、時間の計算をきちんと行なう。

    25

    患者には、12:00〜14:00KN補液3B(維持液)500mL投与、14:00〜18:00までKN3B + アドナ100mL 投与の予定であった。12:00〜からの点滴にアドナ(対血管薬剤)を混注施注した。4時間で行なう点滴を2時間で行なってしまった。

    12時からの点滴と、14時からの分が重ねて置いてあった。アドナを点滴台に吊るしていた為、12時に混注すると思い込んだ。準備中にラベルを確認しなかった。施行直前にも確認を怠った。

    • 輸液パックとアンプル等の袋がある場合、氏名、時間、薬品名を確認しセットして置いておく。
    • 輸液パックを同じ場所に吊るさず場所を変える。
    • 準備中のラベルの確認、施注直前にもう一度確認を行う。
    • 患者の状態、検査、処置の内容などを関連付けて考え投与する。

    26

    ソルデム1( 開始液) 2 0 0mLを100mL/h で追加する予定が、200mL/h で実施した。

    ソルデムを2 0 0mL/h で投与し、終了後、ソルデム200mL を100mL/h で追加の指示であった。17時に終了し、日勤看護師がを追加した。18時医師の診察時点滴の残が少なく流量の違いに気付いた。追加時にダブルチェックを行っていなかった。

    • 点滴追加時には指示書を持参し確認して行う。

    27

    点滴3本キープで実施していた。更新の際、ルート類を確認した。滴下合わせた。2時間後にナースコールあり、訪室すると点滴全て滴下していた。動悸、気分不快なし。

    点滴更新時、左前腕に留置針あったが、左肘若干屈曲していたまま滴下速度を合わせていた。患者就寝中であり、肘を伸ばすと起きてしまい迷惑をかけると思った。

    • 滴下合わせる際は基本通りに肘を伸展させた状態で合わせる。
    • また滴下速度は体位によっても変動するので、こまめに訪室し点滴ルートや滴下に異常がないか確認していく。

    28

    21時半に、点滴の滴下を合わそうとしたところ、16〜4時までのフルカリック2号(高カロリー輸液用総合ビタミン・糖・アミノ酸・電解質液)の残量が後20mL 程になっていた。

    夕方に患者の部屋に入り、人工呼吸器の確認・バイタルサインの確認をし、内服薬注入、口腔ケア、吸引、オムツ交換、体位変換などを順番に行い、点滴も滴下していることは確認した。最後に滴下を合わせて退室しようと思っていたが、他患者の食事介助が気になり、そのまま慌てて退室してしまった。患者の処置が多く、他の患者の食事介助のことに気を取られていた。いつもは滴下を最初に確認し調節するが、この日に限り、後回しにしてしまい、退室してしまった。

    • 基本を忠実に守る。
    • 訪室時には、まず、患者の点滴をボトルから刺入部まで確実に確認する。
    • 12時間や24時間で投与する指示がある場合は、輸液ポンプを必ず付ける。

    29

    外来化学療法施行中の患者に対し、前投薬の制吐剤、ステロイドを30分の指示のところ、急速(500mL/h)で滴下し、10分程度で終了してしまった。

    確認不足であった。前投薬は急速との思い込みがあった。

    • 注射箋の確認をする。
    • 前投薬の時間指示には赤丸で目立たせる(現在施行中)。
    • レジメンどおりの注射箋にしてもらう(今回の注射箋はルート確保の生食の入力がなく、外来化学療法との入力もなく、赤ペンで多数記入があり、赤丸が目立ちにくくなっていた)。

    【対象者間違い】

    30

    A氏の14時更新用点滴を、注射簿で確認して準備した。他の患者に呼ばれ、作業が一時中断した。その後、点滴を1 パックに詰める際、隣に置いてあったB氏の点滴を、A氏の点滴と思いこみ混注してしまった。調剤直後に注射簿を再度確認して、間違いに気付いた。詰めた後の点滴の外包装には、B氏の名前が記入されていた。

    途中で作業が中断し、注意が散漫になっていた。混注する時に確認を怠っていた。

    • 作業が中断した後に注射簿で再確認。
    • 外包装を外した後も、途中で作業が中断する事がある為ボトルに患者名を記入する。
    • 時間帯が重なるので、必要に応じて他メンバーに応援を依頼する。

    31

    同姓者の点滴を中身を確認せず混注し、姓と時間だけ見て間違って患者に繋いだ。もう一人の同姓患者の点滴が無い事で間違いに気付いた。

    同姓者が居るので注意しようと言う意識が無かった。更新した点滴であったが、施行者は30分前まで病棟を不在にしていた。病棟に戻り点滴を確認すると残り少なく、ボトル交換時に血糖測定があり慌てていた。ミキシング台に点滴があり、誰かが準備してくれたと思い込み名前と中身の確認を怠った。

    • 勤務前に同姓患者の確認を行い注意をする。
    • 病棟を離れる時は、他のスタッフに申し送りをする。
    • 同姓患者が居る時はフルネームで確認を行う。点滴の実物と注射簿を他のスタッフとダブルチェックを行なう。

    32

    患者に別の患者の内服薬を与薬した。準夜で、夕食後薬をを処方箋と照合しながら患者用の小さい与薬ケースに準備した。夕食後に配薬する患者のケースをワゴンに並べて病室に持っていった。与薬時に患者に「Aさんですね」と声をかけたが、そのとき違う患者のケースを取り上げてしまい与薬した。手順ではベッドサイドでもう一度処方箋と薬を照合して与薬することになっているが、ベッドサイドで照合しなかった。

    ベッドサイドで氏名の確認はしていたが、処方箋と薬を照合する手順を省いていた(自分で準備したので、再確認しなくても大丈夫だと思った)。新採用で、初めての2人夜勤だった。業務の優先順位や、効率を考えて行動できず、次のこと(点滴の実施や検査)をしなければという焦りがあった。前日入院した患者でその日に初めて顔を見た。

    • 患者確認は氏名を名乗ってもらう。
    • 患者にも依頼し、他のスタッフにも再度徹底して、毎回の与薬時に氏名を名乗ってもらう。
    • 新採用者の与薬準備、配薬の手順の練習を行う。

    【その他】

    33

    2人の看護師が同じ場所で医師からの指示を聞き、点滴を名前を口に出さず準備した。患者から点滴終了のコールがあり、氏名と通し番号の書いた点滴を持って訪室した。注射簿は無く口頭指示なので施注する様言われ繋いだ。詰所で会話中違う患者である事が判明し直ぐに中止した。

    医師から指示を聞く時に二人の看護師は異なる患者の事を思い浮かべており、名前を確認せずに点滴準備をしてしまった。

    • 互いに声に出して患者の名前を確認する。
    • 注射簿を必ず確認する。
    • 口頭指示であっても医師が注射簿に記入するまで待ち、それから施注する。

    34

    頭痛があり毎日眠前に市販のバファリン(解熱鎮痛消炎剤・抗血小板剤)2錠を内服している患者であった。検査の為に内服を中断した方がよいか主治医に確認しなければならなかったが、市販薬であった為しなくてもよいのではないかと思い、確認しなかった。前日もいつも通りバファリンを内服し、検査施行となった。検査後カルテの内服薬の欄を先輩看護師が見て気付き、主治医に確認したところ検査当日は念の為、バファリン内服は中止となった。

    バファリンは手術や検査をする患者に内服を中止してもらうことは知っていたが、市販のバファリンも同様に内服を中止するとは思わず、主治医や先輩看護師に確認・相談をしなかった。

    • 市販薬でも同様の作用を示すことが考えられる為、主治医や先輩看護師に確認・相談していく。
    • また、相談しなくてもよいものかどうかはっきりわからない場合は、先輩に相談し自分一人で判断しない。

    35

    24時間点滴を行っている患者の点滴を接続した。伝票にはハイカリック(高カロリー輸液用基本液)2パックとなっていたので、その量で流量計算したが深夜帯で終了しているのを発見する。点滴は実は1パックのみで伝票に記載されている量とは違っていた。受け持ち看護師が点滴を確認した際に伝票記載とは違うことに気付いたが伝票を修正していなかった。

    点滴が上がってきた時点で2パックきていることに気付かなかった。受け持ち看護師が混注する際気付いたが、伝票を修正しなかった。受け持ち以外が点滴を接続したが、自分の目で指示を確認しなかった。

    • 受け持ち、点滴確認者が接続することを基本とする。
    • やむを得ず受け持ち以外が接続する場合は、再度指示を確認する。

    36

    処方箋・薬袋発行機の一台が故障し、電源を切った際、すでにデータが送られていた処方のうち実際に発行が完了した処方の確認が不十分だったため、一人の患者の処方箋が2度発行され、別々の薬剤師がこれを調剤し薬が両方とも病棟へ送られてしまった。病棟看護師が重複に気付き、誤りが発見された。

    業務手順・ルール、チェックの仕組みの題点。処方箋・薬袋発行機の老朽化(8年使用・度々故障する)。

    • 処方箋の再発行を行なう場合は未発行の確認を充分行う。
    • 処方箋・薬袋発行機の修理を行なう。
    • 発行完了した処方箋の確認を十分に行う。

    37

    錠剤を4種1 包化の21包のうち、1包のみに1 種類入っていなかった。患者が服用の際、不足に気付き看護師に報告にて薬剤部に連絡が入った。

    第一、第二鑑査しているにも関わらず、不足に気付かなかった。確認不足。錠剤一包化の分包機の一台が、錠剤の移動や欠損時のエラ−機能が故障していた。

    • 鑑査時の確認を撤底する。

    38

    シュアプラグ(静脈ライン用コネクタ)で施行していた点滴が終了したため、ヘパリンロックした。その際、バイアルの中の抗生剤が十分溶解できずに残っているのに気付いた。

    生食溶解液キットを使用していたが、抗生剤の差込が不十分であり、溶解できていなかった。

    • 点滴キットにバイアルを接続する時は、まっすぐ差し込む。
    • 薬液がきちんと溶解されているのを確認してから点滴セットをつなぐ。
    • 患者のベッドサイドで施行時にも薬液の溶解を確認する。

    39

    歯科からセフェム系の抗生物質の指示がでた。主治医が過去にも数回処方されているフロモックス(セフェム系抗生物質)を処方し昼食後に看護師が与薬した。その際、患者から「フロモックスは体に合わない」という発言あり、カルテを確認するとカルテ表紙のアレルギー欄に赤ボールペンで 「フロモックスで薬疹?」と記載があった。患者はその後「苦しい、暑い」と訴え、全身に発疹出現した。サクシゾン点滴し、酸素開始してその後症状改善した。

    カルテの表紙のアレルギー表示を見落としていた。昨年カルテ表紙のアレルギー表示を見やすくしたが、新入院のカルテのみ新しく長期入院の患者のカルテは変更していなかった。

    • 処方する時にはアレルギー禁忌がないかを確認して処方するように情報提供した。表示をわかりやすくする。
    • アレルギー禁忌の表示を赤で大きく「+」の記載をするよう統一した。

    40

    本来、6〜18時の12時間の尿量が300mL 以下であればラシックス注(利尿降圧剤)1A静注の指示であった。準夜看護師が18時に採尿バッグ内の尿が130mL であったので、130mL は6時からの量であると思い込み、ラシックス注を施行した。21時にラウンドをし蓄尿瓶に開ける際、すでに350mLの尿が瓶に移されているのに気付いた。必要のないラシックス注を投与してしまった。

    尿量を記載してあるワークシートを確認せず、今あるバッグ内の尿だけでそれが朝からの尿量だと思い込んでしまった。尿量確認を、バッグ内だけの確認でなく蓄尿瓶に移して確認することができていなかった。

    • 蓄尿量の確認は、バッグでの確認ではなく蓄尿瓶に移した量で確認する。
    • 薬剤投与の場合は尿量記録を確認した上で投与の必要性を判断する。

    41

    横行結腸切除術を受ける予定の患者で、入院前より高血圧症、糖尿病の既往があり、内服加療中であった。認知症もあり、内服薬の自己管理が行えないため入院時に同伴していた家族の同意のもと、看護師サイドで管理し、夕食後の薬を内服してもらった。この時室内に家族は居なかった。30分後に訪室すると、面会に来ていた長女が「食後の薬をついさっき飲ませた」と言い、重複投与している事に気付いた。

    認知症のため、患者は自分では内服したことを覚えていなかった。自宅でも家族が内服させた後、自分で再度内服する事が度々あったと言うため、入院時から看護師管理にしたが、内服薬を看護師管理していることが入院時付き添っていた家族以外に伝わっていなかった。長女は入院時にはいなかった。入院時に持参薬をすべて預かっていたが、他の家族が別の鞄の中に薬を持っていた。看護師のみが内服確認をし、患者本人や家族が分かるような記録をしていなかった。

    • 家族に内服薬の管理について再度説明する。
    • 残薬は必要分預かって、部屋に置かないように持ち帰ってもらう。
    • 看護師と患者・家族の双方が内服の有無を把握できるようにケア計画表やタイムスケジュール表やチェックシートなどを患者のベッドサイドに設置する。

    42

    インスリンを2mL/h 実施していた。口頭指示で血糖値が1 0 0μg/dL 以下の場合、流量を1mL/hに減量、の指示があった。口頭指示であった為、その旨ポストイットでコメントが書いてあった。血糖値が90μg/dL と低値であったがそのまま2mL/h で継続した。次の血糖測定時に69μg/dL と低下があり、口頭指示があったことを思い出し気付いた。

    深夜看護師からの申し送りでポストイットを見ていたにも関わらず血糖測定時にそれを見忘れ、送りを受けたことも忘れていた。医師の指示簿に血糖低下時の指示記載がなかった。輸液・シリンジポンプのチェックリストがなかった。病棟の決まりとしてチェックリストを作成し、各勤務で受け持ちの看護師に交代時に申し送りの際に一緒に渡すとういう事を決めたが施行されていなかった。医師に確認し、指示簿に記入してもらう必要があった。

    • 輸液ポンプ・シリンジポンプのチェックリストを使用する事の必要性を理解して各勤務帯使用するようにする。
    • 準夜などでの医師からの口頭指示は翌日回診時に医師に記載してもらう事を徹底する。

    43

    仙骨に褥瘡があり「ヨード禁忌」である患者にユーパスタが塗布された。その時点では、ユーパスタがヨード剤と気付かず、処方依頼した際ユーパスタがヨード剤であることがわかった。

    ユーパスタがヨード剤であることを理解していなかった。知識不足。

    • 自分が理解していない薬剤が処方されたときには、すぐに調べる。
    • 急遽処方されたときは、禁忌薬剤を伝える。

    44

    朝食後薬と夕食後薬のアレグラ(アレルギー性疾患治療剤)60mg 1錠の入った配薬カップを朝食中に渡した。食後内服する様に伝えたが、本人は「はい、はい」と言いながら携帯をいじり、話を聞いている様に思えなかったが、これまでは実施出来ていたので、配薬カップを食事トレイに置いた。その後、患者は朝と夕の分を一緒に内服してしまった。

    今まで内服はきちんと出来ていた為、今回も飲めるだろうと思い込んだ。患者に内服の説明が足りなかった。患者は、朝食のトレイの上に置いたので朝の分だと思った。

    • 確実に理解するまで説明を行なう。
    • 確実に内服出来る様に1 回配薬とし、手の届き易い所に置く。

    45

    右前腕よりソルデム(開始液)3A10mL/h で持続点滴を行っていた。7時に付添い家族より「手が腫れているみたい」とナースコールあり。滴下は良好であるが、右手首から前腕2/3程度が腫脹していた。

    抗生剤開始前に自然滴下と刺入部を確認し問題なかった為、点滴続行しその後は確認していなかった。

    • 持続点滴中の観察の基本を守る。
    • 腫張を確認する時は、刺入部の周りだけでなく、腕全体も確認する。また、左右差も確認する。

    46

    抗てんかん薬の水薬を準備しようとしたら、残量が多くあった。前担当者に確認すると水薬の与薬を忘れていた。粉薬を準備の後に水薬を冷蔵庫から取り出し、準備するつもりであったが忘れてしまった。

    処方箋を確認しながら準備をしていたが薬の保管が冷蔵庫であったため、後にしようとして忘れた。薬注入時の最終確認を忘れていた。

    • 薬注入の注射器に「水薬あり」のラベルを貼付する。
    • 薬の準備の時に全ての薬を準備してから溶解する。

    47

    造影MRI施行後、一過性意識消失および血圧低下を認め、ソル・コーテフ(副腎皮質ホルモン剤)経静脈投与行ったが、患者が以前にステロイド薬に対してアレルギーの疑ありと報告していた。

    薬剤アレルギー確認が不十分であった。

    • 薬剤アレルギーの確認を徹底する。

    48

    喘鳴咳嗽を主訴に受診、処方とした。抗アレルギー剤に関して説明した上で処方したが、処方入力の際、誤って解熱剤も処方してしまった。すぐ取り消し、抗アレルギー剤を処方したが、薬剤部に連絡せず、次の患者の診察にあたった。オーダー画面上は削除されているが、一旦指示が通ってしまった状態で調剤が済んでしまった。患者は受付で、解熱剤、抗アレルギー剤両方を渡した。帰宅途中に母親が説明をうけたものと違うものがあると再来院した。

    オーダリングシステムの指示変更時オーダーエントリーのため、電話連絡ミス。

    • 次期システムバージョンアップ時は、指示出し・指示受け等の改変をする。


    ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例  (第10回 ヒヤリ・ハット 「持参薬」)


    具体的内容 背景・要因 改善策

    【薬剤間違い】

    1

    持参薬の薬剤サイレース(睡眠導入剤)がなくなり、医師が当院から処方する際、間違ってサイレイトウ(漢方製剤)を処方した。本来サイレースを服用しなければならなかったが、看護師も疑問を持たず紫令湯を準備し、4日間与薬した。患者はそのまま疑うことなく服用した。患者に不眠などの影響はなかった。

    処方時の医師の薬剤に対する認識が不足していた。患者の病態と薬剤の関係について十分理解していなかった。看護師は、紫令湯は漢方であり、就寝時に服用するものではないことを疑ったが、名前も似ているため確認を怠った。薬剤師として薬効を十分理解していながら、就寝時に漢方が処方されたことについて疑義照会を怠った。

    • 患者の病態と薬効を関連させて考えることを徹底した。
    • 疑問に思ったことはそのままにせず、必ず確認することを話し合った。

    2

    入院時の持参薬ニューレプチル(精神神経用剤)が当院採用のセロクエル(抗精神病剤)に変更になる筈が医師の処方間違いによりセロクラール(鎮暈剤)が処方されており薬剤師も気付かず調剤した。退院になる際も気付かず残薬を渡した。その後、再入院になった際に別の病棟の薬剤師により指摘され発覚した。薬剤師は退院30分前に指示があり焦って処理を行いニューレプチル=セロクラールだと思い込んでいた。

    本来投与すべきニューレプチル統合失調治療薬はセロクエルであるが、3文字類似の脳梗塞治療薬セロクラールを処方間違いした。新人医師の薬剤採用の問題。薬剤師は退院30分前に指示があり焦って処理を行いニューレプチル=セロクラールだと思い込んでいた。業務、労働体制、連携の問題。知識不足や3文字類似薬の監査ミス、チェックの仕組みの問題。

    • セロクエルやセロクラールのような、間違い易い頭3文字類似薬は監査方法を徹底する。
    • 医師は退院指示を前日に行うルールを作る。

    3

    入院時、院内処方の持ち込み薬を看護師がセットした時に、ムコスタ(胃炎・胃潰瘍治療剤)を間違えてムコソルバン(気道潤滑去たん剤)をセットした。

    ダブルチェックで確認したが確認が不十分であった。薬剤師に相談をしていなかった。

    • 病棟薬剤師との連絡をとりあう。
    • 当院処方の持ち込み薬のセット化を薬剤部で対応する。

    【薬剤量間違い 過少・過量】

    4

    外来からの持ち込み薬である抗癌剤ペラゾリンとラステットを、10日毎に1錠・1包ずつ内服するところを、倍量内服させてしまった。入院時の看護師の情報によると、2種類2つずつ内服との情報があった。毎日家人にて薬のセットがされていたため、就寝前に看護師で確認したところ、明日内服予定の抗癌剤が1つずつしかセットされておらず、看護師は2つずつセットし直した。翌日内服時、患者より薬が多くないかと質問があり、看護師は外来カルテで処方を確認するが、カルテはそれぞれ2つずつ投与の記載であった。「長期旅行のため」「実際は今まで通り」との記載もあったが、薬袋にも2つずつとの記載があったため、看護師は患者に説明し、2つずつ内服してもらった。その後患者が家人に薬を多く飲んだ旨を伝え、家人より主治医に報告があり、主治医からの看護師への確認で倍量内服させたことが発覚した。患者は白血球が低下したため、ノイトロジンを投与することとなった。

    抗癌剤の治療に関する知識がなかった。外来持ち込み薬の、点検・薬のセットに関するチェックの仕組みがなかった。看護師が入院時に一人で全て行っていた。主治医に持ち込み処方の確認をとっていなかった。外来では受診日調整のために倍量で処方されていたが、病棟看護師にはカルテ記載からは分からなかった。

    • 持ち込み薬を、薬剤科でチェック出来る機能を作れるか検討する。
    • わかりにくい処方については、必ず主治医に確認するよう指導する。
    • 注意の必要な処方箋は、マーキングする等病棟内の手順を見直す。
    • 倍量処方のシステムを見直す。

    5

    術後の疼痛指示でボルタレン座薬25mg(鎮痛・解熱・抗炎症剤)が処方されていたが、持参の50mg を使用したと後で報告があった。患者は入院直前にぎっくり腰を発症し、他の病院で50mg を処方され持参していた。患者には25mg が別に処方されていることを説明していなかった。また看護師は持参の坐薬があることは把握していたが、容量の確認をしていなかった。

    持参薬があることは把握していたが、実物で容量の確認をしていない。患者に持参薬とは別に違う容量の坐薬が処方されていることを説明していない。鎮痛剤は持参薬であっても病棟管理にするよう決めているが、患者の元に置いたままにしていた。疼痛の観察不足であった。座薬の冷所管理ができていない。

    • 入院時の担当者が必ず持参薬を確認し、記録に残す。
    • 鎮痛剤は、病棟管理とする。
    • 持参薬であっても原則として預かる。
    • 薬が変更になった場合の患者への十分な説明を行う。

    6

    持参薬調査を行い、薬の内容をディオバン80mg(選択的AT1受容体ブロッカー)のところ40mg と記入した。医師は、その調査票を見て処方をオーダーした。持参薬の内容は薬剤部のシステムに登録されており、処方を監査した薬剤師が登録内容と違うため処方した医師に問い合わせた。医師は調査票の内容を信じ、ディオバン40mg でよいと返答した。後日、病棟担当薬剤師が間違いに気付いた。

    月曜日は1日に10人以上の患者を回らなければならず、また、その日は、遅出で17時には薬剤部に戻らなければならなかったため急いで仕事を行っていた。

    • 持参薬調査票の記載は落ち着いて正確にする。

    7

    持参薬ルーラン(抗精神病剤)、アキネトン(抗パーキンソン剤)を「3錠/分3、毎食後」内服する指示がカルテに記載してあった。1回3錠ずつだと思い込み、夕食後に各3錠ずつ内服させてしまった。また患者は入室時から失見当識があり、ルート類を気にしたり、安静が守れない状態であった。そのため患者にルートトラブル、転落がないよう見守りながら、薬の確認を行っており何度も確認行為が中断していた状況であった。深夜看護師が内服薬の確認をしていた際に、間違った錠数がセットされていることに気付き、残薬の錠数を確認したところ、前日夕方分の内服薬を間違った錠数で内服させていることに気付いた。

    CCU(心疾患集中治療室)では持参薬の取り扱いがほとんど無く、「○錠/分○」という指示の見方に慣れていなかったが、他のスタッフに投与方法を確認しなかった。ルーラン、アキネトンを内服させるのは慣れていなかったため、添付文書の確認を行ったが、副作用の確認しかしなかった。患者は入室時から失見当があり、ルート類を気にされたり、安静が守れない状況であった。患者を見守りながら薬の確認をしており、集中して薬の確認ができる環境でなかった。CCUでは内服薬をセットする人、内服させる人は違う人が行い、ダブルチェックできるようなシステムにしているが、今回は入室直後であり、自分でセットをし内服もさせたため、ダブルチェックができなかった。

    • 自分は「○錠/分○」という指示の見方に慣れていないことを認識し、最低2回は指示簿と薬を確認し、自分の投与方法が添付文書に記載してある投与方法と合っているかの確認を行う。その上、他のスタッフに投与方法を確認する。
    • 薬の確認中のみ他の看護師に見守りを依頼する。
    • 入室直後でも内服をセットする人、内服させる人を別の人にしダブルチェックできるようにする。
    • 患者にルートトラブル、転落の危険が高いと判断した場合、薬の確認中だけ一時的に抑制具を使用させてもらう方法を考え、患者と相談の上、自分が集中して薬の確認ができる環境を整える。

    8

    他科の入院患者であった。持参薬確認の際、大腿に貼られていたデュロテップパッチ(経皮吸収型持続性癌疼痛治療剤)12.5mg を15mgと見間違えてしまった。交換日は翌日であったが、交換分の持参はなく、主治医へ15mg で報告し処方をうけた。翌日交換の際、実際に貼られているのは12.5mg であり、交換分の処方内容と違うことに気付き、処方し直しとなった。

    実際に貼用されているパッチの確認方法に誤りがあった。外来カルテからの処方内容の確認が不足していた。入院時持参薬一覧チェック表の確認・指示を主治医よりもらっていなかった(サインをもらっていない)。患者自身デュロテップパッチについての認識が薄く、情報が得られにくい。カンファレンスより「麻薬である」という認識が薄い。入院後、夜勤帯でも確認している場面があるが、規格・用量を見落としており、3重のインシデントとなっている。

    • パッチの確認を確実に行なう(用量・規格・枚数)。
    • シールを貼る際には、規格が見えるように貼る位置を工夫する。
    • 外来カルテより確実に処方状況の確認を行なう。
    • 入院当日、必ず入院時持参薬チェック表を主治医へ確認しサインをもらう。

    9

    他院で処方されていた入院時持参薬剤を病棟担当薬剤師が鑑別する際に、0.25錠の錠剤が混ざっており、鑑別不能であった。ワンアルファ(1μg)(活性型ビタミンD3製剤)0.25錠内服するところ、実際には1.25錠が1包化されていた。患者は18日間5倍量を内服していた。

    他院からの持参薬は院外薬局の処方箋を参考に治療が継続されることもある。薬局からの情報の間違いは患者に大きな影響をきたす。業務手順、チェックの仕組みに問題点があると思われる。

    • 鑑別、判別を徹底する。
    • 情報提供を他院、薬局に積極的に行う。
    • 病棟薬剤師による入院時持参薬鑑別を全患者に継続し実施する。

    10

    疼痛コントロールの為、オキシコンチン(持続性癌疼痛治療剤)を服用している患者で、「オキシコンチン40mg /日分2』内服の処方で10mg を持ち込みしており、1回に10mg ×2錠づつ服用していた。入院当日で、医師の指示箋には、20mg 分2と書かれていたため1回量10mg を1 錠持って行ったところ患者本人より、1 回量20mgで10mg を2錠服用しているとの指摘を受けた。

    入院時の情報不足と、オキシコンチン10mg 錠を患者が持参していたこと。

    • 持参薬の内服方法をきっちり確認する。
    • 容量、用法の確認を確実に行なう。

    【薬剤量間違い】

    11

    デパケン(抗てんかん,躁病・躁状態治療剤)が患者持参薬(水剤)と当院処方(細粒)とだぶって与薬され、内服するときに気付いた。

    他の持参薬がなくなって処方になった際に、デパケンの残薬(水剤)を処分しなかった。確認が不足していた。

    • 前医処方の水剤は処理し中止する。
    • 薬の重要性を認識する。
    • 処方内容を前後に確認する。

    12

    気道狭窄にて、気管ステント挿入後の患者。家では内服薬の自己管理をしていたが、術後は体調不良が続いたため、看護師管理としていた。持参薬の残量がバラバラで、無くなった物から主治医に処方してもらっていた。配薬カートの整理をしている時に、持参薬のメインハーツ(選択的β1アンタゴニスト)と当院処方のメインテート(メインハーツと同一の薬効)が重複して配薬カートに設置されていることに気付いた。実際に重複して内服したかどうかは不明である。

    カート設置時に、カート内に残っている薬と新たに処方された薬が重複していないか確認していなかった。持参薬の一覧表と、当院の処方箋(黄色の処方箋)を比較して、重複している薬をチェックしていなかった。カートに整理した者は、メインハーツとメインテートが同一の薬剤であることが確認出来ていなかった。

    • 看護師管理の内服薬を患者に投与する時は、処方箋の内容と実際の薬があっているかをしっかり確認することを徹底する。
    • カート設置時には残薬も注意してみるように、薬剤師にも協力を依頼する。
    • 持参薬の一覧表を修正する。

    13

    内服薬の自己管理患者に対し、持参薬のムコサールL(徐放性気道潤滑去たん剤)45mg 朝1 錠の代わりにムコサール15mg 3錠毎食後に処方されていたが本人よりムコサールがないと言われた。患者は持参薬のムコサールLと当院が処方したムコサールを重複し服用した。

    持参薬から院内処方の薬剤に変更になる場合は、患者の理解力を確認し、丁寧に説明する。また、内服薬を自己管理にする場合服薬の確認と渡し方についても統一する必要がある。

    • 内服薬自己管理基準を作成し、患者の査定を行う。
    • 服薬の確認方法の統一する。
    • 毎日1 回確認する。
    • 原則水曜日に残薬確認し1 週間分を投与期間、服薬時間、服用方法を薬袋に記入し患者と確認して渡す。

    14

    深夜勤務で朝の内服薬セット時にほぼ同じ内容の薬を服用している事に気付き重複与薬されていた事を発見した。退院時薬を2週間ずつ2ヶ併せて4週間分持参した。翌日再入院し薬を持参した。持参した薬が一部変更となり、臨時薬で処方された。与薬車にあった残薬の持参薬は薬局へ返納した。残り2週間分の持参薬は記録室に置いてあり受け持ち看護師は服用するものと思い込み準備して定期薬の段ボール箱に入れた。そして薬係がその薬を与薬車へ準備し入れた。その為臨時薬と退院時持参した2週間分の薬が与薬車内にあり過量与薬となった。

    薬剤の保管管理(持参した薬が4週間分与薬車に入らない、また保管管理の場所が徹底されていない)。患者の指示変更と状態観察がマッチングさせ観察していない。指示変更の伝達の不徹底。指示簿を見ていない。

    • 指示変更の伝達。
    • 処方箋、指示簿の確認。
    • 持参薬について薬効の把握と何時まで薬があるのか誰が見ても解るようにするシステムを検討する。

    15

    眼科手術の目的で入院も糖尿病のため入院時から高血糖であった。入院翌日代謝内科受診し、キネダック(アルドース還元酵素阻害剤)3T/分3(食前)で開始の指示が出でた。入院時患者持参薬は看護師管理として与薬していた。キネダックが持参薬の中にあることに気が付かず、12日夕から15日昼までの間、重なっ投与されていた。患者への影響は無く、食後のキネダックを中止した。

    患者持参薬に関する情報が代謝内科の医師に伝わっていなかった。電子カルテシステムで他科受診を依頼、患者持参薬の情報は看護記録にのみ記載されていた。入院時持参薬について全て薬剤師がチェックするシステムになっていない。入院時持参薬は薬歴管理に反映されない。キネダックが食後薬として処方されていた。

    • 入院時持参薬については入院当日でなくても薬剤師が一度チェックできるシステムにする。

    16

    夜間入院した患者に他院の精神科処方があったが、薬剤情報のまま内服させたところ、倍量を与薬してしまった。入院の翌日妻が持参した薬を、受け持ち看護師からセットするよう依頼を受けた看護師が、院外薬局の薬剤情報書を見てセットした。倍量処方に気付かなかった。妻は受け持ち看護師に薬剤情報書のとおり内服させていたと話していた。患者は日中まで入眠後、覚醒された。薬剤師が処方内容を確認し気付いた。

    医師の指示書には持参薬続行の指示で、内服薬の記載がなかった。薬剤師の介入を依頼しないままセットした。持参薬を看護師のみでセットすることが習慣化していた。患者が持参薬を持ってきた際の手順が浸透していなかった。看護師は薬剤量が多いと思ったが、精神科の処方だからかと勝手に判断した。看護師の薬剤に関する教育が不十分であった。倍量処方が行われている実態がある。

    • 入院時に持参薬がある場合は、薬剤師の介入を依頼する。
    • 薬剤鑑別後、医師に持参薬の内服指示内容をカルテに記載してもらう。
    • 現実的にすべての場合を薬剤師に依頼することは困難であるので、更に検討を進めている段階である。

    17

    患者持参薬のアルファロール錠剤(Ca・骨代謝改善,1α−OHD3製剤)が少なくなり、主治医がアルファロール散剤を処方した。手渡された患者は形態が異なるため、違う薬と思い、錠剤・散剤の両方を服用していた。翌日、錠剤がなくなりかけた時点で看護師が散剤へ変更となることを患者へ説明した際に、重複内服が判明した。

    持参薬の他に、院内処方薬を渡すため患者へ説明する際に、手持ちの持参薬の内容を確認せずに渡していた。持参薬がある場合の照合を行なう手順が不明確であった。

    • 持参薬の確認と院内処方薬の照合を徹底する。
    • 患者への説明方法を確認する。
    • 持参薬の取扱いフローを作成する(薬剤師・看護師・医師間検討中)。

    18

    持参薬があるにも関わらず、前回準備した内服薬が無くなった時点で処方してもらっていた。空になったタケプロン(プロトンポンプ・インヒビター)の内服薬が医師の処方を依頼するために寄せてあった。医師に処方を依頼したところ「持参薬があるから処方しなくていい」と言われ、持参薬から1週間分を準備した。同時に、他のスタッフが持参薬の一包化を依頼していて、その中にもタケプロンが入っていた。一包化された薬袋を確認したが、タケプロンが入っていることに気付かず、2日間重複投与してしまった。

    内服薬を確認した時点での見落としであり、不注意であった。また、以前処方されていた薬袋が別になっていたため、一包化されていないという思い込みがあった。また2日間、投薬準備するスタッフも気付かずに投与していることから、重複されていることを疑うことなく思い込んで準備していた。

    • 今回のケースでは一包化された薬を注意深く確認する。
    • また、前回処方してもらった薬袋は一包化を依頼した時点で廃棄する。

    【投薬・内服忘れ】

    19

    持参薬を自己管理していた患者に対し、持参薬の内服は手術前日まで使用し、一時病棟に保管した。術後医師の指示にて開始するか検討するルールとなっていた。手術前日に、手術日は薬を服用しないように患者に指導したが、「持参薬は明日服用するものがあるから」と、引き上げなかった。手術当日、持参薬の一部と前投薬の内服指示であったが、当日の看護師は指示を見落とし、前投薬のみ配薬したため、持参薬の一部が未投与となった。

    手術当日の看護師の指示確認が不十分であった。看護師間の連携が不十分であった。役割分担が不適切であった。朝の忙しい時間帯であった。患者への説明が不足していた(手術当日服用しないと言う説明でなく、何をどの時間にどのように服用するのかなど患者にも説明しておく必要があった)。持参薬管理のルール違反があった。

    • 手術前後の持参薬に関するルールの再確認をした。
    • 手術前日の看護師は、手術当日の予定に関し説明し、患者の理解度を把握することが役割と確認した。

    20

    夕方の内服薬より看護師管理となっている薬剤をセットした。他院での処方であったため、手書きで処方箋に薬剤を記入したが、その際にムコソルバン(気道潤滑去たん剤)の記入が漏れた。次勤務者が内服薬を確認したため発見された。

    内服薬がワンドーズとなっており、確認しにくかった。他院からの内服薬であったため、処方箋がなく、薬剤の袋に書かれているものと、入院時の記載とで内服薬をセットした。内服薬を看護師管理とした際のセット後、作成した処方箋とカルテがあっていることを確認できていなかった。患者の内服薬が把握しきれていなかった。処方箋がないため、あやふやになっている薬剤が他にもあった。

    • 薬剤はワンドーズとなることで識別番号で確認するため、シート処方に比べて確認しにくいことを考え、慎重に薬剤の確認を行う。
    • 患者が何のために、何の薬剤をいつ飲んでいるのかしっかり把握しておくためにも、カルテ記載時十分に注意する。
    • 内服薬セット後、再度カルテと作成した処方箋があっているかを確認することを徹底する。

    21

    夜勤で内服薬の準備をしていると、処方は出されているが薬剤自体がどこにも見当たらないものがいくつかあった。その旨を日勤者に伝え、まだ薬剤部より上がってきていないと考え、薬が届き次第、配薬、投与するように依頼した。夕方になり患者から、「薬が一つしかないけどいいのか?減ったのか?」と問われ確認すると、持参薬のロブ錠(プロピオン酸系消炎鎮痛剤)が朝、昼共に投与されていなかったことが判明した。ロブ錠は他の薬の保管庫になく探していると、返納BOXに入っていることに気が付いた。投与忘れによる患者の状態に変化はなかった。

    ロブ錠以外にも持参薬があり、持参分がなくなった為院内処方に切り替えていた。ロブ錠は当院採用薬ロキソニンで処方されていたが、薬剤を処理した看護師は薬剤名が異なるため、同一薬剤と思わず、処方間違いと考えて返納手続きをした。手続き後、再処方等の依頼をしていなかった。持参薬と院内採用薬との品名が異なることがあり、混乱しやすい。通常持参薬確認時、院内採用薬と異なる場合は、薬剤師が代替薬品名を報告してくれているが、今回はされていなかった。薬剤師の人的制限上、全ての入院患者にタイムリーに持参薬確認ができていない現状である。

    • 処方が異なる場合は、自己判断で処理せず、必ず医師に確認することを徹底する。
    • 持参薬確認に、薬剤師がさらに関われるような体制を検討していく。

    22

    血糖コントロール目的で入院中の患者で、内服薬続行の指示があったのに、グリミクロン(経口血糖降下剤)の内服が1週間できていなかった。主治医に電話報告し、血糖コントロールが食事のみで出来ていたため、そのままグリミクロン内服中止で様子をみることとなった。

    入院時、内服薬の種類と残薬を確認していたのに申し送り、処方依頼ができていなかった。週1回の残薬チェックが行えていなかった。本人が内服の必要性を感じていなかった。

    • 入院時、内服薬の残薬を確認し、入院中になくなる薬がある場合は申し送る。
    • 週一回の残薬チェックをきちんと行う。
    • ワークシートに残薬チェック日を入力する。

    23

    入院時、外来処方薬継続内服の指示が出された。しかし患者は入院時に薬を持参してこなかった。後でもってきてもらうこととしたが「患者が内服薬を持参した時は、内容確認して継続内服する」という指示を伝達することを忘れてしまい、3日後に患者が主治医に確認したため内服されていないことが発見された。

    カーデックス欄には、外来処方薬継続内服と入力したが「入院時に持参薬が確認できていないことや患者に継続内服であること」が伝達できるようにしていなかった。自己管理薬だと思い内服確認がされていなかった。

    • 自己管理薬の内服確認を各勤務で実施できるように注意喚起した。

    24

    1週間分の内服薬を配薬箱にセットする際、「夕食後」の箱にセットすべきS・M散(調剤用胃腸薬)をセットし忘れ、患者に配薬箱を渡してしまった。患者本人がS・M散が入っていないことに気付き、看護師に報告したことでミスが発覚した。

    「持参薬確認表」の確認が不十分であった。患者はS・M散を1日1回夕食後と、更に屯用でも服用しており、持参薬確認表には2行にわたって記載されていた。屯用の方だけを見てしまい、屯用は看護師管理のため、セットの必要はないと思い込んでしまった。

    • 「持参薬確認表」の確認は、セット前の処方内容確認と、セット後のセット内容の確認の2回実施する。
    • 患者へ配薬時に、患者と一緒に薬の内容をチェックし、間違いがないことを確認する。

    【用法間違い】

    25

    患者自己管理の入院時持参薬が切れるので医師に処方してもらったが、患者から「量が増えたので薬剤師の説明が聞きたい」と申し出があり、薬剤師が確認した所、持参薬の転記が1T/1×の所を3T/1×と書いてあり、医師は、3T/3×で処方していた事が発覚した。医師に事実を報告し、訂正されたため、間違った量は内服されなかった。

    持参薬のチェック時は薬剤情報書お薬手帳など確認するものがなかった。転記ミスに気付かなかった。医師がそのまま処方してしまった。

    • 入院時持参薬を調べる時は、お薬手帳や薬剤情報提供書などがあれば見せていただき、コピーをして入院時持参薬一覧表に添付する。
    • リーダーとダブルチェックを行う事とする。

    【その他】

    26

    持参薬の降圧剤(ミカルディス40mg 1錠朝1回)を朝から服用するべきところ、調剤する事を忘れた。午後に気付いた時点で服用させた。血圧の上昇など、バイタルサインの変化は無かった。

    朝からなくなる薬を前々日に、医師に処方依頼をした。1剤だけ持参薬が残っていたため、処方薬と一緒に調剤しなくてはいけないが、前回分のチェック表を病棟から回収できなかったため、処方になった薬剤のみを調剤してしまった。担当薬剤師が忘れたら服用がもれてしまう確率が高い。チェック表を作成し、毎日漏れが無いか2名の薬剤師でダブルチェックしているが、チェック表が紛失していて処方漏れになってしまったケースも過去にある。

    • 病棟看護師の人員不足などの問題もあるが、理想的には看護師と薬剤師のダブルチェックを実施するよう検討する。

    27

    胃カメラがあるため深夜勤務で循環器の薬、高血圧の薬の確認をした。看護プロファイルには持参薬は「なし」になっており、入院後の処方薬にもなかったため、検査前の内服薬はないと判断した。しかし問診表には高血圧の記載があり、胃カメラの際、血圧上昇にて持参薬としてカルブロック(持続性Ca拮抗剤)があったことが判明した。

    持参薬があるのに、アナムネ聴取の際に持参薬はなしになっていた。既往歴の把握とその内服薬の確認ができていなかった。

    • 入院時、既往歴の確認と経過、内服薬の確認を行い、持参薬を持ってきてもらう。
    • 紹介状があれば、内服薬のチェックと持参の確認を行う。

    28

    持参薬の錠数を内容確認し、処方シートに記載する。後日他スタッフより持参薬が見当たらないと連絡があり、薬局にも確認したが発見できなかった。その翌日、薬局に再度確認したところ、薬局の返品棚に持参薬があり、内服薬が2回分服用ができなかった。

    病棟から薬局へいく薬は、一包化の薬と返却の薬であるが、一日にどの患者の薬が一包化や返却されているかは正確に把握されていない。持参薬などは配薬車の引き出しに入れることになっているが、薬が多かったり引き出しに入りきらない場合、薬を保管する場所が統一されていない。誰かは不明であるが持参薬をメッセンジャーの棚に置いてしまい返品されてしまった。返品する薬には返品することは記入されておらず、棚に置かれていることが多い状況である。

    • 今後は一つずつ確認や振り返りをしての行動を心がける。
    • 薬局へ返品する薬は、返品することを記載する。
    • メッセンジャーと連絡を取り、返品と記載されていない薬は返品しないか看護師に確認するよう方法を決める。

    29

    以前外来処方で「デパス(精神安定剤)1mg 1錠眠前」の処方あり、その後他院にてデパスの処方(規格不明)がされていた。前回入院時は、「デパス0.5mg」を持参されており、入院中は、0.5mg 錠が処方されていた。今回入院時持参薬確認をしていると、デパス0.5mg 錠と1mg 錠が混在して同一の薬袋に入っていることに気が付いた。

    複数の医療機関から処方を受けており、それぞれの処方規格が異なっていた。規格の違いについて、患者は理解していなかった。規格まで、十分に説明されていなかった可能性がある。一見しただけでは、規格の違いに気付きにくい。

    • 患者に規格違いが混在していることを説明し、医師に相談して1mg 錠を中止にした。
    • 持参薬確認における薬剤師の介入を今後も継続する。
    • 処方内容については、患者に十分説明するようにする。
    • 複数の医療機関にかかっている場合は、患者自身他院でどのような薬が処方されているか伝えられるよう、薬剤情報提供書等を活用するように説明する。

    30

    頭痛の訴えがあり、PL顆粒(総合感冒剤)内服の希望があった。本人分の処方がなかったため、病棟ストックより与薬した。その後、家人が入院時にPLを預けたことが判明、探したところ、酸化マグネシウム(制酸・緩下剤) 3包3× で配薬されていた散剤がPL顆粒(0.25g /包の分包)であった。

    処方箋と共に持参された薬剤を照合したところ、処方箋に酸化マグネシウムの記載があった。しかし、実際の薬は酸化マグネシウムではなくPL顆粒であった。処方箋があったため、薬剤部には鑑別を依頼しなかった。院外処方のため、分包に薬剤名の記載はなかった。本院では、酸化マグネシウムではなくほとんどマグミットを使用しており、酸化マグネシウムの細粒とPLの顆粒の大きさの差をスタッフが認識できていない。医師は「処方箋通りで」という指示で、実際の薬剤は確認しなかった。

    • 薬剤名の記載のない散剤・分包は、必ず薬剤部で鑑別してもらう。
    • 医師は薬剤を確認して指示をだす。
    • 薬剤を病棟にストックしない。

    31

    持参薬中止の指示にもかかわらず病室に持参薬が置いてあり、患者家族が服用させていた。

    患者家族への説明不足。また自己管理できない患者の近くに持参薬を置いていた。

    • 自己管理できる患者かどうかを把握する。
    • 患者家族への説明をしっかりする。

    32

    入院時持参薬を持って入院された患者で、退院時に持参薬の返却を忘れてしまった。

    退院時の確認が不足していた。

    • 退院時の確認を徹底する。

    33

    配薬ケースに患者持参薬の薬袋(薬剤名の記載無し)と当院の処方薬があった。配薬時に持参薬はフローベン(フェニルアルカン酸系消炎鎮痛剤)だと思い、当院のアスピリン細粒(抗リウマチ・鎮痛・解熱剤)とともに患者へ渡した。主治医と患者が薬剤について会話をしている最中に、持参薬にもアスピリンが入っていたことが判明した。患者は日曜日に入院したが、看護師のダブルチェックが実施されず、翌日に薬剤師への確認依頼されていなかった。

    病棟で持参薬の確認・照合ルールを決めていたが、ダブルチェックが看護師間・看護師・薬剤師間でされていなかった。医師も持参薬と院内処方内容の確認をしていなかった。

    • リスクマネジャーよりカンファレンスでルール遵守の徹底を注意喚起した。
    • 院内で持参薬取扱いフローを検討中である。

    34

    精神科医師が来棟し、前回予約日に受診していないため内服はできているのか指摘される。その時に初めて統合失調症の診断が発覚し、統合失調症の内服薬を入院時に持参していなかったため、入院中内服していなかったことがわかった。

    入院時に患者の持参した内服薬だけで全てと思い込み、薬歴や病歴を確認しなかった。精神科の既往を診断名を確認していなかった。

    • 入院時、当院処方薬は薬歴で確認する。
    • その他は処方箋を確認する。

    35

    入院時に持参薬を預かり、薬剤鑑別に出した。返却後、その中に点眼薬と含嗽液も含まれていたが、確認不足のため患者に返却をしておらず、入院後2日後に患者から薬が返却されていないことの報告を受け返却した。

    入院時、鑑別から返却された薬を他の看護師に確認してもらい自分で詳細まで確認できていなかった。

    • 入院時の持参薬を確認する際に必ず自分で内容を確認し、患者に確認したうえで開始するようにする。