*ナロキソン塩酸塩静注0.2mg「第一三共」


作成又は改訂年月

**2011年10月改訂(第10版)

*2009年9月改訂

日本標準商品分類番号

872219

日本標準商品分類番号等

再審査結果公表年月(最新)
1991年12月

薬効分類名

麻薬拮抗剤

承認等

販売名
*ナロキソン塩酸塩静注0.2mg「第一三共」

販売名コード

2219402A1030

承認・許可番号

承認番号
*22100AMX01188
商標名
NALOXONE HYDROCHLORIDE INTRAVENOUS INJECTION "DAIICHI SANKYO"

薬価基準収載年月

*2009年9月

販売開始年月

*2009年9月

貯法・使用期限等

貯法

室温保存

使用期限

包装に表示の使用期限内に使用すること。

規制区分

劇薬

処方箋医薬品

※注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

1アンプル中に次の成分を含有

有効成分

ナロキソン塩酸塩(日局) 0.2mg/1mL

添加物

等張化剤、pH調節剤

性状

pH

3.0〜4.5

浸透圧比(生理食塩液対比)

0.9〜1.1

外観

無色澄明の液

一般的名称

ナロキソン塩酸塩注射剤

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

2.
バルビツール系薬剤等の非麻薬性中枢神経抑制剤又は病的原因による呼吸抑制のある患者[無効のため]

効能又は効果

効能又は効果/用法及び用量

麻薬による呼吸抑制ならびに覚醒遅延の改善

ナロキソン塩酸塩として、通常成人1回0.2mgを静脈内注射する。
効果不十分の場合、さらに2〜3分間隔で0.2mgを1〜2回追加投与する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減する。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

高血圧、心疾患のある患者[本剤によって麻薬等による抑制が急激に拮抗されると血圧上昇、頻脈等を起こすことがある。]

重要な基本的注意

1.
麻薬によっては作用時間が本剤より長いものがあるので、呼吸抑制の再発をみることがある。したがって本剤に十分反応する患者に対しては、常に監視し、必要により本剤を繰り返し投与すること。

2.
**麻薬等による呼吸抑制に対する拮抗作用の強さは、鎮痛作用に対する拮抗作用に比しかなり強い。従って、通常鎮痛作用を減弱することなく、呼吸抑制を緩解し得るが、本剤過量となった場合には疼痛があらわれることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。

副作用

副作用等発現状況の概要

(本項には頻度を算出できない副作用報告を含む。)
総症例2,288例中副作用が報告されたのは93例(4.06%)であった。その主なものは血圧上昇(1.70%)、悪心・嘔吐(0.96%)、頻脈(0.57%)等であった。〔再審査終了時〕

重大な副作用

肺水腫
頻度不明 
肺水腫があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

1. 循環器
1%以上 
血圧上昇

2. 循環器
0.5〜1%未満 
頻脈

3. 循環器
頻度不明 
胸部苦悶感

4. 精神神経系
0.5%未満 
振戦、術後疼痛

5. 消化器
0.5〜1%未満 
悪心・嘔吐

6. 消化器
0.5%未満 
腹痛

7. 肝臓 
0.5%未満 
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、肝機能障害

麻薬等による抑制が急激に拮抗された場合に上記のような症状があらわれることがある。

高齢者への投与

減量するなど注意すること。[一般に高齢者では生理機能が低下している。]

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

2.
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。[動物(ラット、サル)において乳汁分泌に関与するプロラクチンの分泌を抑制することが報告されている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。

その他の注意

麻薬依存患者及び麻薬依存又はその疑いのある母親から生まれた新生児に本剤を投与した場合、麻薬の作用が本剤により急激に拮抗されて、急性の退薬症候を起こすとの報告がある。

薬物動態

1. 血中濃度1)
海外での検討によれば、健康成人9例にナロキソン0.4mgを静脈内注射しラジオイムノアッセイ法により測定した結果、本剤の血中からの消失は、初期に急速であり、5分後には投与量の97%はもはや血清中には存在せず、投与後20分から2時間にかけてのナロキソンの平均血中半減期は64分であった。(外国人のデータ)

2. 尿中排泄2)
海外での検討によれば、健康成人にナロキソン-7,8-3Hを静脈内注射した場合の尿中排泄は速やかにあらわれ、最初の6時間で約38%が排泄され、48〜72時間ではほとんど排泄されず(1.4%)、その尿中総排泄率は投与量の約65%であった。(外国人のデータ)

臨床成績

本剤の臨床試験は、フェンタニル、モルヒネ等の使用による術後呼吸抑制や覚醒遅延の改善及び内視鏡検査時のペチジン前投薬によるふらつきの改善を目的に185例について実施された。その結果、呼吸数、1回換気量、分時換気量、動脈血ガス分圧などの呼吸パラメータ上の改善や意識覚醒、ふらつき改善等から、有効率92.9%(171/184;判定不能1例を除く)とすぐれた効果が認められた。
本剤は効果の発現が早く(通常3分以内)、持続時間が比較的短い(拮抗効果は5〜15分でピークに達し、30分後より徐々に低下)という臨床使用上の調節性にすぐれている。
用量は通常成人1回0.2mg静脈内注射が行われ、多くの場合1回投与であったが、追加投与を要した症例もわずかながら含まれている。3,4,5)

(1) 呼吸抑制の改善
フェンタニル、モルヒネのいずれの例においてもナロキソン塩酸塩の投与により、投与前値に比し呼吸数、1回換気量及び分時換気量の有意な増加がみられた。特にフェンタニル群では、本剤投与直後から呼吸数、換気量の増加がみられ、投与前値に比し、呼吸数は150%、1回換気量は67%、分時換気量は200%それぞれ増加した。効果は30分後でも十分保持されていた。
モルヒネ群では、呼吸数、1回換気量、分時換気量とも投与後のすべての値が投与前値に比べ有意に上昇しており、この傾向は特に15分までの値で著明であった。投与後5分で呼吸数は平均12.3±1.1回から17.1±0.6回(39%増)へ、1回換気量は平均323±26mLから500±29mL(52%増)、分時換気量は平均4.07±0.36Lから8.10±0.49L(99%増)へそれぞれ上昇し、120分値まで持続した。本剤の効果がピークを示すのは5〜15分であるとみられ、30分後より徐々に低下した。

(2) 動脈血ガス分圧への影響
フェンタニル群では、本剤投与後6分でPaCO2は13%減少(47.5mmHg→41.5mmHg)、30分後においてもその効果は持続していた。
モルヒネ群では、本剤投与後5分で、PaCO2は9%減少(46.8±0.9mmHg→42.6±0.7mmHg)し、15分後にはピークに達し、120分後にもその効果は持続しており、有意な低下を示した。

(3) 覚醒遅延の改善
本剤を手術終了後に投与した場合、覚醒遅延の改善(病室へ帰ってもよいと判断する時間及び術後の呼びかけに反応を示さなかった症例への反応)が明らかに認められた。また内視鏡検査時における前投薬としてペチジンを用いた場合、ふらつきの改善が認められた。

薬効薬理

1. 呼吸抑制に対する拮抗作用6,7)
モルヒネの静注により惹起されたウサギの呼吸抑制作用を指標として、本剤の拮抗作用の強さを他剤と比較した場合、レバロルファンの約3倍、ナロルフィンの約15倍強力である。
本剤のこうした呼吸抑制に対する拮抗作用の強さは、鎮痛作用に対する拮抗作用の強さに比し、2〜3倍強力であり、臨床上麻薬性鎮痛剤の鎮痛作用を減弱させることなく、呼吸抑制を緩解し得ることの裏付けとなっている。

2. 麻薬様アゴニスト作用の有無8,9)
アゴニスト作用とアンタゴニスト作用の比を表す有効拮抗力をモルモット摘出回腸による実験から求めた結果、[ID50(回腸縦走筋収縮を50%抑制するに要する濃度)/Ke(平衡定数)]はレバロルファンが3.8であるのに比し、ナロキソン塩酸塩は56,000以上であり、本剤には実質的には麻薬様のアゴニスト作用のないことが確認されている。
また、サルを用いた試験において、レバロルファンには麻薬様アゴニスト作用がみられたのに対し、ナロキソン塩酸塩は、モルヒネに起因した呼吸抑制作用に拮抗する100倍量を単独投与しても呼吸機能を抑制せず、本剤は麻薬様アゴニスト作用を有しないことが示唆されている。

3. 作用機序10)
ナロキソン塩酸塩は、オピエートレセプターにおいて麻薬性鎮痛剤の作用を競合的に拮抗することにより、これらの薬剤に起因する呼吸抑制等の作用を改善すると言われている。

有効成分に関する理化学的知見

1. 一般名
ナロキソン塩酸塩(Naloxone Hydrochloride)

2. 化学名
(5R ,14S )-17-Allyl-4,5-epoxy-3,14-dihydroxymorphinan-6-one monohydrochloride

3. 分子式
C19H21NO4・HCl

4. 分子量
363.84

5. 構造式

6. 性状
白色〜帯黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
水に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けにくく、無水酢酸に極めて溶けにくい。
吸湿性である。
光によって着色する。

7. 分配係数
分配係数の表参照

分配係数の表

有機溶媒 水相のpH 分配係数K logK 
n-オクタノール 7.4 12.8 1.11 
クロロホルム 7.4 69.4 1.84 

包装

ナロキソン塩酸塩静注0.2mg「第一三共」 (1mL) 10アンプル

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Ngai SH, et al.:Anesthesiology 1976;44(5):398-401

2)
Fishman J, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1973;187(3):575-580

3)
橘 直矢ほか:麻酔 1983;32(1):43-52

4)
釘宮豊城ほか:麻酔 1982;31(12):1365-1375

5)
川満富裕ほか:お茶の水医学雑誌 1984;32(2):143-154

6)
Blumberg H, et al.:Fed Proc. 1965;24:676

7)
McGilliard KL, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1978;207(2):494-503

8)
Kosterlitz HW, et al.:Br J Pharmacol Chemother. 1968;33(2):266-276

9)
飯塚宏美ほか:実中研・前臨床研究報 1982;8(1):1-10

10)
Martin WR.:Ann Intern Med. 1976;85(6):765-768

文献請求先

アルフレッサ ファーマ株式会社 学術情報部

〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号

TEL 06-6941-0306

FAX 06-6943-8212

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
第一三共株式会社

東京都中央区日本橋本町3-5-1

販売元
アルフレッサ ファーマ株式会社

大阪市中央区石町二丁目2番9号