ストラテラ内用液0.4%


作成又は改訂年月

** 2018年9月改訂 (第6版)

* 2018年8月改訂

日本標準商品分類番号

87 1179

日本標準商品分類番号等

再審査結果公表年月(最新)
**2018年9月

国際誕生年月
2002年11月

薬効分類名

注意欠陥/多動性障害治療剤(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)

承認等

販売名
ストラテラ内用液0.4%

販売名コード

1179050S1022

承認・許可番号

承認番号
22500AMX01785
商標名
Strattera Oral Solution

薬価基準収載年月

2013年11月

販売開始年月

2013年11月

貯法・使用期限等

貯  法:

遮光、室温保存

使用期限:

外箱等に表示

規制区分

劇薬

処方箋医薬品

(注意−医師等の処方箋により使用すること)

組成

成分・含量
(1mL中):

アトモキセチン塩酸塩4.6mg(アトモキセチンとして4mg)

**添加物:

安息香酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム水和物、リン酸、D-ソルビトール液、キシリトール、香料、エチルバニリン、バニリン、プロピレングリコール、スクラロース、水酸化ナトリウム

性状

性状・剤形:

無色澄明の液(経口液剤)

一般的名称

アトモキセチン塩酸塩内用液

禁忌

(次の患者には投与しないこと)

1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

2.
*MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者[「相互作用」の項参照]

3.
重篤な心血管障害のある患者[血圧又は心拍数を上昇させ、症状を悪化させるおそれがある。「重要な基本的注意」「その他の注意」の項参照]

4.
褐色細胞腫又はその既往歴のある患者[急激な血圧上昇及び心拍数増加の報告がある。]

5.
閉塞隅角緑内障の患者[散瞳があらわれることがある。]

効能又は効果

効能又は効果/用法及び用量

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

効能又は効果に関連する使用上の注意

1.
6歳未満の患者における有効性及び安全性は確立していない。[「臨床成績」の項参照]

2.
AD/HDの診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM注))等の標準的で確立した診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場合にのみ投与すること。

注)Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders

用法及び用量

1. 18歳未満の患者
通常、18歳未満の患者には、アトモキセチンとして1日0.5mg/kg(0.125mL/kg)より開始し、その後1日0.8mg/kg(0.2mL/kg)とし、さらに1日1.2mg/kg(0.3mL/kg)まで増量した後、1日1.2〜1.8mg/kg(0.3〜0.45mL/kg)で維持する。
ただし、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日2回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日量は1.8mg/kg(0.45mL/kg)又は120mg(30mL)のいずれか少ない量を超えないこと。

2. 18歳以上の患者
通常、18歳以上の患者には、アトモキセチンとして1日40mg(10mL)より開始し、その後1日80mg(20mL)まで増量した後、1日80〜120mg(20〜30mL)で維持する。
ただし、1日80mg(20mL)までの増量は1週間以上、その後の増量は2週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日1回又は1日2回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日量は120mg(30mL)を超えないこと。

用法及び用量に関連する使用上の注意

1.
CYP2D6阻害作用を有する薬剤を投与中の患者又は遺伝的にCYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)では、本剤の血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすいおそれがあるため、投与に際しては忍容性に問題がない場合にのみ増量するなど、患者の状態を注意深く観察し、慎重に投与すること。[「相互作用」及び「薬物動態」の項参照]

2.
中等度(Child-Pugh Class B)の肝機能障害を有する患者においては、開始用量及び維持用量を通常の50%に減量すること。また、重度(Child-Pugh Class C)の肝機能障害を有する患者においては、開始用量及び維持用量を通常の25%に減量すること。[「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照]

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)

1.
肝機能障害のある患者[血中濃度が上昇するおそれがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)]

2.
腎機能障害のある患者[血中濃度が上昇するおそれがある。(「薬物動態」の項参照)]

3.
痙攣発作又はその既往歴のある患者[痙攣をおこすことがある。]

4.
心疾患(QT延長を含む)又はその既往歴のある患者[症状を悪化又は再発させるおそれがある。]

5.
先天性QT延長症候群の患者又はQT延長の家族歴のある患者[QT延長を起こすおそれがある。]

6.
高血圧又はその既往歴のある患者[症状を悪化又は再発させるおそれがある。]

7.
脳血管障害又はその既往歴のある患者[症状を悪化又は再発させるおそれがある。]

8.
起立性低血圧の既往歴のある患者[本剤の投与による起立性低血圧の報告がある。]

9.
下記の精神系疾患のある患者[行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそれがある。]

精神病性障害、双極性障害

10.
排尿困難のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]

重要な基本的注意

1.
本剤を投与する医師又は医療従事者は、投与前に患者(小児の場合には患者及び保護者又はそれに代わる適切な者)に対して、本剤の治療上の位置づけ及び本剤投与による副作用発現等のリスクについて、十分な情報を提供するとともに、適切な使用方法について指導すること。

2.
本剤を長期間投与する場合には、必要に応じて休薬期間を設定するなどして、定期的に有用性の再評価を実施すること。

3.
臨床試験で本剤投与中の小児患者において、自殺念慮や関連行動が認められているため、本剤投与中の患者ではこれらの症状の発現について注意深く観察すること。[「その他の注意」の項参照]

4.
攻撃性、敵意はAD/HDにおいてしばしば観察されるが、本剤の投与中にも攻撃性、敵意の発現や悪化が報告されている。投与中は、攻撃的行動、敵意の発現又は悪化について観察すること。[「その他の注意」の項参照]

5.
通常量の本剤を服用していた精神病性障害や躁病の既往がない患者において、幻覚等の精神病性又は躁病の症状が報告されている。このような症状の発現を認めたら、本剤との関連の可能性を考慮すること。投与中止が適切な場合もある。

6.
眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

7.
心血管系に対する影響を観察するため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に、血圧及び心拍数(脈拍数)を測定すること。[「禁忌」「慎重投与」「その他の注意」の項参照]

8.
本剤は血圧又は心拍数に影響を与えることがあるので、本剤を心血管障害のある患者に投与する際は、循環器を専門とする医師に相談するなど、慎重に投与の可否を検討すること。また、患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤ではないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者に対して本剤の投与を検討する場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。[「禁忌」「慎重投与」「その他の注意」の項参照]

9.
小児において本剤の投与初期に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。本剤の投与中は患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくないときは減量又は投与の中断等を考慮すること。[「小児等への投与」の項参照]

相互作用

相互作用の概略

本剤は、主に肝薬物代謝酵素CYP2D6で代謝される。[「薬物動態」の項参照]

併用禁忌

(併用しないこと)

1.

薬剤名等
MAO阻害剤
 セレギリン塩酸塩(エフピー)
 *ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)

臨床症状・措置方法
両薬剤の作用が増強されることがある。MAO阻害剤の投与中止後に本剤を投与する場合には、2週間以上の間隔をあけること。また、本剤の投与中止後にMAO阻害剤を投与する場合は、2週間以上の間隔をあけること。

機序・危険因子
脳内モノアミン濃度が高まる可能性がある。

併用注意

(併用に注意すること)

1. 薬剤名等
サルブタモール硫酸塩(静脈内投与等の全身性投与。吸入投与を除く)

臨床症状・措置方法
心拍数、血圧が上昇したとの報告があるので、注意して投与すること。

機序・危険因子
心血管系への作用を増強する可能性がある。[「薬物動態」の項参照]

2. 薬剤名等
β-受容体刺激剤(サルブタモール硫酸塩を除く)

臨床症状・措置方法
これらの薬剤の心拍数、血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。

機序・危険因子
これらの薬剤の心血管系への作用を増強する可能性がある。

3. 薬剤名等
CYP2D6阻害剤
 パロキセチン塩酸塩水和物等

臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、経過を観察しながら時間をかけて本剤を増量すること。

機序・危険因子
これらの薬剤のCYP2D6阻害作用により本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。[「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照]

4. 薬剤名等
昇圧作用を有する薬剤
 ドパミン塩酸塩等

臨床症状・措置方法
これらの薬剤の血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。

機序・危険因子
これらの薬剤の血圧への作用に影響する可能性がある。

5. 薬剤名等
ノルアドレナリンに影響する薬剤
 三環系抗うつ剤(イミプラミン塩酸塩等)
 選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
 メチルフェニデート塩酸塩等

臨床症状・措置方法
これらの薬剤の作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。

機序・危険因子
これらの薬剤のノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。

副作用

副作用等発現状況の概要

小児を対象とした国内臨床試験における安全性評価対象例278例中209例(75.2%)に副作用が報告され、主なものは頭痛(22.3%)、食欲減退(18.3%)、傾眠(14.0%)、腹痛(12.2%)、悪心(9.7%)であった。
日本人及びアジア人の成人を対象とした臨床試験における安全性評価対象例392例(日本人患者278例を含む)中315例(80.4%)に副作用が報告され、主なものは悪心(46.9%)、食欲減退(20.9%)、傾眠(16.6%)、口渇(13.8%)、頭痛(10.5%)であった。(成人適応追加時)

重大な副作用

1.
肝機能障害、黄疸、肝不全(頻度不明):肝機能検査値の上昇を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

2.
アナフィラキシー(頻度不明):血管神経性浮腫、蕁麻疹等のアナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。

消化器:
5%以上 
悪心、食欲減退、腹痛、嘔吐、便秘、口渇

消化器:
1〜5%未満 
下痢、消化不良、口内乾燥

消化器:
頻度不明 
鼓腸

精神神経系:
5%以上 
頭痛、傾眠、浮動性めまい

精神神経系:
1〜5%未満 
体位性めまい、睡眠障害、易刺激性、不快気分、不眠症

精神神経系:
1%未満 
早朝覚醒型不眠症、気分変化、振戦、抑うつ気分、錯感覚、不安、感覚鈍麻、幻覚を含む感覚障害、うつ病、攻撃性、リビドー減退、チック、激越、落ち着きのなさ

精神神経系:
頻度不明 
びくびく感

過敏症:
1〜5%未満 
そう痒症

過敏症:
1%未満 
発疹、蕁麻疹

循環器:
5%以上 
動悸

循環器:
1〜5%未満 
頻脈、血圧上昇、心拍数増加

循環器:
1%未満 
心電図QT延長、失神

循環器:
頻度不明 
レイノー現象、潮紅

皮膚:
1〜5%未満 
多汗症

皮膚:
1%未満 
皮膚炎

泌尿・生殖器:
1〜5%未満 
排尿困難、勃起不全

泌尿・生殖器:
1%未満 
生殖器痛、尿閉、月経困難症、射精障害、不規則月経、前立腺炎、頻尿

泌尿・生殖器:
頻度不明 
持続勃起、勃起時疼痛、射精不能、精巣痛、オルガズム異常、尿意切迫

その他:
5%以上 
体重減少

その他:
1〜5%未満 
胸痛、無力症、疲労、ほてり、悪寒、味覚異常

その他:
1%未満 
結膜炎、胸部不快感、末梢冷感、冷感、筋痙縮

その他:
頻度不明 
散瞳

高齢者への投与

高齢者に対する有効性及び安全性は確立していない。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、動物実験(ラット)において胎盤通過性が認められている。]

2.
授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)において乳汁中への移行が認められている。]

小児等への投与

1.
低出生体重児、新生児、乳児、6歳未満の幼児に対する有効性及び安全性は確立していない。[6歳未満の小児等を対象とした試験は、実施されていない。]

2.
投与初期に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。[「重要な基本的注意」の項参照]

過量投与

徴候、症状:過量投与時には、痙攣、QT延長、傾眠、興奮、運動亢進、異常行動、消化器症状、散瞳、頻脈、口渇、浮動性めまい、振戦及び血圧上昇等が認められている。また、本剤及び他剤を同時に過量投与した場合には、死亡例も報告されている。

処置:気道を確保し、心機能やバイタルサインのモニターを行い、適切な対症療法を行うこと。必要に応じて胃洗浄又は活性炭の投与を行うこと。なお、本剤は蛋白結合率が高いため、透析は有効ではない。

適用上の注意

1.
投与経路 内服用にのみ使用させること。

2.
薬剤交付時 本剤を希釈しないこと。本剤は瓶包装品のまま交付すること。やむを得ず本剤を小分けする場合は、本剤の専用容器を使用すること。また、患者(小児の場合には患者及び保護者又はそれに代わる適切な者)に対し、本剤に添付されている使用説明書を渡し、服用方法を指導すること。

3.
保存時 小児の手の届かない所に保管するよう指導すること。

4.
眼球刺激性があるため、内用液が眼球に付着した場合はすぐに水で洗浄し、医師に相談するよう指導すること。また、手やその他の付着した可能性のある箇所は、すぐ水で洗浄するよう指導すること。

その他の注意

1.
外国の小児及び青少年を対象としたプラセボ対照短期試験(AD/HD患者における11試験及び遺尿症患者における1試験の計12試験)の併合解析において、プラセボ投与群に対してアトモキセチン投与群では投与初期の自殺念慮のリスクが大きかったとの報告がある(アトモキセチン投与群5/1357(0.37%)、プラセボ投与群0/851(0%))。なお、これらの試験において既遂例は認められなかった。また、AD/HDに併存する精神系疾患は自殺念慮、自殺行動のリスクの増加に関連しているとの外国の報告がある。

2.
外国の小児及び青少年を対象としたプラセボ対照短期試験(AD/HD患者における11試験)の併合解析において、攻撃的行動、敵意の発現率はアトモキセチン投与群21/1308(1.6%)、プラセボ投与群9/806(1.1%)であった。日本及び外国の成人を対象としたプラセボ対照短期試験(AD/HD患者における9試験)の併合解析において、攻撃的行動、敵意の発現率はアトモキセチン投与群6/1697(0.35%)、プラセボ投与群4/1560(0.26%)であった。

3.
国内外の臨床試験データの併合解析において、小児及び成人の5.9〜11.6%に血圧上昇(収縮期20mmHg以上、拡張期15mmHg以上)又は心拍数増加(20bpm以上)が認められたとの報告がある1)。[「禁忌」「慎重投与」「重要な基本的注意」の項参照]

4.
幼若ラットにアトモキセチン1、10及び50mg/kgを約75日間反復投与したところ、1mg/kg以上で性成熟のわずかな遅延、10mg/kg以上で精巣上体尾部重量の低下及び精巣上体中の精子数減少が見られたが、性成熟後の生殖能や受胎能に影響はなかった。ラットで生じたこれらの変化は軽度であったが、そのときの血漿中濃度(AUC)を臨床最大用量投与時(1.8mg/kg)のAUCと比較すると1mg/kgでは最大で0.2倍(CYP2D6通常活性、EM)又は0.02倍(CYP2D6活性欠損、PM)、10mg/kgでは最大で1.9倍(EM)又は0.2倍(PM)であり、臨床用量での安全域は確保されていない。なお、外国の小児及び青少年患者において、第二次性徴に対する影響を調べた臨床試験ではアトモキセチン投与の性成熟に対する影響は示唆されなかった。

5.
妊娠ウサギに器官形成期を通じてアトモキセチンを経口投与した3試験のうち1試験において、最高用量の100mg/kgで生存胎児数の減少、早期吸収胚の増加、総頚動脈起始異常と鎖骨下動脈欠損の発現率の微増が認められたが、これらの変化は背景データの範囲内であった。この用量では軽度の体重増加の抑制及び摂餌量の低下等の母体毒性も認められており、このときのAUCは臨床最大用量投与時(1.8mg/kg)のAUCと比較すると2.6倍(EM)又は0.3倍(PM)であった。なお、これらの所見が認められたのは3試験のうち1試験であり、アトモキセチン投与との関連性及びヒトへの外挿性は不明である。

薬物動態

<CYP2D6の遺伝子型の解析>
本臨床評価に際し、CYP2D6活性を遺伝子型により分類し、不活性型アレルをホモで有する場合を不活性(Poor Metabolizer、PM)、それ以外を通常活性(Extensive Metabolizer、EM)と定義した。日本人ではPMの割合が少ないことから、EMを更に細分化し、CYP2D6の活性が低下した遺伝子が関連するIntermediate Metabolizer(IM)を定義した。

《遺伝子に基づいたCYP2D6分類》参照

(1) 血漿中濃度

1) 生物学的同等性
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン50mgに相当する内用液又はカプセルを空腹時単回経口投与注)したとき、内用液はカプセルと生物学的に同等であることが確認された。

《CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン50mgに相当する内用液又はカプセルを空腹時単回経口投与したときの血漿中アトモキセチン濃度(標準偏差)》

《CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン50mgに相当する内用液又はカプセルを単回経口投与したときのアトモキセチンの薬物動態学的パラメータ[算術平均値(CV%)]》参照

2) 単回投与
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン10、40、90又は120mgを単回経口投与注)したときの最高血漿中濃度(Cmax)及び血漿中濃度曲線下面積(AUC)は、投与量に比例して増加した。

《CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン10、40、90又は120mgを単回経口投与したときの血漿中アトモキセチン濃度(標準偏差)》

《CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチンを単回経口投与したときのアトモキセチンの薬物動態学的パラメータ[算術平均値(CV%)]》参照

3) 反復投与
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン1回40mg又は60mgを1日2回7日間反復経口投与注)したときの血漿中濃度は、初回投与約1時間後にそれぞれCmax427.34ng/mL及び615.52ng/mLに達した。反復投与開始から約24時間で定常状態に達すると予測され、反復投与時において最終投与約1時間後にCmax604.52ng/mL及び874.33ng/mLに達した。

《CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチンを反復経口投与したときのアトモキセチンの薬物動態学的パラメータ[算術平均値(CV%)]》参照

4) 成人と患児の薬物動態比較(外国人での成績)
CYP2D6 EM健康成人と患児(7〜14歳)の薬物動態を比較した結果を示した。患児と成人のCmax(投与量を体重で補正)及び消失半減期は同程度であることが示された。体重補正したクリアランスと分布容積にも両者間で大きな違いは認められなかった。

《CYP2D6 EM AD/HD患児群とCYP2D6 EM健康成人群(臨床薬理試験統合解析)のアトモキセチンの薬物動態学的パラメータの比較(最小二乗幾何平均値)》参照

(2) 吸収(外国人での成績)
CYP2D6 EM及びPM健康成人における絶対的生物学的利用率はそれぞれ約63%及び94%であった。

(3) 分布
アトモキセチン静脈内投与後の分布容積は0.85L/kg(CYP2D6 EM健康成人)及び0.91L/kg(CYP2D6 PM健康成人)であり、主に全体液中に広く分布すると考えられた(外国人での成績)。
アトモキセチン濃度150〜3000ng/mLの範囲において、in vitroヒト血漿蛋白結合率は約98%であり、主にアルブミンに結合する。

(4) 代謝
アトモキセチンは主に薬物代謝酵素CYP2D6によって代謝される。主要酸化代謝物は4-ヒドロキシ体であり、これはすぐにグルクロン酸抱合化される。4-ヒドロキシ体はアトモキセチンとほぼ同等のノルアドレナリン取り込み阻害作用を有するが血漿中濃度は非常に低い。4-ヒドロキシ体は主にCYP2D6により生成されるが、CYP2D6活性が欠損していても、他の数種のCYP酵素から低速ながら生成される(外国人での成績)。また、CYP2D6活性が欠損した被験者から得たヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験では、アトモキセチンとCYP2D6阻害剤を併用しても4-ヒドロキシ体生成に対して阻害は認められなかった。ヒト肝ミクロソーム及び培養肝細胞を用いたin vitro試験により、アトモキセチンはCYP1A2又はCYP3Aを誘導しないこと、CYP1A2、CYP3A、CYP2D6又はCYP2C9を阻害しないことが確認された。

(5) 排泄(外国人での成績)
健康成人統合解析におけるアトモキセチンの平均消失半減期は、CYP2D6 EM及びPMでそれぞれ3.6時間及び20.6時間であった。
健康成人にアトモキセチン1回20mgを1日2回5日反復経口投与注)した後に、14C標識アトモキセチン20mgを単回経口投与したときの放射能は、CYP2D6 EMでは投与後168時間以内に投与量の約96%が尿中にほとんど代謝物として排泄され、糞中には約2%が排泄された。CYP2D6 PMでは、投与後264時間以内に投与した放射能の約80%が尿中にほとんど代謝物として排泄され、糞中には約17%が排泄された。また、尿中から回収された放射能のうち、未変化体は約1%(EM)及び約2%(PM)であり、主代謝物の4-ヒドロキシアトモキセチン-O-グルクロン酸抱合体は84%(EM)及び31%(PM)であった。

《外国人健康成人男性に14C-アトモキセチン20mgを単回経口投与後の放射能の累積排泄率(%)[算術平均値±標準誤差]》参照

(6) 食事の影響(外国人での成績)
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン40mg又は60mgを空腹時又は食後に単回経口投与注)したとき、高脂肪食摂取によって空腹時に比べCmaxは37%減少し、Tmaxは約2時間遅延したが、AUCには差は認められなかった。CYP2D6 EM患児における母集団薬物動態解析の結果では、食事によるCmaxの減少は9%であった。

(7) 腎機能障害時の血漿中濃度(外国人での成績)
CYP2D6 EMの成人腎不全患者にアトモキセチン20mgを単回経口投与注)したとき、末期腎不全患者において、健康成人に比較して64%のAUCの増大が認められたが、体重で補正した投与量に換算することによって、その差は24%になった。

《健康成人と成人腎不全患者のアトモキセチンの薬物動態学的パラメータ(最小二乗幾何平均値)》参照

(8) 肝機能障害時の血漿中濃度(外国人での成績)
CYP2D6 EMの成人肝硬変患者にアトモキセチン20mgを単回経口投与注)したとき、中等度(Child-Pugh Class B)及び重度(Child-Pugh Class C)肝硬変患者において、それぞれ健康成人と比較してAUCが約2倍及び約4倍に増大した。

《健康成人と成人肝硬変患者のアトモキセチンの薬物動態学的パラメータ[算術平均値(CV%)]》参照

(9) CYP2D6遺伝子多型の薬物動態に及ぼす影響
外国のPM健康成人では、EM健康成人に比較して、定常状態のアトモキセチンの平均血漿中濃度(Cav,ss)が約10倍、定常状態のCmax,ssが約5倍高値であった。

《外国人健康成人における臨床薬理試験統合解析から得られたアトモキセチンの薬物動態学的パラメータ(幾何平均値(被験者間CV%))》参照

日本人において、EMを更に3つに分類した場合(UM、EM及びIM注1))、IM注1)のAUCの算術平均値はEM注1)に比べて約1.4倍高値であった。なお、日本人にはUMは該当がなかった。

《日本人CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン120mgを単回経口投与したときのアトモキセチンの薬物動態学的パラメータ[算術平均値(CV%)]》参照

(10) 薬物相互作用

1) 蛋白結合率の高い薬剤との併用(in vitro試験)
アトモキセチンは、治療濃度のアセチルサリチル酸、ジアゼパム、フェニトイン、ワルファリンのヒト血漿蛋白結合率に影響を及ぼさなかった。同様に上記薬剤は、アトモキセチンのヒト血漿蛋白結合率に影響を及ぼさなかった。

2) メチルフェニデートとの併用(外国人での成績)
CYP2D6 EM健康成人にメチルフェニデート60mgを1日1回5日間経口投与し、アトモキセチン60mgを3、4、5日目に1日2回3日間経口投与注)したとき、アトモキセチンとメチルフェニデートの併用により、メチルフェニデート単剤投与時に認められた心拍数及び収縮期・拡張期血圧への影響は増強しなかった。

3) 吸入サルブタモールとの併用(外国人での成績)
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン80mgを1日1回経口投与時注)の定常状態で、サルブタモール200μgを吸入投与したとき、アトモキセチンと吸入サルブタモール併用により心拍数及び血圧への影響が認められたが、わずかであった。アトモキセチン存在下及び非存在下で吸入サルブタモールを反復投与した後も心拍数は変化しなかった。

4) サルブタモール静脈内投与との併用(外国人での成績)
CYP2D6 EM健康成人においてアトモキセチン60mgを1日2回5日間経口投与注)し、サルブタモールを1、3、5日目に5μg/minの流速で2時間かけて静脈内投与したとき、サルブタモール静脈内投与に起因する心拍数及び収縮期血圧を含む心血管変化に増強が認められた。

5) CYP2D6阻害剤との併用(外国人での成績)
CYP2D6 EMの健康成人にパロキセチン20mgを1日1回経口投与時の定常状態で、アトモキセチン20mgを1日2回反復経口投与注)したとき、パロキセチンとの併用により、定常状態におけるアトモキセチンのCmax及びAUCはそれぞれ約3.5倍及び約6.5倍に増加し、そのときの血中濃度はCYP2D6 PM健康成人にアトモキセチンを単剤投与したときの血中濃度と同程度であった。

《アトモキセチン単剤又はパロキセチンと併用投与したときのアトモキセチンの薬物動態パラメータ(最小二乗幾何平均値)》参照

CYP2D6 EM健康成人にフルオキセチン(国内未承認)60mgを1日1回で7日間経口投与、次に20mgを1日1回14日間投与、最後に20mg1日1回とアトモキセチン(10、45、75mg)1日2回を15日間投与注)したとき、EM被験者では、フルオキセチンを併用することによりPM被験者に近いアトモキセチンの血漿中濃度が認められた。

6) 胃のpHに影響する薬剤との併用(外国人での成績)
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン40mg単回経口投与注)、あるいはオメプラゾール80mg又はマグネシウム/アルミニウム水酸化物20mLを併用投与したとき、アトモキセチンの生物学的利用率は変化しなかった。

7) ミダゾラムとの併用(外国人での成績)
CYP2D6 PM健康成人にアトモキセチン60mgを1日2回12日間経口投与注)し、CYP3A4の基質であるミダゾラム5mgを単回経口投与したとき、ミダゾラムのCmaxとAUC0-∞は約16%増加したが被験者内変動に含まれるものであった。

8) エタノールとの併用(外国人での成績)
CYP2D6 EM健康成人及びCYP2D6 PM健康成人にアトモキセチン40mgを1日2回5日間経口投与注)し、エタノール2.0mL/kg(0.6mg/kg)を単回経口投与したとき、疲労スケール、複合鎮静スコア、継続的注意力で示されるエタノールの中枢作用をアトモキセチンは増強も減弱もしなかった。

(11) QT間隔に対する作用(外国人での成績)
CYP2D6 PM健康成人(131例)に、アトモキセチン20mg、アトモキセチン60mg、プラセボをそれぞれ1日2回反復経口投与注)、モキシフロキサシン400mg(陽性対照)単回経口投与の4期クロスオーバーのtQT試験を行った。血中アトモキセチン濃度の上昇に伴いわずかにQTcM間隔(時点を一致させたベースラインからのQT間隔変化量を応答変数、時間を一致させたベースラインからのRR間隔変化量、時間、治療及び時間×治療を固定効果、被験者、被験者×時間及び被験者×治療を変量効果とする混合効果モデルにより算出した)の延長が認められたが、臨床使用で想定される最高血中濃度においてもアトモキセチンのQTc間隔に対する影響はプラセボと比較して臨床的に意義のある差ではなかった。

《QTcMの時点を一致させたベースラインからの変化量の最小二乗平均値のプラセボとの差の最大値》参照

注)本剤の承認された用法・用量は「用法・用量」の項参照。

薬物動態の表

臨床成績

◇小児AD/HD患者を対象とした臨床試験成績
国内で実施された二重盲検試験を含む臨床試験において、主要な有効性の解析対象となった被験者における成績は以下のとおりである。

(1) 二重盲検試験2)
小児AD/HD患者(6歳以上18歳未満)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験において、有効性の評価尺度であるADHD RS-IV日本語版(医師用)総スコアは下表のとおりであった。

《ADHD RS-IV日本語版(医師用)のベースラインから最終観察時までの変化(LYBC試験)》参照

(2) 長期継続投与試験3)
小児AD/HD患者(6歳以上18歳未満)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験を完了した小児患者を対象に実施した長期継続投与試験において、有効性の評価尺度であるADHD RS-IV日本語版(医師用)総スコアの推移は下表のとおりであった。

《ADHD RS-IV日本語版(医師用)総スコアの推移(LYDA試験)》参照

(3) 外国人における二重盲検試験(参考)4)
外国の小児AD/HD患者(8歳以上18歳未満)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験において、有効性の評価尺度であるADHD RS-IV-Parent:Inv総スコアは下表のとおりであった。

《ADHD RS-IV-Parent:Invのベースラインから最終観察時までの変化(LYAC試験)》参照

◇成人AD/HD患者を対象とした臨床試験成績

(1) 二重盲検試験5)
成人AD/HD患者(18歳以上)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験において、有効性の評価尺度であるCAARS-inv:SV AD/HD症状総スコアは下表のとおりであった。

《CAARS-inv:SV AD/HD症状総スコアのベースラインから最終観察時までの変化(LYEE試験)》参照

(2) 長期継続投与試験6)
成人AD/HD患者(18歳以上)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験を完了した患者を対象に実施した長期継続投与試験において、有効性の評価尺度であるCAARS-inv:SV AD/HD症状総スコアの推移は下表のとおりであった。

《CAARS-inv:SV AD/HD症状総スコアの推移(LYEK試験)》参照

臨床成績の表

《ADHD RS-IV日本語版(医師用)のベースラインから最終観察時までの変化(LYBC試験)》

投与群 ベースライン ベースライン 最終観察時 最終観察時 変化量 変化量 注1) 95%信頼区間注1) 95%信頼区間注1) p値注2)
Williams 
投与群 平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差 注1) 信頼下限 信頼上限 p値注2)
Williams 
プラセボ 61 32.3 9.6 24.2 11.4 -8.1 7.1         
ATX 0.5 62 32.3 8.4 22.7 11.4 -9.6 9.1 -1.5 -4.3 1.3 
ATX 1.2 58 33.3 8.7 22.5 10.3 -10.8 6.8 -2.5 -5.4 0.3 0.037 
ATX 1.8 60 31.5 7.8 19.8 9.0 -11.6 8.8 -3.7 -6.5 -0.8 0.010 

N:最大の解析対象集団の症例数 ATX:アトモキセチン(数値の単位:mg/kg/日)
注1)差及び信頼区間は、ベースラインを共変量、投与群を要因とする共分散分析モデルを用いて投与群とプラセボとの対比較に基づき算出された。
注2)p値(片側)はWilliams検定に基づき算出された。


《ADHD RS-IV日本語版(医師用)総スコアの推移(LYDA試験)》

期間(月) 平均 標準偏差 
228 22.2 10.4 
0.5 221 21.7 10.2 
204 19.7 9.8 
206 16.4 9.6 
169 14.8 9.6 
12 146 12.7 8.4 
24 104 10.7 7.5 
36 62 10.6 8.1 
48 11 12.5 6.6 

N:最大の解析対象集団の症例数


《ADHD RS-IV-Parent:Invのベースラインから最終観察時までの変化(LYAC試験)》

投与群 ベースライン ベースライン 最終観察時 最終観察時 変化量 変化量 p値注) 
投与群 平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差   
プラセボ 83 38.3 8.9 32.5 13.8 -5.8 10.9   
ATX 0.5 43 40.2 9.6 30.3 15.2 -9.9 14.6   
ATX 1.2 84 39.2 9.2 25.5 13.8 -13.6 14.0 <0.001 
ATX 1.8 82 39.7 8.7 26.2 14.8 -13.5 14.5 <0.001 

N:最大の解析対象集団の症例数 ATX:アトモキセチン(数値の単位:mg/kg/日)
注)p値は、治験医師、投与群、CYP2D6代謝能を要因、ベースラインを共変量とする共分散分析モデルの最小二乗平均を用いてプラセボとの対比較により算出し、Dunnettの方法を用いて多重性を調整した。


《CAARS-inv:SV AD/HD症状総スコアのベースラインから最終観察時までの変化(LYEE試験)》

投与群 ベースライン ベースライン 最終観察時 最終観察時 変化量 変化量 注) 95%信頼区間注) 95%信頼区間注) p値注) 
投与群 平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差 注) 信頼下限 信頼上限 p値注) 
プラセボ 195 33.9 7.5 25.1 11.2 -8.8 9.6         
ATX 191 33.2 7.8 18.9 10.2 -14.3 10.4 -5.78 -7.66 -3.91 <0.001 

N:最大の解析対象集団の症例数 ATX:アトモキセチン
注)p値、差及び信頼区間は、投与群、国を要因、ベースラインを共変量とする共分散分析モデルに基づき算出された。


《CAARS-inv:SV AD/HD症状総スコアの推移(LYEK試験)》

期間(月) 平均 標準偏差 
211 22.2 10.9 
0.5 211 20.9 10.6 
206 19.3 9.9 
1.5 203 17.9 9.8 
200 16.7 9.5 
190 16.4 9.3 
175 15.4 9.3 
173 14.8 9.1 
163 15.0 9.6 
155 14.1 9.0 
149 13.5 9.4 
144 14.3 9.5 
10 140 13.8 9.4 
11 138 13.2 9.3 
12 135 13.1 9.5 

N:最大の解析対象集団の症例数
LYEK試験の試験開始時点(LYEE試験での10週間時点)を投与0ヵ月とした。


薬効薬理

1. 薬理作用

(1) モノアミン取り込み阻害作用(in vitro7)
アトモキセチンはラット脳シナプトソームへのノルアドレナリン取り込みを強力に阻害した(Ki:4.47nM)。アトモキセチンのノルアドレナリン取り込み阻害作用はセロトニン及びドパミン取り込み阻害作用に比べ30倍以上選択的であった。なお、アトモキセチンは各種神経伝達物質受容体にはほとんど親和性を示さなかった。

(2) モノアミン取り込み阻害作用(in vivo8)
アトモキセチンは神経毒によるノルアドレナリン枯渇を阻害したが(ED50:2.5mg/kg,p.o.)、セロトニン枯渇に対してはほとんど作用を示さなかった。

(3) 細胞外モノアミン濃度に及ぼす影響(in vivo8)
アトモキセチンは前頭前野におけるノルアドレナリン及びドパミンの細胞外濃度を有意に上昇させたが(0.3〜3mg/kg,i.p.)、線条体や側坐核における細胞外ドパミン濃度には影響を及ぼさなかった。

2. 作用機序
臨床における有用性には神経終末のノルアドレナリントランスポーターに対する選択的阻害作用が関与していることが可能性としては考えられるものの、明確な機序は不明である。

有効成分に関する理化学的知見

一般名:
アトモキセチン塩酸塩(JAN)
Atomoxetine Hydrochloride

化学名:
(3R)-N-Methyl-3-(2-methylphenoxy)-3-phenylpropan-1-amine monohydrochloride

構造式:

分子式:
C17H21NO・HCl

分子量:
291.82

性 状:
白色の粉末又は塊で、メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水にやや溶けにくい。

分配係数:
3.8(1-オクタノール−水系)

包装

内用液:100mL×1瓶

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
社内資料:Analysis of the Changes in Hemodynamic Parameters of Blood Pressure and Heart Rate Associated with Atomoxetine Treatment in Pediatric and Adult Patients with ADHD in Clinical Trials and in Healthy Adult Subjects who are CYP-2D6 Poor Metabolizers

2)
Takahashi, M. et al.:J. Child Adolesc. Psychopharmacol.,19(4), 341(2009)

3)
社内資料:小児AD/HD患者に対する第III相長期継続投与臨床試験

4)
Michelson, D. et al.:Pediatrics, 108(5), e83(2001)

5)
社内資料:成人AD/HD患者に対する第III相短期投与プラセボ対照二重盲検比較試験

6)
社内資料:成人AD/HD患者に対する第III相長期継続投与臨床試験

7)
社内資料:モノアミン取り込み阻害作用の検討

8)
Bymaster, F. P. et al.:Neuropsychopharmacology, 27, 699(2002)

文献請求先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
日本イーライリリー株式会社

〒651-0086 神戸市中央区磯上通5丁目1番28号

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元
日本イーライリリー株式会社

神戸市中央区磯上通5丁目1番28号